ご当地★HERO沖縄編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 6.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/18〜10/21

●本文

 あの日本全国津々浦々を回りその土地のHEROとなり名物や名所を案内するという番組が最期の地に選んだのは、沖縄県。
「ん〜、長かったご当地もこれが最後。そうなるとちょっと切なく感じるよなぁ」
 爽やかな秋風にシャツをはためかせ担当をしていたディレクターが言う。
 スタッフの誰もが大きく頷き、中にはハンカチで目を拭う者もいる。
「さ、最後は沖縄県! ラストを飾るには相応しい場所だ! みんな気張っていこう」
 おっしゃあーっと腕を振り上げるディレクターの掛け声に合わせ、皆、手を振り上げた。

■再び登場した若手ディレクター企画『ご当地★HERO神奈川編』に出演して下さる方を募集致します。
 この番組は『地域密着エンター風旅番組』で、挙げられた土地に因むHEROや悪役を募集しております。
 面白そう、この土地は任せろ! っと思った方、またディレクターのクルーとして参加して下さるカメラマンや裏方さんも同時に募集しております。
 皆様の手で楽しく地域を紹介し、視聴してくれる方が行きたくなるような旅番組に仕上げて下さい。
 では若手ディレクターと共にご参加をお待ち申し上げます。

■注意点と決めて頂きたいこと
・『ご当地HERO』とは地域密着型英雄で、主な仕事は地域の観光地アピールや特産物の紹介など、そしてたまに悪者を戦う事と、様々な仕事を請け負っています。
 彼らの名前や容姿、着ているもの、その他に方言や設定、人数など細かな点を皆様でお考えください。
 また同じように悪役もご一緒に宜しくお願いします。
 その場合は、必ずその地方の特産物や地域名をもじったものでお願いします。【例:埼玉HERO★カスカビーレッド、イワッキグリーン。悪役 ソウカ堅ヤッキー等】
 なお、皆様の考えてくださった面白キャラクターを生かしたいので、実在するもキャラの使用は禁止いたします。
・この番組は特撮ではなく、彼らが戦うばかりを要求していません。仲良く名産品や名所を案内して頂いてもけっこうです。
 その場合、近場でしたら行けますが、遠距離はVTR編集となります。
・必ず指定した県のアピールをお願いします。他県を紹介されても反映することが出来ません。ご了承ください。
・最後に喧嘩の無いよう、またTV番組という事をお忘れ無く、担当したご当地の悪い処を挙げ連ねる行為はご遠慮願うと言うことで、皆さんで楽しんみながら、お決めください。(これが一番大事)

※沖縄県は中央に基地がある為横断が出来ません。周りを動くので時間が掛かります。
 島の紹介も出来ますが、交通に時間が掛かる為、移動は出来ません。こちらはHEROとなった皆さんが取材してきたという形でVTRでの紹介か、また中継というようなものも可能です。
 沖縄には五箇所の道の駅がありますが、気にせずお好きなところを紹介してください。

●今回の参加者

 fa0791 美角やよい(20歳・♀・牛)
 fa1674 飛呂氏(39歳・♂・竜)
 fa3066 エミリオ・カルマ(18歳・♂・トカゲ)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3605 ルージュ・シャトン(12歳・♀・猫)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa5082 鷹飼・源八朗(19歳・♂・鷹)
 fa5442 瑛椰 翼(17歳・♂・犬)

●リプレイ本文


 ポップなタイトル文字が画面を躍り、エンターな旅番組『ご当地☆HERO』が始まると早速、秋晴れの沖縄の空が映る。その青にグーなコントラストを見せる瑞泉門の真っ赤な櫓とそれを支える白い石柱が映り傍のシーサー像が動き出した。
 吃驚仰天の画はCG処理のもの。擬人化したシーサーは人懐っこい笑顔(?)で早速ご挨拶。
「めんそーれっ♪ わんはうちなーHEROのガードシーサーさー」
 その声、美角やよい(fa0791)だ。彼女は家の守り神の一つ、シーサーを模した面に沖縄の祭・エイサーの衣装を着たHEROとなっていた。因みに衣装はスーツを用意できなかったスタイリストさんの代案である。
「わんが紹介するのは石灰岩丘陵に築かれたグスクと呼ばれる城、首里城さー。14世紀後半ぐらいに建築されたんだ。誰が築いたのかは不明なんさー。城壁や建物の基礎など一部以外は殆どは再建された物さー。世界遺産には城と明記されず『首里城跡』と登録されてるんだ」
 彼女は異国風の情緒も漂う石門や木造建築を案内していく。
「それでここが御庭・ウナーと呼ばれる広場。首里城を象徴する正殿の前にあるここは重要な儀式や式典の他に唐手の演舞も行われていたんだよ。こういうのね」
 美角は広場まで来ると、待っていた甘薯マンに扮する鷹飼・源八朗(fa5082)に視線を送り、いきなり唐手の手合わせ。打合せ通り動きやすい砂糖黍のような色合いの袴と胴衣を着た彼が機敏に動く。それはあくまでも演舞だ。しかしなかなかグーなモノ。それを眺める巨大ゴーヤの瑛椰 翼(fa5442)が、
「あ〜‥‥何かを思い出しそうだ!」
 その言葉にカメラがそちらへ向く。っと勢いよくポーズを決め、
「そう、噂のアイツが帰ってきた」
 番組CMらしい口調で話す彼。言葉を発する度にキメポーズ。いやはや凄いハイテンションだ。
「緑色のイボイボが憎いぜ、コンチクショウ! 愛すべき沖縄の為、俺は立ち上がるっ! 沖縄・ゴーヤンダー、近日ロードショー‥‥見逃すなよ!?」
 荒波が描かれたパネルを背景にエアマントを翻してキメポーズで場を括る。それが格好いいか解らないが見ていた美角と鷹飼が拍手を送った。瑛椰は嬉しげにお辞儀をすると、
「‥‥て事でご機嫌よう。ではこれまでのあらすじを説明しよう。最大の敵・明太フーンの攻撃で記憶を失った俺、ゴーヤンダー。しかし仲間達の助けを借り少しずつ取り戻していく。そして番組最後の今日、完全復活を遂げるっ! ‥‥ハズ」
 ‥‥ハズって、をぃ。
 美角は素早くツッコミチョップ。鷹飼はテンションに付いていけず脱力。
「‥‥はぁ。なんだか紹介もしてないのに疲れてきたぞ? こういう時は砂糖黍ジュースだな。かなり甘いが暑い日に飲むと美味しく‥‥まさに甘露。疲れも吹き飛ぶのだ」
 水筒を取りだしガブリ。あぁ美味いと頷き、別の水筒を二人に振る舞った。
「よし、ここで砂糖黍の収穫や加工を紹介しよう」
 美味しいと頷き合う二人を見て、気をよくした鷹飼は、早速ご当地紹介へ。彼のキューの合図に奄美大島の砂糖黍畑の画が映る。収穫を待つばかりに育った砂唐黍達。秋風に揺れて心地よさ気だ。
「砂糖黍は長い1本の茎から、およそ4〜5本の2節苗を取り、ほ場に植え付けていくんだ。生育期間は長いもので1年半。収穫は12月から始まり4月頃である。それは品種によって変わり登熟の進み具合で収穫時期を考慮しているんだ」
 映像は収集機が動き綺麗に刈り取っていく画から加工場へ。様々な工程を順繰とカメラが巡り映していく。最後は黒砂糖となった砂糖黍の画となり終了。また鷹飼が映し出され、
「どうだ、手が込んでいるだろう。だから美味しく甘く、そして元気の源となるモノとなる。こうやって囓るのも美味いぞ」
 鷹飼は手にした砂糖黍を噛みしだく。そこに瑛椰が、
「それ歯の健康にも良さそうだね。なら俺からは‥‥これだ! みんな大好き、人気の果物パイナップル。昔から産地として本島北部が有名なんだ。酸性質の赤土が栽培に適してるからなんだぞ」
 スタッフからパイナップルを受け取り、教育番組のお兄さん宜しく爽やかな説明口調で進行していく。
「ここで酸性質の赤土について説明をしよう‥‥」
「そんな難しい話は‥‥つか、設定では記憶を失っているのに説明が出来るの?」
 鋭いツッコミを入れる美角。瑛椰は痛い所を突かれ胸を押さえる。
「ぐはっ! そ、そうだ‥‥た。でも最後に言わせてくれ、パイナップルパークにいるヒロインは俺のGFだ」
 がくり。
 最後まですっ飛んだ発言の瑛椰がその場にぶっ倒れる。
「お、お願いだ! 俺に力を‥‥沖縄紹介をヨロシクぅ」
「よし、俺のご当地紹介で元気になるのだ!」
 何とも情けない声で訴える彼。そこにのしのしっと現れた頭にハブの覆面を付け道着を纏ったHERO? はぶさ〜に扮する飛呂氏(fa1674)が勇ましくポーズを決め、早速、VTRキューの合図。
 合わせて画面が替わり、島の醸造元を訊ねている彼が映しだされた。
「沖縄独自の銘酒、泡盛や古酒。その起源は古来、島々の原酒・シゲチ酒と南蛮酒の融合したものと言われている。原料は米と水、そして黒麺菌。こうやって黒い瓶の中でじっくり貯蔵され作られ、美味く変化していくのだ」
 瓶を眺める彼。その喉の鳴る音が聞こえてきそう。更に画は切り替わり、
「泡盛に合うツマミは‥‥甘辛く煮付けたラフテーやピーナッツバターと酢で和えたミミガーなど豚料理。その他にもチャンプルーなど良く合うな」
 彼はどこかの料亭に入ったようだ。その目の前に並ぶ料理の数々。どれも美味そう。瑛椰が段々と立ち上がり復活を果す。
「さ、最後にもう一丁! これを飲むのだ」
 ここでVTRから元の画に戻り、飛呂氏は瑛椰にグラスを渡す。遠慮したいところだが威圧に負けて一気飲み。
 ぐびびっ! ‥‥ドォン!
 ぶっ倒れる瑛椰。そのハズそれはハブ酒。ニヤリ不敵に笑う飛呂氏。
「ふはは! 掛かったな。俺はHEROを打倒するため現れた裏名物ハブHEROさー。因みにハブはクサリヘビ科の毒ヘビの一種。沖縄や奄美諸島、台湾などに分布している。容姿は頭が平たく三角形状なんだ。漢字で「波布」とも書く」
 フリップを手に解説する。更に言葉を続け、
「ピット器官という優れた熱源感知能力をもっているが耳はない。しかし不便はないぞ!」
 耳がないとは大胆不敵を予想させるHEROのよう。倒れた瑛椰に代わり向かうHEROの二名。だがここは番組都合上、敢えなくダウン。
 ということで、ちょっと拙い事になったようなご当地HERO!? と、ここで一旦CMである。


 CM明け。白い砂浜に青を貴重としたウェットスーツに身を包んだHERO・ウチナーン・シーに扮したティタネス(fa3251)が真剣な眼差しで今までの流れを見ていた。
「‥‥これはまずいな。ここからご当地紹介をして彼らに力を与えよう」
 動くたびにキラリと赤い珊瑚色に変化する特殊なスーツは勿論CG合成。彼女は悩んだ表情を見せるもすぐに手を打ち早速ご当地紹介に入る。
「沖縄といえば青い海。日本で唯一の亜熱帯気候で一年を通じて比較的暖かく、海開きは3月下旬から4月。終わりは10月までと、長く海水浴を楽しめるんだよ。本島の海水浴場もグッドだけれど、一度は体験したいのは島の海! 慶良間諸島の他、離島の海水浴場や自然の砂浜。最高だよ」
 海を背景に話しだす彼女に合わせ本島の海の他に島の海が、画面に流れる。
「ね、島によって海の雰囲気も違うんだ。どこも泳ぐ他、色々なマリンスポーツが楽しめる。あたし的にはダイビングやシュノーケリングを試してほしいな。あ、あれ、そこにいるのは、やまま〜ちゃん? どうしたの」
 西表島が映し出され、ダイバー達が楽しげに手を振っている。そんな所に探し物をしキョロキョロしているヒョウ柄に近い猫の着ぐるみを着たやまま〜となるルージュ・シャトン(fa3605)がいた。彼女はティタネスの声に気付き、
「あ〜、ウチナーン・シーちゃんニャか? あのね、名物の星の砂を見つけて三人を助けたいと思ってるニャ」
 どうやら彼女もモニターを見て心配したようだ。ここでティタネスから西表にカメラが切り替わった。
「他の名物も見つけてもっと元気に‥‥そうニャ、マングローブ! それは熱帯、亜熱帯地域の汽水域に生える木の総称ニャ。日本には七種類あるんニャよ。そこにはシレナシジミという普通の倍以上もあるシジミもいたりと、色々な生物も見る事ができるので楽しいニャ。見学はカヌーを使うと冒険気分を存分に味わえるニャよ」
 画面に水の中に生えるマングローブが映し出され、そこで暮らす爬虫類や魚の画となかなかワイルドな画像がお茶の間に届く。
「他にも滝や、天然記念物に指定される動物の生体を知る事の出来る博物館があったりと見所が沢山ニャよ☆ 疲れたらパイナップルやマンゴーを食べて一息付くのもOKニャ。あ! 星の砂、見つけたニャ」
 色々と紹介を終えたルージュはお目当ての小さな砂粒を見つけ、掌に載せカメラの前に差しだすと満面の笑顔を送ったところで次のHEROの登場。
「ふふ、やまま〜ちゃん、良かったね! 私も早くガードシーサーさんを助けなきゃ。次は宮古島から雪塩の精と一緒に三つの日本一を観に行きましょう」
 真っ白なワンピを風に靡かせ、愛車のマラネーロで島を走るのは塩の妖精HEROとなる雅楽川 陽向(fa4371)だ。彼女は同乗のカメラさんに笑顔を向けると、早速ご当地紹介。因みにここから先の一部は番組都合上VTRである。
「まず一つ目は青い屋根の面白い建物のここ。日本一南にある美術館なんです。島出身の画家の個人美術館でもあるのですが、様々なアーティストの作品が展示されて、なんと館内での写真撮影が許可されていたりするんですよ。素敵な作品達と一緒に写真て良いでしょ? あ、でも撮影の際はきちんとマナーを守って下さいね」
 雅楽川は右下に映る美術品を紹介しながら、次へ。
「お次は、みやこパラダイス。日本一のとても広〜い蝶々園なのです。200種類以上の熱帯植物と10種類の蝶々達が自由に飛び交っています。勿論一年中ね」
 切り替わった右下の画面にはハイビスカスやブーゲンビリアの他、珍しい植物が綺麗に植わり、そこを優雅に行き交う蝶が何とも癒しの空間を与えている画。雅楽川もウットリだ。
「まさにパラダイスの名に相応しい場所ですね。そうそうご当地特有の薬草やハーブを集めた地元のお料理も楽しめるレストランもあるのでお腹も満足♪ では最後の日本一はこちら! もう最後の日本一に到着してますよ、どこだと思います?」
 そういう彼女は車から降りると歩き出す。
「はい! 足元の来間大橋です。1690mと日本一長い農道橋なんですよ。ここから見る景色はもう最高! ドライブスポットとしても有名なんですよ。こちらに来た際はどうぞ来てくださいね」
 ニッコリと笑んで紹介を終了させる雅楽川に継いで、画面が他の島へ飛ぶ。
「素敵な所ばかりだね! ほんと最高の景色‥‥でも俺のいるここ波照間だって、景色も‥‥夜空も負けないくらいグッドだよ」
 ムシャマーという波照間島豊年祭の紺地に赤い襟の法被に右肩にシーサーを付けたエミリオ・カルマ(fa3066)が、上手く言葉を紡ぎ入る。
「名乗るのが遅れたね、俺は波照間ムシャマー。沖縄本島から500km離れた小さな島に住むHEROだよ。有人島では日本最南端の場所にある島だよ」
 彼は見よと言わんばかりに崖の傍に建てられた最南端之碑を差し、紹介を続ける。
「この島のとっておきの名物は星が綺麗に見られる事! 全天で88個ある星座のうち、なんと84個を見る事が出来るんだ。更に南十字まで見られる数少ない場所でもある。観測は星空観測タワーでね! 屋上のドームには望遠鏡やプラネタリウムがあり、室内での天体観測も可能! のハズだったんだけれど、残念ながら現在は台風被害のため一部のみの営業‥‥早く直るといいね!」
 前撮りしていた夜空のVTRが流れる。肉眼で見る星達の煌めきがなんともロマンチック。それも空気が澄んで周りに人工的な照明が少ない賜。一度行ったことのあるディレクターは蠍座のほぼ全形に感動した事を思い出す。
「南十字星は毎年12〜6月までが観測季節。これからシーズンを迎えるね。夜は星、昼間はプライベートビーチさながらの浜辺で遊ぶ事をお勧めするよ」
 上手く締めるエミリオ。彼の肩口に止まるシーサー面も嬉しそうだ。そこにティタネスの声が聞こえ画面がそっちに切り替わる。
「やっぱりどの島も海が綺麗だよね〜。でもさすがに11月に入ると海水浴は厳しいかも? そんなシーズンにお勧めはグラスボートや水中観光船! どちらも海中の珊瑚や魚を観察する事ができ、天気がよければいつでも運行しているから予定にも組み込みやすいんだ。っと、ね、そろそろゴーヤンダーさん達、元気になった?」
 解説を終えた彼女が画面に向かって呼びかける。っと切り替わり、彼らの紹介とブクブク茶を堪能していた4名のHEROが映し出された。
 慌てて2対1に別れ身構える。
「みんな有難う! 記憶も体力も戻ったぜ☆ ハブサー。さっきのお返しだっ」
「やれるモノならやってみよ!」
 キメポーズを取る瑛椰に美角。それを笑い飛ばす飛呂氏。一触即発の事態に鷹飼が割って入る。
「なー同じご当地HEROが戦うなんて‥‥いかんっ。島んちゅーは皆命どぅ宝の精神に乗っ取るのさー」
 そう沖縄に根付く素敵な心意気。皆は大きく頷き、仲良く手を振り番組を締めた。