いろはに諺 らの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
2.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
09/03〜09/07
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●本文
サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
和風なセット、そして大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』もスタジオに一番乗りをして準備は万端。
あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、今回も賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「ら」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
ら
「来年の事を言えば鬼が笑う」
意味:未来の事を前もって分かる人などはいない。先の事を今から決めるなど出来ないという事。
「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」
意味:楽しい事があると、その後には苦しいことがある。またその逆もあるという事。
「埒があかない」
意味:物事が進まず、片付かない事。
●リプレイ本文
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決まった時間にTVを付ければお馴染みのタイトル。すぐに画面は切り替わり、司会者&出演者が映し出された。
「はい、いろはに諺の時間、司会者の郭氏文令明です。今回は貴重なご意見を頂き、それに合わせ諺をご紹介致しましょう。お姉さん達とご一緒してかなり経ちますが、落花に心があれば流水にも心があり、これを載せて流れて行くという相思相愛の感情を表す『落花流水の情』の美しい諺がありますが、私はそのような事は一切ありません。お姉さん達の年齢を考えると犯罪になりますので『埒があかない』の通り思い通りに物事は進まず上手く片付きませんが、私なりに考えて行動しております」
いつものように諺を上手く交え淡々と挨拶をする郭氏文 令明(fa0243)に続き、
「お気遣いおおきに、郭氏文さん。 はいな、お勉強の時間の始まりや! 『楽は苦の種、苦は楽の種』や言うて、苦しい時もあるや知れへんけど、ここで楽して後で泣きを見るより、頑張るのがええに決まっとる! しっかり勉強しようなぁー。てなワケで今日も楽しく行こうか。司会はウチことユラお姉さんといつものお二人さん。それにマロ君と文字ぃ君ずや。さぁ『乱飛乱外』のネタの入り乱れっぷりでお送りするでぇ」
豊浦 あやね(fa3371)が元気よくハリセンをフルスイングで挨拶する。っと、隣に立つ苺(fa3120)を掠める。
「ぁらよっと、巧くかわしたのだ! けどユラお姉さんのハリセンに当たっても、おいらは怒らないのだ。『磊磊落落』心が広く快活を目指すマイお姉さんだからなのだぁ!」
だが瞬時に避けると愛用のマイクで一言。無邪気な笑顔は右腕に填められたラメ入り腕章よりも輝く。
「は〜い! まずは一言いいですかぁ〜?」
そんな苺を押し退け、大量の夏休みの宿題を両手で抱えドリルの間から顔を出すHIKAGE(fa1340)が登場。
「ランドセルが青色だったのは俺の地元だけですか?! の『ラ』!」
ノートやドリルの間からひょっこり顔を出しお題の一言。前回に続き、やや切なさが漂うコメントである。
「今はカラフルなランドセルも増えておるからあまり気にせんでもええと思う‥‥って、ひかげんはウチの話を聞いてなかったやろ? なんや、この宿題の山ぁ!」
「っふ。ユラお姉さん、夏休みの宿題は二学期になってからやるものだよ」
フォローを入れる豊浦だが、宿題の山に詰め寄る。HIKAGEも堂々と開き直り対応していく。これは大したものだ。だが、
「よい子が真似するやろっ!」
すぱーんっ!
「痛ーい。うぅ‥‥勿論、今から宿題をするから、そう叩かないでくださいよぅ‥‥。むぎー、これのどこが夏休みの友なんだー。見事な悪友じゃないかっ」
言うまでもなく制裁の一撃。当然の結果である。HIKAGEは鋭い一撃で宿題を取り落としそうになるが持ち堪え、泣く泣くマロ君(苅部・愛純(fa4350))が用意したスタジオの隅のお教室セットに向かい、椅子に座ると悪態付きつつ算数ドリルを開始。
「さて‥‥私達もそろそろお勉強開始の時間と行きましょう。『楽あれば苦あり、苦あれば楽あり』、夏休みが終わってしまったからって三ヶ月ほど経てば冬休みですから気を抜かずに頑張って行きましょう。もちろん文字ぃ君達はここで頑張って貰いましょう! 始まりです」
郭氏文が冒頭の締め、今回もなんだか賑やかに開始された。
●
「お〜し、今回も張り切って行こうか! 張り切りついでに局の周りをランニングしてきたよ。その『ラ』、なんてな」
タオルで汗を拭いながらティタネス(fa3251)が登場。本当に走ってきたようだ。それでも元気に文字作りセットによじ登っていく。
腕を高く上へ延ばし、身体を右にやんわりカーブさせお題文字『ら』を作るが、残念、上の点が足りない。
それに気付いた苅部マロ君が小道具の入った段ボールからキラキラ輝くミラーボールを探しだしティタネスの頭上に飾りつけた。
「ライトアップの『ラ』〜」
更に苅部マロ君がもう一つ演出。照明を絞りミラーボールのスイッチを入れた。七色に照らしだされるティタネスの作る人文字。彼女は一度やってみたかったらしくご満悦である。
「よ〜し次は僕の番、ライダーの『ら』。こんばんは〜みんなのヒーロー、ツッキーだよ。『来年の事を言うと鬼が笑う』って言うけど、未来に夢を持つのは悪い事じゃないね。沢山持とう! さぁまずは『埒が明かない』の説明にいっくよ〜」
ヒーロースタントで活躍する夜野月也(fa4391)。眩しい笑顔を湛え歩きながら画面に手を振る。彼の向かう先は部屋のセット。テーブルの上には山のような食材が置かれている。
「う〜ん、ちょっと買い過ぎちゃったかな〜? けどこのまま考えていても埒があかない。ラップを掛けて冷蔵庫に仕舞おう。えっとライス、ライチ、ライムに落雁。ラクトアイス、ラザーニャ‥‥ラスク、らっきょう、ラーメンっと!」
大きなリアクションで冷蔵庫に食材を一つ一つ丁寧に仕舞っていく。が、いつまでも冷蔵庫が満杯にならない。それもそのハズ。彼が目を離した隙にティタネスと苺が手を伸ばし取り出して食べているのだ。
「もぐもぐ‥‥このらっきょ漬け、ライスと良く合って美味いのだー!」
「あぁ、よく冷えたラムネにラ・フランスやライチ、ラズベリー‥‥、張り切った所為で渇いた喉を潤すには十分だ」
「あれ? おっかしいなぁ〜」
苺は食べられなかった前回の反動で豪快な食いっぷりを披露しご機嫌で口を動かす。ティタネスもまた冷えた果実を頬張り嬉しそうだ。
一方、夜野は一杯にならない冷蔵庫を前に眉毛をハの字にして首を捻っている。が、横から伸びてきた手が丼を掴んで持ち去る。夜野は視線を手が伸びた方に流すとラーメンを啜る二人の姿が映った。
「ラーメンの『ら』ーなのだ。前からギモンに思ってたのだけど上に乗っているメンマとシナチクの違いってなんなのだー? ラーメンの上に乗っているからランマじゃないのかー?」
「この二つの違いは名前だけだよ〜」
「マイお姉さん、メンマもシナチクの質問もお題の『ら』関係あれへんやん。それにランマ? 欄間‥‥て何でやねんっ!」
すぱこーん!
悪びれず微笑む苺。あれほどあった大量の食材はもはや彼女達の胃袋の中のようだ。夜野は苺の質問にきちんと答えると豊浦が苺の天然ボケに制裁ハリセンをヒットさせた。しかし豊浦のボケは聞かなかったという事でうやむやになる。
「それにしても、ほんと埒があかないね〜。はぁぁ」
「なんで? あたし達は冷蔵庫の中身を片付けたんじゃないのか?」
「ちゃんと食べたから片付いてるのだー。埒は明いたのだ」
夜野の一言にモグモグしながら顔を見合わせる苺とティタネス。しかし彼が示した彼女達の背後は食べ終わり汚れた食器類が散らかり放題、散らかっている。
「確かに冷蔵庫は空っぽになったけど、今はこの皿の山に秩序がなく滅茶苦茶で片付いてないでしょ〜? だから埒があかないんだって!」
やれやれとばかりに首を振った夜野の言葉で幕を閉じた。
●
スタジオの片隅にカメラが向く。そこには四十日分の日誌に没頭するHIKAGEが映し出された。
「天気なんか当てずっぽうでオッケーだよね? 俺が居た場所の証明なんて誰もできないからな! ユラお姉さんほど先生の突っ込みは厳しくないからこれでよしっと!」
「ウチが何やて? あ! 嘘はいかんやろっ、ちゃんと書かんかーい!」
ずぱんっ
そんなのは天気予報をちょっと調べれば済むことなのだが、めんどくさがり好き勝手に書いている。ついでに言っていることもだ。もちろん地獄耳の豊浦が聞き逃すことなどなくお見事、ハリセンの餌食となった。
「あぅぅ‥‥解りましたぁ〜。マロ君、ありがとう。これを写すね。けどちょっと面倒になったから読書感想文書こうっと」
半ベソになるHIKAGEに苅部のマロ君がここ一ヶ月の天気が書かれた紙を差し出す。受け取ると渋々写しだすが、すぐに飽きてしまい本を手に取った。
「飽きっぽいHIKAGEさんの宿題が片付く事を祈りながら、次ぎ移りましょう。真田さんのお題に因んだコントです。宜しくお願いします」
「はい、TVをご覧の皆様こんばんは。私、真田・勇です」
郭氏文にカメラが戻され紹介をうけた真田・勇(fa1986)が登場。しかしいつものハイテンションではなく、いやにキリッと落ち着き様子がおかしい。その様子に他の出演者達は天変地異の前触れとばかりにビビる。だが真田は一向に気にすることなく、郭氏文よろしく淡々と話を進めていく。
「毎度、ボケてばかりでは埒があかないので、今日は大真面目に諺の解説をさせて頂きます。‥‥諺はこれ『落花流水の情』。意味は男女の相思の情を言い表す言葉です。では再現VTRで分かり易くしました。どうぞ!」
キューを出すと、画面は再度変わり高校と思われる学校が映し出される。そこに赤いショートヘアの活発そうな女生徒が校庭を駆け抜けていく。綺麗な小川が流れる学校の裏手で待つ金髪の青年を見つけ傍に寄った。
「どうしたん? こない所に呼び出して?」
「あ、いや言いたい事があるからさ‥‥」
二人の顔が映し出される。しかしどれも真田本人。一人二役だ。ぎこちない関西弁に赤い髪はなんだか意図が大ありの気がする。
「なんやの?」
「実は俺、お前の事が好きなんだ‥‥。だから付き合ってくれ!」
「え? ホンマに!? 嬉しいわぁ‥‥。うちもあんさんの事が好きやで」
日に焼けた頬を染める男役真田。真っ直ぐ女役の自分を見つめ思いきっての告白だ。された赤髪のズラを被った女役真田は、モジモジと俯きながらボソボソと呟くように彼の言葉を受け入れ、自分の思いを告げる。その言葉に男役真田はぎゅっと彼女を抱き寄せた。
二人の影が赤い夕日に重なり合う‥‥。
そこでVTRが終了し、スタジオの真田へ画は戻った。
「なんともロマンティックでしたね。ですが最近、片方の思い違いなどからトラブルもあるようです。その辺りは気を付けなくてはなりませんね。付け回し等の犯罪行為はぜったいにやめましょう」
「オチは? オチがあれへんやないのっ。え? ボケが無いからオチも無い? 本末転倒やん! ‥‥ってか、再現VTRに実在の人物ちっくすぎや! 番組内容を理解してやらんかい!」
すぱこぉぉん!!
豊浦は赤いショートヘアを揺らし、真田のボケのない映像&自分によく似た出演による事に思う存分、快心の一撃を入れる。
「はぁぅ! どちらにしろ‥‥埒はあかないっすな」
いつもと同じようにがっくりと膝から崩れる真田。当然の結果といえよう。
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「さて、だんだんと終わりに近付いて参りましたが宿題に勤しむHIKAGEさん、どうですか?」
「感想文は、本を読んだのですが涙が止まらなくって‥‥。気分転換に自由研究を先にしちゃおう」
あらすじだけでなく、きちんと読書をしハンカチ片手に感想文を書こうとするHIKAGE。読んだ本はどうも感動モノだったらしく涙で濡れる頬を拭う。このままでは書け無いと判断したのか残っている自由研究に手を伸ばした。
苅部マロ君も手を貸し色んな紙や紐とカタツムリを数匹用意され研究に移る。それはどの材質をカタツムリが一番早く登るか地味に観察というもの。最初のうちは楽しげだが動きの遅いカタツムリに嫌気が差し、
「そだ。この間に途中半端にしていたドリルを片づけよう」
またもフラフラしだす。
「いい加減にせいっ! どれも中途半端で片付いておらんやろ。これじゃ何時終わるか、埒があかんわっ」
「うぅ、良いんですっ! 来年は始業式の日のうちに宿題を片付けられたらいいなと思ってますから」
「なんちゅーリーサルウエポンなボケやねん! 来年の事を言うと鬼が笑うねんで。これぞ正しく埒が明かへんわっ! 成敗」
すぱこぉぉ〜ん!
苦渋のHIKAGEは豊浦の突っ込みに無茶苦茶な反論。当然だが制裁ハリセンを食らい床に突っ伏した。
●
賑やかだった番組もエンディングを迎えようとしている。
「もう、終わりの時間ですね。楽しんで勉強できましたか? そうだ、復習を兼ねて来年あたりに番組の本を出したらどうでしょう? 私が書きますので、『洛陽の紙価を高む』つまり、著書が持て囃され、良く売れることの喩えのようになれば良いですね」
「それを言うたら、鬼が笑いますわ。ん〜しかし全部終わったらどうなるか‥‥今、考えたらウチも鬼に笑われますやろかね?」
郭氏文と豊浦がお題文字を巧く使いながら締めの挨拶。そこに不思議そうな顔をしたティタネスが、
「来年のことを言うと鬼が笑う? それじゃ、これからの時期、鬼も大変だなあ〜。だって年の瀬が近づくに連れ、だんだん来年の話が多くなるだろ? 笑いすぎで腹筋おかしくしないか?」
あまりの可愛らしいボケに突っ込みを入れるのを忘れ、全員大爆笑。
「けど、おいらは鬼に笑われることはないのだ! 来年こそモデルに転身して写真集はバカ売れなのだー!」
希望と無謀を含む苺のシャウト。頷く者もいれば驚きの表情の人もいる。カメラの外で見ているディレクターは、なんとも困った表情で笑っていた。
「ま、まったねー」
突っ込み所は満載だが敢えてスルーで皆、手を振った。