PassionMusic:SandS アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/24〜05/26

●本文

 『Passion Music』という看板がライヴハウスにかかる。
 その看板がかかると同時に、そこには収録の機材が運び込まれセットが始まる。
 それが完了するとそこにロッカーたちが現れて熱い熱いライヴを。
 いつ、どこでするのかはわからずゲリラ収録のロックライヴ番組。
 収録に出会えるかどうかは時の運。
 そこでプレイするロッカーたちにも場所のイメージは伝えられるが前日まで明確な場所は明かされない。
 集合場所、集合時間指定を受け、暗幕の張られたバスに乗せられてその場所へと連れて行かれる。
 準備の終わったライヴハウスでは今か今かとロック好きの観客がテンションをあげて、待っているのだ。
 ぱっと、舞台上にスポットがあたる。そこにはマイクとカンペを持った司会者、渋谷蓮(しぶや・れん)。
「甘酸っぱい‥‥それは何ー? 今日のテーマは『Sweet and Sour』!」
 舞台の照明がばっと明るくなる。
 最高のプレイを、そこで‥‥!

『Passion Music』出演者募集
 ゲリラロックライヴ番組収録、出演者募集
 こちらから指定するのはライヴ日の集合場所、時間のみ。
 今回は「Sweet and Sour」をテーマとする曲。甘酸っぱいものを歌に入れ込んでください。
 ライヴハウスの舞台は一般的なものです。
 ソロ、グループを組む、は自由です。
 収録に取り直しはありません、一発勝負です。

 なお、日程は以下です。
 初日  参加者顔合わせ
 二日目 スタジオでのリハーサルなど
 三日目 ライヴハウスでの演奏、収録

 ドラムセットやピアノ等大きな楽器は備え付けのものがあります。
 バックバンドが必要であればこちらで用意します。
 グループ掛け持ちは禁止。
 演奏順は特に希望が無ければ阿弥陀くじです。

●今回の参加者

 fa0847 富士川・千春(18歳・♀・蝙蝠)
 fa1851 紗綾(18歳・♀・兎)
 fa3596 Tyrantess(14歳・♀・竜)
 fa3861 蓮 圭都(22歳・♀・猫)
 fa3867 アリエラ(22歳・♀・犬)
 fa4657 天道ミラー(24歳・♂・犬)
 fa4790 (18歳・♂・小鳥)
 fa5440 瑞雲 カスミ(22歳・♀・狼)

●リプレイ本文

●ライヴハウス到着
「お、今日はここなんだな」
 ライヴハウスの裏口に到着。
 中から自然と伝わってくる熱気を肌に感じるTyrantess(fa3596)。
「今日の一番手よろしくね」
 バスから降りて渋谷蓮と一言二言。
「実際に飲むわけじゃなし、酒をテーマに歌わせてもらうぜ」
「ゴールデン進出の前祝みたいですね、お酒とかでてくると」
「お、千春嬢なんか久しぶり!」
 次にバスからぴょん、と降りてきた富士川・千春(fa0847)は笑顔を向ける。
「だねだね、カスミ嬢もよろしくね」
 瑞雲 カスミ(fa5440)も頷く。
 千春とカスミは二人揃って二回目出演と共通点もあったりする。
「‥‥タッパは」
「ちゃんと持ってきたわ」
 と、次に降りてくる蓮 圭都(fa3861)への第一声。圭都もごそごそとタッパをチラ見させる。
「! もしかしておにぎり! ツナマ私のも」
「ばっちり」
 その話をきいて紗綾(fa1851)は象さんのミミダンボ、ならぬウサ耳ダンボ。
 ぴょこっと出てきてきらきらの視線。
「シブママはいろんな人の食生活を支えてるんだねっ!」
 アリエラ(fa3867)はそんな様子ににこにこ。
「皆の食生活を守ります。そいえばね、アリエラ嬢のダーリンには昨日あったよ」
「いつもカッコイイのです、えへへ」
「のろけ!」
 ふと振られた話にはノロケで。
 アリエラは幸せそうな表情を浮かべる。
「そういえばカップルいたよね、いたよね!」
「ここに彼氏がっ! ほらいけーいけー!」
 ずずい、と前に慧(fa4790)を押し出す天道ミラー(fa4657)。
「わっ! ミ、ミラー兄!」
 紗綾のそばにとぐぐいとくっつけられる。
 にやにや。
 にやにやにや。
「な、なんだか視線がっ」
「これは祝福の視線」
 あたたかい視線が、二人には注がれる。

●Tyrantess ―Liqueur
「甘酸っぱいそのお味、それをここで味わえるお前たちはラッキー! ってことで、最初は少し大人に妖しげに、魅惑の雰囲気、いってもらいましょう‥‥Tyrantess、『Liqueur』」

 暗くなった舞台に明かりがともる。
 いつもとは少し違い、ドレスのような服装でTyrantessは現れる。
 誘うように、視線を泳がせながら。
 ギターの音はミディアムスローに始まる。
 派手なプレイではなく、けれども音はしっかり。

「 ほら 見えるだろ? 戸棚に並んだボトルが
  ほら 綺麗だろ? 宝石みたいな輝きが 」

 けだるげな雰囲気を出しながら視線は観客の上を一回り。
 めぐる視線を観客は知らず追いかけていく。
 ゆったりと、赤系統の照明も、あやしげにゆらゆらと揺れて、その雰囲気を持ち上げる。

「 色も味も香りも よりどりみどり千差万別
  アンタの好みに合わせ 望みのままに千変万化 」

 音も揺れるように。
 そしてふっと力を抜いて、軽く、弱く声を乗せる。
 動きはゆっくりと妖艶にを心がけて。

「 込めるは想いとSpirits
  飾れば魅惑のCocktail

  初めは優しく口当たりよく ウブな少女のように
  心の牙は隠したままで 静かに壁を溶かしてく
  気づいた時にはもう手遅れ 甘酸っぱい罠の虜さ
  飲まれたのはアンタのほう あとは灯りを消してから 」

 弱まった声は強く強く盛り上げて、そしてまた少しテンションを落としてしっとりとさせていく。
 溜息の交るような声色で、最後の一煽り。

「 Now I got you baby‥‥In this sweet sweet trap! 」

 消えていく赤い照明の中、その声は静かに響いた。

●Strawberry Quartz ―ストロベリィ
「しっとりとしたあとは楽しくポップに、自然も体も動いていくようなそんなリズムをお前たちに! 瑞雲カスミ、そんでもって藤川千夏、二人でStrawberry Quartz、『ストロベリィ』」

 ほわんと照明も明るく軽く、少し眩しく。
 ライトの中にたつ千春とカスミ。
 カスミは借りたアイスブリザードの弦の上にウルフファングをかまえる。
 千春はギター、フレイムストームを抱えて、二人で音を合わせる。
 歌声は、掛け合うように、千春から。

「 遠くに匂ってる 甘い甘いその香りに
  誘われて辿り着いたのがこの恋ならば
  喜んで受け入れましょう 好きさ 好きさベイベ 」

 女の子らしく、言葉に年ごろの明るさを重ねる。
 そしてバトンタッチ、千春からカスミの歌声に変わる。

「 ストロベリー それは白い花びら
  誰が言ったか 『恋はまるで苺ケーキのようね』」

 ギターの音、ベースの音は重なって、ドラムとキーボードの音も加わっていく。

「 甘くてとろけそうで 口に入れた瞬間のすっぱさ
  意地悪だったり優しかったり おまけに残酷 」

「 白い生クリーム 甘い甘いその香りに
  焦がれて手に入れたのがこの想いならば
  感謝して頂きましょう 好きさ 好きさベイベ 」

 メロディの伸びは心地よく、なじみやすい音が踊っていく。
 自然と体も、動いていくノりやすさ。

「 ミツバチが集う 淡くぼやけた街並
  キャンドルよりもそのストロベリー ちょうだい☆ 」

「 甘くてとろけそうで 噛み砕いた瞬間のすっぱさ
  意地悪だったり優しかったり ちょっと残酷 」

 音はベースとキーボードがたつ。けれども控え目に、でもしっかりと低い音が響く。
 その上に、気持をのせて、歌ではなくて千春が言葉を置いて行く。

『でもキミを心から愛しく感じてる あたしのしあわせ』
「 ストロベリー それは恋のはじまり 」

 追いかけて、カスミが歌えば最後のフレーズ。

「 遠くに匂ってる 甘い甘いその香りに
  誘われて辿り着いたのがこの恋ならば
  喜んで受け入れよう 好きさ 好きさストロベリー 」

 乙女心は、声を揃えて。

●coloful drops ―sentimental citrus
「仲イイなぁ〜緊張ほぐれる」
 弟分の慧と、その恋人、紗綾の仲のよいほえほえっぷりをミラーは見守り、ほんわりする。
「ミラー兄! お手!」
「わん!」
 と、反射的に出てしまうミラーの手。それをそのまま、繋いでいく。
「つないで気合を注入! がんばろうね」
「大好きな二人と一緒にできてうれしいな」
 と、二人に呼ばれて、三人で手をつなぎ円陣。
「慧はギターファイト! 紗綾とお兄ちゃんがついてるゾ!」
「緊張するけど‥‥頑張るね」
 慧は微笑んで答える。

「さてここから後半! 生まれる音はどんなのかな! アネモネの天道ミラー、flickerの紗綾、そして実は初登場の慧、三人揃ってcoloful drops、曲は『sentimental citrus』」
 コールされて、白く照らされるステージに三人は現れる。
 揃いの白のカットシャツと深い赤のネクタイ。
 ピアノ前に座るミラーは黒のパンツをあわせ、首のチョーカーが見えるようにネクタイは緩く。そして手頸に黒いリストバンド。
 紅一点の紗綾はネクタイはリボン結びに。スクールベストに。ミニプリーツスカートの裾をひらり。黒ハイソックスに皮靴と学生のように。そして髪にはサクランボのヘアピン。
 くるっとまわってドラム前に座る。
 慧は瑠璃色と水色チェックの膝丈ハーフパンツ、水色の薄手パーカーを羽織って、足元はごつめの白スニーカー。
 紗綾と慧の指には、お揃いの指輪が光る。
 ドラムのカウントが始まって、ミラーがハーモニカの音を交える。
 照明も真っ白から、夕焼けのようなグラデーションに。
 白から淡い黄色にかかっていく。

「 ゆっくりと教室を染め上げた橙色は
  僕の心さえ埋め尽くしていくようで
  目を細め柔らかく微笑んだ君だけが
  ひどく鮮やかに存在している景色 」

 短い前奏の後、慧の歌声。
 伸びやかに優しく明るく、始まっていく。
 ギターが追う主旋律、ピアノはきらきらと音をはじくように響かせ、ドラムはスネアをきかせつつ軽やかに。
 淡い黄色から橙へと変化する照明は雰囲気を増していく。

「 きっと憧れだって そう思い込んでいた
  けれど違ってた もっと大切で切ない何か 」

 ミラーと慧が、紗綾と慧が、それぞれ声を重ね合う。
 明るいけれども少し尖った音、そしてそれを包み込むようなピアノの甘い和音。
 二つ重なって絡み合って、盛り上がっていく。
 きらきらと、細かく照明をちらつかせる。
 紗綾の回すドラムスティック、サンライズにそれが反射して、またきらきら。

「 不思議だね 君の笑顔ひとつで
  みずみずしく世界が変わる
  オレンジに透き通る陽(ひ)の光
  きらきらした横顔が まぶしいよ 」

 三人で声を揃えて、そして慧の声が響く。
 そしてまた三人の声を今度はハモらせて。

「 気づいてる 僕の鼓動の行方
  君の元へひたすら向かう
  胸をつく気持ちには名などない
  声にならず溶けていく citrus heart 」

 揃えたユニゾンは切なく囁くように。
 慧のソロはさっきまでのユニゾンに負けないようにボリュームを増す。
 ハーモニーは華やかに、けれども繰り返すたび力強くしっかりと。
 声にならない歌を声にして歌う。
 気持ちを乗せて、最後は三人のハモり。
 声に合わせるようにライトは下からふわりと吹き上げるように煽られて。
 繰り返され、引いて自然と溶けていくようなサビの旋律の後にはシャランと優しく慧のアコースティックギターの音が響いた。

●SODALITE ―Cider soda
「つづいて女の子二人がゴー! よい雰囲気はそのまま引き継いでもってきますよ!! ステージにあがるは昨日のアドリバティレイアのおにーさんに引き続いて、お嬢さん、アリエラ! そしてPassionお久しぶりー、の蓮圭都! SODALITE、『Cider soda』」
 真っ暗なステージ、響くカウントの音。
 そしてギターの音がメロウに流れ出す。

「 とうとう色付くこともなく 終わってしまうの?
  この蕾を暴くだけなら 誰にでも出来る 」

 暗い舞台に間接的にぼわっと明るさがともる。
 黒いゴシックミニワンピに黒い編上げブーツ。赤いリボンを髪とサッシュベルトにもってきたアリエラ。青いアイスブリザードがその色に映える。
 圭都は膝上丈のエンパイアドレス。ゆったり広る袖と、胸下からのフレアが軽やかに揺れる。その揺れる袖や裾の色はアゲハのように鮮やかなカラーグラデーション。そしてニーソックスに足元はショートブーツ。

「 そんなんじゃ足りない もっともっと刺激的になれ 」

 言葉の強さを音にも載せて、ドラムとベースが強く前に出る。
 音に合わせて、やわらかだった照明も直接、多方向から眩しく向けられていく。
 短い間奏に、圭都とアリエラは背中合わせでパフォーマンス。
 低音から高音までを一気に駆けあがるように、それに合わせて動きも大きく圭都は持っていく。
 ギターとベース、掛け合う音を今度は歌声で引き継いでいく。

「 熱い太陽が欲しい (SUNLIGHT 急かして!)
  雫から香る 淡い誘い隠したから (求め続けて!)
  それしかいらない (まるで GOLD RUSH) 」

 フレーズに重ねるように、追いかけていくように。
 追って、追いかけて繰り返し。
 圭都が歌えばアリエラが追って、その逆もあり。

「 足元から舞いあがる風 炎まとい昇りつめる
  アゲハの色した 甘い夢咲く夜 踊り明かすの 」

 ふわりとスモーク。
 歌に合わせ得て細いライトが下から上に駆けあがり上っていく。
 そして音が止まる。
 生まれた間の後に、圭都とアリエラのハーモニー。

「 たったひとつ 熟す赤い果実 の名前で 」

 絞られていくスポット、舞台はうっすら暗くなっていく。
 口元に人差し指を圭都は持っていき示しながら。
 最後の歌声が響くとともに、フェードアウトが綺麗に終わる。

●ライヴハウス『リュロス』
「連続収録終了! おつかれ僕ー! そしてすぐまたゴールデンタイムで放送決定だから収録でっす! そっちも楽しみですよ、まだ出演者は内緒だけど豪華! で、まぁその景気づけも兼ねてひとつ、いつものやつね!」
 蓮はマイクを外して、両手を口のそばに。
「甘酸っぱいもの、お前らにしっかり、伝わったかーーー!!!」
 二日連続のまとめのように、観客から帰ってくる声はいつもより大きく。