いろはに諺 との巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/21〜05/25
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●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
プロデューサーの指示で、スタッフが運び込む小道具、衣装は、一大イベントパーティーでもするのではないかと間違えるほど面白グッズばかりが集められスタジオに置かれていった。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「と」(濁点、半濁音可)の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作ことわざ披露や、体を使いスタントでコントもオッケー。
とにかく皆様でワイワイ楽しんで番組を作ってください。(これが大事)
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■お題
と
「豆腐にかすがい」
意味:注意されてもまったく直そうとしない事。
「虎の尾を踏む」
意味:虎の尻尾を踏めば虎を怒らせて、噛まれてしまう事。
「灯台下暗し」
意味:身近なものほどかえって解らない場合も多いという事。
●リプレイ本文
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六時ぴったりに画面に映るタイトルとそれを読み上げる子供の声。そのすぐ後に和風の背景画と出演者が並ぶスタジオが映し出された。
「ふっふふ、なめたら甘いぜよ‥‥ち、違った。いかんぜよ」
「え〜、お題にちなんで。‥‥とぉっ! なにしとんやっ! あんさんは司会ちゃうやん」
番組早々、いきなり不敵な笑みを浮かべ現れた文字ぃ君の白鳥沢 優雅(fa0361)に豊浦 あやね(fa3371)がおニューのなんばハリセンを振りかぶり鋭い友情突っ込みを炸裂させる。
「これが飛んで火に入る夏の虫。くくく‥‥。おっと失礼。私、司会の御手伝いをします郭氏文令明です。宜しくお願い致します」
「初の男性司会者でお送りする、お馴染みのいろはに諺。司会のユラ姉さんやで。みんな覚悟はええか? 当意即妙の気の効いたネタを期待してるで! お題は豊浦あやねの『と』や。よろしゅうに」
足下で突っ伏した白鳥沢に代わり正真正銘の司会担当、郭氏文 令明(fa0243)が豊浦の隣に立ち自己紹介。続いて挨拶をする豊浦は過去、HIKAGEによる女装司会があった事を華麗にスルーし彼方へ追いやってしまっていた。
さて今回も賑やかな面々が司会者の後ろで手を振っている。倒れている一人を除いてはだが。何はともあれ番組開始!
●
「父ちゃん目指すぜ! 諺の星って‥‥うひぃ!」
「前回と同じネタをすなや! ついでにあかん言うたやろ」
ぱきゅーんっ
角張った太眉を付け登場したHIKAGE(fa1340)は、ボールを手に古い漫画の決め台詞を熱く語る。なぜそんな台詞ばかり知っているかは不思議であるが、問題はそこではなく著作権云々に掛かる恐れがあり鉄砲効果音と共にハリセンが炸裂しかき消された。
「あたたっ。で、では気を改めて! ‥‥よい子のみんな、僕と一緒に過去の映像を使って解りやすい諺の勉強をしよう」
足下の教授帽子と白衣を纏い、準備を整えるとキューを出す。画面が切り替わり以前の放送が流れだした。最初は『い』の巻。ハバネロシューを頬張り、見事なボケで豊浦のハリセンを頂戴している場面が現れる。
「あぁ、これは初回だね。うん、あのハバネロシューは実に辛かった」
それが終わると『は』の巻、エセ関西弁で豊浦にどつかれている。『に』では頭から水を浴びたところなど。ボケてはハリセンを見舞われ、床に突っ伏する様子が次々登場する。
流れる映像に合わせ丁寧に解説していくHIKAGE。振り返れば、これだけどつかれているというのにまったくメゲない彼は、ある意味拍手モノだ。
映像が終了し、もう一度HIKAGEが登場。掛けている眼鏡をくぃっと持ち上げ一言、
「見事に学習せずに同じ事を繰り返しているね。お姉さんの教えが全くもって無駄になっている。これぞ豆腐にかすがいだ。そして毎回、繰り出すハリセンの唸りよう、凄まじいね。もしお姉さんを虎に例えたら僕は、その尻尾を何度も踏んでいるんだね」
淡々と冷静に諺を交え説明をする。今回は意外にもまともに終わる予感を感じさせたが、
「さて、そろそろコーナーもお終いに近付いてきたよ。でも振り返ると僕って、こんなにも賢くお笑いが出来ていたなんて気付かなかった。え? みんなも見直したって? あはは僕もだよ。これがホントの灯台元暗しって、おぉ! 全部の諺を表現するなんて、やっぱり流石って感じ?」
「一人でボケて勝手に納得すなやっ!」
すぱこぉん!
やはり今回もハリセンの軽快な音で終わった。
●
文字セットに上がったHAKASE(fa2600)は左手を小さく挙げ片仮名の『ト』を表し、
「飛び出すな、車は急に止まれない。みんな飛んで火に入る夏の虫にならないよう、突発事故に注意しましょー」
交通安全標語を掲げる。その隣で若宮久屋(fa2599)が小さく呟きながら、
「っとまぁ、その辺は普通に、とー」
靴を使い『と』を表現しポーズを決め、降りてきた。すぐに次のお題コントに移る。それは上月 一夜 (fa0048) 提案のお題借り物競走だ。スターターの郭氏文の合図と同時に三人一斉にカメラ下の封筒目指して突っ走る。
「え、トルコキキョウ?」
「あ、僕もそうかいてあるね。早い者勝ちだな。頑張るぞ」
「僕はトラって書いてある。本当にいるのかな? いたら血を流したり怪我する危険大だな」
各々、封筒を拾い中身を確認する。上月とHAKASEが見事ブッキング。互いにライバル心を燃やす二人は辺りを見回し探し始めた。
一方、若宮の封筒の中身はトラと書かれていた。なかなか物騒だ。彼はいそうな大きな箱を覗いて回る。
「う〜ん、いないなぁ。居たら困るよなぁ、流血とか怪我は、できればしたくないんだよね」
むにっ?
誰だって流血、怪我は避けたいのは一緒。ブツブツ言いながら歩く若宮は足下の注意を怠り何かを踏んだ。感触に驚き、見れば探していた物? があった。
いきなりの尾を踏まれ、怒りも露わに鋭い視線を送るトラ――猫。
「‥‥もしかして、お題はこれで良いのかな? おいでって‥‥もしかして怒ってる? うわぁ、ご、ごめんなさーい」
茶の縞猫が言葉を理解したのか頷き、いきなり飛びかかってきた。逃げる若宮。
「これって諺の虎の尾を踏む? だね、って真ん中に猫が付くけどねぇぇ」
追いかけられながらもお題に沿った諺を披露。少し余裕らしい。
「トルコキキョウ? ってどこかなー」
どんっ!
「どこだろうね? ってうわっ 眼鏡、眼鏡!」
「ごめんなさい、僕も急には止まれませんっ」
お題を捜す二人の間に猫に追われた若宮が乱入。彼らを勢いよく突き飛ばし止まらずそのまま疾走。HAKASEはぶつかった拍子に眼鏡を落としてしまった。
慌てて眼鏡の行方を探すHAKASE。これはチャンスとばかりに上月が見回すと、郭氏文のスーツの胸ポケットにお題の物が差してあるではないか。すぐ側にあったことに喜び近付くが、一歩及ばない。
「はい。眼鏡はこれですね」
「眼鏡‥‥あ、ありがとう。これでピントもぴったり。ん? 郭氏文さん、それはトルコキキョウですよね?」
「そうですね。はいどうぞ」
「やったー! ゲット〜〜」
郭氏文はHAKASEの眼鏡を拾い渡す。掛け直したHIKAGEはお礼と共に郭氏文のポケットに入るトルコキキョウに気付き、アッサリ手に入れてしまった。勝者はHAKASEに決定。落胆する上月が映し出されるその下に、
『灯台もと暗し』
と、書かれたテロップが流れた。
●
着用する桃色セパレート型タイツが身体にフィットし、胸が誇張される真田 勇(fa2606)の登場。
よしっと一つ気合いを入れると文字作りセットによじ登り文字を作っていく。が、しかしイマイチ上手くない。腕を上げたり身体を曲げたりと鉄棒の上で四苦八苦。何とか完成させ、ポーズを決めるさなか、ぽとりと何かが落ちた。
「とー、ってきゃぁ! と、取れちゃったの‥‥と‥‥」
それは彼女が愛用する超厚手のパッドだった。鉄棒の上を動き回り、無理な体勢の所為でずれてタイツから滑り落ちたのだ。片方の胸がナイチチとなってしまった真田は、素速くパットを拾い半べそダッシュし、消えてしまう。
「おっと、これはマズイですね。ユラお姉さん、私も小ネタが出来ました。‥‥と、隣りに囲いが出来きて、敵は城の防備を強化したようです、殿!」
「塀を砕くのや、武器を強化して崩すで!」
咄嗟に郭氏文が小ネタを披露し間を繋ぐ。無理矢理乗った豊浦もハリセンを采配のように向けてビシッと指揮を取る。
「殿の命令は絶対服従」
「うむ、良きに計らえや」
「って、なんで時代劇風味っ?」
「‥‥塀を砕く!」
郭氏文が時代劇調で豊浦に一つ頭を下げ挨拶をすると、若宮からアヤが入る。その突っ込みに郭氏文の目が鈍く光った。
若宮を塀と見立て、刀の代わり握った大きな祭り用団扇をぶわっさぶわっさ扇ぎだす。
若宮も意地でまともに風を受けながら踏るが、駄目押しに豊浦が巨大扇風機のスイッチをON。流石に暴風の前では無力。コロコロと転がっていく。
「フッ東方の風もなかなか強いかった」
「‥‥なんのこっちゃ、っとそろそろ真田さん、大丈夫みたいやね」
パットを戻し何事も無かったように現れる真田。しかしその笑顔は引きつってる。
「や、やっほ〜、さっき文字ぃをやったお姉さん、イサミでぇす。今日も頑張るぞ☆ ねぇ虎の尾を踏むって諺があるよね? それを本物の虎を使って実験しちゃおう。さぁ誰かやってみよ‥‥て、誰もいないじゃんっ」
全員、後ろへ三歩下がった。当たり前だ。虎が出てくると聞けば誰だってそうなるもの。言い出しっぺの真田が請け負うのは当然。ということでADに小脇を抱えられ檻型セットへ運ばれると鍵を掛かけられた。
「な、なんで私? 冗談じゃないよ、出してよっ」
『やらないと出れません』と書かれたカンペを郭氏文が掲げ、納得させる。意地になった真田はカメラに向かって、
「くぬ〜ぅ、やってやるさ、あぁやってやるよ! ギャルの意地を見せたるわい! 虎の尾でも何でも踏んでやる!」
真田が振り返ると、居たのは虎ではなくなぜか真顔で怒り心頭している白鳥沢。
予算関係もあるが番組都合上、危険な猛獣を出すわけにはいかないのだ。その代わりに虎と鳥を勘違いし怒っている白鳥沢を檻に入れたのだった。
「鳥の尾を踏むのだろう。さあ、僕の尾を踏むが良い! 遠慮なく踏め!」
真田に向かって尻突き出し、肩越しから訴える。だが形良い尻からは鳥の尾どころかなんの姿も無く、つるりんとしたものだ。
「いやぁ、踏めと言われても無いしぃ‥‥それに鳥じゃなく虎だし」
「それは見えてないだけだ! そら尾があるだろって、あらら? 本当に無いや」
「これを付けてみなや」
豊浦が、柵越しから一本のコードを渡す。片側の先端にスイッチが取り付けられ、踏めば微弱の電気が流れる仕掛けだ。白鳥沢はすぐに取り付け、
「鳥にだって尾がある! 鶏のように美しいって、なんか違う?」
「それを言うなら孔雀だ!」
真田が注意をしつつ、むぎゅっと踏む。が、何も起きない。二人顔を見合わせ、再度ぎゅっ! やはり何もない。
「あ、あれ? なんともないじゃん!」
「ほんとだ。きっと鳥の尾を踏んでも何も起きないが正しいのだね‥‥ぎゃぁぁ?!」
白鳥沢に変化がないのに、調子づき真田はスイッチを踏みまくる。そんな様子を柱の影で見ていた豊浦がにんまり。隠していたリモコンのツマミを強へ回した。とたんに鋭い悲鳴。
「ごめーん、スイッチ切れとったわ。そうそう口調、間違いだらけやで、再三注意を受け取るやろ! ホント豆腐にかすがいやな」
いきなりの放電で白鳥沢はまた床と仲良しになる。電圧がやや強かったらしく美しい金髪が見るも無惨な状態だ。彼の美貌上、問題があると見なしたADは気遣い、彼にモザイクが掛かる。
「あかん、強すぎたやろか?」
「しむr‥‥じゃなかった。勇、後ろだ、後ろ!」
「うがーっ」
「ぎゃぁ?! く、食われるぅー」
起きあがらない白鳥沢に豊浦は心配し格子外から覗きこむが、数秒後、突然起きあがった彼は近くにいた真田に襲いかかる。その目はどこかイッてしまっている。どうも電気ショックでトリップしてしまったらしい。
不意を付かれた真田に上月が言葉を掛けるも遅かった。しばらくお待ちくださいの画面に切り替わり、次へと交代。
●
「ミニコント、トラっとトンビっと!」
HAKASEお得意の人形を使ったコントで今回の締め。今回は虎に翼に因み翼の生えた虎のトラ君と、鳶に油揚げで油揚げをくわえた鳶のトンビ君のコンビでお題諺を開始。
「あいたっ! トンビ君、何をするんだっ」
「ご、ごめんっトラ君、うっかり尾を踏んじゃった」
「いやぁ許さないよっ! 踏むだけでは飽きたらず爪まで刺さった! 本当に痛かったんだ、がおーっ」
右手で演じるトンビ君がトラ君に幾度も謝ったが豆腐にかすがい状態で許して貰えず、挙げ句に追いかけられ逃げ惑い、何とかトラ君の死角である足の下にトンビ君が隠れた。
「うーん、どこ行ったんだ。トンビ君め、出てきたらどう献立にしようか? あ、いた! 捕まえたぞ」
「あー、ごめんよ。許してよ! 僕を食べたって美味しくないよ」
探し回るようにトラ君を演技をさせ、足下に視線を送らせる。灯台下暗しで足元のトンビ君を捕まえさせた。引きずり出し、もう一度隣に並ばせる。
「そうか、君がそうまで言うなら、その油揚げをよこせ!」
「え? これは駄目だよ。これがないと鳶に油揚げの諺が成立しないじゃないかーって、なんかおかしいな? もしかして君は?!」
トラ君の言い様に、トンビ君に疑いの眼を演じさせ、トラ君のぬいぐるみを剥いだ。なんと下からキツネ君が登場。
「あ、キツネ君! 初めっから僕の油揚げを狙ってたな。虎の威を借る狐だったんだね」
「と、とーんでもないでこーんっ」
「キツネっとトンビっと。有難うございましたー」
「はい、今回も巧妙かつ賑やかに諺を学べましたね。色々と解説が多かったけど、楽しかったね」
「でっしょう。だって僕はトリッキーが売りだからね♪ 」
「あんさんは、トリッキー言うよりアナキーや!」
郭氏文の上手い締め最中、ようやく正気に返った白鳥沢がご機嫌状態で決め台詞。どうも本人は巧妙な計算だというが、ちょっと違う?
これだけの美形の身体を呈したボケもそう見られるモノではない。豊浦の必殺友情ハリセンが唸りを上げ見事、白鳥沢の後頭部に決まった。床に崩れる彼を後目に皆、画面に手を振った。
「まったねー」