MusicFesta☆野郎ぜアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 やや難
報酬 6.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/22〜08/24

●本文

 海水浴客で賑わうビーチに設けられたステージ。
 数日後に迫った真夏の企画ライヴのため、音楽プロデューサーを務める木原朱音は先乗りして準備を進めていた。
「よし、‥‥音響諸々はいいな‥‥。後は‥‥演奏してくれる出演者を待つ‥‥だけだ」
 そう言った時、携帯が鳴った。それは彼と仲の良いアーティストから。木原は嬉しそうに携帯に出る。
「‥‥もしもし、木原です。話はいっているかな? そう、真夏のライヴの件だよ。‥‥うん、今回 は男だけ。勿論、お客さんも男性のみの少し変わった趣向で行いたいんだ。以前、君達のライヴを生で観たいのだけれど女の子達に圧倒されて‥‥っていう、男性ファンからの要望もあったしね。ここは一つ、企画を利用させて貰って男の子達にグンッと盛り上がって欲しいんだ。 じゃぁ素敵な演奏を楽しみにしてるよ‥‥」
 穏やかに話す彼は、電話の相手と話し終えるとパチン☆ っと携帯を閉じる。その顔は出演者達よりもずっと浮き足立っているのは、スタッフ達の間で周知の事実であった。

■ MusicFesta☆野郎ぜ!に出演して下さる方を募集致します。
 今回、アイベックス主催の『MusicFesta2007』に協賛した木原。
 彼が電話で話す通り、すべて野郎だらけのライヴを海岸に設置された特設会場で決行いたします。
 OPにある通り、女性の方(男装不可)の出演は一切お断りさせて頂きます。万一入られた場合、観客という形のみの参加とさせて頂く場合があります。了承ください。
 曲のテーマは特にありません。ですがやはり浜辺&夏。ノリの良いポップ調な曲をお願い致します。
 ドラム・シンセサイザーなど大型の機材に関しては貸し出しも可能です。その旨を木原までお伝えください。
 そうそう、申し遅れましたが衣装『海パンにアロハ』という夏らしい衣装での出演もお願いします。勿論、衣装さんがアロハのみ用意していますので、貸し出し可能。同じく木原に伝えて下さいね。
 では男子達のハッチャけたイカすライヴを楽しみにしております。

●今回の参加者

 fa0475 LUCIFEL(21歳・♂・狼)
 fa0597 仁和 環(27歳・♂・蝙蝠)
 fa2847 柊ラキア(25歳・♂・鴉)
 fa3461 美日郷 司(27歳・♂・蝙蝠)
 fa4578 Iris(25歳・♂・豹)
 fa5331 倉瀬 凛(14歳・♂・猫)
 fa5470 榛原 瑛(26歳・♂・猫)
 fa5870 Judas(25歳・♂・狼)

●リプレイ本文


 真っ青な海に薄く赤色の差す空。太陽が傾いてきたとはいえ、日差しは強く気温はまだ高い。
 女性陣によるセクシーでキュートなライヴを見届けた木原は、息次ぐ間もなく次に控える男性陣がいる多目的ハウスの戸をノックした。
「木原さぁんまたお世話様でーす! 妻の水着姿を僕以外に見せたくないけど、が ま んしたよ!」
「おー、柊君。君って意外に独占欲が強いんだねぇ。まぁあれだけ素敵な人だから仕方ないか」
 勢いよく木原に飛びついたのは、美しいドラマーのご亭主・柊ラキア(fa2847)だ。
「こっちの分野じゃまだまだ新人だけど、大手のイベントは良い機会だから刺激されて帰りたいな。そうだラキ君、結婚おめでとう。ここに負けないくらい熱々らしいね、羨ましい。幸せにね‥‥って幸せか」
 木原の背後からヒョッコリとIris(fa4578)が現れ、柊に声を掛ける。勿論、柊は木原からそっちへダイブ。
 簡易椅子に座り、ギター調整をしていたJudas(fa5870)が彼らを見て、
「二人には妹が世話になってるな。今回は宜しく頼む。にしても男だらけとは‥‥凄い熱気になりそうだ。観客に負けないよう、こちらも熱いステージを作ろう」
 淡々と話す。しかしその表情は穏やかで包むように優しげ。決して棘のあるモノではない。
 そんな中、隅で最年少参加の倉瀬 凛(fa5331)が緊張した面持ちでいた。木原は心配げに声を掛ける。
「倉瀬君、大丈夫かい?」
「あ、はい‥‥だ、大丈夫です。ただLUCIFELさんと榛原さんというセクシーなお兄さん二人とユニットを組む事にドキドキしてしまって‥‥。うわぁ! 何言ってんだろ‥‥僕。け、決して変な意味ではないですっ」
 促され話す彼。だが一部勘違いされそうな発言に、慌てて両手を振り回し否定すると、ドッと笑いが起きる。
「あはは、変な意味でもアリじゃないか? 仔猫ちゃんw 冗談だよ」
 緊張を解すように冗談を放つLUCIFEL(fa0475)。彼をからかうように煌びやかな銀糸の長い前髪をスイっと掻きあげセクシーポーズ。
 三味線の調整をしていた仁和 環(fa0597)がヲイヲイっと小さく突っ込み。窓辺で煙草を吸う榛原 瑛(fa5470)も、それを見て再度小さく笑う。
 ギターを抱えた美日郷 司(fa3461)はシャラララ〜〜っと弦を軽く弾き、今の楽しい心境を音で表す。しかし顔は相変わらずの無表情。ま、これも彼の持ち味なのだ。
「さて、そろそろ出番だ。女の子に負けないくらい熱い盛り上がりを見せてくれよ!!」
 一通り挨拶も終えた彼らに木原はステージへと導く。っと、その前に誰に言われたでもなく、八名の男子は木原を真ん中に円陣を組み、
「さぁて、真夏のライブだ。盛り上げていこうかっ!」
「「「おぉ〜〜!」」」
 LUCIFELの掛け声に合わせ気合いを入れ部屋を飛び出した。


 日が沈み始め涼しい潮風が吹く浜辺。だが集結した野郎共が囲う舞台は場違いな程、熱気に漲らせていた。
「イエー‥‥暑苦し‥‥もとい熱くなってるかー? 始めは俺達『B2 Bros.』からだ」
 仁和は舞台から客を煽るように、灰色に黒の市松模様のサーフパンツの上に羽織った藤紫地に昇龍柄のアロハを翻す。掛けていたサングラスを頭に乗せながらMC。
 その間、髪を一つに結い、黒地に白虎模様アロハの着崩しに合わせた白いサーフパンツ姿の美日郷がギターを掻き鳴らす。
「よーし、更に熱くいくぜー『Nice Summer』!」
 仁和の声にドラムがリズムを刻み、合わせてカッと眩いライトが点滅。
 背後から助っ人のトランペット、サックスの音色がドラムと共に軽快な音を作り上げていき、途中から美日郷が爪弾くギターがメロディで追いつく。
 曲調はスカ系。だがそう緩めでなくややテンポが良い。
 前奏から歌に入る際、仁和は撥を五回ストロークで跳ね上げ三味線に踊らせた。和の面白みのある音と二人の声がハモる。

『Nice Summer』
「 『真夏の太陽 サンサンとBeach』
  人魚にココロ射抜かれて ザマないッス 俺様 でも仕方ないって分かるだろ? (YES!)
  だから祈って 『Have a Nice Summer!』

 コーラスを前に美日郷が声出せよっと口元に手を当て客席にアピール。観客がそれに応えた。
 ヨシッと美日郷は首から下げたクロスのネックレスを跳ね上げクルリと回転し、ギターのネックに指を滑らせ七色の音を紡ぎ仁和とハモる。

「 運命なんて これっぽちも信じてなかった 赤い糸? 人混みで もつれてるんじゃない?
  天啓なんて そんな言葉は笑い飛ばしてた それなのに 何デスカ‥‥「この脳天直撃衝撃は」 」

 仁和は些か情けない歌声を響かせ、客席に手を広げ同意を求め舞台を歩く。ドラムやバイオリン、コントラバスも戯けた曲調だ。
 片言風に歌った仁和に一呼吸間を置き、美日郷もユニゾン。
 ここでギターで曲調を変えリズムカルな音の上に緩やかメロディを走らせる。弱いライトの下で仁和は歌声と三味線を響かせた。

「 偶然じゃなく 必然の出逢いと思いたい 人波しなやかに 泳いで行くMermaid
  魔女に捧げた甘い声は誰の為 愚問だな 俺の為――と思いたいのに‥‥AH 」
 ドドーーン!
 再びカッとライトが照らされ、AHっと仁和は声を高く伸ばし、併せて紙吹雪が吹き上がった。勿論、客席にも降り注いていく。
 ラストも出だしと同じサビ。リズムを戻しテンポが上がる。

「 『真夏の太陽 散々なBeach』
  魔性の瞳に動けなくて ザマないッス 俺様 でも仕方ないって分かるだろ? (YES!)
  だから祈って 『Have a Nice Summer!』
 「俺も祈るぜ Have a Nice Summer‥‥YOU!」 」

 ユニゾンにハモリ。仁和と共に歌う美日郷。客席も彼らと一緒に腕を振り上げ歌う。のっけから激しいステージを繰り広げた二人。
 ラスト、奏者の誰もが楽器を吹き掻き鳴らし、爆発音と共に舞い上がった紙吹雪と共に消えた。
「OK! ギターは美日郷、三味線‥‥環 提供はB2 Bros.がお送りしましたー。お前ら、いい夏送れよー!」
 仁和は手を振り美日郷と共にステージを降りた。

 続いて熱気の冷めない舞台に上がるのは、黄色地のアロハに小さな海亀プリント。グレーの海パンに合わせ【S−type】を掛けた榛原。ドラムチェアーに着く前に辺りを見渡し、
「おー‥‥野郎ばっかだと熱気が違うよな。これから更に熱くなって貰わなきゃなんねぇのに大丈夫かよ?」
 にんまりと笑うと下からダイジョーブっと野太い声が返ってくる。
「HEY、気合い入ってか〜!? ‥‥OK。レディが居ないのはちと寂しいが、まぁ、俺らでしか創れないフィールドもあるわな。お前ら、全力で聴いてけよ! ノリの悪ぃ奴は見逃さねぇぜ? 上に立ちゃ全部見えっからよ。いくぜっ」
 LUCIFELは青地に裾部分にリアルな白狼が描かれたクールなアロハを靡かせ、マイクを手に観客の前を悠々歩く。
 MC終了と同時に榛原のドラムカウント。倉瀬のギターが二本の弦で爪弾くトレモロに乗せて舞台に上がったLUCIFELが透明感と力強さを感じさせる声を響かせる。

『for the shinnig sun』
「 渦巻いた衝動をどこに打ちつけたらいい ギラリ眩しい太陽が心の内(なか)まで焦がすのか
  黒い影 歪む夏 眩暈誘うアスファルト 紅く熟した太陽はどこまで高く輝くのか 」

 榛原の叩くドラムは小刻みで、まるで沸騰直前のようなリズム。合わせて感情を押し込めるような倉瀬のギターから聞こえるメロディが乗る。
 LUCIFELの迫力ある声に榛原は弾みをつけたクラッシュシンバル。だが重すぎず響かせていく。

「 うだって後ろに倒れこむくらいなら 突き進んでから ‥‥くたばっちまえ! 」

 倉瀬のやや後ろ髪引かれるようなギターの音色。何かを溜め込むように小さい。
 歌いながら笑うLUCIFELの唇から、ぶっ飛んだシャウト!
 ここで一旦、落ちていたライトが夜の帳を吹き飛ばすような勢いで発光し、鬱屈を吹き飛ばすように響くギターに速いテンポのドラムが音を支えながらアピール。
 客席が一瞬に湧き、踊り狂う男共。勿論LUCIFELも舞台を走り煽る。

「 縛りついたルーティーンも干せる暑さだ 迷い子たちを包むのは陽炎踊る季節よ
  沸騰する世界に飲み込まれる前に やるだけやるのも悪くない for the shinning sun!
  蹴飛ばすなら今だ! 」

 榛原のドラムが刻むリズムの中を突き進むかのようなLUCIFELの透明感のある歌声。声の雰囲気を増させるよう、倉瀬は爽快感のあるメロディを奏でる。
 彼らは観客を巻き込み全員でシャウト! 思いっきり足を振り上げ髪を振るLUCIFELに代わって、
「真夏の太陽よりも熱き魂を叫んでくれたかー? ‥‥ボーカルLUCIFEL! ドラムは榛原 瑛‥‥ギターは僕、倉瀬 凛で『Sun’s Beet』でしたっ! まだ熱い夏は終わらない、そうこの曲『for the shinnig sun』のようにだ! みんなもバッチリ夏を極めようぜ」
 スタンドマイクに頬を寄せ倉瀬がメンバー紹介。ドラムの榛原は笑顔でスティックのパフォーマンスに勢いよくタムを叩き会場を湧かす。倉瀬は激しいストロークで飾った。
「HEY! 野郎共、Thank You!!」
 LUCIFELのシャウトに合わせ激しく強く響いた音は一瞬に止みライトが、フッと落ちた。

 再びライトが点くと舞台袖から真っ赤な地色に黄色で縁取りされたフレア模様が裾に踊る派手なアロハを着用したJudasが現れた。その小脇に何故か大きなドルフィン浮き輪。舞台中央まで歩いていくと、恭しく丁寧に置き自分の持ち場へ行きギターを構える。
 客席から笑いが起こり、更に輪を掛けるように続いた薄水色のアロハ姿のIrisが、被っていた麦わら帽子をドルフィンに被せ、大人しくしてろよっと言い聞かせるように指さし手を振ってキーボードへ。
 コミカルな演出に観客は耐えきれず大笑い。
 そしてラストは柊の登場。その手には着るハズの夕暮れ椰子の木柄のアロハシャツが振り回され、走る足の動きに合わせ黒地に裾からピンクで炎トライバル柄の海パンが燃えているかのように動く。
 またも大きな笑いの渦。何故ならその背に『妻ぞっこん愛v』の日焼け跡。ライヴまでの間に焼いたようだ。
「おーい野郎共ノッてるかー? トリは僕達『FLAME BURSTER』だよー。このカンジ、イケてるー? 良いカンジでありますようにCircle&Friend!」
 ヘッドレスマイクに叫ぶ柊に合わせ、パネルに付けられた電飾がカラフルに点滅。
 ミディアムテンポでいながらリズム感のある前奏をダブルのフレアストームで熱く奏で客席を盛り上げるJudasと柊。二人は背中合わせの演奏であるが、客席に顔を向けタイミングを合わせ、

「 『いいカンジ? だめなカンジ?』 」

 合間を縫って頭上に手を上げ二泊手拍子。まるでフラメンコのよう。観客も合わせ声と手を打つ。
 キーボードの鍵盤にIrisの指先が軽やかに跳ね踊りノリの良いメロディが飛んでいく。

「 ビーナスが踊るSunset Beach
  口説き文句は星の数 でも僕は砂浜の貝

  逃げるのも惜しい灼熱のアンバランス 馬鹿話しては気楽なのがいいって
  仲間同士でも時に駆け引きのアンサータイム 」

 軽い曲調と柊の明るい歌声に合うJudasのギター。メロディを支えるのはキーボードに前もって曲を入力していたIris。

「 『いいカンジ? だめなカンジ?』 」

 ギターをストロークした柊は、サビの部分で嬉しそうな表情やへたりとした顔へと替える演出。勿論、歌声も表情のように高くなったり低くなったり。感情豊かだ。

「 ビーナスが踊るSunset Beach
  思い出ならば星の数 今皆が主役だろ

  集まっていつの間にか賑やかな Circle&Friend!
  止まらない波に乗るも(浮かぶも) 落ちるも(沈むも) 笑い飛ばしちゃって‥‥GO!! 」

 背後のライトが素早く点滅し、様々な色彩が太陽の落ちた舞台に立つ柊の黒い髪をやや青めに映す。一層の大歓声。野郎の重低音であるが、ノリノリなのには違いはない。
 Judasが弦を細かく鳴らし、キーボードを奏でるIrisはリズムに合わせ体を揺する。
 柊の口から発せられる言葉と音色は性格を表すように自由で伸びやかである。
 曲の終演に近付き、更にリズムはヒートアップ。
「ぎゃあ、楽しいよね! FLAME BURSTERっていいカンジー? 遅くなったけどメンバー紹介ー。僕柊とギターJudas! キーボードはIris! んでもってぇ‥‥会場の野郎どもー!」
 手を思いっきり前へ付きだし煽る柊がここでメンバー紹介。Judasはギターをギュワンッとネックの弦を軽く持ち上げ歪め、Irisは笑顔で手を振りキーボードを奏でる。

「 さーラストは声を合わせていこうかー 『いいカンジ? だめなカンジ?』 ‥‥ 」

 繰り返されるフレーズ。観客達は柊達に手を伸ばし手首を返し一定の動きでテンポを取る。曲が終わっても続く歌声。
 柊とJudas、Irisは肩を組み楽しげに客達の奏でる歌に身を預ける。
 木原に促され舞台へ現れた仁和に美日郷。そして倉瀬に榛原、LUCIFEL達も肩を組み大声で歌う。
 どこまでも続く楽しげな歌声。彼らはス高い舞台上から、広がる空に一番星が輝くのを見た。