いろはに諺 けの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/05〜11/07
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「け」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
け
「芸は身を助く」
意味:身につけた芸は、生活に困ったときなどの助けになる事。
「怪我の功名」
意味:間違えた事や失敗が思いもよらず、良い結果になる事。
●リプレイ本文
●
彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると、画面は切り替わる。
「けっこう毛だらけ猫灰だらけー! 古い? 古くないよー。あ、そうだディレクターさん、この間は俺のポカの所為でハリセンを食らわせてしまい、すみませんでしたっ。お詫びに一日デートを‥‥え、結構? いえ、ですから決行を‥‥あ、今、引きました? 引きましたよね?!」
ずばしぃん!
開始早々、ぶっ飛ばし気味のHIKAGE(fa1340)は舞台袖の女性ディレクターにデートを申し込んでいる。しかし彼女は前回のディレクター(男)ではない事を勿論、承知の上だ。
当然、黙っていない豊浦 あやね(fa3371)。よい子が視聴している事も忘れ、外道な行為に走る彼に無言で制裁ハリセンを振るい、袈裟懸けに斬り捨てた。
「このように運命を懸けて、のるかそるかの勝負をすることを『乾坤一擲』というんや。因みにこの四文字熟語は、ウチのお姉ちゃんの為にあるような言葉やねんけどな。ま、『外道』ネタや行為は気づき次第、ビシバシと『袈裟懸け』に斬って捨てますよってー」
「叩いてから言うなんて‥‥酷すぎぃ」
やられたHIKAGEは抗議するが、豊浦の方は当然、聞く耳持たず。それどころか黙らせるためまたもハリセンを振りかぶった。
「はい、はい喧嘩はそれくらいに‥‥。さて、今回もやってきましたいろはに諺の時間、司会者の郭氏文令明です。そしていつものお姉さん‥‥。女性が美しさ艶やかさを競う様子を現した諺『妍を競う』と言いますが、これではまだ早いかもしれませんねぇ」
日常茶飯事の光景をあっさり止めた郭氏文 令明(fa0243)が、淡々と番組を進め出す。途中、小声でボソボソ話す彼の言葉に豊浦がピクンっと反応。
「なんや、郭氏文さんも一撃見舞われたいん?」
「いえいえ、私は結構です。いえ、別に『言を左右にする』のようにあれこれ理由をつけはっきりと言わず、曖昧な言い方をしてその場を誤魔化すわけではないのですが‥‥」
凄む豊浦に郭氏文はしどろもどろ。彼女は一睨み効かせると、冒頭の挨拶に入った。
「『賢者は長い耳と短い舌を持つ』言うて賢い人は他人の言う事をよぅ聞き、いらん事は言わへんものやねんけど。ま、これがないとネタが成立するのが難しいやろしね。ほな、今週も始まり始まりや♪ この番組も続けに続けて31回。まさに『継続は力なり』やね。TVの前の皆も、勉強、運動は兎に角続ける事は大事やで。続けるのは『蛍雪の功』言って、苦心しながら勉強する事の例えやねんけど。まぁここでは、楽しく勉強していこか。さあて、司会を務めるのはウチ、ユラお姉さん。ほな『景気良く』パーッと始めよかーって‥‥なんやねん。マイお姉さん?」
「あのねープロデューサーさんに聞いたんだけど、最近ケーキが美味しいだけに‥‥」
「景気が良いとか言うんかいな?」
豊浦の衣装を引っ張り、彼女から出た諺を使って挨拶ついでに、ダジャレてみる苺(fa3120)。後ろ手にショートケーキを持ち、ニッコリ笑顔で枕を話すが、先回りされあっさりネタを畳まれてしまった。
「が、がぅ!? そ、その通り‥‥景気も良いからだねってディレクターさんと話してたのを使おうと思ったのだ。せっかくのお題文字挨拶だったのにもうイイのだ。‥‥マロ君、ユラお姉さんにはあげないで、あっちで食べようなのだ。健康素材を使ったヘルシースイーツが自慢のお店で誕生日を迎えるユラお姉さんのために朝一で買ってきて、しかもお姉さんを象ったマジパンやチョコプレートまで付けて貰ったのにーっ、が、がぅ?!」
苺はふくれっ面になり、マロ君の手を取り連れ出そうとするが、握った手が何故か青い。驚いて手の先を見れば、マロ君と瓜双子の着ぐるみがお腹を上下に揺すって飛び跳ねていた。
「がぅ!? だ、誰なのだー」
「〜〜v」
「あ、これは失礼。私から紹介致しますね。彼はイロハ坂にお住まいの田村羽呂君。略称パロ君です」
郭氏文から紹介を受けたパロ君に入るグリモア(fa4713)は更に気合いを入れ、その場ケンケンで自己アピール。なかなか可愛いが、色々と突っ込み所満載の彼。郭氏文以外、閉口している出演者達にスタッフがカンペを揺らした。書かれていた内容は、倉庫に仕舞われていたパロ君が日の目を見たマロ君を恨み、メインマスコットの座を狙っているという設定らしい。
目を通して、いきり立ったのは本家の如鳳(fa2722)の入るマロ君だ。
挑まれた勝負は引けないとばかりに愛用の筆からケン玉に持ち替え、やろうとするがいかんせん着ぐるみで視界が悪く、モフモフの手が邪魔をして苦戦を強いられた。
グリモアのパロ君は、口元を手で押さえ、俯き加減でにやりと微笑み、着物の袷から和紙に書かれた『下克上』の封書を取りだすと、ババーンっと突きつけた。
なんとも古風でやや強引な宣戦布告である。
驚く如鳳のマロ君を前に、またも得意げに高く飛び上がった。が、着地に失敗。コントの如く床に転がる。勿論、そんな好機を見逃す如鳳のマロ君ではない。手に持ったフリップをパロ君の前でフリフリ。そこに書かれていたのは『桂馬の高上がり:身分や実力に相応しくない高い地位に上り、失敗を招くこと』。まさに今のグリモアのパロ君には痛恨の諺である。更に普段からの苦労を現す演技をするとフリップを裏返し『蛍雪の功:苦学した成果』だと、ウンウン頷く。
それを突きつけられ悔しがり、床を大袈裟な仕草で叩くグリモアのパロ君。追い打ちを掛ける如鳳のマロ君は、自分とパロ君の頭を指さし、指を三つ立て嗤う仕草。どうも毛が三本足りないんだと言いたいらしい。火花が散りあうパロ君とマロ君の間に素速く郭氏文が割って入る。
「喧嘩はいけません、喧嘩両成敗ですよ。意味は非がどちらにあるにせよ喧嘩をした双方が同じように処罰するべきだと言う事です。潔くユラお姉さんのハリセンを頂戴しなさい!」
「へ? それはちょっとー‥‥可愛いマロ君達にそれは無理やな」
「叩くも叩かないもケースバイケースっすね。パロ君やマロ君が可愛いのも芸のうち、『芸は身を助く』っす。おっと紹介が遅れたっす。険がなく、誰からも敬愛される真田・勇っすよー。けど最近、どーも恋人と倦怠期気味? 熱愛の夏が過ぎ、寒い冬で温もりを確かめ合う前に秋(飽き)が来た? うぅ、それは置いておいて‥‥。さて『芸は身を助く』とは、よく言ったもので。‥‥実は先日、事件に巻き込まれたっすよ。しかも相手は僕の事を知っていて‥‥ほら僕も芸能人ですから。いやぁ〜それで助かったっすよ。声優としてじゃなく芸人として‥‥。本当は違うっすけど。どうも最近、激しくハリセンの餌食になっているから間違われたっす。まぁこれも『怪我の功名』ってヤツっすよね」
最近彼の身の上に起こったちょっぴり切ない話を上手く使い真田・勇(fa1986)が現れた。
「そんなダジャレばかり言うてるからや。さっさと小話はええから、ネタをしなはれ真田さん!」
ばしっばし!
マスコット達に手を出せなかった豊浦だが、真田には手加減なし。ハリセンで次とせっつく。
「解りました。扱いが桁違いな気がしますが‥‥。いいっすよ別に‥‥。では先程のケースバイケースとは僕にも言える事で、ほんと最近、何かと芸人っぽい仕事が増えて声優業が薄れつつあるっす。まぁそれも良いんじゃないかと‥‥思うわけっすよ。その時その時で合わせようと‥‥そういうわけです。ですが、これだけは声を大にして言いたい僕は声優っす、間違っても芸人じゃないっす!」
なにやら番組の趣旨がすり替わってる。諺ではなくこれは青年の主張だ。
「こら、諺が出てへんしネタがちゃうわっ! 芸も毛の生えたものやねんな。一から修行しぃや!」
ずばしぃん!
ボケまくりに当然、豊浦に突っ込まれ、床に打ちのめされた。
「うぅ、諺っすか‥‥。なら、菩薩のように美しく見えても心の中は夜叉のように意地悪な人の例え『外面似菩薩内真如夜叉』。まさにユラお姉さんの為の諺っす!」
「言いたい事はそれだけやね? ほな、ここでけりをつけたるわ!」
すぱぁん!
豊浦がゴルフのスイングの要領でハリセンを振う。まともに真田を捕らえ彼は一瞬、宙へ飛ぶと数メーター向こうに音を立て床に落ちた。
「‥‥正に逆鱗に触れるっす」
力を奮いなんとかもう一つ紹介するとガクリと倒れた。
「真田さんの言う通り『外面似菩薩内心如夜叉』は、ユラお姉サンの為にある言葉ですねっ。‥‥いやいや決して貶してるワケじゃ無く‥‥え〜軽率な言動の無いよう警戒しながら頑張りマース。ネタは毎度お馴染みパペットコント。ケラッとツルッと」
倒れる真田を跨ぎ登場のHAKASE(fa2600)。余計な一言でジロリと豊浦に睨まれ慌ててお題をコントに切り替えた。
両手に被せたマペット『鶏群の一鶴』に因んだツルさんと『螻蛄才』のケラ君を器用に動かし胸前でパカッと開き、いつものポーズ。
「オイラは何をやっても中途半端で、上手くいかないのに飯だけは、『鯨飲馬食』でよく食べてお金にも困って泥棒になろうとしたんだケラ」
「そうそう、あの時は驚いたツル。『獣を逐う者は目に太山を見ず』のように利欲に血迷い良心を忘れて、道理を見失うのはいけないツルって止めたけど、聞いてくれなかったツル」
二つの人形を巧みに操り会話をさせるHAKASE。今回はケラ君の身の上話で進めていくらしい。
「けれどあの後、入った家で慣れない泥棒の真似をしても『螻蛄の水渡り』でしくじっちゃったんだケラ」
「うわぁ、大変だったツルねー。それでそれで?」
冷や汗を拭う仕草のケラ君に、聞き入るツルさん。
「うん、危うく見つかりそうになったケラ。けど『鶏鳴狗盗』。得意の鶏の鳴き声の真似で何とか誤魔化して脱出したケラよ。本当に『芸は身を助く』だったケラ」
「すごいねー、ならその芸を生かして『怪我の功名』。声真似芸人になるってどうツル?」
「その案、良いケラ! そうするケラよ」
最後きっちり諺で落とし、なおツルさんに助言させた。HAKASEは二つの人形に明るい未来が見えたという情景を表現すると、
「ケラッとツルッと! みんなは軽挙妄動に走って警察のお世話になるような事はしちゃダメだよー」
胸前でいつものポーズを取らせ、幕を閉じた。
「素敵なHAKASEさんの芸でした。一つ質問を、HAKASEさんもマペットで身を助けられていますか?」
「えぇ、色々な経験を積んで助けられておりますよ」
コント終了後のHAKASEに郭氏文が話を聞く。瓊枝栴檀のHAKASEの答え。そこへ元気よく再登場のHIKAGE。
「はいはーい! 俺も芸は身を助くがありますよー郭氏文さん。ふふふ‥‥ヒヨコの雌雄見分けの芸、技術がぁっ! さぁっ腕がうなるぜぇー。ヒヨコちゃんカモォーン!」
「前に滑ったネタやろっ!」
ぱしぃん!
勿論、ヒヨコは用意しているわけ無く、豊浦の突っ込みハリセンがHIKAGEの後頭部に炸裂。「おご?」と奇妙な声を上げ前のめりになった彼は、プッと作り物の歯を飛ばした。
「あっ‥‥ずっと気になってた乳歯が抜けたぁ。やったーありがとうお姉さん、ホント怪我の功名だねっ」
拾い上げ、笑顔ではしゃぐHIKAGE。しかし彼の年齢を考えれば、そんな不自然な事が安易にあるはずがない。豊浦の眼がキラーンと鋭く光った。
「そういう誤解を招くような情報はよい子のみんなが困惑するやろっ。怪しからん、成敗!」
ぶばしぃぃん!
強力な一撃に為す術もなく床に突っ伏したHIKAGEを映し、番組は最終前CMに入った。
●
「実はユラお姉さんのお誕生日が近いのだー。おめでとうなのだー。と言う事で、おいらからてんちん汁を贈呈するのだっ」
「それを言うなら、けんちん汁だと思いますが。はいこれをドウゾ」
番組最後、苺の話に出演者の拍手で迎えられる豊浦。照れながらHAKASEから月下美人の造花の花束を受け取る。
苺は鍋一杯に用意した料理を椀に注ぎ手渡した。
「もう一つ『け』のつく食べ物を入れて風味付けるのだ。あ、あれー、なんか汁が緑色になったのだ!? 気にせず飲むのだー」
振りかけたのはケールの粉。茶色の汁が一転、青緑の凄まじい色と化す。頬が引きつる豊浦と誰もが苦笑いを浮かべるなか、パロ君が絢爛豪華なケーキを媚びた仕草で渡す。
「お、おおきになぁHAKASEさん、マイお姉さん‥‥。ん、なんやパロ君、ケーキをくれるんか?」
嬉しげな声を上げる豊浦にケーキを手渡したパロ君。しかしやや斜めに俯くとお腹をブヨンブヨンと振り、食べ過ぎたら太るよとジェスチャー。
逆鱗に触れ豊浦のこめかみに、ピキィンと怒張筋が浮かび上がった。そこにHIKAGEが追い打ち。
「ふふ、ケーキを食べて健康にw 『健康は富にも勝る』ってゆー通りホント健康に年を重ねられて良かったねー。豪腕っぷりを発揮できるモノのね‥‥」
「二人とも‥‥覚悟宜しいやろね? 天誅ぅ!」
ぶばばぁぁん!
轟音を立てパロ君とHIKAGEに乙女の怒りの鉄槌が下された。呆気にとられる出演者達。それでもきっちりと締めるのは郭氏文だ。
「そう『健全なる精神は健全なる身体に宿る』。体が健全でなければ健やかな精神を保てません。皆さん、健康第一ですよ。ではまったねー」
手を振る彼に釣られ、倒れた二人以外の出演者達はカメラに向かって手を振った。