いろはに諺 をの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 易しい
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/25〜06/29

●本文

 サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
 プロデューサーの指示で、スタッフが運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと、間違えるほど面白グッズばかりが集められ、スタジオに置かれていった。
 そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
 和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。


■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「を」今回は「お」を代用します。その文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作ことわざ披露や、体を使いスタントでコントもオッケー。
 とにかく皆様でワイワイ楽しんで番組を作ってください。(これが大事)

 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。 
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。 

■お題
 『を』『お』
「負うた子に教えられて浅瀬を渡る 」
意味:年下で物事がよく分からない人からも、教えられることがあるという事。

「思う念力、岩をも通す」
意味:自分が出来るだけの力を出し心をこめて実行すれば、どんな願いも必ず叶うものであるという事。

「大風が吹けば桶屋が喜ぶ」
意味:一つの出来事から次々と思いもよらないことになってしまう事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0427 チェダー千田(37歳・♂・リス)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1784 宮内・ミリー(25歳・♀・猫)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa3724 ニコラ・リリェフォシュ(17歳・♀・亀)

●リプレイ本文


 毎週、夕方六時にチャンネルを合わせれば映し出されるタイトル。それを元気よく子供が読み上げれば画面は切り替わり、司会者&出演者が映し出された。
「はい、いろはに諺の時間です。司会者は私、郭氏文令明。今週もお二方のお姉さんに囲まれ、まさしく男冥利に尽きるの諺通りですね」
「‥‥なんや、照れますわぁ。って、あかん、番組開始の挨拶やね。教うるは学ぶの半ばなり‥‥ウチも番組を進行させる為、実はよい子のみんなと同様にぎょーさん学んでんねん。ともあれ今日も勉強とネタのオンパレードを期待してまっせ♪ うちはお馴染み、ユラお姉さん。今日も押せ押せムードで突っ走って行こうや!」
 相変わらず淡々とした口調の郭氏文 令明(fa0243)だが、最近は慣れたモノで本音を交えたお世辞も忘れていない。さすが本業はマネジャー。相手を持ち上げ動かすのは得たモノだ。
 郭氏文の言葉に頬を染めた豊浦 あやね(fa3371)は照れ隠しにハリセンをスイングし、無差別攻撃。文字ぃクン達はボケてもいなのに堪ったモノじゃない。彼らは同方向に一糸乱れず身体を屈め、攻撃を避けていく。
「ユラお姉さん、お危険なのだ! おボケも無いのに振りかぶり禁止なのだー! 今回のお題はお姉さんの『を』。お料理番組でおマタタビ料理とかしちゃうのだ。お馴染みマイお姉さんなのだ」
「おぉぉ、おマタタビ料理?! だがお食事やお風呂より先にお前が食べたいぜ! おっとこれは見栄じゃないぞ? これは様式美だッ」
 軽いフットワークでハリセンを避ける苺(fa3120)。今回さすがにメイド服を着ていないが愛用のマイクと『しかいしんこ〜お料理番組?』の腕章は健在。しかも接頭語の使い方を間違え、彼女は気付いていないが怪しげな台詞となり耳敏いチェダー千田(fa0427)が、すかさずジャンプで登場。
 放物線を描きながら苺に向うチェダーの姿は股間部分に詰物で脹らませた白タイツ。セクハラ以外のなにものでもない。そのタイツがズバっと裂け、まっ裸となり更に輪を掛けた。
 もちろんコレはマズイ。郭氏文が追うようにモザイクのチェダーのその部分を隠していく。だが動きを止めるわけではない。あわや抱きつく寸前、無差別攻撃だったハリセンがピンポイント攻撃に切り替わり鋭い一撃によって、チェダーは無惨に床に突っ伏した。
「そこぉぉ〜、子供も見てんねん。変な事したらあかんで!」
「‥‥お子様は大人になって、いずれ男と女になるんだーっ。教えておいて何がイケナイ‥‥」
 最近は一定の基準に達していないボケに突っ込みを控えていたが、これはマックスの基準内であった。やる時は殺るアイドル、豊浦。
 撃沈されても、なお呟くチェダーは『を』を上手い具合に頭に使った発言を繰り返す。それは見事な下ネタ。教育番組の意図が問われそうだ。トドメとばかりにハリセンが閃光。
「鬼に金棒。ユラお姉さんにハリセンですね。こういった事は恋した後の話です。そう御医者様でも草津の湯でも惚れた病は治らないと言いますが、お姉さん達は如何ですか? ‥‥お後が宜しいようで、始まりです」
 郭氏文がお題を絡めた言葉で締めくくり、番組を開始させた。


「おこんばんはー。お初はHIKAGEお兄さんのお登場だよー」
「シャンとした接頭語を使わんかっ」
 すぱこぉん!
 あからさまに間違った敬語でよい子に悪影響及ぼそうと試みるHIKAGE(fa1340)。だが豊浦は見逃さない。ハリセンを袈裟懸けに振り下ろし彼の頭へヒットさせた。
 前回、突っ込みができなかった分、力溜していた豊浦に手加減の文字はない。チェダー同様に床に突っ伏するHIKAGE。
「おや、コレはいけませんね。‥‥やはり男は敷居を跨げば七人の敵ありですな。‥‥殿の命を狙う者は沢山居ります、先鋒は他の者に任せましょう」
「んじゃ、HIKAGEさんが用意したVTRを流すのだ。大風が吹けば桶屋が喜ぶ! いってみよう」
 郭氏文がなにやら独り言を呟きながら奥へと連れて行く。見送った苺は彼の残したVTRを紹介。ざーっと砂嵐の後、HIKAGE自身が撮っている映像が現れた。
「やぁ、実況リポートだよ。ここはTV局の屋上。う〜ん、風強いよね‥‥おわっぷ」
 台風中継よろしく大風に煽られているHIKAGE。実際は大型扇風機で大風が作られていた。そこに一枚のチラシが態とらしく顔にへばり付く。
 それを剥がし読めば、書かれていたのはなんと『浪花ノリツッコミコンテスト』。今の職は向いていないと思ってたところに好機の訪れ。HIKAGEは迫真の演技で頷いた。
 場面は変わりチラシに書かれていたコンテスト会場。派手な背広を纏い華麗なるツッコミを披露していく。
「これをこーして、あーしてな、わぁ綺麗‥‥って、なんでやねん!」
 日頃の研究の成果が生かされ、優勝トロフィーを授与されたHIKAGE。その後のVTRはトントン拍子に話が進む展開。
 とうとう大御所に上り詰め弟子が大勢できた。しかし笑っていられない。弟子が増え個人で使う桶が足りない。さっそく弟子の一人に買いに行かせた。そんな弟子もHIKAGEが演じる。衣装と雰囲気を変え、桶屋に颯爽と買いに行くと、そこのお嬢さんに一目惚れ。実はその弟子は「まげもの協会」の御曹司だったので、これまた衣装を替えた桶屋の主人役のHIKAGEはその良縁を喜び、めでたしめでたしで幕引きとなった。
 終のテロップが流れ、真面目でもなく笑えもできないヌルいVTRを見せられた豊浦が眉根を揉んでいる。突っ込みどころが満載過ぎて、困っているのだ。もっそり起きあがったHIKAGEはその雰囲気に逃げる体勢を整える。が、遅い。
「こぉんなぬるぅいモン作るなぁ」
 先ほどの1.5倍増しのハリセン突っ込みが振り下ろされた。


「次は、ニコラさんの出番なのだー。お題は思う念力、岩をも通す。地と言えば岩、風で大風。水は、あ‥‥浅瀬? 四大元素の火ってなんだー?」
 ニコラ・リリェフォシュ(fa3724)の紹介に苺は勝手にシリーズ発言を練り込んだ。しかし途中で解らなくなりカンペ確認するも、なぜか話が逸れていく。
「そうだっ、火はお料理! お料理にはお竈を起こす準備が必要なのだ。早速、着火なのだ、誰か火をちょーだいっ」
 そこへニコラが指先に火を付ける手品を披露。その火を貰い苺はイソイソとキッチンへ入っていった。それを見送ったニコラは画面に軽く手を振りお題開始。
「こんにちは、ニコラだよ〜。今日は思う念力、岩をも通すを勉強しようね〜。えっとここに用意したのは下敷きとコインとグラスー」
 タネがないことを豊浦と郭氏文に再度確認をして貰うと、グラスの上に下敷きとコインの順で乗せた。
「思う念力っていうのは心をしっかり込めれば、出来ないことは無いって言うこと‥‥それじゃ、よーく見ててね〜? わん、つー‥‥」
 上から赤いハンカチを被せコインの在る箇所を指で押さえる。カウントと共にチリンっとグラスの弾ける音。ハンカチを上げれば、あら不思議。下敷きに乗っていたはずのコインがグラスの中に移動。勿論、下敷きに穴は開いていない。
「ほら成功ぉ〜♪ ニコラも最初のうちは出来なかったけど、一生懸命頑張っていけば出来るようになったんだ〜。あ、あとねー、これも引っ張ってみてー。思う念力を使ってみたのー」
 ニコラはトコトコと料理をする苺の傍まで行くとキッチンセットのドアへ促す。勤められるままに紐を引っ張った苺の頭上に大きなタライが落ちてきた。
 ぐぉぉん。
「がぅっ!? これ‥‥タライなのだっ。シルクハットならぬ、シルクタライなのだ」
 底が抜ける予定だったタライだがそのまま落ちてきた。実は仕組んだ通りのこと。見事に引っ掛かり、頭にタライを乗せた苺を満足げに見て、
「あれれ、底抜け無かった〜? って実はこれで成功〜」
「これは手品や無いやんっ! 悪戯やねんっ」
 きっちり豊浦のハリセンを貰い、誤魔化すように可愛らしく舌を出した。


「お姉さんの『を』! みんなは綺麗なお姉さんは好きかなぁ? 私も可愛い少年少女が大好きよ〜ん。ふふ、こうして少しずつ活躍していけば、必ず関係者の目に止まり、良い番組への起用があるはず! これぞまさに大風が吹けば桶屋が儲かるね!」
「おいおい、本音を言っとるで」
 画面に現れたのはグラマラスな宮内・ミリー(fa1784)だ。手を振り愛嬌を振りまくも、途中から黒々とした野望をすっかり口にしてしまっている。
 そんな様子を遠巻きに見ているのは彼女の弟、真田・勇(fa1986)。どうにも知り合いと思われたくないらしく距離を置いている。が、気付いたディレクターが、郭氏文に指示を出す。この番組がそんな美味しい事を逃すはずがない。
「さぁ、お二人にお題文字を作って頂きましょう。男は度胸、女は愛嬌ですよ。真田さん」
「あぁ、‥‥男は敷居を跨げば七人の敵がありっすね‥‥。僕も負けてられないっす〜。頑張るからこれかも応援してくれっす!」
 慌てふためき勝手に番組を締めようとするが、そうは問屋が卸さない。ガシっと掴まれ鉄棒によじ登らされた。諦め半分でお題文字の一画目を作るべく、寝そべる。
 そこへ二画目の宮内。真田に胸で押し付け「いやん、えっち〜」などほざく。しかし自ら押し付けているのだ。無視を決め込む真田は泣きたいのか嬉しいのか解らない表情だ。
「うふふ、私ってちょいワルね。今流行のアデージョってヤツぅ〜? キャハ」
「をーい、またも出てますやん!」
 困り顔の弟に、にんまり笑みを浮かべ、またも考えを口に出してしまう。眉根を揉んで突っ込みを入れる豊浦。
 三画目を担当するHIKAGEが身体を湾曲させ、文字を完成させた。
「を〜!」
「老いてはますます壮んなるべしの『を』。私はまだまだ元気よぉん。だから何人でもいいわよん。寧ろ今が一番、良い状態かもね〜」
「小さい子も見とるんや。そこんとこよろしく頼むで」
 げんなりしている真田をヨソに元気よく降りてきた宮内は素速くお題発言。しかもなかなか際どいものだ。豊浦が突っ込むが宮内、逆ギレ。
「‥‥何? こういうネタがなければ、私は陸に上がった河童状態‥‥どうしろって言うのよ! 終わりよければすべてヨシよっ」
「まだ終っとらんやん!」
 すぱこぉん。
 勝手に締めに入り、豊浦から盛大な一撃を貰った。
「では、僕は真面目に続きを‥‥沖縄返還の『を』。沖縄返還とは昭和47年の5月15日に沖縄の施政権がアメリカ合衆国から日本に返還されたことを指すっす。さらに詳しい歴史を辿っていくと〜〜」
「鬼の霍乱? ってか時間の取りすぎや」
 本当に真面目に説明を長々としていく真田。普段の彼とは別人のようだ。驚きながらもあまりの長さに番組が押している為、豊浦が突っ込む。
「温故知新ってヤツっすよ〜。古きを知り、あらたしきを‥‥」
 てへへと笑い、お題に沿った四文字熟語を披露。しかし舌が回らず自分の頬を叩いて仕切りなおし。
「古きを知り、あたらきしをし、ししを?」
「それを言うなら、古きを知り新しきを知るっですね。声優がそんなに噛むなんて‥‥。だから間違えられるのですよ」
「ううっ、僕は‥‥お笑い芸人じゃないっすよ! お笑い芸人のをー」
 繰り返すも全く言えていない真田に業を煮やした郭氏文が、きっちり発声する。完封された真田はガクリ膝を落とした。


「出来たのだー。メニューは素材の味を大切にした天ぷらなのだ」
 色々な野菜、肉の天ぷらが、再利用されたタライに盛りつけられていた。なんとも豪快な料理だ。
 どれも美味そうにからりと揚がり、挨拶もそこそこに出演者達は箸を延ばす。
「美味しいですー」
「うん。いけるわぁコレ」
 一同、頬張る中、大きなしゃっくりが聞こえだし、目が据わり頬を赤らめた真田が千鳥足で苺に抱きつく。
「な、なにしとんや! あ、もしかしてコレを食べたんやないか〜」
「うっちゃいっ! 男は度胸で女は愛嬌れすぅ」
 天ぷらの中にマタタビを揚げたモノまで入っていたらしい。豊浦が剥がそうとするが、真田は全く動かず、それどころかそのまま寝てしまった。困り顔の苺であるが、これは自業自得である。
「大所の犬になるとも小所の犬になるなと言う事で、主人を募集中の令明でした。終わり良ければ全て良し。今週はこの辺で‥‥」
「ちょっと待ったーっ! モザイク垂れ流しのまま終わるわけにはいかねーぜ! 目指せ汚名挽回! の、をー」
「オイラも名誉返上なのだー」
「あんなぁ〜チェダーさん、正しくは名誉挽回や。汚名は返上やねんで」
 締めに入った郭氏文を止め、ノーマルの白タイツ姿で再登場したチェダー。だが宣言の通り汚名を挽回するハメに。便乗した苺もどっこい勝負である。
 あまりの切ない間違いに懇々と説く豊浦。負うた子に教えられて浅瀬を渡るの実演だ。聞きつつも恥ずかしさからか、素直になれず豊浦を刺激しまくるチェダー。
「わっかりましたー。では教えて頂いたお礼に大阪らしくお好み焼きをお祭り風味のBGMで作っちゃうぜ。踊るアホウに見るアホウ〜同じアホなら踊らにゃ損ソン!」
「今回の大ボケ賞のぶっちぎりでチェダーさんや! ‥‥十八番、大阪名物ハリセンチョップ!!」
 ばこぉぉん!
 何故か阿波踊りのBGMを流し踊り出すチェダーに最後の大オチとして豊浦が今回のボケ健闘賞を送った。それはいつになく凄まじい唸りを上げチェダーの後頭部に見事に決まると、えらやっちゃの姿勢のまま床に崩れた。
「まったねー」
 終わりよければすべて良しである。