いろはに諺 ぬの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
極楽寺遊丸
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
易しい
|
報酬 |
0.7万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
06/11〜06/15
|
●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
プロデューサーの指示で、スタッフが運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと、間違えるほど面白グッズばかりが集められ、スタジオに置かれていった。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「ぬ」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作ことわざ披露や、体を使いスタントでコントもオッケー。
とにかく皆様でワイワイ楽しんで番組を作ってください。(これが大事)
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■お題
ぬ
「糠に釘」
意味:やってみても、手応えや効き目がない事。
「盗人の昼寝」
意味:どんな事をするのも、それなりの理由があるという事。
「濡れ手に粟」
意味:努力もせず、楽をして大きな儲けを手にする事。
●リプレイ本文
●
毎週、夕方六時にチャンネルを合わせれば現れるタイトル。元気な子供の声で読み上げられ画面は切り替わり司会者&出演者が映し出された。
普段から賑わう番組だが、今日はより賑わいを見せている。
「いろはに諺、祝放送十回や! ってな訳で毎度お馴染みユラお姉さん&まいお姉さんの司会で始まりぃ! 豊富な語彙はいざという時に役立つ、濡れぬ先の傘やで。しっかり勉強や。よろしゅう頼みますー」
ユラお姉さんこと、豊浦 あやね(fa3371)が笑顔で挨拶を始めると、後ろに立つリック(fa3435)が縫箔をはらり。『祝・いろはに諺 放送二桁突破』が金銀の糸で縫い取られた垂れ幕がその手中で揺れた。軍人らしく威厳のあるリックの表情が豊浦の笑顔と反比例してなんとも微妙だ。それでもリックなりに愛想を振っているのは間違いない。
「放送十回なのか? うがーーっ、まだまだ猪突猛進なのだ! 今回のまいおねーさんは糠に釘なのだ」
前々回からネタを引っ張り続ける苺(fa3120)。両手を挙げ雄叫びをあげる。その暴走は止まらない、止められない。
豊浦はこの時点で言うだけ無駄と踏んだのか黙って見ているだけ。まだ続く天然暴走の嵐。さながらサタデーナイトの国道のようだ。
「今回のお題は『ぬ』。主婦シリーズでいくなのだー。糠床の管理にヌラドロの昼ドラを見ながらおやつ食べて転寝。濡れた手で洗濯なのだ。はぁ、一気に言ったら疲れたのだー。良いところに壁が、寄りかかるのだ」
エプロン姿でぬれ煎餅とヌガーという妙な組み合わせの菓子を持つ苺が、ふぅっとひと息、壁に寄りかかった。
「この壁、温度を感じるのだー。って‥‥がぅっ! ティタネスさんだったのか!」
「そうだ、今回『ぬ』の言葉を妖怪で表現している。さてこの妖怪の名は何かな?」
壁に扮したティタネス(fa3251)がくるりと振り返ると苺は驚きへたり込む。その姿で気をよくしたティタネスは謎かけを出した。
「んじゃぁ! まいおねーさんと学ぼう妖怪豆知識のお時間なのだ! 今日は『ぬ』のつく妖怪を挙げてみよう! ぬらりひょんに濡れ女、抜け首、塗り仏ぇー‥‥。えっとなにか忘れてるのだー、んー?」
「腕に付けた腕章見ぃなや!」
「ふぎゃぁっ、ここに書いてあったのかー」
「大丈夫か? 掴まって」
「あ、ありがとーなの‥‥ふぎゃぁぁ!」
勝手にミニ番組をでっち上げ『ぬ』の付く妖怪名の出すが、ポイントがずれた苺に焦れた豊浦がハリセンで突っ込む。倒れた彼女にティタネスが手を差し出し起こそうとしたが、その顔を見て苺は盛大に悲鳴をあげる。そのはず、顔があった部分がつるりと何もなかったのだ。再度、ティタネスは満足げに微笑み、
「ぬふふっ、また上手くいった。因みにこの妖怪はぬり壁にぬっぺら坊の『ぬ』だ」
「はいーオチがついたところで十回記念、激しく開始や。せやけど気を抜くのは禁物、糠喜びにならへんよう気張っていこかー」
めでたく開始である。
●
「こんにちは、ニコラだよー。手品はネタがばれちゃ面白くないからね、だから抜き手も見せずに! っとーぉ。こんな感じ?」
ニコラ・リリェフォシュ(fa3724)は登場早々、ハンカチを空に放ると、あら不思議。瞬く間にステッキに変える。出演者一同、拍手喝采だ。
嬉しそうに、今度は本題の手品に移るため、ステッキを大きめのトランプに変えた。
「今回のお題は糠に釘。このトランプを使って解りやすく説明するねー。この幾らきっても同じ柄が上になっちゃう不思議なカード、嘘だと思うなら実験ー。お姉さん達、一枚引いて数字と柄を覚えてねー」
差し出した裏返しのカードを二人が好きな位置から引く。そして彼女に見えないように他の出演者達と確認して再度、彼女に手渡す。
受け取ったニコラは他のカードと混ぜ、軽く上下させながら呪文を唱え、
「じゃー上を取ってみるよ。‥‥合ってる?」
おぉっと、どよめきが起きた。二人が引いた二枚のカードが上に来ていたのだ。ニコラは皆の驚いた表情で成功を確信。
「もう一回やってみるよー」
もう一度、混ぜ呪文を唱えると上を捲る。またしても同じカード。
「ほらねー? これじゃ上のカードが解っちゃうから幾ら混ぜてもしょうがないよねー? このように効果が無いとか、手ごたえが無いという意味で使う諺は糠に釘なんだよー。んじゃ、これでお終いー」
ニコラは満足気な笑みを浮かべ頭を下げた。
「いやー、すごい手品やったなぁ。ところでどないしたん? その恰好」
背に小さな茶色い翼を付けた日本昔話に出てくる翁姿のHIKAGE(fa1340)。小振りの壷を抱え豊浦の隣に立っている。
「僕も手品を一つ。ここにある粟の入った壷。あ、粟はお米と同じで穀物のお友達なのでーす。美味しくて、身体にも良いから機会があったら食べてみようねー。で、このまま手を入れてみると‥‥ね! 何も付いてこない」
もふっと壷の中に手を突っ込み、すぐに引き抜くと、言う通り、手は何も付いていない。
「けどねー、この水に濡らして、粟の中に入れるとアラ不思議ー。こんなに一杯取れるんだよ! 濡れ手で粟と言うだけあって、乾いている時より沢山取れて凄く楽チン。じゃお終いー」
HIKAGEは手にべっとりついた黄色い粒々を気持ち悪がりながらも見せると、引きつった笑顔で、綺麗な方の手を振った。
「‥‥それだけ?」
「え? うん」
終始見ていた豊浦が、ハリセンを自分の肩で鳴らしながら問う。その眼差しは据わり、なんだか恐い。
「ほんまにそんだけ? けったいな衣装まで着て種も仕掛けもある手品して‥‥そんだけ?」
「は、はい。今回はきちんとし、しようと‥‥思いまして」
翁衣装をふぅ〜んと弄りながら執拗に聞く豊浦の態度にHIKAGEの声がだんだん細くなっていく。
「なんや普通すぎておもろないわ!」
「じゅるり、美味しそうなのだぁ。濡れたままだとバイ菌が繁殖するのだ。しっかり手を洗ってきてーっと、これで‥‥あぐーっ」
「えぇーって、ぎゃぁぁ、痛ぁーーい! 僕は鶏肉じゃなーいっ」
普通にネタをしたHIKAGEだが、なぜかハリセン頂戴する羽目になり更なる追い打ちも付いた。苺が石鹸を渡すと一緒に腕に噛みついたのだ。もうなにがなんだか解らない彼は鼻を啜りながら、
「抜き打ちテストとハリセンは頂戴しても困って泣かないように、日頃からちゃんと復習と怠らないようにね。間違っても復讐じゃないよ。‥‥そっちの復讐はリベンジのほうねー。したいけど‥‥」
ボソボソと呟いた。
●
「ぬ、ぬめり取りじゃなくて。‥‥ぬいぐるみって可愛いですよね、着ぐるみはぬっくぬく〜〜の『ぬ』」
「ぬぅ、平仮名だと難しそうだ‥‥片仮名のヌで誤魔化すかな」
不快指数七十%にめげない横田新子(fa0402)が、タイツの上から狸の着ぐるみを着、玉の汗を浮かべながら手に持ったぬいぐるみを振っている。その隣でティタネスはホクホクの笑顔で彼女を見つめ、禁断症状のように右手を固く押さえていた。
筋肉隆々の彼女だがこうみえても、大の可愛い物好き。撫でぐり倒したい衝動を押さえているのだ。
二人は文字作りセットに登ると、ティタネスは両手を突き出し頭と共に左に直角に曲げ、身体を左に軽くカーブ。そんなティタネスの腹の辺りに横田が左側を頭にして斜めに直立。
「ヌー」
文字を完成させ、降りると隣に用意された和室セットへ急ぐ。
その間をリックが担当。ボロいデニムと安物のシャツをタイツの上から着、散らかり放題の部屋セットにゴロゴロとだらしなく転がる。
「腹減ったなぁ。三日も水しか胃に入れてないもんな〜〜。眠くないけど寝なきゃ‥‥夜の仕事に向け‥‥ぐぅ〜〜」
尻をボリボリ掻けば、それを合図にぐぅっと腹の虫の効果音が響く。リックは小さな溜め息と共に部屋の隅まで転がり身体を寝やすい体勢にし深呼吸ひとつ。すぐに鼾が聞こえ出した。そこでテロップ。
『彼がこうして昼寝をするのは夜に出掛けるためである』
いったん照明が落ち、新たに付くと深夜の背景と高級な調度品が並べた和室セット。しかし真ん中になぜか狸の置物。
いや、違う。まだ着ている着ぐるみに唐草模様の風呂敷でほっかむりをさせた横田だ。ガソゴソと物色している。
「うふふ、素敵なモノが沢山なありますー。この壷と私が持ってきた糠漬けの壷を取り替えちゃいましょ」
大きな風呂敷を広げ壷を入れ替えると、ふぁっと口を押さえながら可愛く欠伸を一つ。
「ん〜〜、昼寝をしなかったから今頃、ねむねむ妖精の魔法が‥‥すぅ〜〜」
コトンと横になると両手を揃え枕にして寝息を立て始めた。そこに来たのは昼寝をし目が冴えたリック。だが腹の方は依然、減りまくっている。
「この家は置物しかねぇなぁ。台所に行って食い物を探すかって、‥‥うわぁ! 見つかったか?」
がっしゃん!
リックは眠る彼女を置物と勘違いし、奥を目指して跨ぐ。が、なにかに蹴躓き手を付いた拍子に横田の壷が喧しく割れて糠が飛び散る。 音に反応した横田は起きあがり寝ぼけ眼でちょっと踊る仕草をすると、またすぐに横になった。
「‥‥踊る花の狸版か? よかった気付かなかったぜ。‥‥お、食い物だ! まさに濡れ手に粟だな。苦労しないで手に入った!」
まき散らされた大根の糠漬けを手に取り嬉しげに叫ぶとボリボリ食べだす。だが、すぐに吐き出した。洗っていない糠漬けを急激に食せば当然の結果。
「ぐはっ! は、腹が痛い」
再度、叫ぶと慌ててトイレに急ぎ部屋を出て行った。
入れ替わって入ってきたのはティタネス。床に散らばった糠と眠る狸の着ぐるみ姿の横田を見つけた。辺りを見回し縛り上げる道具を探すが見つからない。仕方ないのでそこ据わり縄をない始める。
「盗人捕らえて縄をなうだな、意味はその場の用に間に合わないこと。そうなる前に早く作らないとな」
「‥‥ほぇ? わわっ、家の人ですか? ほ、ほんの出来心で〜〜」
「出来心か‥‥。私も同業だったが、今はこの家の留守を見張ってる。つまりは盗人の番には盗人を使えだな」
耳元で縄をなう音で飛び起きた横田。弁解するがティタネスに軽く笑い飛ばされた。このままだともうすぐ出来上がる縄で縛られるのは間違いない。
「そ、そうですね。なら同業者の方でしたらコレで見逃してくれませんか? 宝の地図を見つけたんです」
「よし! そういうことなら、理由は泥棒に入られ盗まれたとでも言えばいいか、盗人にも三分の理。理由は幾らでも作れる」
二人立ち上がり、地図を元に物色し始めると、そこへサイレン音と警察官に扮した豊浦と苺。
「ご用なのだー!」
「わ、私は元盗人だが、今はこの家の護衛だ! 泥棒はこの人だ」
「うわっ! 盗人猛々しいとはこのことです」
着ぐるみ姿で怒る横田だがイマイチ迫力に欠ける。そこに豪快に水を流した音と共にリックが現れた。二人を前に無言でホールドアップ。コントが終了した。
●
「よい子のみんなぁ、ミリーよん。‥‥よし、これで子供の心がっちりキャッチで野望の第一歩を飾ったわ!」
「もしもーし。なんや怪しげな発言が出てまっせ! 注意や」
ばしぃん!
着用するタイツからムチムチでプリプリの身体がバッチリ解る宮内・ミリー(fa1784)が、手を振り素敵なお姉さんをアピールするも、心の声とガッツポーズも発してしまい、当然のようにハリセンチョップを食らう。
「ぬぅん、痛ぁい。‥‥これが番組名物のハリセンね。つ、次はお題の文字を作ります」
めげない宮内は文字作りセットに登り始めた。HIKAGE、リック、ニコラも続き、鉄棒の上で文字作りの相談。すぐに配置を決めると、鉄棒の上を移動し始める。
先に出来た左の払い担当のニコラ。ぐっと身体を伸ばす。次に真ん中担当のHIKAGE。その足にリックも自分の足を合わせ文字を繋ぎ、背を丸め手を伸ばし、逆立ち状態の宮内の足首を掴んだ。彼女は頭と肩を屈め最後の丸の部分までも担当している。
「が、頑張ってみたわ、ぬー! って、あれ? 抜けないの、ぬぅ〜〜」
「ぬー」
一同、文字を完成させると順にセットから降りるが、宮内だけ鉄棒に身体が填ってしまい藻掻いている。
「大丈夫なのか? よいしょっなのだ!」
「脱げちゃいそうの‥‥ぬ。 ちょっと待って、これを着ちゃうから」
苺の手を借り、降りた宮内のタイツは肩口が伸びて開いてしまっていた。慌てて用意したシャツとデニムを纏い、傘を手に持つとそのままお題に突入。
「最近、雨が多いわよね。朝は晴れていても会社帰りに振るってよくある話、こんな風にちゃんと準備すると濡れずに済むのよー、でね‥‥きゃぁ!」
苺がシャワーを雨に見立て放水する。その中を傘を差した宮内が笑顔で歩き、話を進めていく。が、恰好付けもそこまで。濡れた床に足を取られた。小さな悲鳴と共に見事、後ろにひっくり返る。傘を差していたのに頭からずぶ濡れ。宮内は顔を引きつらせながら壊れた傘に掴まり、ようやく立ち上がり、
「あぁんー、濡れ鼠のぬー。まさに濡れぬ先こそ露をも厭えって奴ねぇ。ん〜〜微妙に使い方が違うけど。まぁ過ちを犯す前ってビクビクするものだけど一回したら、まぁいいか? みたいな感じ。まぁ男女間で使われるんだけどね。けど浮気はよくないわよぉ。ファンのみんなも浮気したら駄目よん」
「教育番組で、そないな発言は禁止やねん!」
豊浦の制裁ハリセンを受け再度、濡れた床にへたりと座り込む。そこでカメラが引いてゆき、出演者全員で手を振った。
「まったねー」