ご当地★HERO新潟編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 3Lv以上
獣人 フリー
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/17〜04/19

●本文

 今週もやってきました、毎度お馴染みご当地HERO。八回目は東北地方を抜け新潟県。
 東北を抜けたといえど、日本海側であるせいか寒さはまったく変わらない。
 番組制作に携わる若手ディレクターとその一行は新潟の道の駅『胎内』の大浴場を一時間ばかり貸し切りにして、仕事の取材という名目で温泉に浸かり、体を温め日頃の疲れを癒していた。
「良い温泉だったねー。楽しかった」
 ホワホワと湯気の立ち上る頭をタオルで拭きながら、ディレクターは珈琲牛乳を飲むスタッフに声を掛ける。ん? 楽しかった?? お風呂に入ったら気持ちよかった。というのが割りに普通。だがディレクターはしっかりと楽しいと断言している。言っていることに些か変と感じる方もいるであろう。だがそれは後に続くスタッフの言葉で判明した。
「それは何よりで。子供用のスライダーであれだけ滑りまくってはしゃいでたんだから、楽しくないワケないですよね」
「あぁ、なんせ60回も滑っちゃったからサ、お尻がヒリヒリだよ」
 どうやら羽目を外して遊びまくってたようだ。いい年して何やってるんだかと呆れているスタッフが手にする飲み物の瓶を傾けつつ、小さく突っ込み。
「ホント、いい年して未だやんちゃが抜けませんね‥‥。奥さんに何か言われません? そんなんじゃ愛想尽かされませんか」
「ふん、甘い甘い。男は時に少年に返ることが大切! そうじゃなかったら面白い番組なんて作れないじゃん。ついでに俺んちは亭主関白じゃなく亭主腕白! それが年上女房と仲良くやる秘訣さv いつまでたっても可愛いって言ってくれるぜ」
 サラッとお惚気まで聞かされ、スタッフ達は長風呂の湯当たりもあってか、ものすごくげんなり顔。全員、イソイソと服を着始め、
「さ、お風呂も入って温まったし休憩も十分にとれたし、そろそろ仕事開始しましょうか? ディレクター」
「まだいいじゃない? もう一回、スライダーしたいよ」
「んな、我が侭は聞きません。ここでの奥さん代わりは私です! ホラ、ささっと上がって仕事仕事!!」
 中堅スタッフがディレクターを仕事へ促す。が、当の人は頬を膨らまし不平口。そんな彼を笑い飛ばし尻っぺたを叩いて促した。
「こんな強面の奥さん嫌‥‥」
 ブツブツ文句を言うディレクター。だがジロリと一睨みされ慌てて、
「解りましたー。んじゃ募集して撮影に入らりますよ。ではお仕事開始ぃ。えいえいおー」
 腕を高々と振るい上げた。とたんにハラリ。
「でぃ、ディクター、腕を振り上げて気合いを入れてくれるのは良いですけど、服を着てからにしてくれません?」
 目を背けたスタッフの一人がポツリと言った。

■出演者を募集いたします。
 若手ディレクター企画『ご当地HERO★新潟編』に出演して下さる方を募集致します。
 この番組は『地域密着エンター風旅番組』で、挙げられた土地に因んだヒーローや悪役を募集しております。
 面白そう、この土地は任せろ! っと思った方、またディレクターのクルーとして参加して下さるカメラマンや裏方さんも同時に募集しております。
 皆様の手で楽しく地域を紹介し、視聴者してくれる方が行きたくなるような旅番組に仕上げて下さい。
 では若手ディレクターと共にご参加をお待ち申し上げます。

■注意点と決めて頂きたいこと
・『ご当地HERO』とは地域密着型英雄で、主な仕事は地域の観光地アピールや特産物の紹介など、そしてたまに悪者を戦う事と、様々な仕事を請け負っています。
 彼らの名前や容姿、着ているもの、その他に方言や設定、人数など細かな点を皆様でお考えください。
 また同じように悪役もご一緒に宜しくお願いします。
 その場合は、必ずその地方の特産物や地域名をもじったものでお願いします。【例:埼玉HERO★ カスカビーレッド、イワッキグリーン。悪役 ソウカ堅ヤッキー等】
 なお、皆様の考えられた面白キャラクターを生かしたいとので、実在するものの使用は禁止いたします。
・この番組は特撮ではなく、彼らが戦うばかりを要求していません。仲良く名産品や名所を案内して頂いてもけっこうです。
 その場合、近場でしたら行けますが、遠距離はVTR編集となります。
・できれば最初は『道の駅』からの登場。ここは電車の止まる駅ではありません。
 そこから担当する地域をご紹介ください。また必ず指定した県のアピールをお願いします。他県を紹介されても反映することが出来ません。ご了承ください。
・喧嘩の無いよう楽しんでお決めください。(これが一番大事)

■ディレクターが調べた簡易な新潟情報
・笹団子&三角ちまき 笹の良い香りが移った草団子。お茶のお供にうってつけ。
・へぎそば 特徴はつなぎに『布海苔』を使った腰の良い、歯切れのあるお蕎麦。
・朱鷺 特別天然記念物、及び国際保護鳥である朱鷺がいる保護公園がある。

 ディレクターが独自に調べたモノです。内容をもっと深く掘り下げて使うもおっけー、また使わず新たな名物HEROになって下さってもおっけー。
 皆様のお好きなHEROになってくださいね。

●今回の参加者

 fa0182 青田ぱとす(32歳・♀・豚)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa0791 美角やよい(20歳・♀・牛)
 fa2544 ダミアン・カルマ(25歳・♂・トカゲ)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3635 甲斐・大地(19歳・♀・一角獣)
 fa4300 因幡 眠兎(18歳・♀・兎)
 fa5602 樋口 愛(26歳・♂・竜)

●リプレイ本文


 今日も賑やかにエンターな旅番組『ご当地☆HERO』が始った。映し出された画面には因幡 眠兎(fa4300)が朱鷺の着ぐるみ姿で道の駅『笹流れ 夕日会館』の前に立っている。
 彼女はキューを合図に朱鷺の胸元から出す頭を下げた。合わせてぼよよんっと揺れる首が笑いを誘う。が、不用意に笑えない。
 何故なら羽根部分に通した手に貸し出されたハリセンを装備しているのだ。いつでもボケカモォ〜ンな状態なのである。そんな恐い彼女が司会進行を開始する。事なきを得る為、誰もが笑いを抑え静かに進む番組。
「良い子の皆にパパにママ。お爺ちゃんにお祖母ちゃん、さぁさお立ち会い! 日本全国津々浦々、色々な県で活躍するご当地限定のHERO達に美味しい物や観光地を案内して貰おう! まずはビューリホ☆サンセット笹川さんから!」
 因幡が呼びかけると、はーいってな具合でビューリホ☆サンセット笹川に扮する白いガーゼ地の海女衣装を着た青田ぱとす(fa0182)が、でっかい盥を抱えのしのしとやってきた。
「海の眺めと海産物、ふと足を止めたくなる道の駅『笹川流れ 夕日会館』を早速ご案内いたします。他の地でも様々な海の幸を味うことが出来るけれど、黄昏れと潮風を一緒に堪能できるのはここだけ! ということでそこ行くお兄さん、あたしがとっておきのデートコースを紹介いたしましょう。サンセットブリッジ・ふれあいの渚へ続く道をゆったりと夕日を眺めながら散策した後、浜から夕日会館へ上がり駄目押しにサンセット展望台で粟島の島影が霞む日本海のパノラマと抜群の夕景でロマンチックな気持ちに浸る。そして夕日レストランで一押しの夕日定食に夕日丼、夕日タンタン麺の美味しい食事。追加料理は海女が採ってきた新鮮な岩牡蠣や鮑を出せば、彼女もイチコロですよ!」
 青田のデートスポット解説に合わせVTRが流れだす。映し出された青い海の風景がやや早送りにされ赤い夕日へ移りゆく。確かに彼女の言う通りこれは絶景だ。
 美しい夕日に言葉を失うのもさることながら、カメラにむんっと迫る青田にビビるカメラマン。どうやら彼女は自分が好む明朗快活で押しの強いおばちゃん役になりきりっているよう。
 突っ込み所と判断した因幡がハリセンを振り青田の腰に軽くヒットさせた。
「カメラさんがトラウマになる前にお終いにしましょう、ビューリホ☆サンセット笹川さん」
 なかなか手厳しい一言。だが言われた青田は豪快に笑い飛ばし、尤もだっと気っ風良く頷くと、
「実に若い子をからかうのは楽しいね。あぁそうだ、知っているかい? ここから海岸線にある道の駅を六つ越えると『新潟ふるさと村』っていう道の駅にHEROがいるよ。海から行くなら盥をかしてあげますよ」
「県内の味覚や観光地をワイドに紹介してくれるという所ですね。では行ってみましょう! ですが、た‥‥盥で行くのは丁重にお断りいたしまーす」
 手にした盥を因幡に差しだすが、当の彼女は手を振り断る。勿論、カメラマンも抱えていたカメラを左右に揺らしたのは言うまでもない。
「‥‥ということで次へ移動☆ えぇいっ」
 因幡はその場ジャンプ。青田も倣って地面を鳴らした。それを合図に画が替わる。
 しゅたたっと再度彼女達が現れたのは道の駅『新潟ふるさと村』に設備される6万本のチューリップが咲き誇るグリーンハウスの前。
 春風に揺れる花達にジョウロで水をやりながら登場した鬼王丸・征國(fa0750)。
 因みに今回の彼は悪HEROではなく、影ながら町とHEROを支えるグラン・新潟。(最後の『。』は某アイドルグループ同様に必要不可欠)なのだ。
 昔の暮らしを体感する事が出来る施設からまんまでちゃったような和装の彼は、さながら日本の頑固オヤジとでも言うべき姿で、
「うぉほんっ。ようこそ新潟ふるさと村へ。わしがここの主‥‥ではなくHEROじゃ。ここは県の特産物や観光案内を広く広める施設として作られたのじゃよ。立ち話も何じゃから、茶を飲みながら紹介しようか」
 因幡と青田、カメラマンを連れだって、鬼王丸は近未来的な施設内の情報コーナーへ入る。そこには誰もが驚く200インチの大型スクリーンが設置され、美しい四季の風景写真や海で遊ぶ子供達や体験施設の一つ降雪体験コーナーの画。はたまた物産展としても使われているバザー館でお客さんと楽しげに遣り取りをする職員の様子が観光案内や名品の映像と共に流れていく。
「この通りスポットが多い新潟。ここの道の駅でも地酒を楽しめる新潟の酒試飲コーナーや昔の暮らしを体験できる明治・大正・昭和コーナー。そしていつでも雪国を体験できる降雪コーナーが用意されている。その他にも色々と楽しめるぞ。そして道に迷った時や行きたい場所を探すのなら、ここを訊ねてネットやファックスで検索すると良いぞ。諸君の旅をしっかりサポートしてしんぜよう」
 普段の凄みも消す、和みな微笑みで締めくくる鬼王丸。
 無料で用意されたお茶と試供品の土産菓子を摘みながら話を聞いていた、因幡と青田そしてディレクターが盛大に拍手を送った所で一旦CMへ入った。


 CM明け。新潟港から海を渡った一行は両津港へ降り佐渡島へ到着していた。彼らを迎えるのは瑠璃・ザ・サード。黒子衣装を着用した美角やよい(fa0791)だ。しかしディレクターは気付いていない。
「えっと‥‥き、君は? ‥‥あぁ瑠璃・ザ・サード君か‥‥」
 カメラ向こうから訊ねる彼。それもそのハズ、まっ黒コスチュームの所為で悪HEROにも見える事もさることながら、性別や年齢が解らないのだ。
 しかしオシャレワンポイントに朱鷺の刺繍が施された胸元の膨らみを見いだすことが出来、それが性別の判断材料となっていたよう。ディレクターの無礼な態度に当然、ふくれる美角。
「乙女HEROに向かって失礼な視線、許すまじき。いけぇ国姓爺! そして千本桜ぁアタック! トドメは出世景清&曽我ブレイドォ」
 背後からタイミング良く文弥節の三味線が流れる。その音に合わせ浄瑠璃人形を操る美角。
 先制攻撃は国姓爺合戦の和藤内人形にパンチを繰り出させると、人形を替え、義経千本桜に登場する知盛人形で肉弾攻撃。ディレクターが吃驚して怯んだ隙に出世景清の景清人形と曽我会稽山に出る十郎人形の刀を使い、斬り付ける。
 素早い入れ替え。しかしこれは別撮りしていた映像と上手い具合にすり替えたものだ。だが緻密な動きで、それは人形に命があるかのよう。やられるディレクターも迫真? の演技でスローでのたうつ。それでもなかなか倒れこまない彼に見かねた他のHERO。
「この新潟の美しい特産物と婦女子への侮辱は許さん。受けてみよ朱鷺の嘴攻撃!」
「そーよ。ホント乙女の敵! セクハラだよー」
 スタッフが合わせて用意した朱鷺の映像をバックに右手を肘から折り左手をそこに添え、嘴に見立てた鬼王丸が突っつく素振りをすると因幡が嬉々としてハリセンを振う。
 倒れなかった所為で、こてんぱんにやられたディレクター。最後の締めと大きい盥に力持ちの黒子さんと海女さんHEROの青田が担ぎ、海へ送り出す。
「このたらい舟は今でも小木地方で、磯漁に使用しているもの。小木港には観光用たらい舟があって観光客でも漕ぐ練習もさせてくれるんだよ。ではディレクター、上手く操って帰ってきてね。その間に佐渡島に伝わる伝統芸能の人形浄瑠璃を紹介しよう。江戸時代、金山で賑わった佐渡に多くの芸能も集まり今に伝えられたものなんだ。古浄瑠璃系人形芝居の文弥人形もその一つ。他にもさっき出てきたこの人形達が居て、どれも首も胴も手も1人で遣う人形が演じる芝居なんだ。演目は説教人形、さびのある説教節で進めていく芝居やのろま人形。これは説教人形の幕間に演じられるコメディ要素の強い芝居などが中心。道の駅『芸能とトキの里』では芸能館と資料館があり歴史やルーツを見ることが出来ます。また近くにある伝統芸能伝承館では、文弥人形の講演観覧や体験が出来るんだよ」
 手に嵌めた人形を器用に動かし説明する美角。近くでは地元の有志による寸劇が上演され、見入るHERO達。だがディレクターが本気で助けを呼ぶ声が聞こえ慌てて走り出したところでCM。


 さてディレクターを引き上げ本土に戻ってきた一行。ここで先程のHERO達と別れ、今度は少し離れた内陸部へ向かう。
「湯と山菜の村、いりひろせへようこそ♪ ここは元々いりひろせ村だったんですが、今は彼のブランド米で名高い魚沼市になっているんですよ。勿論特産品! もっちりして美味しいですよ」
 さっきの騒動はどこかへ吹き飛ばす程の癒し系な笑みを童顔に乗せ、大きなバストを名産品の山菜に温泉マークが入った浴衣に包んだ甲斐・大地(fa3635)が扮する湯道楽・いりひろせの登場だ。
「その他にいりひろせ周辺は、滋味豊かな野山の幸・山菜が豊富なんです♪ 駅の側には村ならではの野山の幸資料館があり、ここで沢山の山菜について学ぶことが出来ます。出る時にはあなたも山菜博士になっているかもです♪」
 彼女の解説に合わせここでもVTR。山菜の展示品を映したり、分厚い資料が映し出される。
「いや、それもいいんだけどさ、俺さっき海に浸かっちゃったから体が冷えているんだ。何か良いモノないかな?」
 ここでまたもディレクターの声。海に流されたのが懲りたのか先程と打って変わり低姿勢なご様子。
「そうですね、でしたら寿和温泉にどうぞ♪ ここは日本でも屈指の湯量を誇ってますよ。そしてリフレッシュに最適の露天風呂。緑豊かな自然を満喫し身も心もチェンジ♪ 山菜を観て食べ、温泉に浸かって楽しめます」
 画面が変わり、大きな露天風呂が映し出された。そこには前撮りでこっそり入浴していた甲斐の姿。勿論、男性諸君は画面に釘付け。だがいかんせん彼女はグルリと巻いたバスタオルの下に水着を着用し防御。肝心な場所が見えない。(当然だ)
 ふぅっと息を吐きほんわかな笑みを画面に向ける甲斐から最後の一言、
「いりひろせの道の駅は金曜が定休日です。お休みの予定は計画的にですよ♪」
 うふふっと笑い手を振った。


 今回のご当地HEROも最後を飾るのは新潟のほぼ中央辺りに位置する道の駅『あらい』。
 そこにいたのはクビキリーマンを名乗るお百姓さん姿にボロの鎧を付けた樋口 愛(fa5602)。実は彼地元らしいが、イマイチ乗り気でない様子。溜め息を吐きつつ、
「ここ、あらいは国道18号と上信越自動車道の双方から利用が可能な新しいタイプの道の駅なんだよ」
 続いてなんだかマイナスチックな事を話し出す樋口。この手の番組の常として何はともあれヨイショしなければ地元の取材協力が得られないため当然のごとくディレクターからカットが入る。
「妙高パインバレーは後に紹介する高田陸軍十三師団時代、レルヒ少佐がスキー行軍訓練のため招聘された。雪質などもとりあえず軍事訓練には問題ないらしい。過去に積雪4mの大雪を誇ったこともあるが、最近では地球温暖化や異常気象の所為か、雪害と雪不足を繰返しでスキー場側も厳しいようだ。
 そしてここを下ると『この下に高田あり』と称された城下町高田。
 娘婿の松平忠輝のため伊達氏が築いた城は現在堀しか残っておらず、跡地は高田駐屯地として地元民に寄与している。そう言えば丁度『三大夜桜』という観桜会が開催中なので、ぜひ夜間に訪れてくれ‥‥。まぁ理由は聞くな」
 些か投げやりのような樋口。ま、これも彼の持ち味だ。だが少々不味い発言部分は後に編集され、放送に至るであろう。
 ここで彼のご当地紹介が終わり、画面はゆっくりと切り替わる。映し出されたのは、先程のHERO達+3の6名が、道の駅『豊栄』の軽食堂で魚沼産コシヒカリのおにぎりを食べていた。
 誰もが美味しそうに頬張っている中、なんとか口に押し込んだ因幡が立ち上がり、
「どう、楽しかった? 新潟のご当地☆HERO達が一生懸命、大好きな自分の土地を紹介したのが伝わってくれたら幸い。また次週もお楽しみにねー。ばいばーい」
 彼女が元気よく手を振ると釣られて他の5名も大きく手を振りお別れを告げた。


 今回、クルーに参加し裏方を務めたダミアン・カルマ(fa2544)。彼は番組終了後、お腹を空かせた出演者達に振る舞う為の蟹のみそ汁や山菜ご飯のおにぎりなど、番組で使われた食材を活かし、独自に勉強してきた料理と作っていた。
 3日間という期間の中で慌ただしく撮影される番組の為、美角の使う小道具や衣装の刺繍、甲斐の浴衣の制作に青田の海女衣装の調達っとあちこち駆け回り制作してくれ、尚かつ撮影中、美角にこっそり人形を渡す役、それに海に流されたディレクターを他のスタッフ以上に気遣い「風邪をひいては大変だから早く温まってください」っと予め用意していたタオルを素早く渡してくれた。
 よく働き気遣いの上手いダミアンにディレクターが声を掛ける。
「ホント助かったよ! ありがとうダミアン。そう君は撮影に参加しなくても良かったのかい? 裏方ばかりじゃ‥‥」
「いえ、着ぐるみの準備があれば良かったのですが、今回は無かったようですし。素のままだとどうも緊張して上手く動けないんで」
 照れたようにトレードマークのバンダナを被った頭をこりこりっと掻く。
 そんな彼の傍で美味しい匂いを放つ鍋。頃よく煮えた蟹のみそ汁を手際よく容器に注いでまずはディレクターにと渡してくれた。