跳びハね☆トーク 四アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/01〜08/03

●本文

 普段、なかなか見る事のないTV関係者達の素顔。ドラマで二枚目を演じるあの俳優や、演技派として有名なあの女優。美しい歌声を持つ歌手や流行を編み出すタレントさん。
 今を時めく彼らにいつも見せる面と違うところやその表情、色々なエピソード、感じたことを語って貰おうと企画された番組『跳ねる☆トーク』。
 セットの準備が整ったスタジオに一歩踏み込むと、そこはヨーロッパ辺りに現存するアンティークなお屋敷の談話室風の造りとなっている。
 豪奢な壁紙や調度品が置かれつつも、どこかしっとりと落ち着ける雰囲気となっていた。
 勿論、出演者達が座る椅子もアンティークでよく使い込まれたものが、司会者とのトークを考え、丸みを帯びた形となる雛壇の上に並べられている。
 さて準備は整った。あとは出演してくださる方々の入りを待つばかりだ‥‥。


■出演者募集
 跳ねる☆トークは毎回テーマに基づいた日常のエピソードや芸能界での話を展開してくださる方を募集しております。
 四回目のテーマは、番号とやはり夏に因んだ『私の恐かった体験』と『マジに焦った瞬間』です。
 ビシバシとテーマに沿った大胆かつ、楽しいコメントやエピソードを披露して意外性や益々納得のあなたをアピールし、視聴者の方を楽しませてください。
 また番組の司会を行ってくださる方も同時に募集しております。
 どうぞ皆様のご参加をお待ち申し上げます。

●今回の参加者

 fa0075 アヤカ(17歳・♀・猫)
 fa0748 ビスタ・メーベルナッハ(15歳・♀・狐)
 fa2726 悠奈(18歳・♀・竜)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3861 蓮 圭都(22歳・♀・猫)
 fa3956 柊アキラ(25歳・♂・鴉)
 fa4406 珂鴇大河(25歳・♂・犬)
 fa5874 アルヴァ・エコーズ(23歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●跳びハねなトーク開始!
 ヨーロッパ辺りに現存するお屋敷の談話室を模したセット。雛壇に並ぶサロンアームチェアに座るのは様々なジャンルから集まった6人の出演者。
 そこをカメラがずぃーっと流す。映し出される出演者達は、銘々手を振ったり笑顔や頭を下げていき、ラストの下段の右端でカメラさんの動きがスローに。
 何故ならビスタ・メーベルナッハ(fa0748)がドレスから零れんばかりの胸を寄せ手を振ってるのだ。いやはや育ち盛りだというのに見事なもの。
 そこに今日の司会者の悠奈(fa2726)が、カメラマンの後頭部にピコハンを振り下ろす。
「え〜、カメラさん。いい加減にしましょうねー」
 ペッコン☆
 正気に戻ったカメラさんは慌てて、悠奈を捕らえた。
「皆様、こんばんは。跳びはねトークのお時間、今日の司会の悠奈です。夏の夜は怖い話と冷たい氷に限るよね☆ と言うわけで第四回は蒸し暑い真夏の夜にお送りしております〜♪」
 セクシーなビスタに代わり、空色のVネック半袖パフスリーブセーターに白のリボンタイブラウス。そしてタックミニスカートと青いパンプスの悠奈。耳元に光る小さな銀の十字架イヤリングはこの季節によく似合う。
 避暑地で会いそうなお嬢さん系ファッションの悠奈。セクシーとキュートの組み合わせで、視聴する男性陣の目は釘付け間違いなしだ。
 彼女はピコハン制裁の合図を出したプロディーサーをチラ見。やはり深夜に近い時刻とはいえ、トーク中心の番組内でお色気は少々問題があるよう。プロデューサーがOKっと頷いたのを確認すると番組を進行する。
「え〜今回の数字は『よん』と読んじゃ駄目ですよ? 『し』と読んでくださいね♪ だってお題は『マジに焦った瞬間』と『私の恐かった体験』ですから。前者は話してる人がヒヤッとして、後者は聞いてる人がヒヤッとする事請け合い♪ では皆様、張り切ってお話ししてくださいませ〜」
 悠奈の言葉と共にティタネス(fa3251)が勢いよく手を挙げる。
 シュッ!
 とたんにその腕が右隣に座ったアルヴァ・エコーズ(fa5874)の顔スレスレを掠めた。
「‥‥だ、大丈夫ですか?! アルヴァさん。ギリギリでしたね」
「ごめん! 当たらなくってホント良かったー」
「大丈夫だ。ヒットしてたら大変だったな。これも焦った瞬間に入るか?」
 慌てふためく悠奈とティタネス。普段は冷静沈着なアルヴァも少々驚きながら軽い冗談口。ここはお題を兼ねるのを忘れない。
「よかった〜。‥‥という風にさ、あたしって割りとドジったりボーっとしてる方で、気がついたら大変な事になって大慌てなんて、よくあるんだ。さっきも控え室に用意されたお弁当を全部食べちゃって、後で同じ出演者さんの分もあったって聞いて吃驚したり‥‥いやぁ気を利かせて4つ用意してくれたのかなと思ったんだけど、どうも違ったみたいでさ」
「食べたのは、ティタネスさんだったんだ。ありゃぁ蓮‥‥可哀想に」
 オーマイガッと珂鴇大河(fa4406)は右後ろを振り返りつつ、ここは絶好の機会とばかりに蓮 圭都(fa3861)の肩に腕を伸ばし慰めの素振り。
 確かに彼の言う通りコンビニ弁当が主食の蓮。しかしそんな事、気にする女性ではない。
 珂鴇の回そうとする腕を、背後に座る柊アキラ(fa3956)がニコニコとあっさりガード。やられた方は驚き手を引っ込めた。
「ご、ごめん!」
 ティタネスがパンッと手を合わしお詫び。スタジオ内が笑いで湧く。そこで悠奈のフォロー。
「そんな事が。けれど大丈夫そうですよ、今回、プロデューサーが多く注文していたらしいです」
「あ、ありがとう。助かったよ。これも焦った事だけど、一番はやっぱり先日の事。妹と待ち合わせした時だね。あの子もわりとぽやっとしてて道に迷ったりするから、待ち合わせの時はこまめに携帯電話連絡しあうんだけど、あの日はたまたま携帯電話を家に忘れちゃってさ〜」
 ひとまず笑いが収まるのを待ったティタネスが落ち着いたのを見計らい話し始める。
「‥‥で、時間になっても来なくて。5分、10分経っても‥‥姿が見えないんだ。流石に心配になってさ。道に迷ったのかなとか、携帯が繋がらなくてこまってるのかなとか、思いながら待ってたんだけど、いい加減、20分程過ぎたところで、もうさ居ても立ってもいられなくなって、公衆電話を使おうっと思ったんだ。けどさ最近は少なくなっていて、探すとかえって見つからないんだよな」
 焦った実況を細かく話す彼女。誰もがウンウンっと頷く。
「結局、妹の携帯に通じたのは30分後。今どこ? って聞いたらさ、姉さんこそどこにいるんですか〜? って。どうも入れ違いになったらしいんだ。走って行ったら、彼女が待っていて仕事で遅れるってメール打ったんですけど〜って。もぅほっとしたやら、申し訳ないやら‥‥」
「なるほど〜。お姉さんとしては焦っちゃいますよね。‥‥ハイ、ビスタさん!」
「ご姉妹が仲良しって良いわね。羨ましいわ。私も焦った話をするわ。少し前に付き合ってた彼氏の話よ。彼とは歳が離れてたけど、それを感じさせない素敵な人だったの。ノリは良いし、色々と‥‥まぁここは内緒ね。何より格好よかったわ‥‥って、そういう話じゃなかったわね」
 年齢のわりに色っぽく妖艶な笑みを湛えながら話すビスタ。スタッフ達は見蕩れている。
「‥‥で、あれは夏のコト。その日、彼が家に招いてくれたのよ。家族が旅行に出掛けて居ないから、泊まらないかって。今思ってもあの夜は‥‥うふふ」
 ビスタは恍惚な表情になる。何を回想しているのかドキドキもの。プロデューサーは艶っぽい話に焦り気味になる。
 そんな事はつゆ知らず話すビスタに聞き入る一同。
「問題は翌日の朝。目を覚ましてみたら、彼の家族が急用で帰って来ちゃったトコだったの。あの時はホント焦ったわねぇ。どうにか私の居た痕跡を消したのだけど、玄関の靴だけは隠しきれなくってね。咄嗟に彼が誤魔化したの。ま、バレずに済んだわ。その代わり、私は裸足で帰るコトになっちゃったけど」
 ウフフっとビスタは小悪魔な表情をカメラに向けた。その笑顔に視聴する男子はメロメロ間違いナシだろう。勿論プロデューサーも別の意味でメロメロになっていた。
 あまりに色っぽい話に悠奈や蓮、ティタネスは頬を赤らめ、大河は困り顔。表情が変わらないアルヴァに同じく笑顔のままのアキラ。
「それでその後は‥‥?」
「‥‥さぁ? どうしてるのかしらね」
 好奇心に駆られ悠奈は訊ねると、ビスタは意外にアッサリとした答え。
「で、ではCMです!」
 いい加減、プロデューサーが大きく×マークを作るので悠奈は慌ててCMへ促した。

●続くトーク
 CM明け。再びスタジオが映る。だがさっきとは変わり極力ライトが落とされ暗く、なんだかおどろおどろしい雰囲気だ。
「次のテーマは『私の恐かった体験』。‥‥どなたかいらっしゃいます?」
 悠奈は灯のともる手に問うと、怖ず怖ずと蓮が手を挙げた。
「私の恐かった体験は、実は実家はお寺でね、昔からお墓も肝試しも割りと身近だったのよ。その所為か幽霊自体はいうほど恐くないのよね。といっても平気だとも言わないけど。勿論、見た経験はあるわ。多く見るのはメンバーと居る時かしら。‥‥もしかしたら、今もこのスタジオにいるかもね? 必要なら読経くらいするけど、御祓いは出来ないから」
「えぇ〜っ!本当ですか?!」
 蓮のサラリとコワイ事を発するとビビリ演技で返す悠奈。だがしかし今日は彼女と一緒にバンドのメンバーも座っているので、あながち本当に恐いのも確か。
「‥‥特にアキと一緒にいると高確率で見る気がするわ。バス停で人が並んでると思ったら足首だけだったとか‥‥ザラよ」
 遠い目で話す蓮に頷きながら、またも珂鴇がその細い肩に腕を伸ばす。
「俺はおばけなんかは信じねぇ方だったんだが、この二人といて遭遇する事が多くなり、あぁ、いるんだなぁと漠然と思い始めた。ま、怖いっていうのはあんまねーんだけど‥‥」
 ぐいっと蓮の肩を抱く事に成功した珂鴇は話ながらにんまり。どうやら彼女と一緒にまた番組出演できた事も重なったようで嬉しさ倍増だ。
「大河さん、大人しくしてないと怒るわよ。ニッコリがね‥‥」
「はい〜ご紹介に与りましたニッコリです‥‥それは冗談として。このお二人が出演している時の放送を見せて頂いた時、僕の事がちょこっと話題に出ていて、とても焦ったんだ。‥‥今回は余計な事、行動は慎んでいこう、大河さん」
 蓮の溜め息混じりの忠告に一瞬、笑い飛ばそうとした珂鴇だが、背後からアキラの異様に穏やかな声に表情を強ばらせ小さな悲鳴と共に回した腕を引っ込めた。
 アキラはその動きを満足そうに見やり、話し出す。
「‥‥そうなんですよ、僕達『朧月読』って、お化けっぽいのを見たというのがよくあり、圭の言う通り特に僕といる時によく見るんだ。何か電波でも出して呼び寄せてるのかなぁ? 見た時っていうのは結構吃驚してるんだけど‥‥」
「俺はよっぽどアキのえが‥‥コワ‥‥いや、なんでもない。う〜ん俺って一日一回は必ずな程、恐怖体験してるよなぁ」
 呟く珂鴇。それは自分が招いている事というのが解ってないよう。
「そうそう。何が恐いってアキっていつもこんな感じで幽霊を見た後も笑うのよ。最初は幽霊の方が充分恐怖の対象だったけど、今はアキのニコニコ顔での「恐かったね〜」かしら。全然恐そうじゃないの! それが一番恐かったわ‥‥」
「そうそう! お化けよりも怖い、怖い、すげー怖い! だから圭都も恐かったら俺の胸に飛び込んでいいんだぞ!」
 彼女の言葉に激しく頷く珂鴇は懲りずにスキンシップのアプローチ。夢見る瞳で蓮に向かって両腕を広げるも、背後の黒い波動にビビリ誤魔化す。
 波動を出しているアキラだが、二人の会話に困ったような笑顔で、
「‥‥そんなに表情かわってないかな? 本当は恐かったんだけど。でも最近は見慣れてきて、あぁまたかぁってなっちゃってる気がします」
「‥‥へぇ、アキも恐いんだよな‥‥。だから、ほら、なんだ‥‥仲間にそのニッコリはちょっと。必要以上にこっちに向けるのは勘弁してくれ‥‥いや、お願い止めてくれ」
 やっぱり笑顔を貼り付かせるアキラに本気で怖がる珂鴇。ヤレヤレ顔の蓮に暗いスタジオにティタネスやビスタ、そしてスタッフの笑いが起きる。アルヴァは拳を口元に当てクツクツっと小さく笑んだ。
 そこで悠奈が言葉を紡ぎ次へ促す。
「‥‥成る程‥‥朧月読の皆さんの恐いもの一つのようですね。では次は‥‥はい、アルヴァさん」
「どうやら、日本の夏はホラーの時期でもあるらしいな。視聴者や共演者の皆に涼しさを提供出来るよう、この話をしよう」
 低い声を更に下げ呟くように語り出す彼。スタジオの明かりもさっきよりも落ちなんだかおどろおどろしくなる。
「それは‥‥俺が大学生だった頃の話だが、当時、車が欲しくてな、だから大学近くのバーで深夜清掃のバイトを始めたんだ。そのバイト、深夜だからか高給料‥‥ラッキーと思っていたら、店長に一つだけ注意された」
 よく手入れされた白銀の髪と水色の瞳が蝋燭の炎に揺らめき、恐さの演出を手伝っている。
「それは『仕事中に女が来ても一切口をきくな。絶対だ』っと。あんまりに厳しい目で言うから、これは真面目に仕事しろと言う意味だと思い頷き、そしてその晩からバイトが始まったんだ‥‥」
 アルヴァが話の間を置くと、スタジオがシィンっと静まりかえり誰もが息を呑み聞き入っているのが解る。
「‥‥俺は床掃除を始め、モップでひたすら磨いていたら、いつの間にか作業服の女性が入り口にいた。ただ突っ立ってこっちを見てるんだが、恐ろしく静かでな。同じ清掃業者かと思った。だが、店長に注意された言葉もあり不気味だしで、黙って掃除を続けたんだ」
 ゴクリ。ティタネスと珂鴇の息を呑む音が響く。蓮とビスタ、アキラはもう真剣な眼差しだ。ライトが揺らめき一層、恐さを増さしたところで、またアルヴァはポツリ話し出す。
「それを数日繰り返した時、バーテンに『お前も無事組か』と言われたんだ。何の事ですか? って訊ねたら、その方曰く『深夜現れるあの女性と口をきくと絞め殺される』らしい。 って。俺、その時かなり素っ頓狂な顔になったはずだ。だって可笑しいだろう。絞め殺されるならそんな話出てこない筈。誰だってと思うだろ? 勿論そう思って言ったら、逃げて助かった奴が店にいるんだと‥‥」
 ちろりと周りを見るアルヴァに悠奈が耳を塞ぐ。
「‥‥実は、店長がその『逃げて助かった奴』なんだ! だけど代償は意外に大きかったぜ。今も店長の首に彼女が付けた痣が残っているとか‥‥」
「きゃぁ! もういやぁ〜。それ以上は‥‥言わないで下さい〜」
「‥‥大丈夫、もうお終いだ」
 話し終えたアルヴァ。悠奈は演技も半分だが実際に恐かったようで耳を固く塞いでいた。安堵させる為、彼は一言促すも凍りつく。
 何故ならスタジオの端、闇にぼんやりと浮かぶ女性だろうっと思われる姿。
 無数の悲鳴がスタジオを駆ける。ティタネスや珂鴇はそれを見て顔を蒼白させ、小さく息を漏らす蓮に、ふぅん顔のビスタ。相変わらずアキラは笑っていたり。
 慌てて付いたライト浮かぶのは遅刻してきた少女。誰もがそれに安堵したところで悠奈が、
「‥‥い、如何でしたか? 楽しんで頂けたでしょうか。今回のトークはこれでお終いです。またお会いしましょう!」
 締めの挨拶をすると、手を振る出演者達を撮りながらカメラはズームアウトし番組は終了を迎えた。