いろはに諺 ゐの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 2.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/24〜09/28

●本文

 サブタイトル:実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 タイトル通りの教育番組である。いや、そのはずだ。何と言おうと。
 いつもの通りプロデューサーの指示に従いスタッフ達が運び込む小道具、衣装はイベントパーティーでもするのではないかと間違えるほどの面白グッズばかりである。
 そう、この番組の意図は楽しみながら諺を学ぼうというもの。
 和風なセット、そして大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』もスタジオに一番乗りをして準備は万端。
 あとは出演者と司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、今回も賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「ゐ」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 ゐ
「石に花咲く」
意味:石に花が咲くわけがないという、実際には起こるハズがないの事の例。

「いうはやすく、おこなうはかたし」
意味:口で言うだけなら簡単だが、実際に行うのは難しい事。

「言わぬが花」
意味:本当の事でも、はっきり言えば差し障りがあるから、言わない方が良い事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2539 マリアーノ・ファリアス(11歳・♂・猿)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)

●リプレイ本文


 彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると画面は切り替わり、和風の背景画と大きな板セットが映し出された。
 そのセットの前に立つ、桃色の着物を纏うユラお姉さんこと豊浦 あやね(fa3371)と大人びた女性。マイお姉さんこと苺(fa3120)ではなさそうだ。
「こんにちはーユラお姉さんやで」
 豊浦はいつものように溌剌としているが、振るうハリセンにキレが薄い。カメラはぐるりと本日の出演者へ巡りHIKAGE(fa1340)とHAKASE(fa2600)をとらえる。しかしこの二人もぎこちなく、映る画にはマスコットのマロ君の姿がない。
 そろそろ勘の良い子供達はおかしさに気づき始める。その頃合いを見計い画面を切り替えた。そこにはいつもの司会者とマロ君が手を振る姿。
「はいな! 番組も半分を過ぎ、お題がまたも『ゐ』いう事で第一回の冒頭を流してみたんや。この時は司会のお二人は参加しておれへんが、文字ぃ君のお二人の姿は見えてはるな。懐かしいなぁ。とまぁ振り返りつつ、『一意専心』で脇目も振らず、集中して勉強しまひょ。司会はウチことユラお姉さんといつものお二人。そしてマロ君に文字ぃく‥‥あれ? なんや文字ぃ君がおらへんが‥‥。ま、今週も『一気呵成』『韋駄天走り』で突っ走ってこか」
「司会者の郭氏文令明です。開始から約半年。変わらずユラお姉さんは美しく、また途中参加のマイお姉さんも同様に‥‥まさに甲乙つけがたい『何れ菖蒲か杜若』のようですね。尤もマイお姉さんは『色気より食い気』のような気もしますがね」
「苺の『い』なのだー! いつもマイお姉さんって呼ばれてるから忘れがちだけど、おいらは苺なのだ! 因みに『ろの巻』からおいらは登場してるのだ。そーゆーわけでVTRを見て、ぴぃんと来たものを準備したのだ! すたーと」
 悪戯オープニングの成功に豊浦が嬉しげに挨拶すると、諺を駆使した甘い言葉で挨拶する郭氏文 令明(fa0243)が続く。その二人の間を割り込む苺。右腕についた腕章『苺節一割増』を振り回しながら愛用のマイクを手にキューの合図。画面が再度切り替わり、賑やかなポップ調のタイトルが映し出された。
『実録! ユラお姉さんのハリセンのキレ味比較!』
 苺が事前に打合せをして用意したVTR。その中身は今まで放送された突っ込みシーンが収録され、様々な角度で撮られたダイナミックなスイングが相手を翻弄している。それは回を増す事に磨きが掛けられているのは一目瞭然。
「この番組は諺紹介の他に突っ込みハリセン&突っ込まれ文字ぃ君の成長記録でもあるのだ。これからも突っ込みボケの勉強し、芸の磨きを掛けるのだ! 秋だから丁度良いのだ」
「秋にする芸は芸でも芸術の秋や! 勉強ちゃうわ」
 すぱぁ〜ん!
 豊浦のハリセンが芸術的なラインを描きながら苺の頭部にヒットした。
「行動する事で合わなくても良い災難を招いてしまう『犬も歩けば棒に当たる』という諺がありますが、行動派のマイお姉さんに強ち間違いではないようです。尤も『お姉さんもボケればハリセンに当たる』が正しいようですが。ではそろそろ番組を‥‥」
「いや、まだいっちゃん冒頭を終わりにゃぁさせんよ! いの一番。‥‥つまりゃぁ最初っちゅう事。今から我ら新生いろはに諺が乗っ取ったー。いけぃ、怪人マッローと戦闘員モジーロよ。次回を『ろ』に変えるのじゃー」
「「イーっ!」」
 郭氏文の冒頭の締めを待ってましたとばかりに鬼王丸・征國(fa0750)が真っ白な洋装軍服姿の悪の幹部ばりの迫力で、むはは〜と地鳴りの如く笑い飛ばし、待機していた他の出演者達に合図を送った。とたんに雪崩れ込む文字ぃ君達。
 グルグルと側転を繰り返すマリアーノ・ファリアス(fa2539)は骨柄の黒タイツに覆面という戦闘員ルック。唯一、マスクの裾から覗く赤髪で彼だと判断できる。その後を追うようにHIKAGEはダッシュするも足が縺れて転げ、真田・勇(fa1986)はよいしょと彼を跨ぎ、HAKASEも皆と揃いの戦闘員服を両手のマペットにまで着せていた。
「ぴぃぃ〜」
 揃ったと同時に鬼王丸が笛を吹き、彼らは一斉に文字作りセットによじ登り始める。
 セットの中央で寝そべるマリアーノと真田の足下にHIKAGEが立つ。小さな縦棒代わりにHAKASEはマペットを置くと、セットの両脇に鬼王丸と共に立ち、
「「ヰー!」」
 全員で声を揃え文字を完成させた。
「文字ぃ君なのか戦闘員なのか、はっきりしいな! それに番組ジャックは御法度やから成敗!」
 ぐぅん〜〜、ぶばしぃぃん!!
「あ、あれはどんなボケにも対応できる幻の技‥‥四面楚歌スイング!? あの技は何を隠そう歴代の突っ込み覇者が血と汗と色々な汁を絞り、編み出した秘技。ユラお姉さん流石なのだー」
 彼らのコントが一頻り終わるのを待っていた豊浦が目にも止まらぬ速さでハリセンを振り回しセットの彼らを払い落としていく。抵抗する統べなく落ちていく悪の戦闘員ず。これぞまさに一網打尽。
 幸い彼らの下にはマットが敷かれているため大事には至らず、そんな様子を苺が1.5倍増しの熱血解説で語る。
「なに勝手な説明をしてまんねん! しかもばっちそうな汁まで出すなや!」
「え〜、ほらヒーローショーには解説のお姉さんが付きモノなのだ」
「だから、わしらを忘れるなぁ! って。‥‥っく、やっぱし今までの歴史があるから番組がありっちゅうネタが来たけぇゆぅて、積み重ねを無視するなぁ駄目じゃ。一回毎に一球入魂の心持で作らんと‥‥。人との付き合いは一回しか会えんかも知れん意味の一期一会を大切にーをあんたらにいぃ〜。じゃぁ皆の者、一目散で逃げるんじゃっ! 有名な妖怪アニメに出てくる一目連じゃぁ〜」
「少佐〜、番組ジャックは『言うは易く行うは難し』デス〜!」
「これは番組ジャックやどころでなく、番組ストライキやんっ!」
 可愛く小首を傾げる苺に豊浦はハリセンを掲げるも鬼王丸に邪魔をされる。しかし彼も捨て台詞を吐くとすぐ退却。その命令を聞いた戦闘員の文字ぃ君達も一目散に逃げ出した。苺も一緒に逃走を図るが、ハリセンを振り上げた豊浦に追いかけられ、唯一、その場に残った郭氏文が、
「‥‥では番組開始です」
 ふぅっと息をつき、長かった冒頭を締めた。


「一日千秋の思いを抱きつつ、いそいそとイロハに出演しているHAKASEです。遺憾なくネタに勤しめるよーに、意気軒昂に頑張りますので一を聞いて十を知る意識でいて下サイねー。ネタの方は毎度お馴染みパペットコント! スタッフさーん、テロップをヨロシクぅ! イカっとアワビっと」
 お馴染みパペットコントを繰り広げるHAKASEの登場。お題に因んだ磯の鮑の片思いのアワビちゃんと烏賊の甲より年の劫のイカさん人形を胸前でパッと開く。
「あぁ、彼氏のイタチ君と連絡がとれなくなって困ったわびぃ‥‥。これがホントの鼬の道切り? うぅん、そんなことはないわび! ねぇイカさんどう思う?」
「えぇ、大丈夫イカよ、アワビちゃん、きっと‥‥。言わぬが花な諺もあるイカし‥‥ここは」
 やや裏声気味のHAKASEの声。右手の大きな貝にリボンを付けた鮑のマペットに左手の烏賊マペットが慰めの言葉を掛ける。しかしどこか煮え切らない態度で小さく呟いた。けれどそんな烏賊の言葉も鮑の耳に届かず、
「私、やっぱりイタチ君に逢いたいわび! 海の生き物でなく陸の生き物になるわび」
「な、何言っているの、アワビちゃん! 石に花咲くっていう諺があるイカ。奇跡は実際に起きなイカし無理に決まってるイカよ! 言うは易く、行うはかたしっていう言葉もあるイカ。‥‥あぁ〜‥‥行っちゃったわ」
 大慌てで烏賊が貝に巻き付く動作を取らせるも、それを振り切った鮑を背後に隠す。その後、烏賊の身体を折り溜め息混じりの演技。
 しかしすぐに貝に食べ物を挟み戻ってくる鮑。手を上手く動かし租借させながら、
「あぁ〜ん! イタチ君は新しい恋人を見つけてたわび〜こうなったら自棄食いあわびぃ〜」
「あらら、色気よりも食い気に走ったイカねアワビちゃん‥‥。イカっとアワビっと!」
 最後お決まりのポーズで締めた。
「ん〜『石に立つ矢』や『石の上にも三年』な一途な言葉もあるケド、意地を張っていがみ合いまで行かないよー注意しようねー」
 にこやかに鮑と烏賊のマペットを振った。
「うぅ、物知りで優しそうなHAKASEさんにチョト相談デス〜。実はマリスってば悪の組織じゃなく正義の味方になりたかったネ〜」
「え? そ、そうなの。ん〜けど悪の組織も良いんじゃ‥‥ね! 郭氏文さん‥‥」
「はい? あぁそうですね、マリアーノさん『一念岩をも徹す』ですよ。頑張ってくださいな」
 トボトボと現れたマリアーノ。HAKASEのコント終了の時期を選び相談してくる。彼の深刻な表情に困ったHAKASEは目に止まった郭氏文に振った。
「あぅー『言わぬが華』? 言いたい事は解るヨ、『以心伝心』サー。そうだネ‥‥うん。郭氏文さん、頑張ってみルヨって‥‥」
「うわぁ?!」
 僅かに笑みが戻ったマリアーノの表情に息を付く二人。その隙を狙ったマリアーノは背後に回るとヒザ後ろを軽く蹴った!
 不意を付かれよろめくHAKASEと郭氏文に向かって、可愛くあかんべーをして笑い飛ばす。
「アハハ、言ってみただけだヨ〜! 『石の上にも三年』、悪役だって悪くなイヨ!」
「反省したかと思えば〜〜『石に灸』のようやねぇ!」
 ばしぃん!
 再度、逃亡を図る彼に立ちはだかるハリセンの壁。豊浦は制裁の一撃を繰り出した。
「ユラお姉さん、一寸の虫にも五分の魂ヨー」
「それを言うなら一寸先は闇や。その諺は小さな虫でも意地や考えがあるいう意味やねん」
 マリアーノはもう一度、ハリセンを貰う事となった。


「お題は『ゐ』。この文字から始まる諺は多いので根性で紹介するっす! では早速、『戦を見て矢を矧ぐ』の意味は事が起こってから慌てて準備する事。で、『いずれ菖蒲か杜若』が同一の美に優劣付け難い事の例え。これってお姉さん達を現すような言葉っすね〜」
「ナンパは禁止や!」
 登場した傍から息も付けぬ早口で諺を捲し立てる真田。合いの手を入れる豊浦が軽く突っ込み。
「い、痛たたっす! 痛いに因んで『痛くもない腹を探られる』は身に覚えがない事で疑いをかけられる事。‥‥いつもの僕っす」
「しょうもないボケばかりですからね‥‥」
 今度はなかなか手厳しい郭氏文。驚きの表情で真田が切り返す。
「はぁぅ! 『一難さってまた一難』、これは災難を一度、切り抜けたと思っても後から次々に襲われる突っ込みの連続って事っす。そして『一敗地に塗る』‥‥徹底的に打ち負かされる事。実は一杯、血に塗るだと思っていたんすが‥‥違うんっす」
「それは因果応報なのだー。あや?! 違うのか?」
 楽しげに入ってくる苺。真田にマイクを向けると俄然調子が出て、元気一杯に続ける。
「あっとは『芋の煮えたも御存じない』世間知らずで迂闊な者をからかう言葉で『井の中の蛙大海を知らず』も類義語っす」
「ほうほうって、ちょとこの羅列ってなんか意味あんのん? もしかして適当とか言わへん?」
「流石、ユラお姉さんご名答! その通り、行き当たりばったりっす!」
 ぶばしぃん!
 キラリと歯を見せ、真田がサムズアップで答えると豊浦の無言の突っ込み。盛大に床に打ちのめされた。
「一寸先は闇っす‥‥」
「はいー、良くできましたなのだ」
 最後の諺に苺の脳天気な一言で、あっさり片付けられた。
 

 またVTRが流れ、浜辺で体育座りをしダンディーさをアピールしつつ地味ぃーな海を見つめるHIKAGE。
「いやぁ、もう半分を超えたのか‥‥早いものだね。もうすぐ終わってしまうのかなぁ? いやっ、そんな事ないよね。まだこれからさ! ねぇ、ユラ姉さん。『石の上にも三年』と言うじゃない、俺達はその6分の1くらい共に過ごしてきたんだから少しは情とか移ったよね?」
「そやなぁ、ちょっとはなぁ」
 爽やかな笑顔と共にカメラ目線のHIKAGE。そこで切り替わり、スタジオ内でも同じ恰好の彼に豊浦はいつになく優しい反応を見せた。あまりの嬉しさにウハハっと小躍りして大はしゃぎ。だがやはり一言多い。
「いーっありえないよ! あの凶暴なユラ姉さんから‥‥。ユラお姉さん石に花が咲いてるぅー」
「誰が凶暴やねん! それを言うなら『石に花咲く』。実際に起るはずの無い例え。そこまで酷くはないわ!」
 ずばしぃん!
 鋭いキレのハリセンをまともに受け悶えるHIKAGE。当然と言える結果である。
「お終いの時間に近付いてきました。最後に『い』の巻、恒例のロシアンシューを食してお別れしましょう! ふふ、皆さん逃げられませんよ。『一度あることは二度ある』で『一か八か』の勝負です!」
 郭氏文の言葉にマロ君が運んできた特製シュークリーム。誰もが嫌々顔で選ぶ中、いち早く取った郭氏文は小声で、
「ふっ、事前に普通のモノを聞いているので安心です。これは『言わぬが花』ですね‥‥」
「郭氏文さんマイク入っとんで、ウチのと交換なぁ〜。ほなマロ君、食べさせてあげよか」
「あ、いや‥‥、ぅわぁ!? ユラお姉さんのシューはハバネロ‥‥。か、辛いーっ」
 しっかり筒抜けの企み。豊浦は素速く交換してマロ君と一緒に郭氏文の口の中にシューを押し込んだ。激カラシューを口にした郭氏文は猛烈ダッシュで裏に駆け込む。
「あはは、大当たり〜! では次回は『ろ』なのだ! またね〜」
 苺が手を振る。しかし次回は『の』である。