いろはに諺 むの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 2.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/10〜09/14

●本文

 サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
 いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
 そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
 和風なセット、そして大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』もスタジオに一番乗りをして準備は万端。
 あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、今回も賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「む」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い鼻をしたヘラジカっぽい人形。ふわふわもこもこでなんだか可愛いらしい?
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動きだが、希に俊敏な時もあり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 む
「昔とった杵柄」
意味:昔、身につけた技能は、年を取っても衰えないという事。

「虫が知らせる」
意味:予感がなんとなくする事。

「無理が通れば道理が引っ込む」
意味:誤った考えが世の中で通ってしまうと、正しい事が行われなくなる事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4287 帯刀橘(8歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文


 毎週、決まった時間にチャンネルを合わせれば映し出されるタイトル。元気な子供の声で読み上げられた後、画面は切り替わり司会者&出演者が映し出された。
「はい、今回もやってきましたいろはに諺の時間、司会者の郭氏文令明です。では早速、お題文字に沿った諺の紹介を致しましょう『娘一人に婿八人』。これは一つしか無いモノを沢山の人が欲しがる例えです。お姉さん達には大勢のファンがいるでしょうね。勿論、私もその一人ですよ」
「にゃぁ! お上手やね、郭氏文さん‥‥。ではウチも一つ『昔は今の鏡』の通り、昔の出来事や事柄、知識に教訓を解りやすく凝縮した諺こそ、今の人々が参考にすべき事を沢山含れてんねん。ってな訳でしっかりと諺の勉強始まり! 司会はウチことユラお姉さん&いつものお二人、ほんで文字ぃ君やマロ君も一緒や! 皆で楽しい番組にしていくよってに『胸を躍らせて』楽しみにしたってやー」
 いつものように郭氏文 令明(fa0243)の司会で始まる番組。背の高い彼からカメラが下がり豊浦 あやね(fa3371)が頬を染め愛用のナンバハリセンで郭氏文を軽く小突く。気の強い彼女が希に見せる照れの仕草に皆、驚きだ。
「ムースの『む』なのだー! 晴れて名実共に芸人に転身! 新生マイお姉さんをよろしくなのだ」
 そこにマイお姉さんこと苺(fa3120)が、お馴染みの腕章の付いた右手に愛用マイクを握り現れる。今回の腕章に書かれた一言は『無策の突進』。彼女を見事に表した言葉が言い得て妙だ。笑いを堪える文字ぃ君達をスルーし、更に苺は言葉を続けていく。
「ムースとゆうとお菓子や整髪料が一般的なんだけど、我が番組のマスコット、マロ君のモチーフであるヘラジカも英語でムースとゆうらしいのだ。とゆーわけで今回の好物はムースに決まりなのだ! マロ君、あ〜んなのだ!」
 勝手に話を進め如鳳(fa2722)の入るマロ君にバケツ型ムースを差し出す。が、しかしマロ君なりにきっちりムースで整えたオールバックのように強い意志があった。無言で床に寝転がると大筆を振り回し駄々を捏ね嫌のアピール。それには苺も困った顔。
「嫌いなの? 温くなったら美味しくないから、おいらが食べるのだ!」
 苺は満面の笑みでムースにスプーンを刺す。しかしここで豊浦から待ったの一声。
「マイお姉さん、隅々まで良く行き届き気の利いた『無隅子細』になると思うたら、これじゃあ思いのままに振る舞う、いつも通りの『無窮自在』やん! この二つの諺は語感が似とるけどまったく意味がちゃうねん、という事で制裁!」
 ずばしぃん!
 言うまでもなく番組名物の制裁ハリセンが苺の後頭部に炸裂。べしゃっとムースに顔を突っ込んだオチで郭氏文がカメラと彼女の間に入りこみ、
「え〜ユラお姉さんにマイお姉さん、『六日の菖蒲、十日の菊』という時期を外してしまい、役に立たなくなるという意味の諺がありますが、色々と遅れないようお気をつけてください。あぁ‥‥私も『無用の長物』と言われないよう、しっかりしないといけませんね。では今日も楽しく始まりです」
 なかなか的を射た意見を述べつつ、番組を進行させた。


 ぴよぴよと賑やかなヒヨコ達が入る段ボールと、空の段ボールが二つ用意された簡易セットを前にHIKAGE(fa1340)がトップを飾る。
「ムカデは怖いけどゲジゲジは平気と思うHIKAGEでーす! 俺がまだ若かった頃、親戚のお兄ちゃんから手取り足取り教えて貰った技術があるんだ。その職業は‥‥ひよこの性別鑑定士! 技術を発揮する機会もなく大人になってしまったけど、ひよこのオスとメスを見分ける腕は衰えてない‥‥ハズだぜ! 因みにお兄ちゃんはヨーロッパでひよこ御殿を建てたんだよ。では判別開始〜」
 言うが早いか黄色のフワモコの中に手を入れ、怒濤の勢いで雄雌の判別し空の段ボールにポイポイ落としていく。
「今日のひかげんはなんか凄いのだー! けど性別が当たっているのかは素人目に解らないけどなのだ」
「そやね、珍しい特技もあるもんやなぁ」
 苺と豊浦は驚きと感心な表情でHIKAGEを見る。その言葉も耳に入らないほどヒヨコを選別する彼は真剣そのものだが、俯き隠れている口元が僅かに上がっていたりした。どうやらこの話を企てたHIKAGEの思惑、羨望の眼差し&惚れ直して貰おうという邪な『胸に一物』に引っ掛かって仕舞った二人。
 どんどんと分けられていくヒヨコ達を見ているままでは番組は進まない。ということで、
「え〜、HIKAGEさんが選別がしている間、真田さんと帯刀さんに一つお題をして頂きましょう。宜しくお願いします」
 郭氏文が次に促した。


「むふ。みんなのアイドル真田勇っす。こんにちわぅ‥‥すげほごほっ」
「咽せてしまって‥‥大丈夫ですか? あ、僕は橘くんです。相方がいないけど、ソロで頑張るよ!」
 なぜか麦茶を口に含みながら挨拶をする真田・勇(fa1986)は突然、気管に茶を詰まらせ激しく咳き込み涙目でのたうつので、注目の的になった。無理に二つの事をすれば起こる当然の結果、自業自得である。
 その背中をさする帯刀橘(fa4287)は礼儀正しく頭を下げた。
「もう大丈夫っす! ではお題文字を作るっす」
 落ち着きを取り戻した真田は帯刀と共に文字作りセットによじ登り作業開始。その間、マロ君がパントマイムを披露し時間を繋ぐ。
「む? ム〜‥‥」
 鉄棒に横たわって、バランスを取る真田の上に帯刀がやや斜めに身体を傾けながら立つ。そこで文字作り終了。だが何か一つ足りない。そう、点の部分。それに気付いたHAKASE(fa2600)が急いで靴を脱ぎ真田の足下に掛けてようやくお題文字『ム』が完成した。
「さてさて、今回は『ム』っす。出来ないという事を相手に振る無茶フリの『ム』っす! という事で無茶ぶり大会開催っす! さぁ〜まずはHAKASEさん! 職業、芸人さんには絶対に滑らないギャグを一発いって貰いまっす」
 降りて来るなり真田が勝手に企画を開始。目の前のHAKASEに押しつけ、たじろがせる。
「え? い、いきなり言われても‥‥」
「何も出ないっすか‥‥残念! 次は職業、アイドルのユラお姉さんにセクシーポーズをお願いしまっす」
「そないな事する訳ないやろっ!」
 今度は豊浦に無理難題を吹っ掛ける。もちろん聞き入れてくれるわけがなく、悩殺ポーズどころかいつも通りハリセンを振りかぶられるも思わぬ伏兵登場。
「うわぁ!? やっぱり‥‥これも虫の知らせ? ち、違う、これ‥‥うぎゃぁ!?」
「わーい真田さんの言う通りムシだ、虫だよ♪ これがホントの虫の知らせってやつなんだね」
「帯刀さん、それは意味ちゃうねん、虫の知らせとはこういう意味や!」
 すぱ〜ん!
「うわぁ! 痛ぁ」
「突っ込みの前に悪い予感したやろ? それが虫の知らせ言うねんで」
 マロ君によってカブト虫やヒラタクワガタが真田に降り注がれる。そこにタイツの上にTシャツに半ズボン。麦わら帽子に肩から虫籠、手には虫取り網といった定番の夏少年姿な帯刀が嬉しげに掌を打ち虫取り開始。もちろんすかざず豊浦のきつ〜い突っ込みが炸裂。帯刀は身をもって諺を理解する羽目になり、真田の思惑通り無茶フリを実行されてはいるがどうにも納得がいかない上、虫を付けられるはスルーされるはなどの仕打ちに驚きを隠せない。
「むぐぅ‥‥何たる仕打ち‥‥。これじゃあ僕が木のように無用の長物的な扱いじゃないっすかぁ〜。あ、意味はあっても役に立たず、かえって邪魔になるモノの事っす」
「その諺、合ってんで‥‥真田さん。もちろんさっきの事は覚えとるわ! これがウチのセクシーなポーズやねん」
 ずばしぃん!
 豊浦の改めて振りかぶったハリセンの一撃。真田はガクリとノックアウトを食らった。


 虫の片付けと次に登場のHAKASEが準備している幕間に如鳳が入るマロ君がお櫃と茶碗を手に現れると、食べ物が出てくれば当然のように釣られるのは‥‥そう、苺!
 どこで着替えたのか赤と白のコントラストが見事な鯉の着ぐるみを装備し、お櫃に入った麦飯に釣られて飛びついた。
「おいしーのだ! 麦飯で鯉を釣るの実践だったのだ! それに麦飯に食傷なしって言うくらいだから沢山食べてもなんて事ないのだー」
 これがホントの麦飯で鯉を釣である。どこか違うような気もするも、おかわりを連打する苺の食いっぷりの良さに免じてここは一つ流そう。
「もぐもぐ‥‥。そろそろ虫も片付いてHAKASEさんの出番が整ったようなのだー! いってみようー」
 喋るも食べるも忙しそうに口を動かす苺から画面は切り替わり、両手にパペットを付け胸前で振るHAKASEが映し出された。
「無駄方便って言葉を信じて日々、無二無三にネタ作りに取り組んでるHAKASEです。今回も頑張ってくので無駄話なんて無下にしないで無批判で迎え入れてねー! ネタの方は毎度お馴染みパペットコントだよー。スタッフさーん、テロップヨロシク! モグっとムカデっと!」
 今回の人形は『むぐらもち日を嫉む』に因んだ眉間に皺を寄せ執念深そうな顔のモグラ君と「百足の仕度」の赤いボディに沢山の足が付いたムカデ君だ。やはり苦手がある動物という事で、
「またまた苦手な人はごめんねー」
 っと、HAKASEは頭を下げてネタを開始。
「ね〜ムカデ君、ずっと前の競争で僕は一度だけ君に負けてしまった事があるけれど、昔取った杵柄でまだ足に自信はあるんだ。今、やれば負けないと思う。どうだい、競争しないか?」
「え〜そんな気分ではないし、虫が知らせるようなとても悪い予感がするんだ。だからしないよ」
「そんなのただのカンだよ。大丈夫だと思うから競争しよう!」
『無理が通れば道理が引っ込む:道理にあわない無理でもいかにも正しい事のように行われてしまうと、本当に正しい事が通らず行われなくなってしまうという事』
 右手に付けた土竜の人形を巧みに動かし様々な表情を作るHAKASE。台詞に出来なかった部分にテロップが一つ流れる。
「‥‥解ったよ。僕だって競争は得意だしね」
 左手のムカデ君はさも当たり前のようなモグラ君の言い分を飲み頷くと競争することを承諾し、二つの人形を右側に寄せ並ばせるとよ〜いどんの掛け声と共に競争開始。
 接戦のように両方の人形を動かしていくが突如、左手をぎゅっと握り、ムカデ君を転ばせる演技。そこでテロップ『百足のあだ転び:無数の足がある百足も時には転ぶ事があるようにその道の達人でも失敗する事もある』が流れた。
「あ、ムカデ君! だ、大丈夫?」
 丸まった身体を土竜に揺すらせると、左手をパッと開き頭に輪っかを付けたムカデ君をユラユラと腕を伸ばし上げていく。
「あぁ‥‥無常の風は時を選ばずだ‥‥。死の風は老若に関係なく訪れるんだね」
「なに言ってるんだ、モグラ君が無理をさせたからだろう! 許さないぞぉ」
 しんみりと天を見上げたモグラ君に、HAKASEは背後に用意していた隠し玉の沢山の百足人形を襲わせた。そこでもう一つテロップ『百足の虫は死して倒れず:親戚や支持者の多い者は簡単には滅びないという事』
「モグっとムカデっと!! みんなもモグラ君のように無闇に無理押しや無理強いはしないようにねー」
 HAKASEは礼儀正しく頭を下げコントを終了させた。


「みんな、今日もよぅ勉強出来たかいな? ウチは思うがまま隅々まで逃さないツッコミで結局、あんまり変われへんかってん。そういえば、ひかげんのヒヨコの判別はどないやったんやろ? 実はスタッフの家がそうだという人がおんねん。見て貰おうって、え? ほとんど間違ごうてる? ひかげん! どないなっと‥‥る」
「‥‥ひかげんは虫の知らせが働いたとかでスタジオから逃げてったのだー! そしてお、おいらも一緒‥‥な、なんか、なんとなく嫌な予感がするのだー‥‥。だから早く説明するのだ! さっきの『麦飯で鯉が釣れる』は、少しの手持ちを使いそれ以上のものを手に入れる事で、二つ目の『麦飯に食傷なし』は、お米よりも食物繊維が多いから消化がよく食あたりでお腹を壊したり、食べ飽きる事がないって意味なのだぁー」
 がっくり膝を付き青い顔で説明をする苺。そこに『いくら消化に良くても食べ過ぎたら意味はないので、よい子は気をつけるのだー♪』
っと、丸文字のテロップが流れる。
「では最後に、世の中は煩悩が多く『無明の酒に酔う』と言いまして、仏心を曇らせる無明という酒を飲むと煩悩に囚われ、悟る事が出来ず思い惑い酒に例えた言葉があります。皆さんは迷わず進むのですよ。私は煩悩にもお酒にも酔いませんけどね。あぁ、それとお姉さんやTVの前の皆さん、お酒は二十歳になってからですよ」
「っふ、郭氏文さん。無明の無は無用の用っすよ。『無用である事自体がその物の存在価値である』。必要ないと思われたものが実は重大な役割を果たしているっす! だから僕のような素敵なナイスガイをもっと敬えっす」
 郭氏文の締めの挨拶で一同手を上げ振ろうとしたその時、後ろから現れた妄想ブツブツの真田に阻止された。ちっちっちと指を振り振りよく解らない事を言い始め最後にえっへんと威張ったところで、
「言いたい事は終わったやろね? まったく最後までこれかいなぁ〜」
 ずばしぃぃぃぃん!!
「むっふぅぅ‥‥まさに無限ツッコミで無敵のユラお姉さんっす」
「ま、まったねー」
 豊浦最大級の突っ込みに真田が『む』を使い感想を述べ、ばたりと倒れた。