いろはに諺 たの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
2.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
07/23〜07/27
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●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、今回も賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「た:濁点可」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■お題
た
「対岸の火事」
意味:自分には関係ない出来事。
「大山鳴動して鼠一匹」
意味:騒ぎが大いわりに大した事ではなかった事。
「蓼食う虫も好き好き」
意味:人はそれぞれに好みが違う事。
●リプレイ本文
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毎週、六時にチャンネルを合わせれば映し出されるタイトル。いつものように元気よく子供の声で読み上げられると画面は切り替わり、司会者&出演者が映し出された。
「はい、やってきましたいろはに諺の時間。司会者の郭氏文令明です。そして同じく司会を務めます‥‥立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花のユラお姉さんとまいお姉さんです」
「た、た‥‥たあっ! ってなわけで始まりや。矯めるなら若木の内、若いうちから勉強せぇへんとあかん。お爺ちゃんお婆ちゃん、お父さんにお母さんかて一緒や。やる気は本人の気持ちやさかい、皆で勉強や! 玉磨かざれば光なし。せっかくの可能性も身につかへんでっ。ほな、ウチことユラお姉さんと文字ぃ君達にマスコットのマロ君! 多種多様の個性満載でお送りしますよって宜しゅう。‥‥そや、まいお姉さんは司会におるかいな?」
いつものように冒頭の挨拶をする郭氏文 令明(fa0243)。彼はお題文字を上手く使い淡々とながらもメチャ甘な台詞を言ってのける。
もろに当てられた豊浦 あやね(fa3371)が瞬時に頬を染め、ハリセンを勢いよく振り回す。今回のハリセンはいつもと違い、両手で持たなければ振り回せないほど巨大なもの。そのせいかバランスが取れずキレがイマイチ悪い。それは容易に避けやすく、さらに当たってもあまり痛くない。ようはハッタリ用ハリセンなのだ。
幾度か振り回したところで、ようやく落ち着いた豊浦は、まいお姉さんこと苺(fa3120)に替わろうと辺りを探す。
苺は並ぶ文字ぃ君の一番後ろ。用意された屋台セットの後から顔を出していた。衣装もピンクのタイツ。もちろん愛用のマイクと腕章『しかいしんこ〜炊き出し中(違)』は健在だ。
自分探しと司会者として太鼓判つけて貰えるよう、司会と文字ぃ君の両方を務めながら様子見らしい。
「ここにいるのだ! ではさっそくお題っ! まいちゃん印のタイヤキ屋台ー、鯛焼き食べ歩きの神様の太鼓判つきなのだー。あ! ティタネスさん、まいどあり〜なのだ!」
「つけるなら墨やろがっ、太鼓判は押すんや! まったくもぅ‥‥」
「おや? 疲れているみたいだな。そういう時は甘いモノ。鯛も一人は美味からずっていうし、お裾分けだ」
「あら、おおきに〜」
甘い鯛焼きを苺から大量に買い込んだティタネス(fa3251)は、食べようとしたところで突っ込みを終え、幾度もハリセンを振ったせいか、ややお疲れ気味の豊浦に出会す。すぐに彼女を労い、鯛焼きを出した。嬉しそう受け取るのを見、自分も一緒に食べようとするが、人差し指を口に当てて彼女を見ているマロ君と目があった。
「解った。あげるよ。代わりにハグを‥‥。うわぁ! 可愛いっ」
またもティタネスは気前よく振る舞う。嬉しそうに手を伸ばすマロ君を素速くぎゅぅっと抱きしめた。それにはマロ君も堪ったモンじゃない。女性に抱きしめられるは嬉しいが、見事にサバ折りを決められ藻掻きまくっている。
「よしっ! 気が済んだ。鯛焼きをお裾分けだ」
モコモコを堪能したティタネスは、ようやく解放し鯛焼きを手渡すとまたも熱い視線を感じる。発信源は苺。これにはちょっと抗議してみる。
「自分の屋台の物なら食べ放題じゃないのか?」
「おいらが食べたら、その分お金払わなきゃなのだ。お裾分けならタダなのだー」
お裾分けに引かれて出てくるのも現金だが、口にした理由もこれまた現金。呆れ顔で鯛焼きをひとつ渡すと、ここまで配ったのだからと、全員に配り始めた。そしてポツリと一言。
「楽しむに天下を以てし、憂うるに天下を以てす。ひょっとして名君の素質あるんじゃないか?」
勘違いだ。しかし彼女は満面の笑みで鯛焼きをたいらげた。最後の一つを手にしたところで、またも苺の熱い眼差し。自分の分をとっくに食べ終えていた。困ったティタネスだが、断腸の思いで鯛焼きを譲った。
そんな一場面の終わりを見極めた郭氏文は、
「竹に雀と言う言葉がありまして、これは取り合わせの良い物の例えの言葉なのですが、解りやすく説明すれば、ユラお姉さんにハリセン。まいお姉さんに食べ物ですね。はい、お後がよろしいようで。今回も賑やかに始まりです」
今回も賑やかになりそうである。
●
古びた平屋建て。妙に高い床のセット内でお笑いコンビ『まいむ☆ まいむ』はコント開始だ。
「なぁ〜おかん。クラスで泳げへんの僕だけやねん。先生にもっと練習しぃ言われたでぇ。プール連れてってや」
舞台袖から小走りに息子役のまー君(役:桐尾 人志(fa2341)が紺の海パンにランドセル、黄色い学帽というぶっ飛んだ姿で家に入る。
そこに着物に割烹着姿のおかん(役:河田 柾也(fa2340))と浴衣にチョビ髭、ヅラ姿で卓袱台を前で新聞を読むおとん役のマロ君がいた。
「なんちゅう恰好で帰ってくるんや! なに、プールやて? あんたが小さっい頃に使ってたビニールのがあったけど‥‥。それはいや? だったら風呂や裏の河原でもいいやろ。そっちにしぃ」
「それなら、泳ぎを教えてぇな」
「なら猛特訓やで! 覚悟しぃ」
息子の恰好に驚くおかん。そりゃ当然だ。その後もまー坊の言葉を素気なくあしらう。それでも粘り強い談判に根負けしたおかんは立ち上がり、着物を脱ぎ捨てた。
「うぷぷっ! 猛特訓の前に‥‥おかん、僕、家出してええ?」
「何言うてんの。ほら特訓するで。初めは息継ぎからいくで!」
紺色の女子用スクール水着のおかんに対してのまー坊の言葉も解る。それにも動じないおとんは黙って水が入った洗面器を取り出した。
まー坊は恐る恐る顔を付け特訓を開始。しかし息が続かないでいると、
「あかんなぁ、せめて二十秒は漬けてみ。ほな行くで! って、あらこの時計、秒針あらへん」
「ごぼがぼっ」
おかんはいきなり、まー坊の十円玉パゲヅラを鷲掴み洗面器に押さえつける。まー坊は両手を振り回すが無駄な抵抗。逃がしはしない。
そんな二人の闘いを冷静に見るおとんは、『良い子も悪い子も絶対に真似してはいけません』のフリップを素っ気なくカメラの前に掲げた。危険だというのに止める様子は微塵もない。あくまでも黙って見守る父なのだ。
「ぷっは、何すんねん、溺れさす気かいな! そういえば昨日、保険のおばちゃんと家の前で会うたけど、僕に莫大な保険掛けてへんやろなぁ」
ようやく解放され、まー坊はジトメでおかんを見る。そこにおかんは一言。
「おとんにがっぽり掛けても、可愛い息子にそないな真似するかいな!」
「‥‥もうええわ、次やいこう! 次‥‥平泳ぎを教えてぇな」
呆れ顔のまー坊。おかんは素速く切り返す。
「なら、蛙の気持ちやをちゃんと見習い!」
「うわっ、何すんねん!」
またも卓袱台の下から水槽を取りだし有無も言わさずひっくり返すおかん。勢いよく飛び出した蛙達は、水のない畳の上で泳ぐ事が出来ず、ただ跳ね回っている。慌てた父子は、練習を中断して回収作業に勤しむ。
「捕まえんと暫くお肉食べられへんよ〜」
「喰うのかい!」
おかんに鋭い突っ込みを入れながら、まー坊は蛙を水槽に戻していく。数分後、ようやく作業を終えた彼はいい加減、懇願しはじめる。
「‥‥頼むからちゃんと教えてや」
「解った解った。基本のクロールは膝を伸ばし足の付け根からまっすぐ動かす。ええか、何があっても膝曲げたらあかんで。ほな‥‥ふんっ!」
ぐぎっ
「うごぉ〜」
今度はまともにクロールの練習かと思いきや、おかんは矯正と称しながら彼の背に跨り、おもむろにキャラメルクラッチ。悲鳴を漏らすまー坊を気にせず、連続技で海老反り固めまでも決める。
「ぐはっ! ギブっギブや! 僕はただちゃんと水ン中で練習したいんや! こないなのは嫌や!」
「ならさせたるわ」
畳を叩き、技の解除を要求するまー坊はとうとうキレだす。おかんはまー坊の言葉に立ち上がり、天井から伸びた白い紐をくぃっと引っ張った。すると、
ぱか〜〜〜ん!
一部床が抜け、鰻がのたうちまわるプールが現れた。悲鳴を上げる間もなく見事な腹打ちを見せたまー坊。そこをおかんが覗きこみ一言。
「ここは僕も落ちた方がオチがつくかなぁ」
ちらりとディレクターを盗み見ると、こくりと頷かれた。
それを合図に背後から忍び寄ったマロ君が河田を突き落す。これで「畳の上の水練」は、幕となった。
●
「楽しく皆で学ぼうね! の『た』。え〜、まずは真面目に‥‥。蓼食う虫も好き好き。これの蓼の葉はとても辛いのだけど、あえて食べる虫がいるんです。その事から人も好みもそれぞれ違うという意味で使われるんですね。そいうえば先ほどの河田さんの役も味があってよかったですよね。そういう事かな?」
爽やかな笑顔で講義するのは、Even(fa3293)だ。マイペースな彼の速度で話が展開する。
「もっとも僕は女性であれば皆、好み。勿論ユラお姉さんもね。今度僕とお茶、いや、お食事をいかがです?」
「直球やねぇ。丁重にお断りしますわ」
軽く肩を抱き、きらりと輝く歯を見せ笑顔で豊浦を口説く。が、ハリセンが一閃であっさり終了。なかなか守りの堅い。しかしめげないEvenは頭をさすり、すぐにターゲット変更。苺に擦り寄る。
「うーん、ユラお姉さんは高嶺の花のようですね〜。では、まいちゃん。旅は道連れ世は情けと言いますし、これから一緒に遊びに、いえ、美味しい物を食べに行きましょうか?」
「え? 美味しいモノ〜。じゅるり‥‥いいのだ! 行くのだぁ」
「番組中にナンパは禁止や! 成敗!」
すぱ〜んっ!
呆れるほど速い変わり身に、よく回る舌を巧みに使い苺をナンパ。食べ物に釣られ苺は承諾するが、豊浦が黙って見過ごす訳がない。Evenの後頭部にハリセンをヒット! そのまま撃沈させた。
「さぁて、トリの横田さん、さっそくお題の付く言葉をいってみよ〜」
「え? た‥‥た、タクラマカン砂漠の『た』!」
豊浦に紹介され、最後を勤める横田新子(fa0402)は、いきなりのお題文字で戸惑いながらも頓知の効いた発言をみせ、すぐ隣に用意されたテーブルに着座する。そこには『た』が頭に付く料理が並べられ、横田は片っ端から食べ始めた。
「たこ焼き! に玉葱ぃ」
たこ焼きを爪楊枝でもしゃもしゃ。お次はスライス玉葱。辛いのか、涙を流しながらも懸命に食べ、次の丼に手を伸ばす。
「たぬきうどんです! 『た』って美味しい物ばかりが多いですね。食べる事が大好きな横田です。まだまだ色々とありますねぇ〜たの付く食べ物」
「食べ過ぎやで! って、これがお題とか、もしかして言わんやろ?」
「え? そうですが駄目ですか?」
「当たり前やん、美味しすぎやわ」
「でしたら、沢山食べたのでちょっと腹ごなしに体育の授業なコント、大山鳴動して鼠一匹!」
ずるずる音を立てながらたぬきうどんを食べ終え、一息つくと自己紹介。しかし終えるが早いか、また料理に箸を伸ばす。そこに豊浦がハリセンを振り上げ突っ込み。
叩かれた頭をひとさすりし、タイツの上から柔道着を着ると畳が数枚、敷かれた場所でマロ君と一緒に体育の授業コント。
いやぁぁ〜、たぁぁ、など掛け声もなかなか本格的で二人、真面目に組み合う。
「マロ君、脇が甘いです!」
幾度か足の掛け合いの中、横田はマロ君の隙を見つけ、素速く前に引き、重心を崩させるとその体を抱え、体落しを仕掛ける。見事引き寄せられ、ぶっ飛ぶ瞬間、マロ君の首がポロリっ。慌てたHIKAGEは、着ぐるみの中に首を引っ込めた。
「ぎゃぁ〜っ、マ、マロ君の体じゃなくて頭が落ちた‥‥って、これマズイよね。せ、先生、急患で〜す」
ころんと転がるマロ君の頭に仰天した横田は、大慌てで担架を探しに走りまわる。だが、マロ君の方は冷静に首を見つけると、カポッと元に戻し、何事もなかったかのように一礼をしてその場を後にした。
そこに先ほどの豊浦の一撃で伸びていたEvenは、騒ぎが自分から離れた頃を見計らい、気怠そうに起きあがる。
「うん? 狸寝入りをしている間に騒ぎが移って対岸の火事になったみたいですね〜」
とあくまでものんびりなEvenであった。
●
「さて、今回も楽しく学べましたか‥‥」
「あ〜〜っ! 忘れてた。どうしよう‥‥大丈夫だろうか?」
「な、なんやの? どないしたん?」
郭氏文の挨拶の途中に、突然、大きな声を上げたティタネス。まるでこの世の終わりが近いかのように慌てている。心配げに訊ねる豊浦。
「サボテンに水やるの忘れた! ど、どうしよう」
「なんやサボテンなら、一日くらい水をやらんでも、どうってことないやろがっ」
なんともたわいもない事。大山鳴動して鼠一匹とは、このことだ。
すぱこーんっとハリセンが当てられたのは当たり前である。
「‥‥こほんっ。では、最後に私から二つの諺をお送りましょう。玉磨かざれば、器を成さず。かの英雄達も努力を惜しまず物事に勤めていました。自惚れず日々精進しましょうね。そしてもうひとつ、断機の戒め。続ける努力はいつか助けの刀となります。途中で投げ出さず、続けることが大事なのですよ。それでは立つ鳥後を濁さずできちん纏めたところで、この辺でお別れです。そう、オマケに‥‥毎回、淡々と司会を振興しているの私はこれぞ対岸の火事。ですね」
やっぱり郭氏文はアッサリとした口調で上手く締めた。
「まったねー」
豊浦が目指した大団円で今回も終了である。