いろはに諺 うの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 2.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/17〜09/21

●本文

 サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
 いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
 そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
 和風なセット、そして大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』もスタジオに一番乗りをして準備は万端。
 あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、今回も賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「う」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 う
「烏合の衆」
意味:ただ集まるだけで纏まりがなく、騒いでなんの役にも立たない事。

「牛に引かれて善光寺参り」
意味:何かの弾みでやった事が、いつの間にか良い行いになっている事。

「雲泥の差」
意味:二つのものの間には天と地ほど大きな違いがある事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4286 ウィルフレッド(8歳・♂・鴉)
 fa4287 帯刀橘(8歳・♂・蝙蝠)
 fa4339 ジュディス・アドゥーベ(16歳・♀・牛)

●リプレイ本文


 毎週、決まった時間にチャンネルを合わせれば映し出されるタイトル。元気な子供の声で読み上げられた後、画面は切り替わり司会者&出演者が映し出された。
「はい、本日もやって参りました。はにほへ諺の時間、司会者は私、郭氏文令明です。では、早速いつものように諺の紹介、『魚心あれば水心』。好意を示せば相手も好意的に接してくれるという事、または相手の出方次第でこちらも応ずる用意がある事‥‥。と、二通りの意味があります。私の好意は素敵なお二方に、いつ届くのでしょうか?」
 ばしぃん!
「はにほへやのぅて、いろはやろ郭氏文さん! ‥‥と、言う事でTVの前のみんなのおかげで折り返し地点到達や! これから後半。下り坂やなく、お題文字『う』の通り、『鰻のぼり』の上り坂テンションで行くねんで! ほな、今週も『打って一丸』となって『打てば響く』回答を期待してや! 場合によってはウチが『打って響かせる』やも知れへんけど。ほな宜しゅうに」
 郭氏文 令明(fa0243)は意味深な行動に出るもあっさりと豊浦 あやね(fa3371)に交わされ、逆に届けられたのは鋭い突っ込み。どうやら今週も彼の気持ちは打っても響かないようだ。
 二人に次いで白タイツ姿にチョビ髭付きの鼻眼鏡&賑やかな三角錐型のパーティー帽子を被るHIKAGE(fa1340)が、嬉しげに腕を振り上げ、
「わーい折り返し到達ばんざーい! 今の俺は最初の頃に比べてユラお姉さんのシバきに耐えるのも板について『雲泥の差』だぜ! これって『牛に引かれて善光寺参り』って事かな? だとするとお姉さんは牛?」
「何言うてんねん、誰が牛や!」
 ばしぃぃん!
 浮かれすぎたHIKAGEは若い乙女を牛呼ばわりし、案の定、豊浦のハリセンが一閃。
「うわぁ〜痛いぃ! これって『美しい花にはトゲがある』かな。うふっ少しだけ『嘘も方便』で褒めておくこともいいよね? そうすれば『魚心あれば水心』で多少は好意的に接してくれるかも?」
「どこが褒めてんねん! もう二、三発、お見舞いしとこうか? ひかげん」
 まだ懲りないHIKAGEに豊浦のツッコミ三原則アンテナが反応する。彼女の眼が鵜の眼、鷹の目よろしくキラリと鈍く光り、ハリセンをホームランバッター顔負けのフルスイング。それを見やったHIKAGEはようやく失態に気付くと、スタジオの隅に設置された日よけテントと大判のレジャーシートの中に引っ込んだ。このやり取りを見ていた郭氏文はあまりにだらしないHIKAGEに、
「それでは駄目ですよ! たまにはビシっとしないと。いつまでたっても逆境から抜け出せず成功や出世ができない『うだつが上がらぬ』になってしまいますよ」
 と、一喝。あまり人の事を言えた郭氏文ではないが、ここはスルー。その言葉にHIKAGEの方もテントから顔出し、
「い、いいんです! それに今回はネタも用意していないのでパーティーをしようと決めていたんですから。郭氏文さんもどうです? 飲みねぇ、食いねぇ!」
 話を変えようと菓子やジュースを勧めだす。そこに毎度笑顔のマイお姉さんこと苺(fa3120)参上。
「うまい棒美味しそうなのだーの『う』。じゅる〜、はぅ! お仕事だったのだ。えっとぉ他にうが付くものはー‥‥鰻に海栗、梅干や瓜に饂飩って、うわぁ一杯あるのだ。うふふ、食欲の秋なのだ♪」
 愛用のマイクを手に『うまい話』と書かれた腕章の付いた手を振る彼女。HIKAGEの持つお菓子に涎が一筋伝うが、ここは番組進行が先。なんとか煩悩を振り払うも、言葉にする食べ物の名に再度、うっとりとしてしまう。
「マイお姉さん‥‥大丈夫ですか? だいぶ口元が緩んでますが‥‥」
「はぅっ、トリップしちゃったのだー、あはは。では改めて、烏骨鶏の『う』ー! 今回はレポートをしてきたのでVTRをどうぞなのだ!」
 郭氏文の声に我に返った苺。口元をハンカチで拭い誤魔化し次へ促す。
 映し出された画は長細い小屋。そこには烏骨鶏の着ぐるみ姿の苺が、久し振りのレポーター仕事に張り切り挑んでいる。
「たまには鳥の気持ちも解ろうと思うのだ!? あ、これが烏骨鶏が食べている餌? 美味そうなのだー」
「そ、そうだよ。でもその恰好でここにいると大変な事n‥‥」
 彼女は、飼育農家宅にお邪魔をしているらしい。オーナーが持つトレーの中に入った餌に興味津々で見入る苺。背後の危険など全く気付いていない。背後の様子に気付いたオーナーが彼女に注意するも時既に遅い。
 なんと苺は烏骨鶏達に包囲され、仲間‥‥新参者と間違われ烏骨鶏達の餌の争奪戦に巻き込まれてしまった。解読不可能な悲鳴と舞う砂埃、抜けた羽根の鶏小屋で苺は愛用のマイクを死守する。画面にはその壮絶さが臨場感豊かに伝わる。
 ようやく出てきた苺はボロボロのひどい顔で、
「これぞ烏骨鶏の群れ。烏骨鶏の集まり‥‥烏合の衆‥‥な、なのだぁ」
 苦しい語呂合わせであるが、体を張った芸だけにヨシとしよう。素速く画面はスタジオの苺へ切り替わり、
「‥‥とゆーわけなのだ。烏骨鶏と鶏は雲泥の差らしいけど、最後まで違いが解らなかったのだー」
「烏合はカラスの意味ちゃうんやろか?」
 VTRを観ていた豊浦からの指摘。だが当の苺は自信アリ気に一言。
「だいじょーぶ! 烏骨鶏の最初の漢字はカラスと読むから大差ないのだ」
「んな無茶が通じるわけないやろっ! 烏合はニワトリやのうてカラスの意味や」
 すぱぁん!
 ボケなのか横着者なのか解らない苺の後頭部にハリセン一撃。打たれながらも苺は涙目で頭をさすりながら素速くネタ方向転換。
「うぅー、烏骨鶏よりもやっぱり饂飩作りの修行の方が良かったようなのだー。今からでも遅くない? 饂飩を作りに行くのだ! 美味しい饂飩は手打ちに限るのだ。ひかげーん、材料をよろしく、あ! マロ君も一緒にお手伝いをするのだ」
「はいー。いらっしゃいマイお姉さーん。もちろん用意してありますよ」
 テント内にいるHIKAGEの元にマロ君を連れて走っていった。
「やはりユラお姉さんにハリセン、マイお姉さんには食べ物‥‥。相性の良いものの例えの諺梅に鶯通りですね。私の洞察力もなかなかのモノでしょう? これがホントの『鵜の眼、鷹の目』。この二羽の鳥のように獲物を狙う鋭い目つきで注意深く見れば一目瞭然です」
「微妙にちゃう気がするが‥‥ともあれ今回も『馬の耳に念仏』『馬の耳に風』な懲りない面々の含め、みんなで頑張って楽しめる番組にするで! オープニングが長ごうなったけど、ほな開始や!」
 郭氏文が苺を見送りながら諺を交えた一言。時間の都合でハラハラし出すディレクターの様子を汲み取った豊浦がささっと〆の挨拶をした。
 さて、今回も波乱を予想させながら開始である。


 トップを飾るのはジュディス・アドゥーベ(fa4339)。文字作りセットの鉄棒によじ登り、ゆったりとした動きで文字を作り出す。そこは時間稼ぎのため早回転開始。
 靴を脱ぎ頭上にやや斜めに棒に引っ掛け豊満な身体を左から右にやわらかくカーブさせた。
「うふふvの『う』ということで、最初は『裏庭には二羽鶏が居る』という、早口言葉から始めたいと思います〜」
 やや苦しい体勢ながらも一時停止をし、お題文字『う』を完成。降りてくる間にテロップ、『TVの前のよい子も一緒にやろうね』と流れ、ようやく降りてきたジュディスは画面にゆるゆると走り寄り、こほんと咳払いをひとつ。
「う、こほんっ! では〜裏庭には二羽にわにわに‥‥ワニ? あ、あら? えと裏には二羽にわに‥‥」
「鶏やのうてワニがおったら大変やな〜ジュディスさん。早口はもう一辺、練習してからやりなはれ。ほな、お次は可愛いコント! 宜しゅう!」
 動作の遅い彼女にとっては早口であるが実はものすごく普通のスピードである。そして豊浦からしてみればかなりのスローモー。何遍もやり直しをするジュディスの背を押し押し舞台の袖へと運び出した。
「ジュディスお姉ちゃん、頑張ってね! じゃぁいくよ、タッチー」
「はい、頑張りましょうフレッド君。ウィル&タッチーです。宜しくお願いしますー」
 彼女に変わり、子役のウィルフレッド(fa4286)と帯刀橘(fa4287)が画面に向かって挨拶。二人ともTVを観ている子供達と変わらない年齢であるが職業柄しっかりとしている。
「ねーフレッド君、『兎も七日なぶれば噛みつく』っていう諺があるんだけど、どういう意味か知っている?」
「もちろん! 俺は習ったよ。解りやすい説明は難しいから実践で試してみる? そこに正座してよ」
「え? 実践なのですか‥‥はい。って痛いっ!! 何を?!」
 ウィルフレッドの言うがまま大人しく正座をする帯刀に丸めた新聞紙で小突き始める。その隣で苺が日めくりカレンダーをビリビリと一枚ずつゆっくり破いていく。
「この諺は兎のように大人しい人はどれだけの間、イジメや辱めを受れば怒り出すか? という実験を意味する諺だよー。前回の人の記録は約五日だったみたい。タッチーはどれだけ耐えられるかな」
「そ、そうなの? なら頑張ってみるよ‥‥痛っ」
 などと嘘八百をのたまうウィルフレッドの言葉を素直に受け取った帯刀は更に新聞紙の先で軽く叩かれるが耐え凌ぐ。ベリベリと苺に破かれる日めくりがちょうど七日に差し掛かったところで、ようやくおかしいと気付く。
「やっぱり違う気がしますし、そろそろ僕も怒りの限界‥‥うがぁ〜〜っ!」
「うわぁ〜。本気で怒っちゃいやだよー。タッチー‥‥。うぅ、大人しい兎も七日も嬲れば噛みつくんだ〜」
 正座していた帯刀は限界まで達し、いきなりキレた。ウィルフレッドが手にする新聞を奪取すると彼をパコパコとめった打ちし床に平伏したところでふんっと鼻息も荒く捨て台詞。
「そうだよ。フレッド君、身をもって解ったのは君の方でしたね」
 腕を組み、勝ち誇った帯刀であった。
「うわぁ、あ、有難うございましたー。凄かったでんなぁ。そういえば早口どないでっしゃろか? ジュディスさんって起きてまっか?」
「‥‥ふぇ? あ、起きてますよ。あ、ありましたねぇ〜早口」
「ひとつお聞きしますが、今のコントの題材は何でしたか?」
 出番終了と思ったジュディスは、HIKAGEが仕切るパーティー会場でうたた寝をしてしまっていた。豊浦の声で起きるも寝ぼけ眼。ジトメの郭氏文に鋭く突っ込まれる羽目となる。
「え〜? え〜っと兎さんを使ったものでした。可愛かったです〜」
「見ていたんですね。これは失礼しました。では、最後のお題、真田さんどうぞ」
 聞かれて驚き暫し狼狽えるもさも見てきたように嘘を吐く。が、偶然にもそれは的中。嘘から出た実となった。郭氏文は慌てて謝罪を入れ、トリとなった真田・勇(fa1986)を呼んだ。
「うやっほぉ〜い! 今日は元気に運動会の『う』ーっ!っす。みんなは運動会でどの種目が好きっすかー? 僕は玉入れが好きっす! だから玉入れするっす〜どーん!」
「何すんねん!」
 ずばしぃぃん!!
 相変わらずのテンションで登場の真田は手に持つお手玉を籠ではなく、何を思ったのかユラお姉さんに向かって勢いよく投げつける。豊浦は咄嗟にハリセンで打ち返し難を逃れるもブチ切れ状態。髪を逆撫でツカツカと真田に歩み寄ると思い切りハリセンを振り下ろす。毎度のようにダウンし床とキスする羽目となった彼だが突っ伏した状態で、
「うう〜ちょっとした茶目っ気なのに酷い‥‥っす。ユラお姉さんと僕の間には雲泥の差があるっす‥‥意味は『二つのものの間には天と地ほど大きな違いがある事』。解りづらいし何か‥‥何か差が‥‥せめて僕が沢山いたらとVTRで表現して見たっす。キュ〜っす」
 俯せ状態で合図。VTRが再生された。映し出されたのは画面満杯の真田。ワラワラと現れる彼らは声を揃えて、
「そやねん、せやねん、いつもやねん!」
 一斉に意味無くボケる。そこに登場したのは巨大ロボ顔負け豊浦。特大ハリセンを振り翳し大量の真田、全て突っ込みダウンさせていく。まるで掃除機の宣伝のようだ。そこでVTR終り、流れている間に復活した真田が立っている。
「‥‥いくらいても意味なくむしろ騒がしく何の役にも立ってないっす‥‥。これが烏合の衆ってヤツでなんか自虐的過ぎっす‥‥うわーん!」
「静かにしいな!」
 愚かさに気付いたか真田はその場で突っ伏し大泣きするも誰からも慰めて貰えない。更に追い打ちとばかりにハリセンを貰ってしまった。もう自暴自棄、やけくそ気味に一言。
「何事も相手の出方次第でそちらの好意を示せば、こちらも好意で応える魚心あれば水心あり‥‥っす。僕がボケれば突っ込みがきて、突っ込みが来るから僕がボケる‥‥。ユラお姉さんにツッコミをさせてあげる僕に少しは感謝して欲しいものっす」
「はいはい〜、言いたいことはそれだけかいな、真田さん?」
 ばしぃん!!
 彼の言い分に呆れ返りながらも突っ込みを三度入れた豊浦。真田にはすでに起きあがる気力が残されていなかった。
「あ〜、真田さんのお題の運動会‥‥そういえば、もうすぐあちこちで始まりますね。皆さんも楽しみにしていて下さいね〜。あ、あら? 意図せず宣伝になっちゃいました? これこそ『牛に引かれて善光寺参り』ですね」
「こらこら、番組を使って宣伝は禁止やで!」
 うふふとワンテンポずれて現れたジュディス。これから始まる運動会の宣伝。豊浦も苦笑いを浮かべつつ小さく突っ込んだ。
「まったねー」
 微妙に中途半端な気がするのは、内緒でお願いしたい。