Making of Buccaneersアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 9人
サポート 0人
期間 09/28〜09/30

●本文

 一艘の木造船が沖を滑るように進んでいく。その旅立ちを真っ青な空も海も祝福しているようだ。
 風を孕み脹れる真っ白な帆。高々と立てられたマストに真っ赤なジョリー・ロジャー(海賊旗)がはためく。
 そこに映し出されたドラマタイトルを豪奢に飾った文字が流れ消えた。

 そこで画面が切り替わり、隔週水曜に放送される『Female Buccaneers2』が制作されるロケ地。
 今日も順調に撮影が行われ、出演する誰もが真剣な表情で剣や銃を振り回し熱演を繰り広げていた。それを見守る大道具さんやカメラマンっと諸々のスタッフ達。中には出番を待ち、または終えたばかりのエキストラの姿もある。
 熱気が満ちたそこに、ようやく監督からの本日の撮影終了の合図。誰もがその声に緊張を緩ませ、互いに労いの言葉を掛け合うと控え室へ‥‥っと言いたいところだが、今日は少しばかり勝手が違うよう。
 何故なら、この度めでたくドラマDVDが発売されるに当たって『Making of Buccaneers』と題された特典映像を作るため、別のスタッフとインタビュアーにカメラが待ち構えていたのだ。
 特典の内容は、様々な撮影風景やエピソードを折り込んだ出演者達へのインタビューに、お勧めするドラマの見所。そしてNG集だ。
 少し間を置き、出演者やスタッフ達が一息ついた頃合いを見計ったインタビュアーがマイクを手に出演者達の前に現れた。
「撮影、お疲れ様。お忙しい中すみません。そろそろ皆さんにお話を聞いてもいいかな?」
 出演者達に用意した座り心地の良いソファを勧め、挨拶と主旨を伝えると、さっそくカメラを回し新たな撮影を開始した。

 インタビューに関しては解答に困るモノもあると思いますので、それには答えずにいてくださっても大丈夫です。
 また、インタビューにない質問も一つ二つ入れてくださっても大丈夫です。
・役に対しての思いを聞かせてください。
・過去、楽しかったシーンか、苦労されたシーンを一つお話しください。
・撮影現場で起こったエピソードを聞かせてください。
・撮影しているシーンで撮られている場面を皆様で一つ上げて下さい。(過去作品の場面を使って下さっても大丈夫です)
・NGシーン (一人につき一つ程でお願いします。なければ入れずに)

 この他に、この番組で裏方として参加しているんだ。という方もどうぞ出演してください。
 海賊船や海のシーンの映像を作る技術。出演者との衣装やメイクの遣り取りなど披露して下さると一層盛り上がると思います。
・自分はこのシーンの大道具や小道具を作った。
・監督との撮影秘話
・スタッフとのエピソード

 皆様がきちんと相談し話し合った上でプレイングをこちらに送って来てください。

●今回の参加者

 fa1761 AAA(35歳・♂・猿)
 fa1851 紗綾(18歳・♀・兎)
 fa3293 Even(22歳・♂・狐)
 fa3325 マーシャ・イェリーツァ(23歳・♀・兎)
 fa3797 四條 キリエ(26歳・♀・アライグマ)
 fa4123 豊浦 まつり(24歳・♀・猫)
 fa4563 椎名 硝子(26歳・♀・豹)
 fa4764 日向みちる(26歳・♀・豹)
 fa4940 雪城かおる(23歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●Making of Buccaneers
 『female Buccaneers』のドラマDVDBOX化が決定し、特典映像も盛り込まれる事となった。本編とは別に用意されるディスク。カメラマンとして参加していたギルは監督と共に出来上がったばかりの映像を見ていた。

●現場舞台裏
 メニュー画面にあるタイトルをクリックする。と、広いスタジオに作られた港のセットとジョリー・ルージュ号の甲板セットが画面に現れた。
 撮影しているのは続編の1話目。ジョリー・ルージュを奪還すべく火薬を仕込み敵を翻弄して足止めをするシーンだ。
 幾度となくリハーサルが繰り返されてようやく本番。
「アクション!」
 監督の声とカチンコが響くと、スタッフ達は静まり、真剣に演技する出演者達を見詰める。
 タイムを計る係が合図を送ると、ロゼッタ役の紗綾(fa1851)は導火線に火を放ち場を走りだす。行き先はプライベーティア号の船長、ジルを演じるEven(fa3293)の前。過ぎる直前に可愛らしく敬礼とウインクの予定だ。
 二人、上手く演じた直後、タイミング通り爆発音。音にパニックに陥った風で逃げ惑う端役達。そんな危機的な状況でもカップを口元に運びながら笑顔のジル。その演技、板に付いたものである。
 モニターと彼らを真剣な表情で見ていた監督がOKのサイン。演技を終えて舞台袖の紗綾の緊張で強ばった顔が緩む。スタッフの間からも拍手が起こり画面が暗転した。
 次いでその場面に繋がるシーンの撮影。ロープに掴まり自分達の船へ飛び乗る算段のリコリス・コーラル役の椎名 硝子(fa4563)とメアリー・ショウを演じるマーシャ・イェリーツァ(fa3325)。
 メイク・衣装を引き受ける四條 キリエ(fa3797)がチェックの後エールを送った。
「リハーサル‥‥アクション!」
 監督の声が響くと、椎名は威勢良く台詞を言い、床を蹴りつけ宙を舞う。続くマーシャ。二人は甲板に着地をすると、すぐさま剣を振るう。
 打合せ通りの殺陣の演技だ。だが見れば椎名は手に持っていたはずの棒がない。背後でガランっと音が響いた。どうやらすぽ抜けて飛んでしまったよう。
「‥‥あぁ、やっぱり殺陣って難しいわ」
 笑うスタッフが彼女に剣を渡すと暗転しメニュー画面へ。ギルは次のタイトルをクリックした。

●インタビュー
 画面は白い砂浜を歩く女船長リコリスを捉えると、そこに椎名のアフレコが入る。
「ハァイ! リコリス役のシーナよ。‥‥彼女を一言で言うと男前で格好良い女性。とてもスマートでクールなの。こういうタイプを演じるのはおそらく初めて。前に舞台で男性役を演じた事はあるけれど、男を演じるのとハンサムな女性を演じるのは、全然違っていて驚きの連続ばかり。彼女って海の荒くれと肩を並べる程の人だから言葉遣いはぶっきらぼうなのだけど、立ち振る舞いはとても優美なのよ。男のようでいてしっかりと女性。その辺を失わない様に気をつけているわ。そんなリコリスと一緒にいる素敵なメンバーは皆、個性豊かな女性ばかり。結束力も固いの。勿論、彼女も仲間を大切に思い信頼している。そういう部分も感じて貰える様な演技が出来たらなと思うわ」
 声に合わせ、勇敢に剣を振るうシーンが流れていき、次いで帆を張る操帆手の画。勤めるのはサイリーンこと豊浦 まつり(fa4123)だ。
「サイリーン、この役は‥‥殆ど私の素のキャラに近いんだ。良くも悪くも私の分身? 自分で言うのも何だけど良いキャラだよ。メアリーとの遣り取りが特にね。私の一番印象にあるのは、前作の最強操船コンビ結成場面。あれは楽しかった‥‥っていうよりも好きなシーンだな」
 そういう彼女に合わせて前作のそのワンシーン。手を堅く握り合うタイプの違う二人の女性。その画にマーシャの声が被る。
「あたしは、小演劇は家業だけれどドラマは初めて。最初は緊張しっ放しだったわ。でも続けて出演していると、もうメアリーでいるのも自然に‥‥本当に大海原で、もうひとつの人生を過ごしてるような気がするのよ。彼女を演じているのはあたしだけど、貰ったものが沢山あって、どれも素敵な思い出。それらはずっとあたしの中に在り続けるでしょうね」
 ドレスを翻しレイピアを振るうメアリー。そこで一旦画は切れ、ロゼッタへ。CGで処理する前の見張り台セットに立ちリュートを爪弾く姿に変わる。
「いつもは音楽家として活動してますが、役者という新しい航路を開拓している紗綾です。‥‥えぇ、子供の頃から海賊や冒険モノに憧れてまして、オファーが来た時運命を感じました! 役のロゼッタは心から音楽と海と自由を愛してる子。感情を込めて演技してます。あ、このドラマで爪弾いている曲は自分で作ったんです。他にも作中の曲も担当してます。そうねオープニングテーマとか」
 映像が処理された後の見張り台が映しだされる。画に合わせ紗綾が即興で演奏。繊細でいて勇ましい曲が流れた。
「‥‥躍動感溢れる音楽に仕上ってるので、そちらも堪能して貰えると嬉しいです」
 その曲の途中、高音と低音のハミングが入る。聞けば雪城かおる(fa4940)とクリス役の日向みちる(fa4764)のモノだ。二人の歌声が楽器に合わさり更に深みを与えていった。
「私は歌劇団の公演がオフ期間で日向さんが出演するドラマを見学に来ていた時、監督のお眼鏡に適い急遽、挿入歌とトゥルーガ役を頂きました。初日、日向さんと日程が噛み合わず困ったのですが、共演した皆さんは良い人ばかりで楽しくお仕事をさせて頂きました」
 声とは裏腹に謎めいた雰囲気で占いをするトゥルーガの画。その顔にはエキゾッチクな化粧が施されている。担当は四條。雪城の肌と役に似合う演出である。
「雪城と共にコーラスで参加しております日向です。私の演じるクリスはフリーランスの海賊で、その容姿は男性風。性別も年齢も目的も謎の多い人物なんです。そんな彼女を演じるのは試行錯誤の連続。団で授業や先輩方に基礎だけ教わり、自分でメイクをするのですが、ここでは映像映えするメイクの為、苦労しました。えぇ、四條さんに教わったりしてます」
「そう、クリスのメイクは、最初から男なクライドとあくまで男装なクリスの違いは気を使う。幾ら変装の名手でも、やっぱり男女差を無視する訳にはいかない辺りが、裏方の拘りだね」
 っと穏やかな口調で話す日向に合わせ、画面はトゥルーガとの駆け引きや港の遣り取りシーンが流れていく。ここで切り変わりメイク担当の四條とクリスの画。メイクをされながら色々と教わっているよう。
 また暗転する。それは現在の撮影の場。モニターに映る制服姿が麗しいEven。彼は人懐っこい良い笑顔で、
「あぁ、どうも。前回は副船長で今回はプライベーティア二代目船長・ジル役のイヴンです☆ 僕の演じるジルは、今の僕自信と殆ど変わりありませんし、台詞にもアドリブを入れつつ、気楽に演じていられます。でも最近、困った事があるんですっ! 続編に入ってから殆どの撮影はルージュと別撮りばかりで現場に潤いが少ないんですよぉ! 脚本家さんに直談判しようか思ってるところなんです」
 納得できないと冗談めかして言うも顔は真顔で切実。女性陣から笑いが零れる。
「それでもちゃんと女性陣は皆、口説きましたよ。え、脈があったか? ‥‥内緒です☆」
 モニターにナンパ報告する彼。その肩をちょっとジェラシーな表情で叩くのは前作ホーキンス船長を熱演し今はヘルムを被るホーケン役のAAA(fa1761)だ。
「んもぅ、浮気は許さないわよん! あの時‥‥前作のラストでカットが掛かった時、海に落ちて冷えたアタシの身体をそっと抱きしめ暖めてくれたのは偽りだったの?! あぁ今思い出しても‥‥素敵な体験だったわぁ」
 89%の妄想をぶっ飛ばすAAA。凛々しいホーキンスとは裏腹に体をくねらせ話す。なんだかアレレ? である。
 違いますっと否定するEvenだが、女性陣からのイタイ視線。フォローなのか、時間の都合なのか不明だが四條が割ってはいる。
「実はエースさんってホーキンス船長の印象って強いけど普段はお姉キャラなんだよね。ギャップに驚くけど慣れたら普通かな? っと、逆に私はお兄? 前作は私、男役で参加してるんだ。料理長クライドっていう根っからの海の男役。華のある役ではないけれど、存在感のある男だったと思う。怪物と父親のエピソードが私のお気に入りで彼の勇姿の見せ所。親父の仇、とったどー! みたいでさ。あぁ、あの時のメイクも自分でやってたなぁ。胸ないから男装し易かったっけ‥‥ふふふ」
 力無く笑う四條。AAAはそんな事無いわよっと慰めながら、
「キリエちゃん、ホーキンスを褒めてくれて嬉しいわ。そうねぇ彼ってアタシ自身が惚れちゃいそうなイイ男♪ これ以上ないくらいのやり甲斐を感じて、もう毎回楽しいわよぉ! 楽しすぎて苦労なんて感じないわ♪」
 可愛らしく手を振ると、彼の頭上にオウムが飛び回り、
「ナグル、ケコミデクワナイデ ベット、ベット」
 心臓が飛び出すような事を口走り紗綾の肩に止まるのはノヴァ役のオウム。AAAは失礼しちゃうっと笑いながら、特有の動きで手を振り上げた。
「あらら、裏方の用語を憶えちゃったみたいだね」
「‥‥それもだけど賭博用語までも憶えてるよ」
 四條はオウムの言葉に頭を掻くと、豊浦も一言。二人は空き時間に仕込んでいたらしい。
「この子って可愛いけど、もの凄く悪戯っ子でね、台本を隠しちゃったりするの! 言葉を教えるのも苦労したなぁ〜‥‥。今はロゼッタのように大親友です♪ みんなもだけどねw」
 停まるオウムの頭を撫でた。
「そうなの。表舞台では色々と敵対関係のようだけど、深いところでジョリー・ルージュもプライベーティアも繋がっていたりするの。このドラマは100回観れば100回の発見がある、それが『Female Buccaneers』よ!」
 この作品に熱い情熱を掛けているAAA。作品が素晴らしいものであるという、確固たる自信を持ちつつ答えたのち、投げッキスを画面に送る。っとそこでメニュー画面に移った。

●NG集&舞台裏2
 つなぎ合わせたそれは4分、5分程度のモノ。クリックすると、カチンコが鳴りジョリー・ルージュの面々が森の中を歩くシーンへ。森の中でポーズを決めたところでマーシャはリコリスに指摘され気付く。木の枝でスカートが捲れてた引っ掛かたのだ。真っ赤になるマーシャ。そこでカチン。
 小屋の中、占いをする雪城の額から宝石が外れ床に転がる。彼女は慌てて拾おうとするもローブに躓き転けたところでカチン。
 船の画。それは前作のモノ。豊浦がロープを思いっきり引き帆を張ろうとする。が、勢いあまって引っこ抜いてしまった。音を立てて降ってきたロープを見つめ、
「‥‥さっきよりもマシなNG?」
 聞くと操舵を握るマーシャがそうねっと。そこでカチン。
 酒場セットでの休憩中の画。豊浦、マーシャ、Evenが卓を囲み遊んでいる。ダイスで2連勝をする豊浦だが、トランプではマーシャにボロ負け。だが一番の負けはEvenだ。カメラの前で、
「ランチを掛けてたのよ! イヴン、宜しくね」
 っと笑う二人にお手上げポーズの彼。そこでカチン。
 次は海の画。シリアスな台詞を言う紗綾だが、肩のオウムがが突然、
「?&%$!」
 意味不明な言葉を発し飛んでいって仕舞う。紗綾は笑いながらリテイク合図。だが二度、三度っと同じ画が続き、監督が焼き鳥にするぞ! っと脅したところでカチン。
 向かい合う椎名と日向。
「俺は昨日、真っ赤な旗を立てた船が港に入るのを見たぜ」
「だろう? しかし、男の君を乗せる事は出来ないのだよ。クリス君」
 うっかり男声で話す日向に椎名は笑いながら一言。あちこちから笑いが聞こえリテイク。またカチン。で、おやつを掛けたトランプ卓。先程の三人にプラス紗綾。真顔で勝負している。
 ここでカチン。前作からのCM撮影の現場。
 皆、和気藹々と進めていく中、投げナイフの練習をする四條。本番で成果を見せようと張り切るが、見当違いな方向へ。それに当たり痛がる端役に詫びる場面。
 またまた‥‥‥また、カチンコが鳴り画面が暗くなるもすぐにAAAのアップが映る。
「アタシのNGがない? うふふ出すワケないでしょ? いつだってパーフェクト。それがア・タ・シ★」
 っとウインクし突き出す人差し指を振った。彼のコケティッシュに笑うスタッフの声。
 メニュー画面へと変わった。

●CM30秒
 翳されるトゥルーガの手。それがまるで幕をあげるように動き、水晶の中から映像。映し出されたのはメアリーと斬り結び得意の投げナイフでジョリー・ルージュを翻弄するクライド。そこで白い煙が覆い、海を静かに見詰めるホーキンスの画。手にはヘルムがチラリだ。その視線のずっと先には、薄い笑みを顔に浮かべ、お茶を楽しむジル。ホーキンス同様にジルもまた夕日の落ちる港へ思いを巡らせると、画面が変わり、港でリュートを奏でるロゼッタ。音をウットリと聞きながら傍に立つのはメアリーとサイリーンである。そんな彼女達を影から見る男装の麗人。その視線をヨソに遠くの水平線を眺めていた女性は踵を返し酒場へ向かう。しかし残念かな、目深く被る帽子の所為で顔が伺えない。ただ何とか見えた口元がセクシーな笑みを湛えて視聴者を挑発している。そこで、
「美しき女海賊たちの新たな冒険が始まる」
 画面一杯の勇姿がぱぱぱっと素早く流れ、文字が画面に躍り出ると、メニュー画面へと自動的に切り替わった。


 ギルバートは監督と共に見終えた。そこでフォトも欲しかったな、と呟いた。