ラプティス戦役:戦雲南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
えりあす
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/13〜01/17
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●本文
以前、新米監督のミスジャー・L(エル)が撮影したSFドラマ『Battle for Laptess(ラプティス戦役)』はそこそこ悪くない視聴率で、人気も上々だったという。そこで、TV局は再度違うストーリーでラプティス戦役の制作を監督に依頼してきた。
「ラプティスはもう一度やりたかったんだよね」
ミスジャー監督は早速制作の準備に取り掛かる。
「今回は‥‥ロボット同士の戦いをメインにしろっていう事か」
TV局からの指示はロボット同士が激突するシーンを多くしろというものだった。
「ま、その方が作り易いけどね‥‥CGは。脚本は相変わらずだよ」
ブツブツと呟きながらミスジャー監督はCG、脚本等の準備を進めた。
●『ラプティス戦役:戦雲』出演者募集
1)配役(名前は変更可、性別不問、括弧内は搭乗機体)
・指揮小隊隊長:エルリック大尉(重量級機動歩兵『グラジエーター』)
・部下1:ジョン軍曹(中量級機動歩兵『シューティング・スター』)
・部下2:バリー上等兵(軽量級機動歩兵『サンダーストーム』)
・部下3:キース上等兵(ホバー型戦闘車両『サウス・ガンナー』)
・突撃火力小隊隊長:ノボル中尉(中量級機動歩兵『アーバレスト』)
・部下4:アニー軍曹(中量級機動歩兵『アーバレスト』)
・部下5:チャック上等兵(軽量級機動歩兵『サンダーストーム』)
・部下6:クルセイド上等兵(超弩級戦車『スチーム・エレファント』)
2)脚本
西暦2107年。
高度な技術により栄華を誇った人類であったが、地球の天然資源を全て使い尽した事により窮地に立たされていた。地球上のエネルギー貯蓄量は、持ってあと数年。このままエネルギーが無くなってしまえば、人類の存亡に関わる。
そこで、地球連盟は宇宙に資源を求めた。
探索の結果、地球とほぼ同じ環境の惑星が見つかった。この惑星は『ラプティス』と名付けられた。
地球連盟はすぐに調査団を派遣した。しかし、調査団は謎の失踪を遂げる。
失踪した調査団だが、すぐに派遣された『紅い瞳の鷹』隊によって救助された。
その後、戦闘データを元に地球連盟は謎の二足歩行ロボット『バトルサーバント』に対抗するべく、幾つかの機動歩兵を作り上げた。
こうして、ラプティスの資源を求め地球連盟と謎の無人戦闘部隊の戦いが始まる。
ラプティスの地は戦雲に覆われていく‥‥
3)撮影箇所
・キャンプに部隊が集合。昨夜の襲撃で大きな打撃を受けた中隊は部隊を再編し、2つの小隊からなる臨時中隊『エルリック独立中隊』を組織(A)
・作戦本部から通信。『近くに敵のバトルサーバント部隊が集合中。完全に部隊が形成される前にこれを各個撃破せよ』(B)
・総攻撃を行うエルリック中隊。しかし、指定ポイントにいたのは囮部隊で、エルリック中隊は敵部隊に包囲される(C)
・数名が撃破される(D)
・なんとか脱出に成功し、キャンプへ戻る(E)
4)資料
・重量級機動歩兵『グラジエーター』
格闘に特化した機動歩兵
・中量級機動歩兵『シューティング・スター』
連装キャノン砲を装備した支援機
・中量級機動歩兵『アーバレスト』
中口径レーザー砲を装備した火力攻撃機
・軽量級機動歩兵『サンダーストーム』
機動力に重点を置いた機動歩兵
・超弩級戦車『スチーム・エレファント』
巨大折り畳み式キャノン砲を装備した超弩級戦車
・ホバー型戦闘車両『サウス・ガンナー』
ホバーを用いている為、機動力に優れる支援戦闘車両
・巨大二足歩行ロボット『バトルサーバント』
全長約18mの大型ロボット。基本的に殴る、蹴る
・部隊について
地球連盟における小隊は基本的に3機の機動歩兵と1機の戦闘車両から構成され、中尉が指揮を執る。中隊は小隊3部隊で構成、大尉が指揮を執る。今回は人員不足の為、2部隊で中隊が構成されている。
5):その他
・極端に内容が変わらなければ脚本を修正可
●リプレイ本文
●キャスト
<指揮小隊>
・エルリック大尉:彩都(fa1312)
・ジョン・ドゥ軍曹:Key(fa0426)
・バリー・ガープ上等兵:青空 有衣(fa1181)
・ジェーン上等兵:アイリーン(fa1814)
<突撃火力小隊>
・ノボル・イチジョウ中尉:小比類巻レイジ(fa1107)
・アニー・クレイトン軍曹:ベリル・ライアン(fa2585)
・クリス上等兵:アレクサンドラ・ノーツ(fa2553)
・クルセイド・リィン上等兵:相馬啓史(fa1101)
●ラプティス戦役:戦雲
「突撃火力小隊、全員召集完了致しました」
部下を引き連れたノボルがブリーフィングルームに入室した。
「アニー軍曹であります!」
「クリス上等兵です。宜しくお願いします!」
「クルセイドだ。そんな小難しい顔すんなって。気楽に行こうぜ」
「皆集まったか。この度、中隊を指揮する事になったエルリックだ」
集まった突撃火力小隊のメンバーを確認するエルリック。
「ヤバい! 遅刻っ! っと、指揮小隊に編入したジェーン上等兵ですっ!」
一人、遅れて部屋へ飛び込んで来る。ジェーンだった。
「‥‥君は現在の戦況を把握しているのかね?」
顎髭を触りながら、エルリックがジェーンを厳しく注意する。
昨晩、キャンプへ集合した大隊に対し、敵航空部隊が大規模な戦略爆撃を行った。その為、機動歩兵の約半数が全損、もしくは修理が必要で、戦力は激減している。機動歩兵中隊は通常3小隊で構成されるが、エルリック中隊は機動歩兵・人員共に不足している為、2部隊で組織されている。そのような厳しい状況下で作戦を遂行しなければならないのだ。
「戦力、人員共に厳しい状況だ。現状の戦力でこのポイントを防衛せねばならぬ。皆、心せよ」
「それが上の命令ならば問題ありません‥‥従うのみです」
ジョンが凛々しげに答える。
*
「どうしたんだよ? そんな難しい顔しちゃって」
クルセイドが愛機・サンダーストームのメンテナンスをしているバリーに声を掛ける。またお前か‥‥とでも言いたそうな表情でクルセイドを横目で見ると、バリーは再び作業に取り掛かった。彼が自分をどう想っているか、その態度と言動から気付いてはいるが‥‥
「ったく、可愛くねぇな。ちょっとは笑おうぜ?」
クルセイドが彼女の顔を引き寄せ、じっと見つめると‥‥
――スパァーン!
「男嫌いという訳じゃない。階級や性別など意味の無いものに縋る人間が嫌いなんだ!」
バリーの怒声と平手打ちの音が格納庫に響く。
●出撃
「‥‥はい、ここから北西の位置に。確かにバトルサーバントの部隊です」
普段は明るくノリの良い性格だが、真剣な表情で作戦本部からの指令を受信するジェーン。
「‥‥来たか。出撃するぞ」
「了解しました、隊長」
エルリックの指示をジョン軍曹が部隊に伝達する。中隊は出撃の準備を整えた。
作戦本部からの指令は『近くに敵のバトルサーバント部隊が集合中。完全に部隊が形成される前にこれを各個撃破せよ』というものだった。戦略爆撃で防衛力が低下している所を襲撃するつもりなのだろう。
「近くに敵機が‥‥」
嫌な予感がするけど、上層部からの命令だからと割り切るノボル。
「先行を任せる‥‥だが、未確認なことが多い。油断はするな‥‥」
「了解しました」
準備が整い、指定されたポイントへ向けて突撃火力小隊は出撃した。
*
ポイントには5機のバトルサーバントが確認されていた。フォーメーションは組まれておらず、これを各個撃破していくのが今回の作戦だ。突撃火力小隊はターゲットを絞り、攻撃に移る。
「ターゲット捕捉‥‥」
サンダーストーム搭乗のクリスが1機のバトルサーバントを捉えた。
「‥‥よし、攻撃開始だ」
「喧嘩上等!!」
ノボルの号令でアーバレストの中口径レーザー砲が、サンダーストームのカービン銃が、スチーム・エレファントの巨大キャノン砲が一斉に火を噴く。直撃を受けたバトルサーバントは大破。
「やったぜ!」
クルセイドが歓呼を上げる。
「‥‥敵の部隊、全く動きが無い‥‥向こうも察知してる筈なのに」
しかし、突撃火力小隊の後方で戦闘オペレーターを務めるジェーンは苦い表情だった。明らかに敵の行動がおかしいのだ。疑問に思い、レーダーの索敵距離を拡大すると‥‥
「し、しまった!」
周囲に無数のバトルサーバントが中隊を取り囲むように出現した。
「くっ‥‥やはり罠だったか!」
ノボルは判断ミスを犯した悔しさから唇を噛締める。常に冷静な彼の表情に、珍しく焦りの色が見えた。
「罠!? 戦っていたバトルサーバント部隊は囮だったのですか!? 奴らにそんな知能が!?」
アニーが叫ぶ。
「無人兵器と思って甘く見ていました‥‥物陰に隠れて体勢を整えるしか‥‥」
迫り来るバトルサーバント部隊を確認し、脱出口を探すジョン。
「エルリックより各機へ! 撤退する! ノボル中尉、アニー軍曹の2機でサンダーストームを援護しつつ突破口を開けっ!」
「‥‥了解。アニーとクルセイドはクリスの援護! 分散せずに一点に集中するんだ!」
エルリックの指示でノボルが部下へ指示を送る。
こうして、派手な砲撃戦が始まった。
バトルサーバントは格闘、及びマシンガン中心の実弾兵器のみで、武器の威力と命中精度は中隊の方が勝るが、数は敵部隊の方が圧倒的だ。
「このっ! このっ! この〜っ!」
「無茶しないで! オーバーヒートするよ!」
敵を引きつけるクリスが、死に物狂いでトリガーを引くアニーへ通信を入れる。既にアニーのアーバレストの排熱機構は限界に達し、これ以上の兵器使用は危険だった。その刹那‥‥
「後ろを取られた!? ‥‥っ、被弾した!」
一瞬の隙を突かれ、クリスのサンダーストームが敵のマシンガンが左胴背面を直撃。
しかし、危ない所でジョンのシューティング・スターが援護に入り、連装キャノン砲で周囲の敵を一掃する。
「ここで砲台になります。威嚇している間に撤収してください‥‥いよいよ、死場が回ってきたようですね」
ジョンはかつて戦友だった仲間達のドッグタグを握り締めた。
――結局、助けられて生きている自分が嫌いだったけど、今度は‥‥自分が皆を助ける番です‥‥今からそちらにいきます‥‥早過ぎるなんて言わないで下さいよ‥‥
連装キャノン砲とサブウェポンのショットガンを撃ちまくるジョン。周囲は砂煙に覆われ‥‥それが消えた頃には無数の敵機と‥‥ジョンの愛機がスクラップとなっていた。
「ジョン!」
「‥‥今だ! ジョンが切り開いたルートから脱出しろ!」
しかし、敵部隊も中隊を逃すまいとルートを固める。
「サウス・ガンナー‥‥力を貸してね‥‥」
機動力を生かして一撃離脱戦法でバトルサーバントを駆逐するジェーン。
「少数には少数なりの、利点と言う物がある‥‥」
正確に敵を捉え、確実に1機づつ撃破していくノボル。
だが、敵はまだ中隊の倍近い数が存在した。なかなか突破口を開けない中隊だったが‥‥
「これ以上先へは行かせん!」
エルリックのグラジエーターが敵の前に立った。彼の愛機は黒のパーソナルカラーに染められている。パーソナルカラーは味方に士気を、敵に畏怖を与えるエースの証。
「ここは俺が食い止める。総員、脱出せよ。これは、命令だ」
「隊長サンが無茶したら、下の連中は困るっての」
しかし、クルセイドは引き下がらなかった。迫り来る敵部隊を巨大キャノン砲で吹き飛ばしながら前進する。
「クルセイド! 命令無視は軍法会議ものだぞ!」
「生きていれば‥‥ね。まぁ、あいつは無事みてぇだし‥‥」
全力で敵部隊に立ち向かうクルセイド。
「俺イイトコ無しじゃんかなぁ。さーってと、行きますか!」
想い人の無事を確認し、安堵したクルセイドはそのまま敵機に突撃。既に砲弾は尽き、体当たりだけで敵と戦う。
「こ、これだから男というイキモノはっ!」
バリーはスチーム・エレファントが鉄屑に変わっていく様子を見て絶叫した。
「キ、キサマらっ!」
エルリックはレーザー・ブレードで敵を切り捨てていく‥‥まさに、鬼神の如く‥‥
「‥‥中隊長命令だ‥‥撤退する」
ノボルは生き残った仲間に撤退を命じた。
●落日
生き残った隊員達はキャンプに戻った。
「人工知能なんかにしてやられるなんて‥‥」
左胴が吹き飛び、ガラクタ同然の愛機を眺めて呆然とするクリス。
「私は‥‥私は、力不足だった‥‥」
バリーは失って初めて自分の無力さ‥‥そして、素直じゃなかった事を後悔する。
「こ、これが‥‥戦争‥‥」
キャンプの隅で膝を抱え、声を押し殺して震えて泣くアニー。士官学校では、バトル・シミュレーターの成績はダントツだった。しかし、それは実戦では全く通用しなかった。仲間の死と引き換えに得た経験‥‥これからも、こうして自分が成長していくのかと思うと‥‥悲しみと恐怖が湧き上がってくる。
そんな、アニーをそっと抱き寄せるノボル。そして、戦場へ向かい敬礼し、散っていった仲間達へ黙祷を捧げた。
ノボルが向いた方向から人影が近づいてくる‥‥
「また‥‥生き残ってしまったか‥‥」
「中隊長!」
「エルリック大尉! 無事だったのね!」
ジェーンは泣きながら帰還したエルリックの胸へ飛び込んでいった‥‥
ラプティス戦役は始まったばかり‥‥
本当の戦いはこれからだ‥‥
――END