いろはに諺 れの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 2.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/30〜08/03

●本文

 サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
 いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
 そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
 和風なセットなども用意され準備は万端。あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、今回も賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「れ」の文字を頭に面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること! 
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。 
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第! 
 用意された諺は、全て使わなくても大丈夫です。 

■お題
 れ
「レールをしく」
意味:物事が考え通りにいくように、準備をしておく事。

「礼も過ぐれば無礼になる」
意味:あまり丁寧になり過ぎると、馬鹿にしているようでかえって相手に嫌悪を抱かせてしまい失礼になってしまう事。

●今回の参加者

 fa0254 月鎮 律人(31歳・♂・狼)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)

●リプレイ本文


 毎週、六時にチャンネルを合わせれば映し出されるタイトル。いつものように元気よく子供の声で読み上げられると画面は切り替わり、司会者&出演者が映し出された。
「またとない宝の事を『連城の璧』と言うねんけど、知識はまさにそのものでっしゃろね。‥‥とまぁ、ウチことユラお姉さんとまいお姉さんで司会進行や。勿論、文字ぃ君達やマロ君も健在! 夏バテをぶっ飛ばすネタの『連鎖反応』を期待してまっせー! さぁ暑さに負けず、れっつすたーと」
「今週も試験的司会のまいお姉さんなのだ。がぅっ?! ユラお姉さん、なんか男女比が三対一なのだ!」
「はぁ? それちゃうやろ」
 今回は久し振りにお姉さんとして挨拶をする苺(fa3120)。いつものように愛用のマイク&腕に付けられた腕章『しかいしんこ〜ボケ連動行動☆』は健在だ。
 さっそくネタ行動。背後に控える文字ぃ君達の男女の比率を見て豊浦 あやね(fa3371)の肩を叩く。しかし見事なまでに計算間違えを披露し、豊浦にさっそく突っ込まれた。再度、指差しカウントするも自分を数え忘れている上、飛んでもないボケをかます。
「ほら、やっぱり三対一なのだー」
「よぅ数えてみぃ。あずさちゃんは、えろぅ美少女やけど男の子なんやで。それに自分を入れてへんやんか!」
「あは〜忘れてたのだ〜」
 すぱこ〜ん!
 毎度の豊浦の突っ込みハリセンが苺の側頭部を捕らえ軽快な音をたてた。
 そこへ区切りを見極めた真田・勇(fa1986)がギターを抱え背後から登場。
「こんにちは、『レンタル中』のギター&サイドボーカルのユウです」
「なんや今風やけど、気ぃ抜けるバンド名やな。それにメインボーカルはおんねん?」
 お題文字をバンド名にあしらってはいるが、そこには真田一人しかいない。当然のように豊浦は突っ込むも彼は勝手に話を進めていく。
「それでは聞いてください! 『レーション』ワンツー‥‥ハイ! ぎゅぎゅぎゅん! ぎゅーん!」
 抱きかかえるギターを弾かず、音を口ずさみ派手なマイクパフォーマンスを繰り返す。
「その歌の題‥‥なんで保存食やの? って、まてぇい! なんで弾かへんのかっ」
「あ、だって引けないから」
「持っているだけなら意味ないやんっ」
「あったら格好良いと思って」
「ほんっと自己陶酔やな」
 あきれ返る豊浦。そんな彼女を気にせず真田はのたまう。
「ふっ、これも美しい運命だから」
「言い訳まで自己陶酔かい!」
 すぱぁ〜んっ!
 ふぁさっと金髪を掻き上げ本人曰くキメポーズを取るが端は鳥肌もの。ぞわ〜っとした豊浦、無意識に力を込めハリセンを見舞う。
「あぁ倒れてる僕も‥‥美しい」
「あかんっ、マジで壊れとる。この暑さやから仕方あらへん」
「レッツゴーエブリワン! 真田さんって凄いです。凡人にはそう思いつきませんよねえ、憧れるなぁ」
 ガクっと床に突っ伏する真田。叩いといてなんだが、ハリセンを団扇代わりに彼を扇ぐ豊浦の傍にHIKAGE(fa1340)が立ち、アッサリとした口調でいつになく礼儀正しく丁寧な態度。しかしそれは逆に嫌味っぽい『礼も過ぐれば無礼になる』を実演なのだ。
「あぁ‥‥お姉さん、今日も綺麗ですね。花も蝶も勝てないでしょう。僕のお母さんもお祖母ちゃんも勝てませんね」
「何言うとんや! 礼も過ぐれば無礼になる‥‥ここまで来れば嫌味や! 天誅っ」
 ずばしぃんっ!
 振りかぶったハリセンは、もの凄い音を立ててHIKAGEの頭にヒットし真田同様に床に倒れこむ。肩で息を切らせた豊浦は今回初登場の月鎮 律人(fa0254)を手招きした。
「月鎮さん、すみませんがマロ君と一緒に片付けよろしゅうね」
「はぁ〜い、ユラお姉さん! ではここでお題も一緒に‥‥レールを敷いても脱線したらどうすんの? 月鎮律人です。まあ人生には脱線も必要だと思いますけどね〜。この間、舞台でりっちゃんは脚本通りにやるより脱線しまくった方が面白いわーとか、感想カードに書かれてしまい、大変切ない思いをしましたぁ〜」
「そ、それは切ないねぇ‥‥。けど良く通る声とか長い手足が素敵だよ〜。それにその緊張感のない話し方の子供っぽいところ‥‥本当の子供みたいで凄く可愛いね!」
 HIKAGEからすれば褒めている。が、端からみれば嫌味そのもの。しかしそれに気付かない風で月鎮はにっこり微笑み、
「これは、これはどうもご丁寧にありがとうございます〜。ほな、お礼にぶぶ漬けでも如何どす?」
「ど、どうも‥‥。ぶぶ漬けですか‥‥? 例外のない規則はないってか‥‥!」
 楚々と正座し、はんなりと三つ指をつきお辞儀で返し彼の台詞に出たぶぶ漬けの意にテロップ。「ぶぶ漬け:はよ帰れの意味で客に出す食べ物。それこそ慇懃無礼」
 そんなやんわりの中のキツさにHIKAGEは動揺しまくり、ペコペコ頭を下げながら驚愕の眼差しで呟く。そんな牽制をしあう二人の間にぴぃ〜んと張る空気を打ち破るように豊浦のハリセンがまたも炸裂。
「はい〜、ソコとソコ!! ぶぶ漬けが出たんやったら終了や‥‥! まったく。いつもの三原則準拠での突っ込みでビシバシいくで! けどなぁ『礼勝てば即ち離る』『礼煩なれば則ち乱る』‥‥あんまりルールに囚われ堅くなり過ぎんのもようない。ディレクターが本当に求めるルール、『皆で仲良く楽しく』に外れますさかいね。何事も程々が肝心。そないなわけで今回も楽しく始まりや!」
 年若い彼女がしみじみと我が子を諭すお母さんのような口調で教訓を放ち、冒頭の挨拶を締めた。とまぁそんなこんなで始まりである。


「連休中のご令息ご令嬢方、冷涼をお求めなら冷房よりも霊場が薦め! お出掛けの際は霊符をお忘れなく。そして霊を見かけたら写真を送って下さいねーって、そういう番組じゃない? 例外の無い規則は無いと申しまして何とかなるはずデス」
 お馴染みパペットを使い解りやすく諺を教えるHAKASE(fa2600)。今回もお題に合わせたパペット、『連雀競い来たって市をなす』に因む沢山雀が付いたスズメたちと、『令狸執鼠』で鼠をくわえた狸のタヌキ君が彼の胸前で元気に動く。
「スタッフさーん、テロップヨロシク! ではスズっとタヌキっと」
 んぱっと人形を画面に向けて突きだしコント開始。
「ぴぃちくぱーちく、ぴーぴーぴーっ」
「スズメたちさん、煩いよ。僕はご飯食べてるんだから静かにして」
「あ、ごめんねータヌキ君」
 右手を高く上げ、飛び回まわる雀達の演技。その下で左手に付いたディナー中のタヌキ君が一喝。素速く雀たちが降り礼儀正しく丁寧に謝罪の言葉を繰り返す。
「煩くして本当にスミマセン。まこと申し訳ない。幾ら謝罪をしても仕切れない」
 そこでテロップ。「礼も過ぐれば無礼になる。礼煩わしければ則ち乱る:あまり丁寧過ぎると馬鹿にしているように見え不快感を与え、失礼になってしまう事」
 その通り沢山の雀が口にする似たような謝罪に狸もうんざり顔。流石に頭数で敵わないとみた彼は、
「もういいよ、僕も言い過ぎた。これぞ烈風枯葉を掃うだね。劣勢の敵軍を打ち負かすだ」
「‥‥ぴーぴー、タヌキ君、行った? ‥‥行っちゃったね〜、やったー作戦勝ちっ」
 雀たちの勢いに負けスゴスゴとHAKASEの背後に回るタヌキ君。実は最初から彼に場所を諦めさせるようと画策した雀達の演技だったのだ。レールをしき、思い通りに行くようその通りの行動をしただけ。術に填ったなんとも哀れなタヌキ君。と言うわけで‥‥
「スズメっとタヌキっと。ん〜、何事も行き過ぎは良くないけど、礼楽は斯須も身を去るべからずって言葉もあるし。みんなは礼を失する事が無いようにねー」
 さらりと上手く纏め終わった。


「『れ』と、言えば夏にピッタリのこのメニュー! 冷麺、冷しゃぶ、冷凍みかんに飲み物はレモンスカッシュ!」
「了解、解ったのだー!」
 実に爽快な笑顔であずさ&お兄さん(fa2132)が、ツルハシ片手に休憩でレモンを囓っている苺に向かって注文し、お題ネタを開始。
 床に白いチョークで大きな円を書き始めた。
「何んやねん? それ」
「うふふっ内緒ですよ〜。あ、まだ書き上がらないので鬼丸王さんのお題をどぞ!」
「いいんかい? ほな、今回は豪華VTR付きやねん!」
「お、おぉ‥‥?! 今回もマロ君だけには負けられんのじゃ。‥‥じゃけん、大人でも恐いって‥‥。まぁ、こうイジけておっても仕方ない、お題に行こうか。用意したVTRスタートじゃ」
 豊浦の問いを上手くはぐらかし、あずさは次に控える鬼王丸・征國(fa0750)へ振った。
 前回のVTRを確認してきた鬼王丸は少々落ち込み気味で登場。厳つい肩を落とし項垂れるもやっぱり恐いかもしれない。しかし彼が用意した映像が流れだし、そこに演出する鬼王丸の容姿にマッチしてかなり凝ったモノとなっていた。
「レギオンとは、軍団あるいは制度という意味や、古代ローマの〜〜」
 CGを駆使し無限に鬼王丸が増加した画が映し出された。豊浦が合わせて説明を入れていく。
 映像の中の鬼王丸が「レーギオン、レーギオン! 軍団、軍団!」と連呼しながら手に持つ盾や剣を上下に振るう。少しずつだが動きがずらされ、あたかも無限に居るようで凄まじい迫力だ。
「続いてレミングの暴走とは、ネズミ科の哺乳類ノルウェー−レミングのことや。周期的に大発生して大群で直線的に移動し終いには湖や海に入って大量死することがある。いわいるタビネズミやな」
 打って変わって次の映像にいくもやはり大量の鬼王丸が映し出される。しかし先ほど振り掲げていた武器に変わり、茶色い斑点の毛皮と短い尾を付けた姿で、ただひたすら歩き崖から海に落ちていく画。だがその突進は止らない。
 豊浦の細かい解説が流れ、この番組らしい教育風味な解説になっている。誰もが感心の眼差しで画に食い入るように見入っていた。これぞ教育番組である。
「ん? そろそろ準備おっけー? はいな」
 鬼王丸の映像が綺麗に終了を迎えると、合わせるように先ほど描いていた円の中心に櫓というか台と太鼓が置かれ、あずさも浴衣に着替えてまさしくレールをしいて待っていたのだ。
 脇には謎のマットが一枚。
「『れ』だけにみんなで、れっつだんす!」
 あずさは撥を振り上げ、それっぽくでっち上げた「諺音頭」なる事前録音済みの曲を流しそれに合わせて太鼓を打ち鳴らす。乗ってきたのは、賑やかな音に引かれて寄ってきた真田とHIKAGEのみ。でたらめな盆踊りで手足を振り上げ楽しそうに踊っている。後の出演者達は冷ややかな視線で彼らを見守っていた。
「あずさちゃん、もうお止めになりません? なぁんか皆さんからとても冷えた視線が来ているわよんっ」
「その言い方だと必要以上になんか腹が立つなぁ〜。とぉぉ! 礼も過ぐればブレーンバスター! ‥‥うわぁぁんっ」
 お兄さんの礼儀正しい敬語ツッコに、普段以上にカチンときたあずさ。真正面からお兄さん人形をひっつかみ、浴衣の裾が乱れるのも気にせず見様見真似のプロレスの大技!
 しかしお兄さんが小さすぎたせいか、技が上手く決まらず自分の後頭部を強打し悶絶。頭を押さえながら、
「うぅぅー痛ぁい。けどマットがあって良かったぁ」
「なに一人で暴れとんねんっ! よい子がそんな大技真似たら危ないやろがっ例によって例の如く制裁や」
 ばしぃんっ!
 あずさ、鋭い一撃を貰いマットに再轟沈した。


「え〜改めましてどうもっす〜。僕、眼鏡率0%のレ〜っす」
 ギターを置いた真田は、画面に向かい愛想振り撒きながら手を振り再登場。
「さてさて霊犀一点通ず‥‥意味は人の心が通じ合う喩え。と言う事でにインスピレーションテストいってみよう!」
「なんやまたおかしな事を言うてるなぁ」
「‥‥‥」
 しみじみ呆れる豊浦をスルーし、黙して彼女を凝視。どうにも変な目つきで見つめられ、居心地の悪い豊浦はモゾモゾしだす。
「どうっすか?」
「さっぱりわからんっ! 痒ぅなったで」
「ダメっすなぁ〜、あいらう゛ゆ〜って信号を送ったっすが通じなかったっすね」
「うわぁ、またナンパかいなっ、それはNG言うたやろっ! ん? 歴史は繰り返すもんやて? ほんま懲りんねっ成敗っ」
 ズバシィィンッ!!
「あぁ‥‥いつものパターン」
 ホームラン王顔負けの勢いのあるフルスイング。盛大な音と共に真田の体は見事吹き飛びマットへ倒れ込んだ。
「ホラ、計画通りいいタイミングで準備が終わったのだー。これぞ『レールをしく』! なのだ」
 黙々と作業に没頭していた苺がにぱっと諺通り捻りナシで話ながら現れる。よく見ればスタジオ中に巡らされた線路があり、途中標識や駅まであった。
「みんな〜最後は電車ごっこなのだー。ここに敷いた線路じゃなく、レールの上を走って打ち上げ会場に行くのだー」
「はーい、解りましたぁ」
 大きなロープに手に出演者を呼び寄せる苺に月鎮がにこやかに手を上げ輪の中に入った。次々と促されるまま入り、総勢九名の一両編成の電車が完成。
 運転主役で特製の車掌帽を被るマロ君が出発とばかりに右手を挙げ、線路の上を歩き出す。みんなもそちらへと歩き始めた。
「ではこれにてお終いなのだー。と、とっとと?!」
 最後尾の苺は逆向きで手にした看板『次回に続く』の下に小さく『この電車、打ち上げ会場行き』を振りながら、彼女の向く正面を歩き出そうとしたが勿論、力負けしてみんなに引きずられていった。
 しゅっぽっぽーっ!
「まったねー」
 今回も楽しく終了である。