Blazin’Boutアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 えりあす
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/30〜05/04

●本文

 昨今、実に様々なスタイルの格闘技団体が生まれ、そして消えている。
 そして、今ここに、格闘新時代を切り開く為に新たな団体が誕生した。
 Blazin’Bout。
 今主流の立ち技系格闘技だけではなく、レスリング・柔道・サンボ等、あらゆる格闘技が同じ土壌で戦う総合格闘技団体である。

●記者会見
 都内某所。
 総合格闘技団体『Blazin’Bout』の団体設立記者会見が行われた。
「我々が目標としているのが『道』です。現在の格闘技を見ていると『武術あって文育無し』といった団体が多いのが現状です。ただ強くなって勝てばいいのか? 我々の答えは『NO』です。『空手道』『柔道』『武士道』と、日本の武術には昔から『道』という言葉が付きます。これは、ただ武術を身に付け、強くなることでは無く、己の精神も同時に鍛錬し、人生の戦いの中で己の道を歩み、道を踏み外した者を正しい道へと導くという、武術と精神が一体になったものを言います。『Blazin’Bout』はこの『道』の精神を忘れず、礼を重んじ、あらゆる格闘技と切磋琢磨し合い、お互いに武術と精神を鍛え、そして、試合を観戦する方々にもこの『道』というものを共感して欲しいと願います」
 代表が挨拶をすると、所属選手が立ち上がり、ファイティング・ポーズを決める。
 ここに、新たな団体が誕生した。
 旗揚げ試合は○月△日、18時15分ゴングだ。
 試合内容は当日発表との事。
 尚、試合は男子のみである。
 女子の試合は今回無い。

●Blazin’Bout・ルール
・3分3R。
・3ダウンTKO。
・ロープエスケープ2回で1ダウン。
・今回はグローブ着用無し。頭部への攻撃は掌底のみ。
・マットに手か膝を付いた状態の相手への打撃禁止。
・反則、危険な行為と見なされた場合イエローカード。明らかな故意による反則はレッドカード(失格)。イエローカード2枚でも失格。
・イエローカードでファイトマネー半分の罰金。レッドカードでファイトマネー全額の罰金。

●ゲームルール
 各選手は1R毎に『打撃(○)』『関節(△)』『投げ(□)』を組み合わせたデッキをプレイングに記入していただきます。
 各技は『打撃(○)は関節(△)に強く、投げ(□)に弱い』『関節(△)は投げ(□)に強く、打撃(○)に弱い』『投げ(□)は打撃(○)に強く、関節(△)に弱い』といった三すくみになっています。
 1Rにこの技を18個使用します。1つが10秒の扱いです。例えば『1R:○○□△○□‥‥』のように18個(技の属性:○△□)を記入して下さい。これがデッキになります。3Rありますので『このデッキを繰り返す』としてもいいですし、1〜3Rまで細かく記入しても結構です。
 各R、10秒置きに判定をします。技で勝った場合(打撃と関節だったら打撃が勝つ)に通常の戦闘判定を行います。この戦闘判定に成功して初めて技が決まります。
 各選手は一つだけ必殺技を用意できます。使用できるのは3Rの中で1回のみ。必殺技はどのタイミングで使用するか記入して下さい。そして、必殺技の名前も忘れずに。必殺技は戦闘判定を無視してダメージを与える事が出来ます。
 以下、プレイングの記入例です。

●プレイング記入例
<格闘スタイル:柔道>
1R:△△□○□□ □○△△□□ △△□□□△
・毎R繰り返し
・必殺技:裏三角絞め(属性:関節、3R1分40秒に使用)

●今回の参加者

 fa0027 せせらぎ 鉄騎(27歳・♂・竜)
 fa0536 新堂 将貴(28歳・♂・獅子)
 fa0728 SIGMA(27歳・♂・猫)
 fa1308 リュアン・ナイトエッジ(21歳・♂・竜)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa3034 牙龍(32歳・♂・竜)
 fa3080 Dr.ノグチ(35歳・♂・一角獣)
 fa3581 ブレード・ヤシャ(24歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

●第1試合:新堂 将貴(fa0536) vs ブレード・ヤシャ(fa3581)
「‥‥‥‥」
 リング・アナウンサーのコールを受け、将貴は無言でリングへ上がった。
 リング上から観客席を見渡す。
 W−1等の大きなイベントに比べれば人数は少ないが、新鋭団体による新たな格闘技を一目見ようと、それなりの人が来ていた。
 第1試合。
 他の試合ではいわゆる『前座試合』であるが、『Blazin’Bout』にそのような概念は無い。
 全ての試合は同等の価値を持ち、全ての試合がメインである。
『Blazin’Bout』初試合で自分をアピールするチャンスだと自分に言い聞かせ、気合を入れる。

『ショープロレスをやるには、まずシュートが強い事。俺はそれを証明する為にここへ来た』
 ヤシャは試合前のインタビューにこう答えた。
 シュートとは、プロレスにおける『真剣勝負』という意味もある。
 彼はプロレスラーらしく顔ペイントを施し、コール時には毒霧吹きパフォーマンスを行っているが、試合に賭ける真剣さは本物だ。

 第1ラウンド、ゴング。
 ヤシャは将貴に歩み寄り、握手を求める。
 将貴もガッチリ握手を交わし、試合開始だ。
 開始早々、ヤシャは激しいローキックで将貴を攻める。
 しかし、将貴はそれを予測したかのようにヤシャの蹴りを受け止めると、ドラゴンスクリューの体勢へ。
 だが、ヤシャはもう片足で将貴の頭部目掛けて蹴りを放ち、それを返そうとした。
 この意表を突いた攻撃は空を切り、バランスを崩したヤシャへ将貴が蹴りのラッシュを掛ける、が‥‥。
 恐るべき事に‥‥ヤシャはこのラッシュを全て防ぎきった。
 将貴の猛攻を耐えたヤシャは、ローキックから関節技で形勢逆転を狙いたい所だが、なかなかチャンスを掴めない。
 1分が経過し、序盤の激しさから一転して試合は膠着状態となる。
 2分経過、展開は一進一退の攻防が続き、このまま1Rが終わるかに見えたが‥‥。
 2分後半にヤシャが放った不用意なローキックから展開がガラリと変わる。
 将貴はそのローキックを再び受け止め、今度は大技・キャプチュードを放つ。
 抱えた足と固定した頭部の腕をロック、その体勢から見事なブリッジでキャプチュードが決まり、ヤシャはダウン。
 完璧に決まったかに思われたが、ヤシャは何とか立ち上がり、ファイティングポーズを取る。
 だが、ヤシャのダメージは大きく、試合再開後に将貴のミドルキックをまともに受け、再びダウン。
 ヤシャは10カウントまで立ち上がる事が出来ず、マットに沈んだ。

○新堂(1R2分50秒:KO)ヤシャ×

「ありがとうございました!」
 ヤシャは試合終了後、新堂へ向かって正座をし、深々と礼をする。
 礼に始まり礼に終わる‥‥『Blazin’Bout』を体現する試合であった。


●第2試合:リュアン・ナイトエッジ(fa1308) vs Dr.ノグチ(fa3080)
「相手はリュアンか‥‥出来ればSIGMAみてぇな肉野郎と戦いたかったな」
 筋肉フェチであるノグチは、公表された試合の相手に不満を漏らした。
『Blazin’Bout』における対戦相手の決定は、公正な試合が出来る様に選手の意向は反映されない。

「ちょっと、やりにくい相手っす‥‥」
 リュアンは対戦相手がノグチと聞くと、厳しい顔をした。
 相手の趣味もそうだが‥‥
 何より、ノグチは医師免許を持つ。
 怪我を治すエキスパートがもし、戦う側になったら‥‥人間を治療出来る者は、人間の弱点も知る。
 そんな人間が使う技は‥‥まさに恐怖だ。

 試合開始。
 1Rは開始早々、リュアンはピンチを迎えた。
 ノグチの掌底を受け、怯んだ所を投げられてグラウンドへ。
 早々に試合を決めたいノグチは、腕ひしぎ逆十字固めでギブアップを狙う。
 だが、リュアンは腕をロックして耐え切り、辛くもエスケープ。
 その後は掌底からのローキック等の連携でノグチからダウンを狙うが、決定打にはならず1R終了。
 2Rもリュアンはノグチの柔道技、特に投げからの関節技に苦しみ、その度にロープエスケープしてポイントをロストしていく。
 そして、最終3R。
 ここまでは、ロストポイントの差でノグチが優勢だった。
 何とか挽回したいリュアンだが‥‥1分前半、スープレックスに移行しようとした時、ノグチに逆に腕を取られてアームロックを極められてしまう。
 幸いな事に体勢が不十分だった為、リュアンは何とか逃げる事に成功した。
 残り時間1分のコールが入り、リュアンはラストスパート。
 左右の掌底からハイキックが決まり、ノグチからこの試合で初のダウンを奪う。
 だが、ノグチはゆっくりと立ち上がると、ファイティングポーズを取る。
 リュアンはチャンスとばかりにグラウンドへ持ち込み、アキレス腱固めでノグチを攻める。
 しかし‥‥ここでゴング、試合終了だ。
 結果は1・2Rで優勢だったノグチの判定勝ちとなった。

×リュアン(1−2判定)ノグチ○


●第3試合:牙龍(fa3034) vs せせらぎ 鉄騎(fa0027)
 ハードロックのテーマソングが会場に流れ、プロレスラー・牙龍が入場してくる。
「ド・ラ・ゴ〜〜〜ン!!」
 リングへ上がり勢い良くガウンを脱ぎ捨て、キメ台詞を叫ぶ。
 プロレスラーらしく派手な入場の牙龍に対し、鉄騎は地味な登場となった。
「‥‥嗚呼、どうも」
 緊張した面持ちでリングに上がる鉄騎。

 牙龍はプロレスと非常に分かりやすいスタイルだが、鉄騎は合気道をベースにした格闘術という情報しか伝わっていない。
 力で牙龍が捻じ伏せるのか‥‥それとも、鉄騎がその力を逆に返して倒してしまうのか‥‥。
 試合前の評価は真っ二つに分かれていたが‥‥結果は最後まで立っていた人間が証明する。
 異種の格闘技を同じ天秤で量るのが、この『Blazin’Bout』だ。

 1R、試合開始を告げるゴングが鳴る。
 牙龍はフェイントから鉄騎へ組み付き、テイクダウン。
 そして、膝十字固めを極める。
 しかし、極まり具合は弱く、鉄騎はエスケープに成功。
 その後はお互いに打撃技で相手を牽制。

 ――バシーン!

 牙龍のローキックが鉄騎へ命中すると、会場に激しい音が響く。
 鉄騎は平然とした表情だが、ダメージはかなり大きい筈だ。
「まだまだだな‥‥」
 だが、鉄騎は全然効いていないといった顔で牙龍を挑発する。
「これでどうだ!」
 牙龍は掌底からのコンビネーションで左ミドルキックを放つ。
 しかし‥‥鉄騎は体を反転させて攻撃を捌き、相手の死角となる側面に入り‥‥入り身投げで牙龍をマットに叩き付ける。
 合気の技は相手の攻撃を制し、その攻撃を空転させ相手の力を利用して技を施す。
 敵の力が大きければ大きいほど、技は楽に極める事が出来るのだ。

 インターバルを挟んで2R。
 前半、牙龍はどんな攻撃も捌いて返す鉄騎の技に苦戦した。
 しかし、鉄騎の技も基本的に『待ち』であり、相手の攻撃に合わせて極める為、決定打に欠ける。
 それでも、展開は鉄騎が有利に進んでいた。
 2分が経過したところから鉄騎はここがチャンスと判断し、積極的打撃技中心へシフトした。
 だが‥‥自身のスタイルを崩した事がピンチを招く事になる。
 相手からの行動‥‥牙龍はそこを狙い続けていた。
 体力を奪おうとボディーを狙った鉄騎の攻撃を受け止め、そのままバックドロップを放つ。
 肩と頭部を強打した鉄騎は立ち上がれず、カウントがコールされる。
 何とか9カウントで立ち上がったものの、フラフラになっている所を今度はジャーマン・スープレックス。
 強い衝撃と共に鉄騎は意識を失っていく。
『俺に勝とうなんて100年早いぜ』
 薄れていく意識の中、牙龍の叫び声を聴き、自分が負けたんだと鉄騎は悟った。

○牙龍(2R2分40秒:KO)鉄騎×


●第4試合:マリアーノ・ファリアス(fa2539) vs SIGMA(fa0728)
 選手コールを受けてSIGMAが花道からゆっくりと登場した。
 リングに上がるとロープを軽々と飛び越え、コーナーポストに駆け上がる。
 そして、両手を挙げて観客にアピールすると、トップからバク転で飛び降り観客たちを驚かせた。

「相手はSIGMAさんか‥‥」
 マリアーノは入り口で準備を整えていた。
 相手はレスラーとしては比較的小柄であるが、それでも身長差は約20cmもある。
 しかも、それなりにスピードのある技を有してしるので、マリアーノにとってかなりの強敵だ。
「それでも、勝つ方法は必ずあるさ」
 自分の名前がコールされると、マリアーノは元気に飛び出した。

 第1R。
 序盤から積極的に攻めていったのはSIGMAだった。
 フロント・スープレックスからテイクダウンを奪い、グラウンドへ持ち込む。
 そして、膝を取るとそのまま膝十字固めへ移行。
 空手をベースにしているマリアーノは関節はあまり得意では無い。
 体が小さい事を活かしてマットを横に転がり、ロープエスケープ。
 窮地を脱した。
 その後は膠着した状況が続く。
 SIGMAはスピードのある打撃が得意だが、マリアーノはそれ以上の動きを見せた。
 空手をベースにしているだけあって、受け・捌きがしっかりしており、SIGMAのミドルキックを捌き、反転して側面へ回り脚払いして、倒れた所に三角締めを狙うといったスピード感のある技で相手を翻弄する。
 しかし、両者共に決定打に欠け、1Rは終了。
 2Rも一歩も譲らない展開のまま、勝負は第3Rに持ち越されることになった。

 最終ラウンド。
 マリアーノはかなり体力を消耗していた。
 軽量級の空手選手は動きを止めてはならない。
 自分より大きな相手に対しては常に動き続け、相手の攻撃を捌き、隙を見つけて攻撃を決めなければ‥‥まともにぶつかって勝てる筈が無いのだから、疲れていても動きを止める訳にはいかない。
 SIGMAもマリアーノの動きに困惑していた‥‥そして、一気に勝負を決めるべく、開始早々に関節技を狙いにいく。
 しかし、テイクダウンを取りに来たSIGMAにマリアーノのカウンター気味のハイキックが炸裂し、ダウンを奪う。
 小さくガッツポーズをするマリアーノだが、SIGMAはすぐに立ち上がる。
 試合は続行。
 ここで、マリアーノの動きが止まった。
 流石にスタミナが切れたのであろう。
 この後、展開はSIGMAに傾いた。
 動きの止まったマリアーノを捉えると、自身の必殺技・ライトニングドライバーで勝負を決めた。

×マリアーノ(3R1分10秒:KO)SIGMA○

「大丈夫か? よくやった、いい試合だった」
 ゴングが鳴り、まだうつ伏せ状態のマリアーノをSIGMAが抱き起こす。
 そして、ガッチリと握手を交わすと、会場から盛大な拍手が沸き起こる。
 誰が見てもハンディのある試合だったが、マリアーノは臆することなく全力でぶつかっていった。
 その姿に観客も選手も『Blazin’Bout』の『道』の精神を見たに違いない。
 これぞ、『Blazin’Bout』を代表するベスト・バウトであろう。