MusicFestaで捕まえろ アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 4Lv以上
難度 やや難
報酬 20.7万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 08/22〜08/26

●本文

 さてはてここは毎度お馴染み、様々なモノがフロアに逃げ出し暴走しては、出演してくれる皆が追いかけ捕まえ一段落という番組が制作されるフロア。っといいたいところだがどうにも場が違う。
 そう、ここは海。海水浴客で賑わう浜辺だ。
 毎回毎回、飽きもせず上司にどやされながらも視聴率を確保するプロデューサーT氏が『MusicFesta2007』に協賛し参加したのだ。
 ということでスタッフA君も借り出され、というより一番に仕切らせられ朝からエッホラ働いていた。
 ようやく会場設備なども整わせ、ひと息吐きよく冷えたお茶を手にしたしたところで問う。
 誰にかって? そりゃ決まっている。彼が呆れ表情で話し掛ける人はただ一人しかいない。
「それで、仕事もせずに、なにクソ暑い浜で、んな恰好をしちゃってるんですか?」
 鼻歌混じりで着ぐるみを着込んで喜んでいるT氏に向かって聞く。聞かれた当人は見れば解るじゃんてな表情。
 確かに見れば解る。よーく解る。だがそれでもA君は敢えて訊ねているのだ。
「‥‥だ・か・ら、見れば解りますよ。えぇ、一目瞭然。だけどね一応何の真似かと聞いてるんですよ。説明して下さい」
「んもぅ、そんなに目を剥いてたら、デメ金ちゃんになっちゃうよー。これは鮫。ほら、ライフセイバー達による救助活動デモンストレーションがあるでしょ、それに参加させて貰おうと思ってね。俺の他に鮫に扮する出演者が来てリアルな演出をしようt‥‥」
「そんな演出なんぞいらんわ! あっても向こうの方々が困るでしょっ」
 いつも通り声音に悪気というものが微塵も感じられない奇行まっしぐらなT氏に苛立つA君。
「そう? あると盛り上がる事請け合いだと思うけどなぁ‥‥」
 小首を傾げ腕を組む鮫のT氏。ちょっとお茶目な画面に女の子達はきゃぁ! かわいぃvv っと手などフリフリ奇声を発する。
 それに気をよくした彼は、
「そだ、これだ! MusicFesta杯とにかく鮫さんを捕まえろ! なんてどう?」
 手をぽんっと打ち即興な企画提案。もちろんA君は0.1秒の速さで、
「却下!!!!」
 べごん。
 突っ込みオマケの駄目だし。だが、んなことは毎回なT氏はめげるどころか、彼のウィークポイントを付く。
「直ぐに駄目と言って、人の話を聞かないなんて良くないよ。今回は君も僕も鮫君になって美女軍団に捕まえて貰っちゃうなんてどう?」
 ぐひひっニヤケ笑い。
 それにデレッとなるA君。
「‥‥そ、そういう事なら‥‥アリかも」
 どうやらアッサリと釣られた。やはり彼女いない歴8ヶ月は辛いとみた。
「しかし俺達だけだったら、スグに捕まってしまって面白くないかもしれないですが?」
「だったら、ここに来た男性諸君に鮫の着ぐるみを着て貰って鮫役を買って出てもらい、女性陣に狩られるなんてどうだ?」
「‥‥いいかも。プロデューサーを捕まえたら終了っていう事で。ジャマーは俺と参加してくれた男性陣ですね‥‥。あ! すみません、ちょっと宜しいでしょうか?」
 トントン拍子に企画を運ぶ彼ら。丁度良く、この企画を主催されるエライ方が回ってきて下さり、二人は直ちに交渉にはいる。
 交渉の間、大真面目な顔で話すT氏にA君はこの時ばかりは頼もしいもんだっと思ったが、いかんせん姿が笑えるだけにその感情は半減した。
 無論、企画はOK!
 といことで、とにかく捕まえろ! MusicFesta編の募集である。

■出演者募集
 T氏こと槌谷馨率いる、とにかくシリーズ番外編『MusicFestaで捕まえろ』では海のギャングこと鮫となり女性陣に追われる側と追う側の女性陣を募集致します。
 浜辺では子供も視聴していることがありますので、色々とやりすぎないようにお願いします。
 また捕獲の場合、一対一より団体戦の方が捕まえやすいかと思います。我こそは! と思われる腕自慢のあーた!! ご参加をお待ちしております。
 申し忘れておりましたが、彼らに同行してくださるカメラマンさん数名を含む撮影クルーも同時に募集しております。
 どうぞ奮ってご参加ください。

■注意事項
 浜と海に目印の杭(浜 長さ50m 海 50m)を立てその場を貸し切りにしています。海はそう深くはないのですが、泳げないと困る事になるかもしれません。
 水泳が苦手な方には特別ビート板や浮き輪を用意してあります。
 また浜には幾つかの障害物となるよう壁を用意しています。それを上手く利用して逃げて下さい。勿論、いつものように捕獲道具はスタッフが運び込んだ段ボール3箱の中にあります。
 ハリセン・盥・フリスビーに西瓜など夏に関するモノなども色々と入っている様子。お好きなモノを手に取り、お使いください。
 また男性陣は着ぐるみ着用のため些か不利となっています。そこも考慮して動いて下さい。勿論女性陣に対する攻撃はアリですが、あくまでも鮫のようにお願い致します。

 万が一女性の人数より男性が上回った場合、追う側に回って下さってもOK。ただしその時はもれなく女装付きです!! 
 バラエティーですから。楽しんだ者勝ちということでお願いします。

■内緒の注意事項
 沢山の人間が出入りする浜での撮影のため、獣人は厳禁。半獣人になられる場合、バレないようにしてください。

●今回の参加者

 fa0540 江人原 雷華(20歳・♀・狐)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa2910 イルゼ・クヴァンツ(24歳・♀・狼)
 fa2993 冬織(22歳・♀・狼)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3502 水無月鈴(16歳・♀・小鳥)
 fa3846 Rickey(20歳・♂・犬)
 fa4558 ランディ・ランドルフ(33歳・♀・豹)
 fa4563 椎名 硝子(26歳・♀・豹)

●リプレイ本文


 さてはて毎度のお馴染み会議室‥‥っといいたいところだが些か勝手が違う。そう、ここはMusicfestaが行われている浜辺。バラエティ『とにかくシリーズ』用競技場だ。
 ライヴの合間で観客を更に盛り上げる為、用意された特番にいつも通りT氏の無茶苦茶な企画が起用されたのだ。どこが無茶かと簡単に説明すれば、鮫に扮するT氏・A君を含む男子を水着女子が追い掛けるというモノ。
 てな事で今回10名の参加者が訪れ、うち男子2名とA君・T氏は防水性の鮫キグルミを着用し波間を漂っている。
 そこで白地のビキニに押し込んだボリューム満点Fカップのバストを揺らし拡声器で話す水無月鈴(fa3502)。どうもT氏に担当を頼まれた模様である。
「ライヴを楽しんでいる皆さーん、ご注目! これから海のギャングと称される4匹の鮫‥‥というかこの鮫さん方のボスは確実に女性の敵でそれの捕獲大作戦を行います。ここにいる美女達は、制限時間内に捕まえる事が出来るのでしょうか〜? はたまた鮫さんはまんまと逃げ切るのでしょうか? 楽しみですね。ではここで鮫君のお一人に話を聞いてみましょう。今の心境は?」
「あ、ハイー。この恰好で逃げ回るって結構ハードだね〜。俺個人では鮫より鯱の方が可愛くて良かったんだけどさ。でも鮫らしく演じられる様、役者魂で頑張りたいと思うよ」
 女性陣から離れた波間で両脇の鰭を動かし気合いを入れるRickey(fa3846)らしき鮫。らしきというのは彼ら全員、T氏が捕られないよう似たキグルミ姿だからだ。
 今も話すその声は解り辛いうえ、浜辺から響いているようにも感じる。なんか変と首を捻る観客と女性陣。怪しむ彼らに脳天気な声が響く。
「OH〜♪ ハンマーヘッドでス。襲っちゃうゾ」
 和訳をすれば金槌頭の異名を持つ、シュモク鮫のキグルミが元気一杯横に突き出た目部分を揺すりご満悦の様子。どうも話し方からしてマリアーノ・ファリアス(fa2539)のようだがどうだか解らない。
「まぁいいでしょう‥‥え〜次は追う女性陣に意気込みを聞いてみましょう」
 水無月はホルダーネックのビキニ姿の冬織(fa2993)へ拡声器を向ける。
「本物じゃったら鱶鰭が食せたのにのう‥‥残念じゃがまぁよい。代わりに新しい和服か中華服をしつらえるための賞金をゲットなのじゃ!」
 ガッツポーズを決める冬織。そこでいつもならA君OrT氏の突っ込みがありそうだが、彼らは無反応。それは至極当然、彼女の手に赤黒い斑なシミの付いたハリセンが握られていたから。けっして苺や梅ジャムなど健全なモノで無さそうだ。
 そんな冬織の隣で更に輪を掛けた凶器・刺股を手にスリングショットとビキニを重ね着し暑苦しいことこの上ないが、女王の貫禄オオアリの草壁 蛍(fa3072)が仁王立ち。
「本当は銛や三叉の矛が良かったのだけど、アレだと威力が有り過ぎて血の海を作りそうだからねv」
 いやはや恐ろしい事をサラリと流す。
「‥‥凄い激戦となりそうですね‥‥では競技開始!」
 パァンっ!
 軽快な音と一緒に女性による男子鮫捕獲が開始された。


 合図と共に一斉に海に入る彼女達。浮き輪で優雅にたゆる椎名 硝子(fa4563)にビーチボールに掴まり泳ぐティタネス(fa3251)。その脇を華麗なフォームで進むイルゼ・クヴァンツ(fa2910)。
 ビート板を手に逃げ始める鮫を追い詰めだす。
 だが彼らとてすぐに捕まる訳にはいかない。囮になる鮫の一人が立ち泳ぎでバスケのフェイントのように体を交互に揺らし、逃走の術を探っていく。
「‥‥以前の感触、気持ち良かったですか?」
 囮の背後で逃げる鮫をただ見ている程、イルゼは無能ではない。不意に囮に声を掛けた。それは前回のメイドの話。体を揺すっていた鮫は、ドキリとしたように水中の細い肢体に目が釘付け。布地の少ない肩紐無しチューブトップブラと悩殺な姿にメロメロのよう。
 鮫‥‥A君はメイドも良かったが、セクシーな中にも清潔感あるブルーのラインがポイント高いぞ。ぐふふ、T氏の誘惑に負けて良かったw なぁんて頭の中は雑念で一杯。
 イルゼは、ぼーっとする鮫が誰だか悟ったように目を細め、軽蔑の視線を投げ脇を抜けていく。
「あぁ‥‥イ、イルゼさん、そんな目で見ないでっ。‥‥つい夏悪魔の誘惑に負けて‥‥」
 慌てふためくA君鮫は縋る。しかし敢えてスルーし向こうにいる鮫へ突撃開始。‥‥だが何故か先に進まない。見ればA君鮫が足を掴み行かせまいとしていた。突然、足を水中に引かれ沈ませられた。
 イルゼは慌てて海上に顔を出す、っが腕を思いっきり振り回した拍子にブラがズレてしまっていた。それにも冷静に対処するべく再度水中へ潜る。
 そこに過度のサービスに神経を尖らせる追い掛け兼レフリーのランディ・ランドルフ(fa4558)が、競技用水着+競泳帽姿でピィッと笛を吹き、イエローカードをA君鮫に突き付けた。
「‥‥悪あがきは男らしくないですよ、A君」
 水中でブラを直したイルゼが、寒々しい声でA君を凹ます。だからといって掴んだ足を放すわけにはいかない。ランディはそれを見て、再度カードを突き付けた。二枚の注意カードの跡のカードは‥‥決まっている。
「ほっほっほ〜レッドカードじゃ。ほぉれ夏の風物詩西瓜ボーリングでどうじゃ!」
 冬織がボーリングとは名ばかりに西瓜を投下! イルゼは体を半捻りし交わす。っと西瓜は見事、A君鮫の頭に直撃。割れた西瓜の色からすれば確かにレッドカード? だ。
 観客から納得と拍手、大きな笑いが上がった。やられたA君はブクブクっと沈み、そこで水無月の実況中継。
「ここで早々と鮫の一人、A君がリタイアのようです!」
 意外に呆気なく逃れたイルゼは再度、鮫へ突撃開始。
 追われる鮫とクルクルと海中鬼ごっこ。イルゼの方もビキニのズレと競技時間を気にしてか、動きが幾ばくか鈍い。観客から二人を声援する声が響いた。
 その間、プカプカと波間を泳ぎつつ確認していたもう一方の鮫とマリアーノ鮫が逃走を図っている。
「ハァイv せっかくの海。泳いで遊ばなきゃ損よねぇ‥‥。そうだ水かけっこしない?」
「こ、これはメリハリバディお姉さんっ! だったら海の家でお茶しながら日焼け止め塗りっこなんてどうだい?」
 椎名の色っぽい誘いに激しく頷き、エロ親父まっしぐらのT氏らしき鮫。激しいバタ足で彼女へ近付こうとするが、マリアーノが割った。
「NO! 危ないデェス」
 そう彼の言う通り、椎名とタッグを組み波打ち際で繕い物をしていた江人原 雷華(fa0540)が、仕上がったばかりの網‥‥もといでっかい蚊帳を投げ網の要領で投下したのだ。
 マリアーノは恐がって椎名に抱きつき巻き込む。しかしそれは事故と思わせた故意。やはり油断ならないお姉さん好きのマリアーノ。
 網の中で嬉しげに飛び出た頭を椎名の胸に押しつけつつ、赤いビキニにパレオを巻いたセクシーな姿だというのに、漢前に網を引く江人原の元へ。
 男性観客も遠慮なしに踏ん張る彼女を応援。それを手伝う締まった体にAラインにトロピカルな水着姿のティタネス。
 その間もう一人残っていた海を泳ぐ鮫を、浮き輪で追い掛ける冬織。
「きゃあ! 水着が流されちゃった!?」
 どうも激しく動いたせいか、ビキニのブラが外れてしまったようだ。口調も代わり肌を隠し狼狽えている。
「お〜大丈夫? もしかしてこれかな?」
 女性が困っているのを見捨てられない鮫男が水着を取り彼女の元へ。無論この間は一時休戦のハズ。
 だがしかし!
「残念じゃったのう。もう一枚着ておるわっ!」
 と、冬織の考えた奇襲戦だった。彼女は隠し持ったハリセンで殴打。慌てて潜り逃げる鮫にクロールで追いすがる。足鰭を思いっきり握りキックを企てようとするが、
「んなコトしたら大変な事になっちゃうよー」
 鮫は掴まれながらも悪態。嘘だと思い再度、足を上げようとしたその時、頬を染めバッと海の中へ潜った。
「女の子がはしたないコトしちゃノンノン」
 チチチっと振る鰭になんと冬織のボトムが引っ掛かってる。彼は瞬間的に彼女から奪ったようだ。冬織も流石に下は重ねていなかったよう。
「なんとも、えげつない事を〜〜」
 ムギーッと水を叩く冬織。会場から双眼鏡で様子を見ていた水無月がアナウンス。
「冬織さんが水着を取られリタイヤ? です」
 水無月のコメントに今にも飛びださんばかりの男性達。しかし係員にしっかり止められた。
 一方、浜まで引き上げられた椎名とマリアーノ。
「あら‥‥? ちょっと網が首に絡まってるのかしら? 大丈夫」
 網に引っ掛かり身動きの取れない椎名を心配する江人原。いんや絡んでいるのは網ではなくマリアーノだ。
 絡む二人を見てこっそりと頭を抱えるRickey。
「うふふ、触り心地は良いけれど、おイタしちゃ駄目よ。悪い鮫っ子はロープで縛っておきましょ」
 陸に揚げられ網を解かれた二人。椎名は素早くロープを取り出しふんじばろうとするが、残念、おふざけはここまで。彼は驚かせるようにズラリと並んだ歯(ラバー製)をこれ見よがしに見せつけ、肩に軽く噛み付いた。突飛な反撃に鋭い悲鳴を上げ戸惑う。マリアーノはその隙にダッシュ。
「おっと逃がさないですわよ。尋常に勝負!」
 礼儀正しく待っていた草壁は、手にした刺す股を構える。睨み合う二人。どっちからともなく時代劇のように波打ち際を走りだす。だがいかんせん、ビキニに刺す股というデンジャラスなレディの相手がにょっきり足の生えた魚人というのは、どうにも緊張感が薄いというもの。
 しかしんな事を気にせず真顔で浜を走る二人。だが次の瞬間に勝負がアッサリと付いた。それは草壁との間に奇っ怪な音、大きな鮫が割って入ったから。
 驚き飛び退く二人の前に黒白の大きな鮫っとそれを抱きかかえたイルゼがいた。
「T氏‥‥ようやく観念しましたか‥‥ってアラ?」
 意外な程簡単に掴まってしまったT氏に息を吐くイルゼだが、次の瞬間ビュシューッという音と共に鮫から空気が抜けた。彼女は驚き、意外な程素っ頓狂な声を上げてしまった。
「それはシャチだねぇ。鮫に似ているけど全く異なるモノだぴょーーんw」
 砂壁の後ろからリモコンを持った鮫が現れた。そうこれは海に4人がいると見せかけたトリック。
 あまりの巧妙さに本気モードになったイルゼが砂浜をダッシュ。マリアーノが跡を追う。それに引き寄せられるように草壁も走り出すが‥‥ズボッ!
 小さな悲鳴と共に穴に落ちた。
「ここで草壁選手もリタイア。残念です‥‥」
 覗きこめば、敷かれたマットの上で、やぁんっvと外れたブラを手に体をくねらす彼女。ええど〜な歓声に海から上がったランディーは、睨みを効かせ、草壁のいる穴にスタッフの用意したバスタオルを投げてダッシュ。
 陸にいた鮫とマリアーノが扮するシュモク鮫は、既に周りを囲まれ逃げる術がない。そこを利用し右から網を手にする江人原と、左からロープを手ににじり寄る椎名。
 二人はタイミングを合わせ、彼らに投げつける。っが、マリアーノが鮫の鰭を掴み猛ダッシュ。流石、中で半獣でいるだけある。上手く逃げ切った。っということで飛び道具の行く先は決定。
「「きゃぁ?!」」
 味方相討ちで倒れる二人。
「機転で難を逃れた鮫さん。椎名さん江人原さんがリタイア!」
 手を打ち合喜ぶ鮫さんず。だがまだ競技は続いている。水着のズレを構うことなく勢いよく走り込んできたイルゼが、シュモク鮫にアッタック。不意を付かれマリアーノは為す術もなくか、眺めの良さに負けて捕獲された。
 慌てて逃げ出す鮫。ギミックを使い大口を開けて脅すも死角から飛び出したランディーに押さえられた。彼女はT氏だと確信しながらキグルミを引っぺがす。っと、中から出たのはなんとRickey。
「う〜〜熱い〜。T氏の影武者鮫役って大変だったー。ねぇ終わったら西瓜食べていい?」
 まんまと彼の演技力に一杯食わされた。悔しげに砂を掴むランディー。
「ここで大波乱! なんとT氏は影武者を使ってました。イルゼさんランディーさん残念! ですがしっかりとマリアーノ君にRickey君を押さえました」
 水無月のアナウンスに客が湧き、視線は海へ。波に揉まれているティタネスと鮫のT氏の一騎打ちを見守る。
「やっぱりね、T氏の事だものドンデンがあると思ってたんだ」
「流石はティタネスちゃん。でもあと終了時間まで僅か。俺は逃げ切るぜ☆」
 ビーチボールを抱えながら足を懸命に掛くも前を行くT氏との差が縮まらない。時間がなく戸惑う彼女の元へ冬織が近付いてきた。先程の恨みを晴らすべくティタネスに相談し頷き合う二人。
「な、何しようっていうの?!」
「お主のような女子の敵は天誅じゃぁ」
 ティタネスが抱えていたボールを高々と投げ、冬織が腹の辺りで組んだ腕に片足を乗せた。ティタネスはボールの落ちてくるタイミングに合わせ冬織の組んだ手からジャンプ。勿論跳躍力をつけさせるように冬織も高く腕を上げる。
 ずばーーーんっ!!!
 見事なジャンプアタック。ボールは潮風を裂き勢いよくT氏の後頭部を打つ。
 無言でぷかぁっと浮かぶT氏鮫。ティタネスは嬉しげに泳いで行き、その鰭を取ると大きく広げ、
「とったどー!」
 叫んだ。おぉぉーーっという大歓声の中、イベントが無事に終了した。

 因みにその後、男性は鮫姿、女性は水着で納涼西瓜割り大会が開催されたらしい。