オトナれっすんGO☆アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
べるがー
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/08〜12/12
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●本文
「ぷ、プロデューサー。最近そんなのばっかじゃないですか!」
「ああん? いいんだよ、視聴率が稼げりゃあ!」
一人のディレクターが、どかどかと前を歩くプロデューサーにきゃんきゃんついて歩く。
「なに考えてんですか、この間っから女同士で絡む怪しげな百合ーズの話や男同士でそのまんま絡んじゃう禁断ドラマばっかなんですよ!」
「ヘーキヘーキ」
にへ、と笑うプロデューサーに他意はない。需要があれば供給する。これテレビ局の鉄則ね。
「まったく‥‥! そっち系ばっかり放送したんじゃ、アナタが笑われるんですよ!」
「いいんじゃねぇの? 俺のモットーは面白おかしく、だもん」
「意味履き違えてますよ!」
「あーもー、うっせぇなー」
ギロリ。大量にある会議用書類をゴミ箱に投下する。読んだからもういらん。
「ああっ、大事な書類に何てことをー!!」
「ぎゃあぎゃあうるせぇなァ‥‥うっしゃ次の番組もイロモノでいくぞ!」
「ハア!? 人気アイドルプロダクション使っての番組ですよ!? 半年は続くドラマにして下さいよ!」
「イヤだね。ん〜‥‥今度使うのは大手プロダクションの‥‥あー、あの三人娘か。栗柿サンマ娘だっけ?」
「んなダッサイアイドル名がありますか! ウメももサクラですよ!」
「変わんねぇじゃねぇか‥‥」
ロリ系少女の実は一番年上ウメちゃん。21才の童顔、ツインテール胸ぺちゃアイドル。
スポーツ大好き、お元気少女ももちゃん。17才のぴんくのほっぺた愛らしい実は小卒非頭脳派アイドル。
趣味はお花とアロマ、年齢上二人に引きずられ一人迷惑被りまくりの14才サクラちゃん。烏の濡れ羽色のストレート長髪が美しい頭脳派アイドル。
「あーあーあー、お好きなキャラを選んでおくんなまし、ってヤツだな」
「何ですかそれは」
「んー、メイド服、看護婦さん、着ぐるみ‥‥」
「‥‥ナニ考えてんですか!」
「意表をついて接骨院の若先生とかどうよ?」
「よくないっ!! それは深夜番組放送ギリギリです!!!」
「‥‥っち」
ああ社長! 何でこんなプロデューサー雇ったんですか!? ウチはそんなに人材不足なんですか!?
「──よし、決めた。教師でいこう! スーツに眼鏡にハイヒールに指揮棒だ!」
「ば、バラエティでしょうね? まさか本当にアダルトドラマにする気じゃ」
「ばらえちー、ばらえちー」
もけけけけ、と人間とは思えない笑い声でこの目の前のプロデューサーは決めてしまった。
「うん、美術班に教室作ってもらってー、小道具もソレらしいの選んでもらってー、セーラー服や詰襟なんかも用意してもらわにゃな」
「‥‥‥‥」
健全番組に聞こえないのは気のせいか?
「ほい、企画書できた。これで頼む」
「頼む?」
「ばっかだなー。ディレクターのお前じゃなきゃ出来んことあるだろ」
ニッコリ笑う横暴プロデューサー。えええええ?
「テケトーなプロダクション行ってテケトーな生徒揃えて来い。萌え系アイドルにご教授を乞えるありがたーい大人授業だ」
──ウメももサクラによる大人授業! 講義を受けたい生徒大募集っ!!
〜 アイドルグループによる萌え系授業です。ぜひセーラー服OR詰襟学生服で授業を受けてネ 〜
今冬より公開予定のアイドルによる擬似生徒レッスン。教えを乞える先生は三人♪
ウメちゃん‥‥エセロリ少女(?)。本当は成人済みなのは内緒。OL経験もあるので、家庭科と国語の授業です。
ももちゃん‥‥スポーツばか少女。高校どころか中学もろくに通学せず。そんな彼女が倫理と体育を教えちゃうぞ!
サクラちゃん‥‥冷静沈着年中胃痛持ち少女。実はももより頭がいい。というわけで習ってもないのに何故か数学と英語担当。
さあ、あなたはアイドル教師に何を教えてもらいたい?
出たい授業だけでも可、全授業の皆勤賞は好きなアイドル先生から●●を頂戴できます‥‥多分。
●リプレイ本文
●センセー、よろしく!
キーンコーンカーンコーン。
TOMIテレビ局内部に、郷愁を誘うゴングが今鳴り響く。セーラー服詰襟姿に身を包んだ生徒達は、今まさに新たなる伝説を生み出そうとしていた。
教師入場、生徒代表ルュニス(fa1434)。
「きりーつ、れーい」
戦いはもう始まっている。
「ばくげーき」
どんがらがっしゃん、机と椅子が人間ごと倒される。
「えーっとねー、センセのウメだよ、よろしくね♪」
まずは教師の自己紹介。ツインテールに三人の中で一番背の低い少女がぴょこんと頭を下げた。家庭科と国語担当。
「あたしはたいくとリンリ!」
いかにもお元気少女といったもも先生が、粋の良い目で生徒達を見渡す。
「あの‥‥数学と、英語です‥‥い、一応」
黒髪の大人しそうな少女は幾分か青ざめた顔で言った。
「つぎは生徒達の番だなっ」
「うんっ、そうだね。手前のキミからお願い♪」
何故こんな小さな少女がスーツを? と言いたくなるウメ先生に振られたのは、最前列教卓前に座った九条・運(fa0378)。
「九条運だ! 以後ヨロシク!」
ぐるっと教室内を見渡すと、セーラー服を着た女性が約半数。心の中でガッツポーズ。そして口が滑る。
「守備範囲は広い方なのでロリでも何でもオールOK! 強いて好みを上げるならオッパイの大きい子が好みです!」
──ゑ。
熱く挨拶の少年、今何言った? え、オッパ‥‥え?
目を点にする女子生徒の風間由姫(fa2057)、Laura(fa0964)、RASEN(fa0932)。ふくふくの胸を持つ畑下雀(fa0585)は黙って胸を包み込む。見ないで下さい。
教師三人の思考をフリーズさせた隣席の少年を見上げ、虎真(fa0862)は思う。
──彼の腰にある変身ベルトに意味はあるんでしょうか?
多分ない。
●センセー、授業ですっ!
「い、一時間目は英語です‥‥」
サクラがテキストを開いて引きつった。読めない。
「えええっと‥‥その」
どうしよう、とパニックに陥るサクラ。十四歳、高校レベルの英語を前に煩悶。
「せんせー、質問」
微妙な空気を破るかのようにルュニスが手を上げた。サクラは迂闊にもほっとした表情を浮かべたが、次の瞬間凍りつく。
「Then �T felt the ecstasyの訳は」
「マテ」
瞬時に理解した実際年齢二十歳の虎真が手で封印した。健全なテキストにそんな文が載る訳ない。
「みんなヤッホー、たいくは後でお楽しみ、リンリのじゅぎょーやるよっ」
動きやすさを重視したのか、幾分短めのスーツを着たもも先生は、元気いっぱいに生徒の前に現れた。
「先生、倫理って何ですか?」
ブラジル生まれ、アマゾン育ちのLauraが基本的な事を質問した。そう、とっても基本的な事。国語って何ですか? 数学って何ですか?
「‥‥‥‥」
なのに返事をしないのはどうしてでしょう。
「あ、あの‥‥先生?」
恐る恐る問い掛ける由姫の言葉にも解凍ならず。
「わかんないんだ」
RASENの容赦ない突っ込みにマグロ、いやももは解凍した。う、う、と涙で顔が引きつっている。
「うわあああんリンリなんか知らなくたって生きてけるもんー!!」
ガラッ、どだだだうええーん!
教師逃亡。ひゅうと冷たい風が吹き抜けた。
「もも先生‥‥」
心配するように名を呼ぶ勇姫凛(fa1473)。クールな中に時々見え隠れする照れた顔に定評がある多分十七歳アイドル。
「リンリって最後まで漢字使わなかったね」
クールだ、凛。
「三時間目はね、ウメの国語の授業だよっ。それとも家庭科がいー?」
ツインテールなのにスーツ。ロリなのに指揮棒。ヤバイっすよ先生!
トキメキを覚える運をよそに、やたら流麗な文字を板書するウメ。会社勤務で事務やってました、ツインテールはこの世界入ってからです、すみません。
「この四字熟語、分っかるー?」
一歩間違えれば裏ビデオ女優なロリっぷりだが、黒板の四文字熟語はセンター試験並み。よりによって当てられたLauraが困った。
「せんせー」
「なになにっ?」
生徒が答えに詰まった事で生まれた沈黙。その隙をルュニスは逃がさなかった。
「この古典なんですけどー、結局光る君は何人と夜」
「現代国語ですよ?」
ははは何言ってるんですか、ギャグですかボケですかネタですか病気ですかと虎真が言葉を遮った。ウブな由姫がテキストの向こうで真っ赤な顔を隠している。ところが、この話題にも乗ってくる生徒もいたりして。
「物好きな男だよな、オッパイが好きならオッパイ! 腰のくびれが好きならくびれと信念を貫けってんだ!」
え? そういう問題?
運の男気溢れる言葉にRASENは目で訴えた。ねぇ、そういう問題だっけ?
「‥‥先生、このまま家庭科室で実習といきましょう。無駄に考えさせない方がいいと思います」
虎真、何気に失礼。しかしこの判断は120%失敗。
「うーんと、お昼が近いから皆の食べたいもの作ろーよ。お米があるから、Lauraちゃん洗ってね」
「‥‥えっ」
多分、それはウメ先生の思いやり。さっき答えられなかった彼女にテレビ前で活躍の場を、と思ったのだろうが。
「‥‥‥‥‥‥」
渡された炊飯釜。ここにお米を入れるんですよね‥‥? で、お米を入れて‥‥それで‥‥で‥‥。
ぽむ。
「洗剤で洗っちゃダメだぞ☆」
「しっ、知ってますっ」
RASENの微笑みに慌てるLaura。ただ何で洗えばいいか分からなかっただけである。
「あの、ルュニスさん?」
由姫が撮影開始直後から怪しい言動を繰り返すルュニスの手元をじっと見ている。
どぽぽぽぽ、あ、ボトル一本終わった、このくらい? バタン!
「ほみゅ?」
「オーブンに何を入れてるんですか?」
にこっ。兎と同じ目の色をした女が、ニッコリ微笑んだ。
「サラダ油」
バスガスバクハツ。
「たいくっ、たいくっ、たいくぅー!」
OH、イエー!!
難しい机上勉強などよりよっぽど体動かした方がいい、と断言する倫理教師は髪の傷んだ生徒達を見ても何も思わないらしい。サクラだけが胃を押さえて引きつった顔をしている。
「はしる? とぶ? なげる? およぐ?」
「全部平仮名なんだー‥‥」
「いや、それ以前に今泳ぐとか言いました?」
もも先生に釣られるようについて来た先は、もちろん体育授業にふさわしいグラウンド。泳げる水場はない。
何やら突っ込みとして定着しつつあるRASENと虎真はとりあえず点呼を取る。
「こりゃまた‥‥凄いな」
うわぉ、と運が雀のブルマ姿を見つめている。
「あ、あのデボ子はお尻が大きいから‥‥その、凄く恥ずかしいんですけど」
消え入るような声に高速を首を振る運。無問題、むしろ大きな方がグー!
「ありー? りんクンは?」
「生徒の名前も平仮名なんだ‥‥」
漢字覚えてやれよと突っ込みは聞こえない。広いグラウンドだが遮るものがないため見渡せる‥‥あ。
ジャーッ、と長い陸上用のラインを滑るように走りながら、こっちに来る爽やかな男は。
「り、りんクン!?」
えー、もうどこから突っ込めばいいのー? 突っ込み委員二人が困る。
──何故か履いてるローラーブレード? 爽やかに流れる汗とクールな微笑み? それとも白い素肌が覗く短パン姿に?
「あっ‥‥危ない、もも先生!」
この広いグラウンドで。一体、何故にどうしてこのように?
「きゃーっ」
体勢を崩した凛とももがもつれるように転がっていく。目撃した生徒は息を呑んだ。警部、事故じゃありません! 他殺です!
「‥‥っごめん先生! 大丈夫?」
押し倒したのお前だろーがという生徒達の無言の圧力をものともせず、照れたようにももに手を差し出す男は逆光で顔が見えない。え? 何コレちょっと運命の出会い?
「‥‥‥‥‥‥」
ごめんね、ううん平気、と続く会話に遠くを眺める。
「未だまともに授業してない気がするんですが‥‥」
虎真、正解。
──って、おい。
「そこの問題児。何やってるんですか。誰のコスプレですかっ」
視界に過ぎったのは、ブルマでなく白衣の天使をになったエロリストのルュニス。
「誰って」
カメラを見つけ、走り出す。
「保険医っす。見てのとーり」
──保険医が何故にカメラ前で自作の歌を鼻歌で歌いながら歌う必要が?
「‥‥‥‥‥‥‥‥授業、始めます」
げそ、と全授業を目の前で視聴していたサクラの顔がやつれている。ラストは数学の授業だ。
「(もー何でもいいや)えー‥‥教科書十三ページの基礎問題を」
「せんせー」
目が。目が赤い白衣の悪魔が!! また手ぇ上げてるよ!
「‥‥授業に関係ある事なら‥‥」
「もちろんっす!!」
「じゃあ‥‥どうぞ」
「その三角定規からどうしても連想してしまう三角木」
がっこん。ぐらーっ、ばたっ。
「‥‥‥‥‥‥」
数式に関係のない事を質問しようとした白衣の悪魔は、頭上から落ちてきた金ダライによって天罰を受けた。静まる教室、回る金ダライ。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥えー、それでは授業の続きをします」
エロリストの死によって終えた大人れっすんは、感動的な編集をされ多くの受験生やニート達を励ましたという。