いろはに諺 への巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/14〜05/18
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●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
プロデューサーの指示で、スタッフが運び込む小道具、衣装は、一大イベントパーティーでもするのではないかと間違えるほど面白グッズばかりが集められスタジオに置かれていった。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「へ」(濁点、半濁音可)を文字の頭に使い、面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作ことわざ披露や、体を使いスタントでコントもオッケー。
とにかく皆様でワイワイ楽しんで番組を作ってください。(これが一番!)
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■お題
へ
「臍が茶を沸かす」
意味:あまりに可笑しくて馬鹿馬鹿しい事。
「蛇に睨まれた蛙」
意味:恐ろしい者の前では体が動かなくなり、何も出来なくなる事
「下手の長談義」
意味:話をするのが下手な人ほど、大した事のない話をいつまでもして聞く側は迷惑する事。
●リプレイ本文
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六時ぴったりに画面に現れるタイトルを大勢の子供が読み上げる。すぐ画面が替わり、和風な背景画と出演者の並ぶスタジオが映し出された。
「諺勉強の始まりや! 今日のお題は『へ』。ペンは剣よりも強し、なんて言うくらい文字や言葉は時に強力になるさかい、しっかり学んでいこうや。司会はお馴染みユラお姉さんやで」
「初めまして、ななお姉さんと呼んでねー。僕は『へ』で好きな諺は、蛇に睨まれた蛙! 小煩い邪魔者を一睨みで竦ませて一掃! 僕の進む道に邪魔はなしって感じで本当に良い諺だよね」
カメラに向かって挨拶をする進行役のお姉さん、豊浦 あやね(fa3371)と七萱 奈奈貴(fa2812)。
七萱は自分が好む諺の話をするが、どうも意味を勘違いをしてるらしい。番組名物の豊浦特製、愛情の裏返し突っ込みハリセンが早くも炸裂。
「意味ちゃうやん!」
「え、違うの? 恐ろしい者の前では怯んで動けなくなるって意味なの? それは蛙さん側の話だよね? 蛇さん強ーい、格好良いじゃないんだ。って、‥‥こ、ここカットお願いします。絶対カットぉ! でないと暴れちゃう!」
ADによりきちんと諺の意味を教えられた七萱。恥ずかしさのあまり物騒な事を言うが、もう遅い。一瞬、落胆の表情を浮かべるがすぐに、引きつった笑顔でワンモア挨拶。
「ぇへへ‥‥夢は可愛いお嫁さん。は、初めまして。ななお姉さんでーす。みんな元気よく頑張っていこう。いろはにほへとのへー」
「‥‥これが諺で言うところの臍が茶を沸かすやろね。あたい、聞いたことあんねんけど、実際に臍で茶が沸くか実験をした番組が前にあったらしいねん。結果はお腹が痛ぁなったらしいけど」
こっそり前に出てきた宝塚菊花(fa3510)は、その場で身体を折り曲げお題の文字『へ』を作るという天然不思議空間を作り出した。慌てふためく七萱に向かってやや毒っ気のあるお題諺をぽつり。豊浦のハリセン並の威力だ。
「むー、宝塚さんキツイなー。なら濁点始まりの諺でお返しっ! ‥‥ペンは剣よりも強し! この番組風だと言葉はハリセンよりも強しかな? ついでにハリセンに引っ掛けて、下手な鉄砲(ハリセン)数打ち当たる。下手の横(突っ込み)好きとか? 下手な職人(芸人)は道具(小道具)の所為‥‥あれ? 途中から下手から始まる諺ばっかり思いついちゃったよ。諺って色々あって面白いよねっ‥‥きゃ!」
「言う事は、これで終いかいな?」
途中から方向がずれ、七萱の飛んでもないボケに豊浦のこめかみの血管が浮き出しハリセンを握る手が震える。殺気に口を押さえた七萱はぴきーんっと凍りついた。これがホントの『蛇に睨まれた蛙 』。実体験できるのもこの番組の良いところ。
今度は教育指導? ハリセンを頂いた。
「あらら蛇のナントヤラは、ほんまに実体験してしもうたな、なな姉さん。ほな、もうひとつ実験いってみよか? さっき言うた臍で茶ぁ沸くかほんまに試してみたいねん。誰か実験せぇへん?」
「へーい、へいへいのへいっす! どうも! 真田・勇っすよー。今回もみんなでいっぱい諺の勉強したいので挙手しまっす。けど、やっぱし女の子のお頼みを断ったら駄目っす。ね? HIKAGEさん」
「え、なぜ僕にふる? あ、そ‥‥そうですね。臍で茶を沸かすくらいなんて、へのつっぱりはいらn‥‥」
「そこ! 版権の発言は禁止やで! しかもその意味、よーわからーんっ」
くるぅり見渡す宝塚に毎度のハイテンションで挙手する真田・勇(fa1986)。隣に立つHIKAGE(fa1340)にも振る。
やかんなんか腹に乗せたら、冷えて酷い目に遭うのは解っている事だがHIKAGEも男の子。某漫画の主人公の台詞を使用し強がるも、著作権にギリギリの台詞を豊浦がハリセンで繰り出した痛そうな効果音で掻き消した。
「へっへっへ‥‥お臍を出すっす‥‥ぅ、嘘です。すみません」
真田がやかんを乗せるためタイツを脱ぎだす。だが、豊浦の一睨みにあえなく断念。
番組の司会が長い豊浦は、お馴染みさん達の奇っ怪な動向を警戒し、不味いボケなどをハリセンで指導し防ぐ役も勤めている。そんな彼女であるが場の空気や普通のネタを潰さないよう、気遣っていたりもしていた。
真田はそのまま床に寝転び、臍の辺りに大きなやかんを載せた。重いが宝塚の要望だ。今後の事も考え耐える。
「下手は上手のもとっす。ナンパも最初は下手だが繰り返せば上手くなって‥‥うひひっす」
ぶつくさお題を絡めたナンパ術をたれているが、いきなり脇腹を擽られ悶絶する。擽っているのは宝塚。悲鳴を上げても手は止まらず、真田が息も絶え絶え、無様な姿になった頃、ようやく解放された。宝塚がやかんの水を調べる。
「ん〜、あかんかったみたい。沸いとらんわ。自分なりに頑張ったんやけどね」
「頑張ったんわ、真田さんやろっ」
宝塚の天然ボケを締めくくるように豊浦のハリセンがすぱこんっと鳴った。
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「た、宝塚さん、これを期に僕にファンレターを頂戴っす! もちろん他の可愛い女の子からも受け付けるっすよ〜」
「めげんやっちゃなぁ。仕置きや!」
真田は素速く立ち直り、挫けることなく宝塚や七萱に近付きナンパを開始。呆れた豊浦が制裁用の大きなハリセンを振りかぶる。が、霧隠・孤影(fa1010)によって止められた。
「ま、衣依子姉さん」
真田は姉の冷たい視線で竦み上がり発汗しながら後ずさる。しかし孤影もずぃっと前に出て威圧する。
「僕の名前は霧隠・孤影です。真田・衣依子などではないです」
「あ、そうっすね‥‥ははは‥‥」
「お笑いと恥は違うです! この愚弟め!」
「‥‥今の正に蛇に睨まれた蛙! 真面目にピンチっす!」
あわわと左右見渡すが、日頃の行いの所為だろう。誰も助けてはくれない。孤影は間を縮めその腕を掴むと、
「まあ、いいです。へを作るです」
真田をセットの鉄棒に仰向けに乗せると海老反り状態にさせる。
「ぐえぇ‥‥ねえ‥‥じゃないっす。孤影さん‥‥これ以上は無理っす」
「駄目なのです。まだ『へ』には見えないのです」
「ぷぎぁ‥‥へぶん!」
真田の背骨が軋む。プルプルと震える彼に孤影が更に力を込め反らせた。とたんに何か砕ける音が聞こえると、彼は泡を吹き動かなくなった。‥‥文字完成だ。
誰もが恐ろしさに息をのむ。当の孤影はマイペースにお題発言開始。なんとか気力で降りてきた真田はフラフラだ。
「変態のへ」
「痛ぁ‥‥ヘブンを‥‥見たのへ‥‥」
弟を変態扱いし、指差す。だが真田には言い返す気力も体力も残っていない。
「‥‥別に漫才をするわけじゃないです。『へ』でなんかしろです」
「命令っすか‥‥。隣の家に囲いが出来たんっすねぇ〜」
「へぇーとか言うなら、ヘッドロックです」
「へ、へ‥‥壁画‥‥?」
容赦ない口調に真田はビビりながらギャグを言うが、それは驚くほどセンスがない。孤影の目が殺気を帯びキラーンと輝く。
またしても大量の汗をかきながら、別の言葉を探すも見事墓穴。
「駄目です。ペンは剣よりも強しです!」
「うぎゃ! そ、それは使用方法が違うっす! ペンも諺も‥‥って、ぎゃぁぁ」
いきなり懐からボールペン取り出した孤影、真田に突き立て攻撃開始。やられる彼も流石に堪らなくなり半べそで訴え、逃げ出した。
「‥‥逃げたか。折角、鍛えなおそうと思ったのにです。まだ使って無いモノもあるのに‥‥。まあ、次会ったら、フフフ‥‥」
普段見せない腹黒い笑みを浮かべ、孤影は奇妙な音を立てながら退場。その音については誰も聞けないのは言うまでもない。
「‥‥これで懲りたやろね。次、いってみよか」
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次に画面の前に登場したのは、エディ・マカンダル(fa0016)と御手洗・竜太(fa0042)。
二人、文字作りセットの前に並びお題発言を開始。
「お題の『へ』について色々考えたんっスが、俺どうしても変とか変態の類を表す言葉しか思い浮かばないスよ」
「お前、そんな言葉ばかりしか思いつかないんじゃ、殆ど病気だろ」
しょっぱなから御手洗の堂々とした変態類似発言に呆れ苦笑いを浮かべるエディ。手に持つハリセンで、御手洗の頭に一発お見舞いするとお手本とばかりに、
「今のホラ、ジャパンの『ヘ』って言ったらあれだよ。ベンチャー企業」
「あぁー、ベンチャー企業って誰もやってないような仕事をして利益を上げる会社のことですよね」
なにやら教育番組というか会社説明になっているが、それでも大丈夫。それどころかちゃんとした教育番組になってると嬉しげにカメラの向こうから拍手送るディレクター。
「新しいことをやったり、人の思いつかないことで成功するのは、やはり勝ち組っスよね」
「そうだな。勝ち負けの問題ではないが。芸人も近いものはあるよな。色々と新しい芸を身につけるのが仕事だからな」
「おー、芸人ってベンチャービジネスなんスね〜。なんか流行の先端って感じっス」
「あぁ、俺達ってベンチャーだよな。なかなかイケてだろう」
ウン、ウンと頷き合い自己完結に到達したエディと御手洗。よく解らない結論だが本人達的にはOKらしい。
「それじゃあ、早速、ベンチャーにお仕事をするっス」
二人、背後のセットによじ登り、力を合わせ文字を作った。
「へ!」
「お題ミニコント、蛇に睨まれた蛙?」
用意された赤シャツ、長ランにドカンでキメた不良姿のエディと、規定学生服にぐるぐる眼鏡、気弱そうな御手洗がパシリという設定でコントを開始する。
「お前ぇよぅ、ジュース買いに行くだけで、何分掛かってるンだよ」
「す、スミマセンっス」
「そういやぁ、二時限目のテストの答えも教えなかったよな? ムカツクぜ」
不良のエディに脅され怯えて竦み上がる御手洗。これぞ蛇に睨まれた蛙。ビビる彼を更に胸ぐらを掴み脅しをかける。
「お前ぇ、今日の『魔法少女☆ くにえちゃん』の再放送、ちゃんと録画してるだろうなァ? あァん?」
「っぷっ、いえ、は、はい録画してるっス」
笑いを堪え顔を伏せる御手洗。こんな時に笑顔など見られたらボコボコにされかれない。
「よぉし、ちゃんと貸せよ。‥‥可愛いくにえちゃんの魔法はラブ&ピース! だぜ。プンプンプンのプン☆ わるい子は、くにえがやっつけちゃうぞ☆」
エディは御手洗から手を離すと、ヒロインの決め台詞と一緒に右手を腰に当てると左手を可愛く頬に当てクリクリ回すポーズを取った。
御手洗は、ある意味の蛇に睨まれた蛙となる。呆れて固まったのだ。
「っと、いうわけでコント終了! 良い子のみんなぁ、不良君がしたようなイジメはいけないよ! 自分のジュースくらい買いに行こうね!」
「お後がよろしいよーで」
エディと御手洗が笑顔で並ぶと、カメラに向かって手を振る。そこへ座布団を手にしたHIKAGEが真っ黄色の着物姿でお囃子に合わせ登場。
今回は噺家風らしい。カメラの正面に座布団を置くと、きちんと正座をして深々ご挨拶。
右手に置かれた演目題の紙を自分で捲りあげた。
書かれていたのは、お題の『へ』にちなんだ下手の長談義。
「え〜毎度、馬鹿馬鹿しい話を一つ。皆さんご存知のように、わ‥‥私‥‥、ん〜どうも慣れないので、僕と言わせて貰いますが‥‥。僕は料理が得意なんですよ、なんでも作っちゃう。まぁ味の方は美味しいかは食べた方の味覚次第なんですが」
なかなかテンポ良く上手いもんだ。他の出演者達が簡易椅子を持ち出し彼の前に座る。普通なら客よりも高座に居るのが咄家。なのに低い位置にいるのは気に留めてはいけない。
「‥‥そうこの前、兄弟子が僕の作った石入りビビンバの食べ過ぎて不摂生になってしまい、胆石ができたらしいんですけど、まぁ石なんて誰にでも出来るって言いますしね。え? 違う? 僕の所為だって? いえいえ、滅相もない。あぁっと話が逸れちゃいましたけどー」
豊浦から突っ込まれる前に、見計らったようにそそっと話を変える。
「あ、えっと‥‥なんの話でしたっけ? あぁ給食? じゃない健康でしたっけ。健康に良い食べ物はアワビですよね。あれを食べると嬉しくて元気になりますよ。あ、それは僕の個人的意見過ぎ? 一般だとお値段もコレステロールも高いですしねー。あまり食べられてないとか?」
それは健康云々ではなく、HIKAGE自身が好物を食べて元気になってる話にすり替わり、しかもやや胡散臭い見栄まで入り非常にダラダラと横道に流れる話を披露しまくる。
見渡せば飽きた出演者達は思い思いに好き勝手に動いている。スタジオの隅に設けられた休憩所で仲良くお茶を飲んでいる七萱と宝塚。椅子に座ってはいるが真田と孤影は居眠の船を漕ぎ、エディと御手洗は紐であやとりなどに興じている。
それでも気にせず、まだ話を続けようとするHIKAGEに豊浦の一撃。
「もーすなや!」
「え〜っ、まだマクラしか話してないのに〜〜」
ハリセンで勢いよくしばかれながらも、めげないHIKAGE。身体を可愛く捻りイヤイヤをするが、殺気を感じ動きが止まった。顔から玉のような汗が吹き出る。
邪悪なオーラを背負った笑みを浮かべる豊浦の気に硬直したのだ。
「我が侭いうなやー! っというか、もっとおもろい話をせんかい!!」
反動のついたハリセンチョップをモロ後頭部に食らい、前へつんのめるHIKAGE。コントのように床に突っ伏した。
お茶から戻ってきた七萱がお題を書いた紙を捲きあげると、書いてあったのは蛇に睨まれた蛙。
‥‥お後がよろしいようで。
「まったねー」