発狂プロレスリングアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 えりあす
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 0.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/17〜11/21

●本文

「何! リングが到着していないだと!」
「は、はい! ど、どうやら、事故に遭ったようで‥‥」
 某インディーズ系のプロレス団体が興行を行う市民体育館に怒声が響く。
 どうやら、リングを積んだトレーラーが高速道路で事故に遭い、会場まで到着する事が不可能になったようだ。
 プロレスなのにリングが無い‥‥これは、極めて深刻な事態である。
 しかも、今回はTVで試合が中継される事になっていた。
 リングが無く、プロレスも出来ない状況で中継など出来る訳が無い。
「てめぇら‥‥リングが無くてもプロレスは出来るって事を見せてやろうじゃないか!」
 だが、社長はリングが無くても興行を続けると宣言した。
「で、でも、どうやって‥‥」
「わからん! でも、やるんだよ!」
 この団体は極めて異質な試合をすることで有名だった。所属選手には女子選手も存在し、ミックスド・タッグマッチなどは日常茶飯事。Gパンにブーツを履いて戦うテキサス・ストリートファイト・マッチや、どこでもフォール可能なエニウェア・フォール・マッチ等‥‥。
「そうだ、今回は全試合ノーリング・マッチとする!」
「そ、そんな無茶な‥‥」
 ノーリング・マッチ‥‥リング無しでどうやって試合をするのか‥‥。
 そんな鶴の一声を聞いたマネージャーは、すぐに携帯を取り出した。

●急募!
 話題沸騰間違い無し!
 ○月×日、某市民体育館で行われる全試合『ノーリング・マッチ』に出場する選手募集!
 マッチ・メイクも自由!
 フリー、新人歓迎!
 男女不問!
 当日、試合中継あり!
 さぁ、夢を掴むチャンスだ!
 お問い合わせはこちら→090−○○××−□□◇◇

●今回の参加者

 fa0295 MAKOTO(17歳・♀・虎)
 fa0536 新堂 将貴(28歳・♂・獅子)
 fa0757 グリード(24歳・♂・熊)
 fa0761 夏姫・シュトラウス(16歳・♀・虎)
 fa0936 霧夜マイナ(17歳・♀・蝙蝠)
 fa1713 玄穣(14歳・♀・豚)
 fa1738 鉄劉生(25歳・♂・虎)
 fa1879 リスフィア・マーセナル(20歳・♀・竜)

●リプレイ本文

・シングルマッチ15分1本勝負
 ○リスフィア(3分20秒 腕ひしぎ逆十字固め)穣×

「緊張‥‥と、言うよりは、頭の中が真っ白でした」
 デビュー戦を終えた玄穣(fa1713)が控え室で試合を振り返る。今回、狂プロ所属の女子選手が他の試合に出る為、リスフィア・マーセナル(fa1879)と穣がマッチングされる事になった。
 試合は前半、穣が蹴り技で果敢に攻めてリスフィアを追い詰めるが、ドロップキックを外した隙を狙われ、関節技の洗礼を受ける。穣は関節技地獄を必死に耐え凌ぎ、タックルでリスフィアからダウンを奪ってフォールを狙うが、カウントは2。そして、跳ね返すと同時にリスフィアが腕ひしぎ逆十字固めを決め、穣はギブアップ。リスフィアの勝利となった。
「でも、いい戦いをしていたと思いますよ。タックルを受けて倒れただけでもキツかったです」
 試合は全てノーリング・マッチとなっており、床にはマットが敷かれてあるだけであった。叩きつけられた場合、当然普通のリング以上の衝撃がレスラーを襲う。
「ドロップキックがうまく決まったから結構いけるんじゃないかと思ったのですが、リスフィアさんはそこからの切り替えしが上手でした」
「何度も同じ技を繰り返していると読まれます。お客さんにも飽きられると思いますし」
「魅せる試合というのがまだわからなくて‥‥」
「まだまだこれからよ。お互いに頑張りましょう」
 2人はお互いの健闘を讃え、ガッチリと握手を交わした。
「今は夏姫さんの試合でしたっけ?」
「見に行きましょうか」
 2人が立ち上がった瞬間、何やら怒声と激しい足音が控え室に近づいてきた。
「何でしょうか?」
 穣が扉を開けようとした瞬間‥‥
「あははは! これでどうだ!」
「きゃあ!」
 突然、女子レスラーが勢い良く控え室に転がり込んでくる。恐らく、扉に叩きつけられたのであろう。そして、倒れた女レスラーを見て高笑いしているのは虎の覆面レスラー『ホワイトタイガーマスク』こと、夏姫・シュトラウス(fa0761)であった。
「ど、どうしたのですか!」
「身の回りにあるものは、これすなわち全て武器! 武器は使用してこそ武器であり、戦士が武器を使うのは当然!」
 リスフィアが突然の出来事に慌てながら尋ねるが、夏姫にはその声は届いていないようだ。倒れている女レスラーを捕まえると、近くにあったテーブルに頭を思いっきり叩きつける。
「確かエニウェア・フォールマッチでしたっけ‥‥」
 夏姫はエニウェア・フォールマッチを申請した。場外はもちろん、やろうと思えば通路や会場の外でもフォールが出来るのである。当然、この控え室でも。何度も頭を打ち付け、フラフラになった所を夏姫がフォール。カウント3が入ろうとしたが、女レスラーはギリギリで肩を上げる。
「チッ!」
 夏姫が相手を起こすと、再びテーブルに叩き付けようとするが‥‥
「調子に乗るんじゃねぇ!」
 だが、逆にロッカーに頭を叩き付けられる。そして、散々控え室で暴れた後、両者は殴り合いながらどこかへ行ってしまった。
「大変な試合になってますね‥‥」
「こんな試合をするなんて‥‥流石、狂プロです」
 リスフィアと穣は滅茶苦茶になった控え室を見て呆然とした。
「今、ゴングが聞こえましたが‥‥」
「‥‥トイレの方でしたよ」
 試合は女子トイレで決着が付いた。夏姫がトイレのフロアでDDTを決め、そのままフォール。カウント3が入ったのだ。

・エニウェア・フォールマッチ時間無制限1本勝負
 ○夏姫(18分30秒 体固め)NPC♀×

 *

 次の試合がアナウンスされた瞬間、突然照明が全て消えた。暗闇に包まれた会場内、観客達のざわめきだけが館内に響く。
 そして、会場の照明が復帰したその時‥‥
『うぉ! 何だ、あいつらは!』
 花道にお立ち台が設置されており、その上には虎の覆面レスラーが腕を組んで立っていた。その反対側では、バスケットゴールの上に同じ虎のマスクを被ったレスラーが対峙している。
「ふはははははっ、私はここだぁっ!」
 入場テーマが爆音で流れると2人は華麗に跳躍し、着地するとポーズを決める。
「我が走りは流星のごとく! 我が心は正義を誓う! タイガーG、ここに推参!」
「我が技は彗星のごとく! 我が名はタイガーJ、誰が相手だろと容赦しないよ!」
 2人はリング無きリングに登場すると、タイガーGこと鉄劉生(fa1738)はビシッ! と、胸元で指先をクロスしてポーズを決め、タイガーJことMAKOTO(fa0295)も名乗りを上げる。
「私のやったジャンプは鍛え抜いた漢だから出来る事、良い子は真似してはだめだ。私と約束だ!」
 2人は登場時に完全獣化していた。今回は通常の人間が対戦相手なので、元に戻る為にパフォーマンスで時間稼ぎをしていた。人間に戻った所で2人はリングコスチュームを脱ぎ捨てる。
 ゴングが鳴ると、予想通りの大混戦となった。試合はトルネードタッグで、4人が同時に戦うのである。両者は蹴りや突きの応酬で一歩も譲らない。倒れたら負けだ。1対2では勝ち目は無いのだから。5分経過した所でMAKOTOがフライング・ニーキックからフォールを狙う。だが、カウント1で敵の相方に蹴り倒され、即座にカットされる。腹を立てたMAKOTOは相手に掴み掛かるが、その隙を狙われバックドロップを喰らう。下はマットのみなので、投げ技はかなりのダメージがあり、MAKOTOは暫く動けなくなった。
 その間、劉生は2人の猛攻を受け続ける。だが、それをうまく切り抜け、2人をラリアットでマットに沈める。
「よし、いくぞ!」
「あぁ‥‥かなり効いたけど‥‥よし! 合体技だね!」
 劉生はMAKOTOを起こすと、フラフラの男レスラーに向かって指を突き出す。
「我らのこの手が光って唸る! 猛虎の力が轟き叫ぶ!」
「「ダブルタイガーフィンガァァァッ!」」
 2人はクロスラインの要領で張り手を相手にぶち込む。まともに喰らってダウンした所をMAKOTOが抱え上げ、タイガードライバーの体勢へ。劉生も相手の頭を抱えて合体タイガードライバーが決まり、勝負は決した。

・トルネードタッグマッチ60分1本勝負
 タイガーG、○タイガーJ(15分10秒 エビ固め)NPC♂×、NPC♀

 *

 続いての試合は、異様な雰囲気の状態で準備が進められていた。会場には無造作にパイプ椅子が並べられていく。その様子に観客は試合前から興奮気味であった。
『ストリートファイト・マッチ、時間無制限1本勝負を行います!』
 試合形式がアナウンスされると、観客は『待ってました!』と言わんばかりの歓声を上げた。激しい試合を見れば観客も目が肥えてくる。そして、さらに激しい試合を望むようになるのだ。それに答えたのがこの試合。ストリートファイト・マッチということで、パイプ椅子の使用は公認となる。この凶悪な試合に名乗りを上げたのは‥‥
「赤コーナーより、新堂選手の入場です!」
 BGMに合わせて花道を進む新堂将貴(fa0536)。
「続きまして、青コーナーより、グリード選手の入場です!」
 入場テーマに合わせて、ゆっくりと会場へ足を踏み入れるグリード(fa0757)。意外にも両者は冷静だった。静寂が漂う中、ゴングが鳴った。同時にグリードが将貴へ握手を求める。将貴はゆっくりと手を差し出すが‥‥
「かかったな! 俺様がそんな事すると思ったか!」
 グリードは将貴の腕を取ると、関節を逆に伸ばし、アームロックの体勢へ移行しようとした。
「おまえの手の内くらい、わかっているさ」
 だが、将貴も反対の手でパイプ椅子を掴むと、それでグリードの顔面を打ち付ける。
「ぐぉ!」
「どうした? ホイ、パス!」
 将貴はパイプ椅子をグリードに投げ渡す。それをグリードがキャッチすると同時に将貴はドロップキックを放つ。そのままダウンしたグリードにパイプ椅子を乗せ、将貴は助走を付けてパイプ椅子を踏み台にセントーン。だが、グリードはそれをよく見ており脱出。将貴は自爆した。
「やりやがったな‥‥」
 ゆっくりと立ち上がる将貴にグリードはパイプ椅子で殴りかかろうとしていた。だが、その時。
『誰だ! 乱入者が!』
 突然、会場に霧夜マイナ(fa0936)が乱入し、手にしていたパイプ椅子を投げ付けた。椅子は偶然にもレフェリーに命中し、そのままダウン。
「な、何だ!」
 唖然とする将貴にマイナとグリードはツープラトンのブレーンバスターを決める。突然の展開に会場はどよめいた。2人はガッチリと握手を交わすが‥‥マイナはいきなりグリードを張り倒す。
「何しやがる!」
「こうなったら敵味方関係ないですわ! こんな試合、ブッ潰してやりますわ!」
 マイナはパイプ椅子を手に取ると、それをグリードの頭へ打ち付ける。座が吹き飛ぶくらい激しく打ち付けられ、グリードはダウンした。会場は混沌とした状況になっていく。結局、マイナは取り押さえられるまで暴れ続け、試合はノーコンテストに終わった。

・ストリートファイト・マッチ時間無制限1本勝負
 グリード(4分30秒 無効試合)新堂

「私は‥‥何て事をしてしまったのでしょう‥‥」
 控え室に残っていた夏姫はマスクを脱いだ後、自分がやった行動に面映い感情を抱き、身動きが取れないでいた。