いろはに諺 よの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/16〜07/20
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●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、今回も賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「よ」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使かったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■お題
よ
「寄らば大樹のかげ」
意味:人に頼らなければいけない時、勢いや強い人に頼るのが良いという事。
「弱り目に祟り目」
意味:悪い事に困っている時に、更に悪い事が重なってしまう事。
「横車を押す」
意味:筋道の合わない自分の言い分を無理に押し通そうとする事。
●リプレイ本文
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毎週、六時にチャンネルを合わせれば映し出されるタイトル。いつものように元気よく子供の声で読み上げられると画面は切り替わり、司会者&出演者が映し出された。
「はい、今週もやってきました、いろはに諺の時間です。司会者の郭氏文令明。今回のお題は『よ』。用心は臆病にせよ。という諺がありまして、用心はしすぎるという事はない。臆病なくらいで丁度良いと言う意味です。臆病というより慎重に行動するべきと思いますが。と、言う事で敵軍に挑発されても軽率な行動を慎み、出方を見極めるのです。石橋が壊れるまで叩くくらい慎重に‥‥それも考えものですかね?」
司会を務める郭氏文 令明(fa0243)の口上で始まった番組。最近は慣れが見えてきた。自分の挨拶を終わらせると隣に立つ、手にハリセンを持った豊浦 あやね(fa3371)と交代。満面の笑みで、
「昔から学問一般を読み書き算盤、言いますけど、いつかこれに『読み書き算盤、いろはに諺』と行きたいもんやね。ほな、今週も皆の披露する『横手を打つ』よなネタの数々で勉強していこか。司会は変わらずのユラお姉さんと、選り取り見取りの出演者さんで世の中は相持ち。助け合ってお送りします!」
彼女にしては珍しいテンションだ。そしていつも通り準備運動を兼ねたハリセンフルスイング。白やピンクの全身タイツ姿の出演者『文字ぃ君』が鬼気迫る様子にビビる中。全く応じない男が一人。ここの番組の出演を首を傾げてしまうような強面の男、鬼王丸・征國(fa0750)。彼は傷のある怖い顔とごっつい体格、極めつけな訛りで子供と言わず大人もビビらせてしまうのだが、この番組を見た子供に親しみを持って貰おうと期待しての登場であった。
流石の豊浦も驚いているが誰であろうとも『寄らば大樹の陰』と流れ贔屓にならないように断固とした態度で的確なツッコミをすると心に誓い、彼を横目で見ながら三人目の司会担当、まいお姉さん役の苺(fa3120)に交代しようと振り返えるが隣にいない。
「まいお姉さんって‥‥? 何しとんや、司会ちゃうのか?」
「んとねー、ただいま試用期間? という役どころの見直し週間なのだ。とゆーわけで、文字ぃさん初挑戦なのだー‥‥。ピンクは好きだけどスカートは慣れないのだ」
試用期間になった理由は個人的な話で不明であるが、この番組のレギュラーの彼女が初のピンクぴっちりタイツに戸惑いながら微笑む。それでも愛用のマイクと腕章『よりよい自分を見つけるために』は健在だ。やはり転んでもただでは起きない苺。素晴らしいプロ根性であった。
毎度お馴染みな雰囲気で番組開始である。
●
「ヨーロレイヒャぁ〜。今回のネタは‥‥ごめん、みんな、お姉さん! 俺、他の文字と間違えてました!」
えらやっちゃと踊るHIKAGE(fa1340)は本格的な素ボケをかましたようだ。
本番前、スタッフにネタを披露していた最中、彼らの生ヌルい目と言葉で気付いたらしい。当たり前だがネタは間に合わず、うぐぐっと涙と鼻水を堪え、付け焼き刃でネタを披露するが、どれも滑っている。ここまでくれば羞恥プレイに近い。耐えきれなくなったHIKAGEは豊浦に助けを求めながら、どさくさ紛れに抱きついた。
「うわぁん、ユラお姉さんの力でなんとかしてぇ! 寄らば大樹の陰っ」
「間違えた自分が悪いんやろがっ!」
「うぅ‥‥弱り目に祟り目‥‥。あぁん悪い事が重なりすぎ‥‥ガクリ」
ハリセンの軽快な炸裂音で追い打ちを掛けられ、凹んだHIKAGEの元に苺がニパリと笑顔で現れる。
「こういう時は甘いモノなのだ〜。マロ君の好物は毎回、お題の文字で変わるのだ! 今回のお題文字でいくと‥‥羊羹、ヨモギの草餅にヨーグルト、よりきり? あれー?」
「それを言うなら、練りきりや! なんやお菓子ばっかやん」
「あいたっ! ‥‥と、とにかく用意したお菓子をHIKAGEさんにマロ君、遠慮なく食べるのだっ。え、多い? 大変だったら、おいらも手伝うのだ。こうやってネタが思いつかなくてどうしようもない時に地位は絶対に変わらない、マロ君やHIKAGEさんと遊んでれば乗り切れるのだ。これが寄らば大樹の陰! って、頼るっていうより便乗なのだ」
「意味変わるやろがっ」
天然ボケに豊浦の素速い突っ込み。この掛け合いもよく息が合っている。ハリセンを貰ってもめげない苺はてんこ盛りの菓子をマロ君とHIKAGEに無理矢理食べさせながらも豊浦の言う通り、ほとんど彼女の胃袋に収まった。
「美味いのだー」
「をい。苺さんが全部食べとるやん!」
「てへーなのだ」
「世渡りの殺生は釈迦も許す。という言葉がありまして、意味は御釈迦様も世渡りの為にする多少の殺生ならお許しになる。生活の為なら少しがめつい真似もやむえないの意味です。このユラお姉さんの突っ込みも、世渡りの為なら許されるでしょう」
菓子を両手に持った苺は誤魔化すように可愛く笑う。そんな彼女をチラリと見た郭氏文はいつもの淡々とした口調でこの場を閉めた。
●
「よく学び、よく遊べって言う言葉はこの番組の為にあるね〜。与太話だって用に叶えば宝なり。善かれ悪しかれ頑張るから、淀む水には芥溜まる。なんて言わないでね〜。スタッフさ〜んテロップをヨロシクぅ!」
のほほんと登場のHAKASE(fa2600)。毎度お馴染みパペットが両手にはめ込まれている。今回の趣旨に合わせ用意した人形は『用ある時の地蔵顔、用なき時の閻魔顔』に因んだお地蔵さんマペット、オジゾーさんと『羊質虎皮』の虎型のトラ君だ。二つとも今までより一回り大きいが誰も気付かない。
「トラっとオジゾーっと」
んぱっと人形を画面に向けて突きだしてコント開始。
「深夜のスポーツ中継なんか見ちゃったから起きられなかったゾ! あぁ〜早朝会議に遅刻だゾ! けど寝不足で体が怠い‥‥。う〜ん。もう動けないゾ‥‥」
「おや? オジゾーさん。そんなところでどうしたの?」
画面の下に諺テロップ、「宵っ張りの朝寝坊」が流れ、右手のオジゾーさんを慌てさせる演技をさせた後、へたり込み。そこに背後に隠していた左手のトラ君を登場させた。
「あぁトラ君いいところに。寝不足の上に疲労で動けなくなっちゃったんだゾ〜、助けてくれゾ〜」
「悪い事が更に重なった。弱り目に祟り目の状態なんだだね。いいよ、僕の背中に乗っかって」
「ありがとうだゾ〜! トラ君。寄らば大樹の陰とはこの事だゾ! では遠慮なく。よいっしょ」
背負う形を取らせトラ君が数歩、足を進めたところで重さに息が上がる演出で弱々しく崩れ落とさせた。
すぐにトラ君の背中のオジゾーさん人形を剥がし、エンマさまに変化させる。声も腹の底から恐ろしげに出し怖さを煽る。
「遅刻したらお前の所為だ、トラ君って、‥‥あ、君はヒツジ君?!」
「めぇ〜、ごめぇ〜ん。オジゾー君、もといエンマさま。君が困ってたから助けようと思ったんだめぇ」
おんぶして貰っているのに何とも勝手な言い分のエンマ様。トラ君の毛皮を引っ張りながら無理に筋を立たせようとするが、そこでバリリっと背中が裂け、なんと白い毛の可愛いヒツジ君が登場。なんと虎のフリをしてオジゾーさんを親切にしていたのだ。そんな事とはつゆ知らず無理を言ったオジゾー君はすぐ反省。
「ごめんだゾ、ヒツジ君が僕を背負うのは無理だから肩を貸して欲しいゾ」
「トラっとオジゾーっと」
背中から降りたオジゾー君と二人、世は相持ちでお互いに上手く助け合い目的地に行くことで上手く纏めた。
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用意された車を背に横田新子(fa0402)は、小さな愛らしい草を手にキューを合図でご挨拶。
「こんにちは、幸せを呼ぶという『四葉のクローバー』を持ちますのは良い子な幼稚園児に愛される横田新子でございます。横田、横田です。横田を、どうぞよろしくお願いします! 住みよい街のためn‥‥」
「なんや売り込み満々な街頭演説になっとるやんっ!」
ぱしぃん!
お題文字『よ』を上手く繋ぎ合わせ満面の笑みで手を振る横田だが、何故か途中から街頭演説風になっていく。すかさず豊浦のハリセン。
「あたっ! ん〜相変わらず用意周到‥‥。十分用意ができて手抜かりのないユラお姉さんですね〜」
「当たり前やん! ボケを察知能力をビシバシあげてんねん。って、ともあれこの車、どないしたん?」
「これは私の愛車なんですが、ガス欠になってしまいあそこに見えるスタンドまで押してるのです」
豊浦はビシビシとハリセンを振るうが本業はアイドル。決して突っ込み担当の芸人ではないのだが最近は更に技が上達していた。目差せ突っ込み(もできる)アイドルだ。
一通りのボケ突っ込みを終えると、さらりと流れるように次のお題に移す。これらも上手く繋げるのは司会者の勤め。
その言葉に横田は、自分のお題コントを開始。彼女に似合う小型の可愛らしい軽自動車。その運転席の窓に手を付き車を一生懸命押す。しかし軽でもエンジンの掛かっていない車はただの鉄の塊。ゆるゆるとしか進んでいかない。
「なんや、そやったらガソリンを容器に入れて貰えばいいんやないの?」
「くぬぅ〜っ、その容器を探してる手間も惜しいです! あともう少しなんです。ツッコミ入れるぐらいならとっとと手伝いなさい!」
「うはっ! は、はい! あぁ、横田、車を押すの洒落がキレてしもうてホンマに横車を押すになっとるわっ! え〜スタンドに着くまでの間、ニコラさん宜しゅう!」
筋の通った発言の豊浦に横田が逆キレを起し無理矢理、横車を押す。つまりは筋道の立たないモノをゴリ押しで通す。それは演技であるが一瞬、横田の瞬間湯沸かし器の剣幕に慌てて従う豊浦。助手席側に回り押し始め、スタンドまで当分掛かりそうなので次に控えているニコラにタッチした。
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番組収録前にスタッフと色々な意見や要望を練り込んだ演出面の打ち合わをしていたニコラ・リリェフォシュ(fa3724)と鬼王丸。
二人でマジックとコントを披露する予定だ。冒頭はニコラの優しげな微笑みから開始。
「やっほーニコラだよー。今回はある方の散々な一日、『弱り目に祟り目』をやってみるねー」
笑顔で登場した彼女の後ろから足取り重そうに現れた鬼王丸。
「この顔、いかんのじゃろか‥‥トホホ」
「そこのお兄さん? んー、しゃっちょさん? 何いじけてるの? 折角だから人体切断マジックの実験台になってー」
トボトボと歩く鬼王丸をニコラが呼び止めた。彼女の回りに用意されていた人体切断マジック道具とマスコットのマロ君。ニコラのマジック練習の前に試験に落ちて凹んだ鬼王丸が出くわすという設定だ。
ニコラは鬼王丸の手を引き、強引に箱に入れると手品開始。大きな剣を取りだし彼ごと箱に突き刺していく。が、やはり不慣れで幾度か場所を確認するように剣を刺しては引き抜くを繰り返す。箱から顔だけ出す鬼王丸が叫ぶ。体のほうが見えないので少しばかり狼狽えた様子だ。
「ん〜? この位置じゃないのかな〜」
「痛たっ?! なにすんじゃ。我ぇ‥‥うごっ!」
「え? きゃっごめんなさーい‥‥」
ざくっと鈍い音と共に花畑の写真の上に「暫くお待ちください」の文字が踊る看板を持つ郭氏文に画面が切り替わった。
数分後、再び彼らが映し出された。腹に包帯を巻く鬼王丸と平謝りのニコラだ。しかしこれも演出で本当は怪我などしていない。
「ごめんなさーい‥‥・今度は上手くやるねー。得意なお札消しのマジックだよー」
「ほぅ。それは楽しそうじゃのぅ」
今度はお札を消し、元通りにするマジックを披露するとニコラが言い、彼からお札を一枚預かる。けれど、やはり調子が悪く消したまでは良かったが、出てこない。困ったニコラは誤魔化すように、
「えっと‥‥江戸っ子は宵越しのお金を持たないんだよね? 代わりにこれをあげるねー。あ、後ろマズイー! んじゃバイバーイ!」
「なんじゃこりゃ! これは玩具のお札?! ワシは宵越しの金は持たんのじゃ。それが男気じゃけんのぅ」
「鬼王丸さん、どいてくださーい。車が行きます!」
「え? う?!」
手渡されたのはニコラの自画像入りのお札。皆がいる手前、恰好付けるが内心は、かなりトホホだ。おかげでニコラの逃走や横田の車が近づいてきたのにも気づかないほど落胆し、車に気付いた時はすでに下敷きになってしまった。
鬼王丸はタイミングよく、柔らか素材で出来た地面セットにめり込む。幾ら柔らかいとはいえ普通の人なら無理な絵。だが羽織の下でこっそり半獣人化していた鬼王丸は無傷だ。なかなかいい絵が取れた。
「あらー鬼王丸さん。弱り目に祟り目やな。というか踏んだり蹴ったり? いや、刺されたり踏まれたりやね」
「‥‥本当に‥‥それにお金までもじゃけんのぅ」
「え〜、もうお札は返したよー」
助け起こされた鬼王丸の手に握られていた贋のお札をニコラが小さく触る。とたんに元の本物の札へ戻った。弱り目に祟り目な鬼王丸であったがひとつ良い事があり、強面の顔を嬉しそうに歪めた。
●
「さて、今回の番組はもう終わりですね。では私から最後に、よく学び、よく遊べ。立派な人になる為の諺です。お勉強をした後は遊ぶ事も大事。皆さんもメリハリをつけて頑張って下さい」
「そうなのだ。大事なのだー。じつはユラお姉さんのバディもメリハr‥‥」
「いらん事はよろしっ」
ばしぃぃんっ
お終いの挨拶を進める郭氏文。そこに未だ菓子を食べ続けていた苺のチャチャに、またも素速い突っ込みの豊浦。いつもの通りで番組終了。
「まったねー」