いろはに諺 やの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/22〜10/24

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「や」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 や
「藪と突いて蛇を出す」
意味:突かなくてもいい藪を突き蛇を出しまい、恐い思いをしてしまう事。つまり、しなくても良い事をしてしまい悪い事を起こす事。

「山高きがゆえにたっとからず」
意味:山の良さは値打ちは高さではなく、木がよく育っているかどうかで決まる事から、見かけだけ良くても中身がしっかりとしていないと値打ちがないという事。

「やぶから棒」
意味:竹藪の中に隠れていた人が、いきなり棒を突きだし驚かせる事から、予告もなくいきなり物事をする事。

●今回の参加者

 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4044 犬神 一子(39歳・♂・犬)

●リプレイ本文


 前回、放送時間のミスでカメラクルーのみの出演となったHIKAGE(fa1340)が、裏でディレクターに頭を下げている。
 だが元を正せば番組側の失態であり彼に非はない。しかし逆手に取ったディレクターがにやけながら一言。
「ま、いいよ。気軽に行こうぜ!」
 すぱーんっ!
「そもそもあんたの所為だろーが、反省しろっ! ‥‥すみません、HIKAGEさん。どうぞお気になさらずに」
 勇猛なスタッフがハリセンの鉄槌を下す。近くで見ていた豊浦 あやね(fa3371)が、
「ディレクターがハリセンの餌食に‥‥。なんや、このツッコミも認められてきたんやなぁ」
 驚きつつもハリセンの浸透を心より喜んでいた。


 彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると、画面は切り替わる。
「にゃにゃっ今週も始まりや! テストの答えがヤマカン頼りにならへんよう気張って勉強やで。ん? 国語以外の教科は‥‥ま、学ぶ姿勢を培うゆー事で堪忍や。ほないつも通り『矢継ぎ早』にネタの連続を期待してんでー」
「焼き芋、山芋、大和芋ーっ! お芋の季節なのだ。秋風吹いて焼き芋屋が儲かるのだー」
 お題を意識し、大和撫子よろしく着物で登場の豊浦と苺(fa3120)。だが恰好だけで普段とまったく変わらない。しかも苺はそれ以上、『焼き物続けてン十年』の腕章を袖に付け、種類豊富な芋を次々と手に取り小躍り。
 ノってる彼女に釣られ一緒に芋踊りするのは、プロデューサー業そっちのけで今日も元気に芸人道をひた走る、サツマイモの着ぐるみ姿の鬼王丸・征國(fa0750)と、茶黒い顔に白い隈取りを施し、着崩し制服で街を闊歩する渋谷の絶滅危惧種・ヤマンバに扮したマロ君に入る如鳳(fa2722)だ。
 それは良く言えばメルヘンな光景であるが、外の空気のように寒々しい。しかし彼らは気にせず我が道を爆進してゆく。
 呆れて言葉を失った豊浦をヨソに、気分が良い苺の口から真面目な一言。
「‥‥でもぉ屋内で焚き火をしたら危ないのだ。というわけで文明の利器IHでクッキングぅー♪ おいらは色々と考えてるのだ!」
「では、マイお姉さんが調理している間、わしがいつもの蘊蓄を‥‥サツマイモは干魃に強いうえ収量が多く、江戸時代に救荒作物として広がったのじゃ。焼き芋と言えば紅あずまが主流じゃが、グルメ&健康ブームで珍しい安納芋なんかが某フォークロック歌手の薦めで著名になったのぅ。ベータカロチンも通常の芋よりも豊富でまろやかな味わいが特徴じゃ‥‥って、な、何をするのじゃ?! マイお姉さん」
 よく聞く料理番組の音楽が流れだし、苺は電気調理器の前に立つと手慣れた素振りで芋をアルミホイルで包み、フライパンに並べ蓋をする。
 隣では如鳳のマロ君が、泥鰌に牛蒡を卵で綴じた今回の好物・柳川鍋を調理開始。お題を合わせたジェスチャーを交え、矢も盾もたまらずといわんばかりに、落ち着き無く蓋の開け閉めを繰り返し、昔ながらの泥臭い深川鍋にウットリとした表情を浮かべた。
 彼らの料理が出来上がるまで、芋姿の鬼王丸がいつもの蘊蓄を披露。つい夢中になり、ほくそ笑む苺に気づき遅れた彼は腕を食いつかれ、ようやく反応した。しかしもう遅い。素速く巨体を掴まれ特大のフライパンに押し込まれた。
「さー準備は完了、あとは焼けるのを待つのだ! その間、犬神さんの出番なのだー」
 持ち上がる蓋を力ずくで抑えながら苺は、次に促す。辺りに良い匂いが漂い始める中で番組が開始された。


 白タイツの上から富士の山が描かれる褌を締めた犬神 一子(fa4044)。その表情はなぜか浮かない。
 理由は簡単。褌一丁での参加を望んだが、やむをえない事情で却下されたからである。しかしカメラが向いた途端、すっかり忘れにこやかに話し出す。
「今回は大和魂の『や』だな。大和魂と言えば褌! だが安くて悪いモノはいかん。駄目になるのが早く、頻繁に買い直す必要があり、かえって高くつく。それを諺で『安物買いの銭失い』というのだ。つまり褌を買う際は品質の良いモノを選ぶ事」
 お題諺を巧みに埋め込み褌に対する愛を語るが、隣に立つ豊浦は褌について弁舌されても困り果て頬を染めるばかり。しかし気付かない犬神は更に褌演説に熱を込める。
 それに足腰の動きやすさを考えれば、柔らかいものが一番! 『柳の枝に雪折れなし』のように、柔軟なものは堅固なものよりよく苦難に耐えるのだ。やはりここは堅固なブリーフよりも、しなやかな褌の方でだな‥‥」
「にゃ?! 犬神さん、まだお日様が高い時間やで!」
 ばしぃん!
 NGワード突入前に豊浦がハリセンで阻止。犬神は叩かれた頭をさすりながら一旦は反省を見せるも、
「これは失敬。では普通に『病は気から』。気は持ちようで病気などはね除けられるという意味だ。寒くとも気合さえあれば、褌一丁ですg‥‥」
「こ、こらぁ〜、あかんって!」
 ずばしぃんっ!
 また褌談義を奮ううちに再度ヒートアップし着ているタイツに手を掛けた。途端に豊浦のハリセンの制裁が下る。凄まじい音とあげ彼は床に突っ伏した。
「‥‥まったく。外で褌になっていいのは主にお祭りだけや。よい子のみんな解ったー? ほな、お次は‥‥」
「やぁぉぉうっ! どうもっすっ。野生児ユウ君の『や』っすー」
 彼女は次に促すと、亜熱帯の王者気取りで真田・勇(fa1986)が出てきた。しかしそれ以外、特にネタを用意していなかったらしく動きがピタリと止まる。業を煮やした豊浦が、
「何もないんやったら、普通に登場せぇ」
 すぱんっ!
「あぅ‥‥藪から棒に酷いっす。マロ君だった時は優しかったのに」
「やかましぃ、なに言うてんねん! マロ君には誰も入ってへん!」
 ハリセンで軽い一撃。叩かれた真田は涙ながらに訴えるも、マズイ発言をぶちかます。慌てた豊浦が誤魔化すように叩きまくり、真田は頭を抱えて耐え凌ぐ。
「うう‥‥これじゃ『柳に雪折れなし』っす。一見、弱々しい人が強い人のきつい言動や突っ込みに耐える事っす」
「微妙に意味がちゃうわっ! 正解は一見弱そうでも試練や困難に耐えれる事や」
 ずばこーん!
 諺の意味を微妙に取り違えた真田に豊浦はダメ押しハリセンを見舞う。しかし打たれ慣れした彼は、めげずに立ち上がりおもむろに彼女の頬を指で突き始めた。
「‥‥まだ終わらないっすよ、今から実験っす! ユラお姉さんのほっぺは柔らかいっすね」
「何してんねん。許可無く乙女の頬を突かんといてや!」
「むむ? これはダイエットの必要性アリっす」
「やる事、言いたい事はそれだけやな?」
 真田の実験とは『藪をつついて蛇を出す』だ。しなくてもいい事をわざわざして悪い事にする実践である。思惑通り見事に成功し、怒張筋を浮かべ、凄む豊浦に嬉しい反面、恐怖に戦く。
「だから藪を突いて‥‥に因んだ実験っす‥‥そんなに怒らなくても‥‥ご、ごめんっす」
 少々調子に乗りすぎてマジに彼女を怒らせてしまったようだ。慌てて謝罪を入れるも許してもらえない。
「天誅!」
 ぶばしぃぃんっ!
「や、焼け石に水っ。‥‥痛い〜回復の見通しが立たない、薬石効なしっす‥‥」
 フルスイングのハリセンが頭部に炸裂。吹っ飛んでゆく彼はカメラ目線で尚も諺を吐く。大した芸人魂である。
「やはりユラお姉さんは『八百屋に看板無し』じゃのぅ。看板が出て無くても八百屋はすぐそれだと解るようにユラ姉さんのツッコミ属性は触れ回らずとも日頃の行いからすぐ判るということじゃ。その猛威には皆のボケも『焼け石に水』っぽいのぅ」
「また、藪から棒の実践やなぁ? 鬼王丸さんも覚悟!」
 ほっこりと焼き上がった芋姿の鬼王丸が茶を啜りながら落ち着いて、いらん一言をぽつり。それは地獄耳の豊浦の耳に入り、またもハリセンが唸りを上げる。
 べちょっと前のめりで倒れた鬼王丸は、着ぐるみでバランスが取れず自力で起きあがれない。
 横目で見ていたHIKAGEは、彼と同じお題でボケネタを考えていたにもかかわらず、急遽変更。
「鬼王丸さんと同じ『八百屋に看板なし』だけど、ちょっと内容を変えて‥‥。いろはも俺達みたいな愉快な文字ぃ君やマロ君。そして可愛いマイお姉さんに凶暴‥‥いや、綺麗なユラお姉さんがいるから看板がなくてもすぐに解るよね☆」
 豊浦はぴくっと反応するも、一応の褒め言葉に微笑む。見たHIKAGEはヨシっとガッツポーズを一つし、一気に弾けだした。
「やっと『や』が出た、やっと来た! 以前、他の巻でうっかり間違えてネタを作っていた俺だが、その時に練っていたものがやっと使えるぜっリベンジだ!」
 いやっほーぅっと小躍りしながら、ポケットに入れていたノートを取り出そうとする。が、その顔が急に青ざめる。
「や‥‥うがぁ〜っないっ!? ないよー。落としたみたいっ。どこまでおバカなんだぁー‥‥俺。うぅ仕方ない。覚えている限りのネタで『痩せの大食い』を実践します」
 半泣き顔で、覚えていた諺を告げると、事前に苺が焼いていた、頭に『や』の付く焼き蛤や焼きもろこしに焼き肉、焼きそばなど、色々な食べ物を頬張り始める。
「秋は食欲旺盛! まだ秋はまだ終わってないぞぉー!」
 バクバク、ガツガツと、まぁ凄まじい勢いだ。誰もが唖然と見守る中、ジトメで見ている苺。口元からつーっと一筋の涎が流れているが、今は調理中のため動けない。だが辺りを見回しては、サッと食べ物を口に放り込み満足気な表情。
「むぐっ! ぐふふ‥‥。ま、まだ食べますょ‥‥アハハ、綺麗なお姉さんぢゃなく、お花が満開だぁ」
「ひ、ひかげんっ! ほんまに食い倒れて、あっちの世界を見に行ってもうたらあかん! しっかりせいっ」
 ずばしっ!
 実のところHIKAGEは過食な方ではない。無理して押し込む食べ物で表情が強ばり、喉を詰まらせてしまう。
 そんな彼の目の前に突如お花畑が出現した。リアルでは意識が遠のき脂汗流す彼に豊浦がハリセンを見舞い正気に返す。なんとか戻ってきた彼はめげずに食べ物を口にする。その根性はピカ一だ。しかし突っ込みどころがとても解りづらい。
「あのー、ひかげん。そろそろ時間も無い事やし、HAKASEさんに回すで」
「むぐ、もぐっ」
 珍しく心配気な顔の豊浦がHIKAGEに一つ断りを入れる。それでも彼は食べる事を止めず、詰め込みながら頷いた。


「薬石の言にはならないかもだけれど、病みつきになるよーな諺を紹介できるよう躍進すべくいくねー。やかましいっなんて野次を飛ばさず、やんわりとお付き合い願います。ではテロップヨロシク! ツルッとサギっと」
 和服姿の司会者に合わせて着物で登場のHAKASE(fa2600)。胸前のパペットは、焼け野の雉子夜の鶴に因んだツルさんと闇夜に烏雪にサギさんだ。ぱかっと両手を広げいつもの挨拶をさせ、お題のコント開始。
「子供が病気に‥‥困ったツルー。そうだ、腕が良いと自慢していたサギさんに看て貰うツルー。‥‥サギさん、治して欲しいツル」
「はいサギィ‥‥むむ? 解らないけどまぁ大丈夫サギ! この薬を飲ませれば、たちどころに治るサギ!」
 小鶴の人形を抱えさせたツルさんの動きに合わせ『藪医者の手柄話』のテロップが流れる。ひと間を置き、サギさんが手渡した薬を小鶴に飲ます。その直後に呻き声を上げる小鶴に『藪から棒&藪を突いて蛇を出す』の文字がタイミング良く出る。
「もう任せられない、私が面倒見るツルよ。坊や病は気からツルよ!」
 ツルさんに呆れた素振りをさせると、素速く右手に嵌めていた鷺の人形を外し、小鶴の方に手を入れ動かす。
「こほこほ『病む身より看る目』。‥‥病気の僕も辛いけど、それ以上に看病しているお母さんも辛いんだよね。頑張るよ」
「そうね。あぁ、そういえばサギさんは藪医者だとバレて、患者さんが入らなくなったらしいツル。『山高きがゆえにたっとからず』で、見かけは立派でも中身が無かったツルね。それに『山高ければ谷深し』でお金持ちだったのに今は‥‥。それも仕方ないツル。‥‥ツルッとコツルっと。あれれ? 人形が変わっちゃったけど『矢面に立』せる事はしないでねー。最後に病治りて医者忘るなんて言うけど、みんなもお医者さんにはちゃんと感謝しようねー」
 親小鶴でいつもの決めポーズを作りHAKASEは一つ頭を下げた。


「今週もお終いの時間やね。みんなよく学べたかいな? 頭をたくさん使かったら、甘い物を補給するのが一番やねん」
「そうなのだー。甘い物‥‥。ユラお姉さんが、焼きプリンをご所望なのだー」
「おっとそれは卵が入っていないニセプリン。焼いても溶けるだけで美味くはないぞ」
 豊浦が最後の挨拶を始めると、芋を蒸かし終えた苺が察したらしく未だ食べ続けるHIKAGEの所から三連プリンを奪う。しかし犬神に早々否定され、テヘヘっと誤魔化すように笑う。
「おぉ、卵といえばマロ君が作った深川鍋が、良い匂いをさせているのぅ‥‥どれ一つ」
「うわーぉう! 美味しそうっすっ」
 クツクツと煮える柳川鍋に箸を出す鬼王丸と真田。好物を前に如鳳のマロ君は彼らを睨むも、ここは教育番組。独り占めは駄目だと悟ったのか、彼らにドウゾと合図する。
「これだと食べづらいですが、頂きまーす」
「あちっ! ま、まったねー」
 HAKASEは両手をマペットに占領されて箸が上手く掴めない。しかしめげることなくツルさんに箸を持たせ動かす。
 今回は皆で柳川鍋や苺が作った焼き芋を食べながら、お別れの時間を迎えたのであった。