いろはに諺 るの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/18〜06/22
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●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
プロデューサーの指示で、スタッフが運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと、間違えるほど面白グッズばかりが集められ、スタジオに置かれていった。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「る」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作ことわざ披露や、体を使いスタントでコントもオッケー。
とにかく皆様でワイワイ楽しんで番組を作ってください。(これが大事)
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■お題
る
「瑠璃も玻璃も照らせば解る」
意味:瑠璃も玻璃も照せば見分けがつく事から、よく似ているものでもやり方次第で違いが解るという事。
「類は友を呼ぶ」
意味:性格や考え方が似ている者同士は自然と集まってくるものだ、という事。
●リプレイ本文
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毎週、夕方六時にチャンネルを合わせれば現れるタイトル。元気な子供の声で読み上げられ画面は切り替わり司会者&出演者が映し出された
「はい。今回もやってきました、いろはに諺の時間です。私は司会ではなく、司会者の郭氏文令明です。そして御相手はキュートなお二人‥‥」
「素敵な紹介をおおきに♪ 何事も累土より起こる‥‥知識を蓄えて教養ある人になる為にも、まずこの番組からやで、そないな訳で皆さん、宜しゅーお願いします。司会はウチことユラお姉さん。郭氏文を交え前々回のように三名体勢でお送りしますわ。ほな、まいお姉さんって、うわぁ。なんやそないな恰好して?」
『司会者』を強調しながら淡々と始まり司会を務める郭氏文 令明(fa0243)は、続いて隣に立った豊浦 あやね(fa3371)に振る。
彼女はいつものようにお題に沿った機知に富む挨拶をすると、次の苺(fa3120)へと繋ごうと振り返り驚いた。
そこにいたのはコスプレ姿の苺。それも今をときめくフリフリエプロンと桃色のワンピース型のミニスカートのメイド姿だ。だが、なにやらお悩み中らしい。
「るー、るー‥‥ちょっと無理やりになりそうなのだ」
腕を組み小首を傾げる苺。無理矢理はいつものことだと、突っ込みを豊浦はしない。それよりもこの姿に呆気にとられていた。似合ってはいるのだが、手に持つ愛用のマイクと『しかいしんこ〜ルームサービス係』の腕章でイマイチ違和感を拭えない。
「そうだ、ユラお姉さんも着るのだ。すっごく似合うと思うのだー。たまにはネタに染まるのも新鮮でいいと思うしーなのだ!」
「良い考えですね。お似合いになりますよ」
「ウチはアイドルやさけ、この恰好でええんや」
「何を言っているのだー、メイド服は今日のアイドルに必殺アイテムなのだ! 着て欲しいのだ〜〜、せっかく用意したのに。ね、ご主人様」
「そうですよ、やはりこの番組の雰囲気にお姉さんも馴染むのが一番」
「そこまで言いはるのなら‥‥今回だけやで」
いつの間に用意したのだろう、苺は水色のメイド服とお盆、おしぼり、メニュー表など必要アイテムを豊浦に押しつけ、さらにポケットに入れた玉葱の切れ端を使って泣き落としを画策。それでも苦笑いを浮かべる豊浦を説得させようと郭氏文をご主人と呼んで同意を求めてもみていたり。いつになく真剣だ。
郭氏文も表情に出ていないが、その呼び方に満更、嫌ではないらしく一緒に嗾けていく。ほんと困り顔の豊浦はディレクターを見れば、止める様子もなく、むしろ着ろ! と合図を送っている。仕方なく服を受け取り、裏へ着替えに行った。
「ユラお姉さんのメイド姿は後の楽しみにして欲しいのだ。そろそろお題ネタ披露の紹介をよろしく、ご主人様」
「えぇ、そう今回、私も自己制作で諺を考えて参りました。紹介をさせてください。留守にするな己の城。‥‥敵将を倒すことに夢中になってしまった為、城が他の者に‥‥。最近は物騒なので空き巣等に注意しましょうっと、いう意味です」
「前回のお題に近いのだー。けど、こっちでも使える諺を考えてくるとは、ご主人様は凄いのだー」
かっちりスーツ姿でこれまたかっちりと話始める郭氏文。素敵な創作諺に苺は、尊敬と別の意図も含んだ熱い視線を送る。
「流浪の将でも油断はするな。これは流浪の身でも大成する者は、身構えだけで解かるものです。小さい事務所の方やフリーの方でも実力が無い訳では無いと言う事です。お粗末様でした。では、いろはに諺始まりです」
後ろに並んだ文字ぃ君達は彼の言葉にフムフムと納得。そして今回も始まりである。
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「ルーメンとラーメン、名前は似てても別物デス。類似名にはご注意ください。他に類を見ない笑いの坩堝にハマる番組になるよーに頑張りマースの『る』ー」
「お題が『る』ということで、留守番電話でネタ考えてたけど、すんません。思いつきませんでした」
両手にマペットを付けたお馴染みのHAKASE(fa2600)の高度なお題台詞にディレクターは、慌てて辞書を引き、ルーメンの意味を調べた。光束の意味と解り納得。またオーメンとも似て異なると解ったらしい。
ネタが思いつかず頭を下げるエディ・マカンダル(fa0016)。ともかく二人は文字作りセットによじ登り文字を作り出した。
HAKASEは両手を揃え前に突きだし、身体を少し左に偏らせ上の部分を作り出した。その先をエディが繋ぐ。手を伸ばし、頭に手を乗せる。子供がするおサルさんを逆立ちにした恰好で鉄棒にぶら下がった。
「るってコレ、難しいな‥‥。身体がイタタっ」
「もうチョットです。エディさん」
無理な体勢で腰にも負担が掛かりエディは小さく悲鳴を上げるが、HAKASEの励ましでなんとか文字を表現すると二人声を揃え、
「るー」
文字を完成させた。
すたっと降りるHAKASEに対して、転げるように降りたエディ。郭氏文と苺に支えられ隅に引っ込む。
「だ、大丈夫かなー? と、取り敢えず僕の出番と言うことで。スタッフさん、テロップをよろしくー! ルリっとノラっと」
HAKASEは心配そうにしているが番組は進行しなければならない。両手にはめた人形を画面に突きだしコント開始。今回は『累卵危うし』で頭に卵を積み上げ、極めて危険な状態の瑠璃鳥のルリ君と『累々として喪家の狗の如し』に因んで、飼い主を失い志を無くしやつれた野犬のノラ君でお題の『る』に挑戦。
「ぴんぽ〜ん。遊びに来たよ、ルリ君」
「やぁ、ノラ君。僕は今、留守番中なんだけど上がってよ」
「うん。ねぇ、なんか退屈だね。そうだ、家の探索をしてみないか?」
「いいねー、じゃぁ僕はこっち。ノラ君は向こうね」
二つの人形に左右を探させる仕草をさせると、『留守居の棚探し』のテロップ。両方の胸ポケットに用意していた瑠璃と玻璃を見つけさせた。
「あ、見てノラ君。瑠璃を見つけたよ。そっちは?」
「うん、俺も見つけた。これは瑠璃かな? いや玻璃かも? どっちも同じに見えるから、いいっかー」
「ノラ君、瑠璃も玻璃も照らせば分かると言う通り、まったく違うモノ。‥‥そんなことも分からないの?」
「な、なにをー。そんなルリ君と俺は類は友を呼ぶじゃないか! 殆ど変わらないよ」
両方の人形の手に綺麗な玉を持たせ、再度、胸前でコント。ルリ君になんとも偉そうに見分け方の説明をさせる。『留守居の空威張り』だ。
だが、ルリ君の暴言と態度に怒ったノラ君を勢いよく突進させ、避ける間もなく体当たりをされたルリ君をよろめかせ、頭に乗せた卵と瑠璃を落とさせる。『瑠璃は脆し』のテロップに合わせ、何とも残念そうな二人砕けた瑠璃を眺めている仕草、そこに留守をしていたご主人の声がした。
「ルリ君、君はクビだ! 出て行きなさい」
驚いた表情のまま凍りつかせたルリ君。そんな時、ノラ君でぽつり。
「仕事があるときは良かのにねー。さぁルリ君もこれから俺と本当に類友だ! 流浪して主のありがたさを感じよう」
ノラ君はルリ君の肩を軽く叩き、二人さめざめと泣く仕草でコント終了。
「ルリっとノラっと。有難うございましたー」
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お笑い迷? コンビ、霧隠・孤影(fa1010)と 雲隠・壱鴎(fa0316)の東海ドロップスが登場。素速く文字作りセットに二人はよじ登り、右側を壱鴎、左側を孤影が担当し片仮名の『ル』を作ると降りて、挨拶。
「どーもー!」
「東海ドロぶっ!?」
ついにコンビ名さえ言えず壱鴎は孤影によって画面から押し出される。黙せば可憐な少女、孤影。しかしその行動は誰よりも過激だ。
なんとかヘコヘコ戻ってきた壱鴎は彼女に抗議する。
「ねぇ孤影ちゃん! ちょっと最近酷くない?」
「類は友を──」
「呼ばなくていいから! 平気で人を殴り倒すような人が来‥‥」
またも馬鹿力で突き飛ばされ、顎を強か打ち付けながら画面外に。外れた愛用の眼鏡を掛け直し戻ると、孤影は可愛らしくハミングしている。が、どうも調子っぱずれだ。
「る、る、‥‥るー、るるる」
「‥‥孤影ちゃん、僕は顎が痛くて、物凄く言い辛いんだけど一応聞くよ、何してるのかな?」
「るー、るるる」
「‥‥孤影ちゃん?」
見事なスルーを決められた。謂われないバイオレンスを受けるわスルーされるわの壱鴎。ちょっぴり泣きたくなってきた。
「るーるる‥‥って、狐はまだかぁぁ!」
「そんなのスタジオに居てたまるかぁぁー‥‥、ってあぁー!?」
「いえーい、似ている者達は自然と集まってくるものだぜ! 類は友を呼ぶ。このことだ」
更に無視をされたと思いきや、孤影はいきなり絶叫。どうやら狐を呼んでいたらしい。彼女のボケに突っ込みを入れる壱鴎。が、背後から狐の着ぐるみを着たエディに強く突き飛ばされ、三度目の画面外。
エディは壱鴎の代わりにご機嫌良く‥‥というか、かなりのハイテンションで話し出す。
「‥‥やっぱホラ、俺たち芸人も何かこう、シンパシーみたいなもので繋がってるんだよなぁ。みんなぁノッてるかい!? 文字文字してるかい!? 人類みな兄弟。みんなでドレッドヘアーで決めようぜ! ‥‥って、なんかサムイ。うごっ」
着ぐるみ姿で熱く呼びかける男エディ。この時期ちょっと暑苦しい。もちろんスタジオ内は賛同者がおらず、冷ややかな視線が刺さるのを感じとった彼は、だんだんトーンが下がる。そこに孤影が一撃のアタック。転がるように画面からはじき出された。
「ちょ、ちょっと待ってよ。流石に今日はバイオレンス過ぎるよ!」
孤影が突き飛ばしたエディを気にしながら、またも抗議。だが答えは予想していた通りだ。
「っふ、ルール無用のバイオレンスの『る』ー!」
「それ諺じゃないから! 諺にはバイオレンスとか無いからぁ!」
「でもいっちゃん、るって少ないです」
「‥‥うわぁ、びっくりするなぁ。孤影ちゃんが急に普通になったよ」
「何か言ったですか」
突如、まともな受け答えに驚いた壱鴎。そんな彼の一言に、孤影はにっこりを優しげに微笑み返す。コレはコレで恐い。嵐の前触れだ。
恐怖を感じ取った壱鴎は、頭をブンブン振り、
「いいえ言ってません。何も言ってません」
「えーとぉ‥‥瑠璃もハリセンも叩けば光るです!」
「おーそんなうろ覚えをテレビに‥‥って痛いっ! ちょ、孤影ちゃんハリセンが硬い部分で叩かないで、痛っ!」
「峰打ちじゃーです」
「たっ、正しくは瑠璃も玻璃も照らせば光るだからね、良い子の皆は間違えな‥‥痛っ」
やっぱり嵐は来た。孤影はハリセンの持ち手で壱鴎をゲシゲシ叩きだす。峰打ちもへったくれもない。堪らず壱鴎は諺とその説明をしながら逃げだしフェードアウトした。
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「ルビーとルーレットはしりとりの鉄板でーす」
お題に沿った挨拶をしたHIKAGE(fa1340)は、メイド姿の苺に合図。意気揚々とカートを押して運んできたのは、八個の和菓子。上品なうぐいす餡の大福だ。
「僕のネタは瑠璃も玻璃も照らせば分かるです。まいメイドお姉さんが運んでくれたこの大福。見た目にそっくりだけど、中身はちょっと違う。やりようによっては中が解ります。そのやりようとは‥‥?」
画面に向かって掌を耳の後ろに添え、子供達の声を聞く仕草。ウンウンと頷き、
「‥‥そう、みんなで食べてみることだよっ!」
HIKAGEの言葉と一緒に背後のスクリーンに以前のシュークリームのVTRが流れ出す。HAKASEはどうにもいやーな表情。エディは興味津々で大福を覗いている。
HIKAGEに促され、思い思いの大福の皿を取ると、同時にぱっくん。みんな口を動かしているが、
「ぐふっ、辛いのですっ」
「だ、大丈夫?! 孤影ちゃん? やっぱり神様は見てるんだねって、うぎゃぁぁ〜〜。ご、ごめんなさーい!」
孤影はひと噛み毎に複雑な表情を浮かべる。出すことが出来ず、かといって飲み込むことも出来ず、八つ当たりよろしく、壱鴎を突き飛ばす。
当たったのは彼女だけではないらしい。よーくみれば郭氏文も無表情ながら、モグモグしているがいつまでも飲み込めず、涙目になってしまった。
彼らの醜態を写すカメラに向かって、HIKAGEが笑顔で一言。
「僕は、ワサビ入り大福がどれか解ってたよ」
「こぉらぁ! ウチが居ない間に、女の子にそないなモノ食べさせてぇ!」
ようやく水色のメイド服に着替え、衣装に合うメイクで決めた豊浦が怒りも露わに表れた。ツンデレというのが流行っているがHIKAGEの前ではツンツンな豊浦。怯えた彼は引きつりながら、
「よ、良くお似合いですよ〜〜ユラお姉さん。馬子にもいしょ‥‥あっ、「ま」は当分、先? えっと、じゃあ類が友を呼びまくりだねっ! それっにげろーっ」
「アイドルを捕まえて、なに失礼な事いうてんや! 待ちぃ〜〜」
猛ダッシュでカメラの前から居なくなるHIKAGE。その後をハリセンを振り回し追いかける豊浦。
「なんだかすごいけど、これでお終いなのだー‥‥。あ、ユラお姉さん?」
何とか締めに持っていく苺。横目で豊浦の分の大福をチラチラ見ながら早く終わらせようとすると、携帯が鳴った。相手は豊浦。だが声が荒くて良く聞き取れない。
「あ、ただいま担当の者は席を外してるのだ。ピーっというご発信音の後に、ご用件を教えて欲しいのだ」
勝手に留守電を真似して切ってしまった。
「ということで〜〜」
まだ大福に視線を奪われた苺はつまみ食いを考えながら締めの挨拶。裏の方から聞こえた、すぱこぉぉんという炸裂音はスルーの方向で、ここにいる出演者達は手を振った。
「またねー」