いろはに諺 かの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
07/09〜07/13
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●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、今回も賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「か」(濁点可)の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使かったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■お題
か
「快刀乱麻を断つ」
意味:複雑な物事や、面倒な事件をてきぱきを解決する事。
「蛙の面に水」
意味:どんな事をされても、どんな事を言われても気にせず、平気でいる事。
「鴨が葱を背負ってくる」
意味:都合のいいものが、得になるものを更に持ってくる事。
●リプレイ本文
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毎週、夕方六時にチャンネルを合わせれば映し出されるタイトル。それを元気よく子供が読み上げれば画面は切り替わり、司会者&出演者が映し出された。
「さぁ、いろはに諺の時間です。今日のお題は『か』。解語の花という言葉が良く似合うお姉さん達とお送りします司会者の郭氏文令明の『か』ですね。それともう一言、楽屋入りから放送したくなるほど出演者さんはハイテンション。声とネタを嗄らしてしまうのではないかと毎回ヒヤヒヤするほどです。私は汗馬の労でお茶出したりと色々と大変なんですよ」
陰の苦労人、郭氏文 令明(fa0243)の涼やかな声と表情から番組が開始されるいろはに諺。どうもこの番組の出演者達はここ以外でもテンションが高いようだ。それは賑やかで実に良い。格別、テンションが高い苺(fa3120)が、愛用のマイクを手に愛らしい蛙の着ぐるみ姿で画面に現れた。毎度お馴染みの腕章『しかいしんこ〜 かえるぴょこぴょこ』は勿論、健在だ。
「やっほー、まいお姉さんなのだー! 今回のオイラは蛙なのだ。蛙で出汁をとる時はぁ水からじゃなきゃ駄目なのだ。なんでかっていうとー。こういう風に逃げられちゃうのだ」
煮えたお湯に背後から取り出した生きた食用蛙を入れようとするが、無論、蛙もただでは入らない。湯気を浴び大慌てで苺の腕から逃れ、顔にへばり付く。
「うぎっ! じゃ、じゃあ今度は、水からやってみるのだ。‥‥ほらね、いつも慣れている水なら安心して温度がちょっとずつ変わっても気づかないのだー。つまり、慣れているものを目の前に出されても驚かない。これが「蛙の面に水」の意味なのだ。で、どうしておいらが蛙なのだ?」
へばり付いた蛙を引きはがし、ぺっと投げると用意していた大鍋の中に自ら入った。
最初は温い水だが段々と熱くなりはじめたのを耐え説明をする。しかし、なぜ自分がこんな恰好で湯に浸かっているのか不意に疑問が過ぎたそこへタイミング良く、どこか調子っぱずれな歌声でかあさんの歌が響く。
「るるぅ〜〜♪ さすが僕の見込んだキミだマイお姉さん。アドバイスどおり見事に蛙になってるね」
すぱこぉぉん!
「暑苦しい歌の上にそれはひかげんの案違うやろ!」
季節外れな歌を熱唱しながらHIKAGE(fa1340)が登場。替え歌という気の利いたボケがどころかこれ自体全てボケなのであるかと疑ってしまう。しかし彼は気にせず湯の中の苺の肩を叩き、さも自分の案のように振る舞い労った。
そこへ怒張筋とハリセンが似合うアイドル、豊浦 あやね(fa3371)が、いつもの通りテキパキとボケ成敗のハリセンを振るう。態とらしく半ベソで訴えるHIKAGE。しかしそれはさらりとスルーされ、苺はネタの続きに大鍋の中から郭氏文を手招きする。
「そだ、せっかく蛙の出汁が取れたので‥‥えと、はい! 郭氏文さん、こっち来てコレを持って欲しいのだー」
「え? はい、こうでしょうか?」
されるがままに玩具の羽根を装備させられ、長葱を手にした郭氏文。苺はにぱっと無邪気に微笑むと、
「と、ゆーわけで出汁しかないところに鍋のメイン食材の鴨に欠かせない葱まで! 都合よいことが重なってるのだっ。これが鴨が葱背負ってやってきたの諺‥‥って、うぎゃっ!」
「‥‥はいなっ。このように今回もかっ飛ばし全開で開始や。学を好むは知に近しと言うことで、勉強を好きになる事が賢くなる一番の秘訣、隗より始めよや。そうウチはお馴染みユラお姉さん。それからマスコットのいろはの守言彦麻呂。略していろは麻呂に更にもう一回略でマロ君やっ。ほな始まりやねん」
苺は自分の入る大鍋に郭氏文を引き込もうと試みる。だが、あと一歩のところで豊浦のハリセンに阻まれ一撃食らう。ぷかりと湯に浮く苺。
何もなかったように豊浦は微笑み開始挨拶を締め、賑やかに番組開始を促した。
●
「可愛い子が大好きです! 元気に文字ぃ君で頑張るみんなのアイドル真田勇っす! ‥‥彼を知り己を知れば百戦あやうからずっす! 今回は他の人のデータを色々と調べて‥‥って、うわぁ! なんかいるっす。名を‥‥名を名乗れっす!」
「マロ君や言うてんねんっ」
すぱ〜〜んっ
元気に第一声の真田・勇(fa1986)は相変わらずハイな発言をかましつつ、知らない間に出来たマスコットに心底驚き、アクションヒーローよろしくマロ君を威嚇した。可愛い物好きの豊浦が真田の態度に反応し背後からハリセンで一撃。
そんな二人を喧嘩と勘違いしたTyrantess(fa3596)が纏いを振り上げる。
「喧嘩だ〜火事と喧嘩は江戸の華でぇ! う〜んスカートは動き辛い。あんまり似合わねえんだけどな」
衣装のスカート付きタイツを気にしながらも、大股で暴れ回る。が、周囲のしらけムードに気づき纏を放棄。そこにHIKAGEが腕を組み現れる。
「僕もこの纏のアイディアとその展開、いいと思ってたんだ〜」
「ほう、ならこれもどうだ? 眼光炯々として人を射る」
「うわ〜ん、ごめんなさ〜〜いっ」
ぐんっとTyrantessに威圧されたHIKAGEは慌てて郭氏文の後ろに隠れる。その目、豊浦のハリセンなみの威力だ。
ふっとひと息付き、Tyrantessはヒラヒラ動くスカートを気にしながら新しいお題に入る。
「雷が鳴れば梅雨が明ける。もうすぐ夏本番だな」
「そうっすね、夏といえば海! 水着でナンパっす!」
「あんさんはそればかりやんっ! さ、文字作りや」
すぱんっ
振られた夏の話題に怪しげな表情の真田。桃色妄想から戻すため豊浦は再度ハリセンを見舞い、文字作りへと促した。
イソイソと鉄棒に掴まり登る真田は文字を一人で作ろうと奮闘するが、上手く作れるわけない。見かねたTyrantessがセットに登り、体を伸ばして縦棒を作った。そこに間隔を開け腕を直角に伸ばした真田が並ぶ。
「格好良い僕の『か』!」
真田の寝言に苺が突っ込む。
「画竜点睛を欠く。点がないと『か』にならないのだー。最後の仕上げをしてないのだ」
「え〜これは片仮名っす。御洒落なセンスってヤツっすよ。間違っても『ちから』っじゃないすから!」
「片仮名と平仮名の区別くらいつけましょう」
実は真田、平仮名の『か』を作ろうと思ったのだが出来たのは片仮名。慌てて誤魔化すが遅い。郭氏文の冷ややかな一言を貰った。
セットから降りてきた二人は足早に他のコントのセットに入る。そこでテロップ。『鴨が葱を背負ってくる』
お客が来ない閑古鳥の鳴く店。溜め息混じりで店番をするTyrantess。そこへ大量のビニール傘を持った真田が登場。
「ふぅ重いっす。ねぇ、店員さん家にあっても邪魔で仕方ないので、この傘をかりんとうと交換して欲しいっす」
「あ〜? ただでさえ客が来なくて商品が売れず残ってるのに‥‥邪魔になるから嫌なんだが」
そんなやり取りの中、突然の雨音。さっきまでの晴れ間が嘘のような大雨だけに、右往左往する外の人達をみたTyrantessは閃き、
「わかった。かりんとうで手を打とう。他のお菓子を食べても良いから店番を頼む。この傘は買い物をしたお客にサービスで渡してくれ。俺はちょっと寝てくる」
かりんとうと交換で傘を貰うと店番が面倒になり、ついでに真田に店番まで頼んだ。「剃刀と奉公人は使いよう」とばかりにほくそ笑み「果報は寝て待て」だなとポツリと呟くと奥で一休み。
数時間後とテロップが流れ、彼女が目覚めた頃には雨も上がっていた。
「ん〜よく寝た。さて売り上げの方はどうだ」
「傘は全部無くなりましたっす。みんな喜んでたっすよ」
きちんとお菓子を食べながら店番をしていた真田。嬉しそうに言う。Tyrantessもどれほど儲けたかいざ売り上げを確認すると、どうも割りに合っていない。
「な、なんだ? この金額は」
少額の買い物客にも気前よく傘をあげてしまっていたらしい。真田が食べた菓子と見合わせれば結局は赤字で、勘定合って銭足らずであった。
「うん、うん。僕のアドバイスどおりだね。その展開のほうがいいと思ってたんだ」
コント終了と同時に拍手で現れるHIKAGE。その顔はまるで自分が作ったと言わんばかりだ。その言葉に噛みつかんばかりの勢いで睨むTyrantess。それに気付かず言葉を続けようとするが、真田に持っていかれた。
「コントにも出た果報は寝て待ての『か』っす〜。それじゃあ、寝て待つっすよぅ」
そのまま床にころりん。寝よろうとするが、
「っは。寝たら出番が無くなるっす! 前に同じ事した記憶がぁ。みんな僕の活躍を刮目して見てっす!」
と、跳ね起きるがセットに勢いよく頭をぶつけてそのまま気を失った。
「肝脳地に塗るやね‥‥南無ぅ〜」
と、豊浦が合掌。
「や、やっぱりね。上手くいったでしょ? 真田さん」
「まだ言うかっ! ほらテロップで説明ばっちりや」
「我田引水:自分に都合の良いように説明したり、物事を運んだりする事」
つまりはずるい演出の意味だ。豊浦が説明の存在を教えると、HIKAGEは必死に両手を振り回し画面に向かって、
「うわ〜っ態とだから! わざと! そういう役なんだよ〜」
だがもう遅い。
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「やっほー、ニコラだよ。今日のお題は蛙の面に水。何をされても平気な顔をしているっていう意味なんだけど、本当にそうかなぁ? 実験もかねて、検証してみよー」
ニコラ・リリェフォシュ(fa3724)が画面に向かっておっとりと手を振る。傍の台には水鉄砲と蛙の置物。今回はどうやら手品では無さそうだ。
「それじゃー、本当になんとも無いか実験開始〜」
水鉄砲を手に取り、少し離れた場所から引き金を引く。飛び出た水はあっちの方向へ飛んでいき、まったく当たらない。数回、水を発射させるがそっちこっちと、的を大きく外れ当たる気配が見えなかった。業を煮やした苺がアドバイス。
「ニコラさん、的が遠すぎるのだー。もっと近付くのだ」
「そうですね、もうちょっと当たりやすい位置に‥‥えぇ、そこでしょうか」
「そやったら蛙を動かせば‥‥っきゃ!!」
すっと近付いて郭氏文がニコラをずらし、当たりやすい位置へと導く。もっとも当たりやすい提案をした豊浦が置物の蛙を動かそうと手に持った時、ニコラはすばやく蛙に狙いを定め水鉄砲から水を飛ばした。どういう仕掛けか不明だが置物から生の蛙へ変じ、豊浦の手の中でグェッと鳴き飛び跳ねた。一瞬に豊浦の顔が青ざめ驚きの悲鳴を上げ蛙を放る。ぺちょっと水音共に苺の顔に本日二度目の蛙パック。
「あはは〜やったぁ。成功だね。どっきり大成功だね、マロ君!」
「なんや、今回は手品を使わん言てたくせに〜ぃ」
満面の笑顔でマスコットのヘラジカ、マロ君と一緒に『ドッキリ大成功!』と書かれた看板を掲げる。豊浦は蛙を握った手を気持ち悪そうに振りながら突っ込む。がそれでもにこにこ。これがまさに蛙の面に水だったりする。
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「番組初参加の方とお題コントをさせて貰います」
「ウィンだ。この番組、初挑戦だけど宜しく頼む。お題コント、勝って兜の緒を締めよ」
郭氏文の紹介でなにやら物々しい足音を立て現れるウィン・フレシェット(fa2029)。努力と根性で着込んだスーツアーマーで登場だ。真夏のスタジオ、ただでさえ熱気が多い番組にこの恰好は無謀といえよう。それでも負けないウィン。意気揚々と旗を振り翳しそれは勇ましい。
「帝に刃を向ければ我等は賊軍となります。今しばらく御考え直しを。‥‥えぇ解りました策を火計を使いましょう。全てを灰燼に帰さしめるのです。ウィン殿、行きましょう」
郭氏文の台詞に説明テロップ「灰燼に帰さしめる:火事で跡形も無く燃えてしまう事」
立て膝を付いた郭氏文は旗を振る彼と共にいったんその場を離れる。すぐ後、
「エイエイオー」
と勝ち鬨を上げたウィンと郭氏文。彼らが仕える殿の軍が勝利を収めたらしい。しかしウィンはおもむろに、
「勝って勝利の緒を締めよ」
そこにまたテロップ。「勝って勝利の緒を締めよ:勝ったといっても心を引き締めて当たれ」
戒めの言葉を実践しようとフルヘルムのベルトを締め直そうとする。が、緒の結び目がない。それに気付かずスーツアーマで懸命に手を伸ばし結び目を探すが、とうとう熱さと疲労でその場にへたれ込む。
「フハハ‥‥コホン。これぞ画竜点睛を欠くですな」
「あ〜あ。その諺のまんまやん! 油断の戒めやな」
最後の仕上げが不十分だったため、全体が締まらずそれを意味する諺で締める郭氏文。豊浦のハリセンより強力な言葉突っ込みが二人に追い打ちを掛けウィンは床に突っ伏した。すぐさまHIKAGEと苺が担架で涼しいところへ運びだしていく。
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「みんなぁ、今回も楽しんで勉強できたやろか? さて最後になったんやけど、最後大ボケな人に会心のハリセン一発! やっぱこれがないと画竜点睛を欠くてなもんやろ?」
「うわぁ。な、何? えぇ〜終わりっすか! このままで間髪入れずにネタをするしか‥‥いくっすよー」
「‥‥真田さんとひかげんで決定やな」
カラカラ笑いながらハリセンをスイングしているところに寝ぼけ眼で起きあがった真田。ネタに入ろうとしたところで素速い突っ込み。「ううっ会稽の恥っす‥‥か〜〜ぁ無念っす」
すぱぱ〜んっ
真田、ガクリと倒れる。そこに返す刀の如くハリセンを閃かせ有無も言わさず逃げるHIKAGEの後頭部を捕らえ見事に決まった。半泣きで画面向こうのみんなに何か訴えるように口をパクパク。しかしそれもスルーされるのだろう。きっと。
「まったね〜」