いろはに諺 まの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/29〜10/31
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「ま」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
ま
「馬子にも衣装」
意味:馬を引き、お客を乗せる人でも、見栄え良い服を着せ整えれば立派に見える事から、どんな人でも着飾れば立派に見えるという事。
「撒かぬ種は生えぬ」
意味:種を撒かないと草や木など生えてはこないことから、努力をしなければ、良い結果は生まれないという事。
「曲がらねば世が渡れぬ」
意味:正しいと思う事だけをやっていても周りの人とは上手くやっていけないという事から、自分の意見や考えと違っていても相手に合わせる事も必要だという事。
●リプレイ本文
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彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると、画面は切り替わる。
「はいなっ、今週もいろはに諺『満を持して』の始まり始まりやでっ♪ 『満足な豚よりも不満足な人間である方が良い。満足した愚か者であるよりも不満足なソクラテスである方が良い』。ちょっと長いんやけど、要するに現状に満足せず、また満足ばかりを優先してはあかんいう言葉やねん。本来なら、遊ぶばかりやなく勉強もやでって繋げるんが筋やねんけど‥‥。この番組のもっとうは楽しく満足しながら勉強やから問題ナシですわ。ってな訳で司会進行はウチことユラお姉さんといつものお二人に文字ぃ君、それに勿論マロkも‥‥ん? なんや今日はえらくおめかしやねマロ君。『馬子にも衣装』やろって? いや、良く似合ってるねんで♪」
冒頭挨拶をする豊浦 あやね(fa3371)の隣で、如鳳(fa2722)の入るマロ君が黒いタキシードを着用し、手鏡にその姿を映しては嬉しげにポーズを決める。彼に耳を寄せ言葉を聞き取る豊浦はニッコリ笑って彼を褒めた。それを聞き逃さないのは背後に立ったHIKAGE(fa1340)、イソイソと前に出てくる。その姿がレトロなダンディ。発泡スチロールで作られたテトラポットの上に尖った白い靴を履いた片足を乗せ、細身のスラックスに開襟シャツを押し込んだファッションだ。小物にも拘りを見せ茶色のサングラスで顔の半分を隠し、駄目押しに紺ジャケットを軽く人差し指で引っ掛け肩の方から下げ、
「魔女っ子に‥‥恋をした日もあったっけなぁ。いやぁあの時の俺は若かったよ、フッ」
視線を遠くに投げ、少しばかり怪しげな発言をのたまう。当人曰く美少年を意識しているのだが、根本的なセンスが変わっている所為で冒頭からなかなかサムイ空気を呼んでいる。
ごく普通にしていれば、美少年ばかり所属する事務所からお呼びが掛かる事間違いないのだが、どうにも芸人な根性を垣間見せた為ローカル歌番組でお目見えするような恰好のHIKAGEに豊浦は驚きハリセンを取り落としそうになった。それにまったく気付かない彼は、釘付けとなった彼女の視線と躊躇うハリセンはきっとあまりの美に驚いたからだと、なかなか意識過剰な判断を下し、更にポーズを決めていく。
いい加減、呆れ眉根を揉む豊浦。
「なぁ、ひかげん。馬子にも衣装はよぅ解ったけど、今回は白鳥沢さんとキャラが被っておるから中止やって、ねぇ白鳥沢さん?」
「ま、そうですが‥‥。ど、どうも〜‥‥毎度お馴染みの白鳥沢だよ〜‥‥」
「って、まだ二回目やろっ! ど、どないしたん?」
すぱん!
本家本元の美青年、白鳥沢 優雅(fa0361)が真っ青な顔で弱々しく手を振っている。そこにはいつものキラキラはなく、開いた口から魂が出てきそうな程だ。だがそんな時でもボケは忘れない。それは天然かも知れないが。
豊浦はいつも通り一撃、白鳥沢の頭に見舞う。ぺしょっと床に落ちた彼。しかしモソモソと起きあがると青い顔の理由を述べ始める。
「説明すると長いですが‥‥」
「ほうほう、なんやの?」
「‥‥風邪でダウンしてます」
ズバシンッ!
再度、白鳥沢にハリセンがぶち当たった。当然の結果といえよう。彼はあまりの強さに本当に魂が抜け出そうだと感じるも反論する気力がそこに残されていない。
彼らのやり取りに無意味なターンで割り入ったHIKAGE。
「フッ、だから言ったじゃない、白鳥沢さんに変わって僕が美形キャラを継いだのさ。だからこれが本当の姿なんだよ! アイデンティティを認識しなおした? フッ‥‥今夜は枕を高くして眠れそうだ」
「いえ、まだ甘いですよHIKAGEさん、ターンはこうですっ」
豊浦の目の前に立った直後、掛けていた眼鏡を外しその蔓を甘噛み。諸に見てしまった彼女の肌が粟立ちハリセンを構えるが、それよりも素速く白鳥沢がターンの駄目出しを掛けた。お手本とばかりにやってみせる。が、回った直後、力尽き崩れた。
「まったく‥‥全角200文字(全体600文字)までのネタが思い付かなかったのでツッコミ、駄目出し対応しようと思ったけれど、なんか憑かれたよ‥‥マロラッシュ‥‥。あぁ、僕は真人間になれたかなぁ‥‥がっくり」
ボソボソと譫言のように呟く彼の上にマロ君が覆い被さり押しつぶしている。その重みに耐えきれず静かに瞼を閉じる白鳥沢。不完全燃焼ではあるが、真っ白い灰になった彼の表情はどことなく穏やかさがある。
「憑かれたのはホンマやけど、それを言うなら疲れたやろな‥‥。なんや今回はのっけからボケばかりの面子やな‥‥これから先、『枚挙に暇がなく』なりそうな気がするわ。とは言え気合入れて『万能一心』。真心を込めて『邁進』する事にするわ。ほな、マロ君。片付けを宜しく!」
豊浦の最後の突っ込みを聞くことなく、如鳳のマロ君の手によって舞台袖に運ばれる白鳥沢。手を振り見送った彼女は更に言葉を続け、隣に立つ郭氏文 令明(fa0243)に目で合図。小さく頷いた彼がマイクを手に、
「遅くなりました。司会者の郭氏文令明です。ではいつも通り諺を一つ。『まな板の鯉』とは、他人の意のままになるより仕方ない状態の例でして、自らお姉さん達の意のままになりたい方は多いかもしれませんね。私も‥‥あっいえ‥‥本当に食べないで下さい」
にこやかに挨拶をする彼は天敵? である苺(fa3120)を見やり、しどろもどろになる。先手を打たれた苺はちょっと寂しそうな笑顔になるが自己紹介を兼ねて彼女のネタを開始。
「マイちゃんクッキングのお時間なのだ! 料理の先生は、おいらマイ姉さん。今回はお題文字に関する材料を使って新感覚料理を提案なのだ! 何が出来るかは完成してからのお楽しみなのだ」
すぐさまキッチンに移動し始め、台に乗るマイマイに舞茸、マグロとマスそれにマクワウリやマダコとマダイ、豆の入った袋に今が旬の松茸の桐箱と、豪華な居並ぶ食材を見渡し、満面の笑顔でおたまを振り回す。空いた方の手には愛用のマイクに腕には毎度の腕章『マイのマイレシピ?』が元気のいい動きに合わせ、よく揺れる。
「と、ゆーわけでぇ宣言どおりにお料理教室なのだ! 材料はこれとこれとー‥‥で、あ、マロ君、そのマロングラッセも使うから頂戴なのだ。それでもって出来たのが、この料理なのだ!」
でんっ!
苺は、隣で好物のマロングラッセを食べようとしていた如鳳のマロ君の手からそれを掠める。手を口に当て耐える彼は、『待てば甘露の日和あり』と書かれたフリップを掲げ、更にもう一つ。『じっくり落ち着いて待っていれば甘露が降るような日和があるという意味。待っていれば良い時機が到来するという事』と書かれていたフリップを振る。なかなかマニアックな諺を紹介する如鳳のマロ君。年の功よりなんとやらだ。そんな彼を押しのけ苺が用意されていた料理を出す。
それは湯気立つ大きな饅頭。トローリとした餡が食欲をそそるが、中身がかなり不明すぎて恐い。他の出演者やマロ君が先程の白鳥沢に引けを取らないほど青い顔になり、口元を引きつらせている。
「どうしたのだー? きっと美味しいと思うのだっ」
苺はまったく味見をしていないにも拘わらず、笑顔で取り分けていく。皿を手にした彼らの脳裏にロシアンシューの悲劇が過ているのは言うまでもない。それでも果敢に口に入れた。
「フッ、流石に格好良くなった僕でもこれは、ちょっと‥‥」
「ぐふっ‥‥に、苦い? い、えぇ美味しいですよ。マイお姉さん。そう、これは言い訳に聞こえてしまうものですが、『負けるが勝ち』と言う諺を紹介しましょう。争う事をせず時には負けて勝ちを譲り、結果的に有利に事を進ませる意味です。世の中、押してばかりでは進めません。兵法でも負けた振りをし敵を誘いこみ、奇襲するという策があります。このようにマイお姉さんに美味いという言葉で勝利を感じさせ。油断している所を突くのは有効な策で‥‥」
「郭氏文さん、蘊蓄はそこまで‥‥! この味‥‥マイお姉さんしょっぱ過ぎやねん」
「まあ、おいしい!」
「風邪の所為か、味が解りません‥‥」
如鳳マロ君は親指を立て、他の出演者達はそれぞれのコメントを出す。どうやら食べた場所により味が違うようだ。
半々の意見を出す彼らに向かって、苺はにこやかに、
「そうなのか? ではここで作っているVTRを流してみよう。スタート!」
前もって用意された映像が流れ出す。そこには手際よく料理をする苺が映っていた。
水産物、キノコ類に塩コショウで下味つけると衣を付けてパリッとフライにし、まくわうりとマスクメロンの皮に近い硬い部分のみ用いてみじん切りしたっぷりのマヨネーズと和える。その他の材料を豆類と同じサイズに刻み、塩コショウ、コンソメで炒め味付けをし、用意していた材料を小麦粉で作ったパン生地の上に乗せ蒸し上げる。最後に片栗粉でとろみを付けた餡状を掛けて終了。
その中にはエスカルゴ殻付きのままやマロ君から取ったマロングラッセも含まれていた。VTRを観た全員が閉口する中、
「おいらは料理を考えるだけで手一杯だったから、これ以上はないのだー。と言う事であずさ&お兄さん、よろしく!」
『とりっくあとりーと。なんか魔法のような味のだったわねマイお姉さん。さぁ頑張っていくわよ、あずさちゃんっ』
「うん、お兄さん」
摩訶不思議な苺の料理は、ちょうど美味いところに当たりダメージを免れたあずさ&お兄さん(fa2132)は白タイツの上から、まさかりを背負った魔女を模した姿のハロウィンな恰好で登場。二人顔を見合わせると、さっそくコントを開始。
「待てば海路の日和ありで満を持しての久々の出演! 前回出演時に思いっきりバラされたような気がするけど、私、女の子ですから! 世間的には女の子で通してますから!」
いきなり熱弁を振るう美少女のあずさ。小さなお兄さんはヤレヤレと言った表情で、
『まあ、蒸し返しても墓穴を掘るだけだから、深くは触れないけどね』
しみじみと言う。そこにスタッフ達が用意し布と電飾、キャスターつきの台座が運び込まれた。あずさはお兄さんを台座の上に座らせ、布を使い服っぽくアレンジをし始めた。敢えて派手な布を選びだしてはお兄さんの身体に巻き付ける。それは年末に必ずあるアノ歌番組に出るあの人‥‥をイメージしているようだが、どうにも赤や緑の電飾を持ち出したところでクリスマスツリーの様にも見え出す。
「さ、できたっ! お兄さん、準備は良い? 『馬子にも衣装』!」
ぽち。
合わせてスタジオの電気も絞られたところに電飾が輝き出す。クルクルと巻かれた電飾はリズムを刻む様に点滅しミラーボールお兄さんに付けられた金色の星に反射した。
「なんや、これではすでに衣装やなく舞台装置やねん」
すぱんっ!
「い、いたぁい〜。そ、そうかな? 『丸い卵も切りようで四角』『曲がらねば世が渡れぬ』とも言うし、これだって衣装って事にしてくれなきゃ、納得できないー」
しかし一番納得できないのは、今は電飾で身動きが取れないこの人。
『ちょっと、私を「馬子」扱いにするの! そっちこそ納得できないわっあずさちゃん』
「そうだよねっ、うん、似合うよ。お兄さん」
台の上で憤慨するお兄さん。あずさは可愛くコツンと頭を叩くとお兄さんを抱え、その場を後にした。
●
さて、早くも終わりの時間。
「少々速いですが、クリスマスなどの冬のイベントも近付いてきました。皆さんご予定は御決まりですか? 『待つ間が花』。物事はあれこれ想像し期待しながら待つ間が、一番楽しいと言うように色々考えると楽しいですね。私にも待ち人が現れて頂けると、安心してぐっすりと眠れる例えの『枕を高くして寝る』が出来るのですが。ま、『待てば海路の日和あり』で、今は上手くいかなくともじっと待っていれば、その内チャンスが巡ってくるはずでしょう。だからあせらず気長に待てってますね」
「おぉー! ブラボーブラボー、郭氏文さん。あぁ、いつ聞いても素晴らしいです。っふ。まぁ僕のセンスと並ぶくらい素敵です」
ゆったりとソファから立ち上がり拍手をしながら近付くHIKAGE。未だ勘違いをし続けのたまわっている。
「ほんまに『曲がらねば世が渡れぬ』とはよう言うたもんやね。いつまでも突っ込みをせずに『真綿で首を絞められる』ような事ばかりされせんで〜、ひかげんっ」
ずばしぃぃん!
最後の最後でもの凄いサブイボを立たせた豊浦が大きくハリセンを振りかぶり、HIKAGEの後頭部に炸裂させる。凄まじい音を立て、突っ伏する彼の横で、爽やかな笑顔に戻った彼女が、
「ま、あのまま終わらせて『丸くとも少し角あれ』の円満もいいんやけど、やっぱり、きっちりハリセンを振りかぶる必要はありやね」
「まったねー」
一同、引いていくカメラに向かって手を振った。