female Buccaneers5ヨーロッパ
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
11/08〜11/12
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●本文
『female Buccaneers 〜 海を彩る美しき女海賊たち 〜』
一艘の木造船が沖を滑るように進んでいく。その旅立ちを真っ青な空も海も祝福しているようだ。
風を孕み脹れる真っ白な帆。高々と立てられたマストに真っ赤なジョリー・ロジャー(海賊旗)がはためく。
そこに映し出された金色の飾り文字『female Buccaneers 〜海を彩る美しき女海賊たち〜』とこのドラマのタイトルが流れ消えた。
穏やかな波の上を風と共にロードストーンの放つ光が渡っている。ジョリールージュ号は光りを追い『紺碧の心臓』を目指し進んでいく。
ゆったりと波を滑る船の甲板は明るく熱い日差しを浴び、作業をする彼女達を容赦なく照らした。誰もが喉の渇きを覚え、水樽に入る真水を欲する。が、無人島でたんまり補給した水がもう殆ど無くなっていた。
「‥‥おや? 水が底ついてきたな」
船長が呟くとその後ろから、クールビューティーというべき女性が声を掛ける。
「それだけじゃない。火薬や武器も二回に渡る戦いで不足している。そろそろ陸に上がって補給した方がいいんじゃないか?」
「えぇ、そうしましょうよ。食料も色々と不味い事になりだしているわ。干豆やオートミールならともかく、パンや干肉に蛆が湧きだして‥‥、いくら食堂が暗がりだからって、そんなパンを囓る気になれない。彼女の言う通り一旦、港に寄りましょうよ」
料理を担当する乗組員も加勢に入った。船長はヤレヤレと芝居がかった仕草で戯け、地図を広げた。
「ここからだとマルティンクの港が近いな。よし、みんな! 宝を手にする冒険の前に、ひとつ腹ごしらえとストレス発散と行こうじゃないか!」
にんまり笑い答える船長に、誰もが手を上げ喜ぶ。航海士は待ってましたとばかりに地図を見た後、望遠鏡で辺りを見回し島の姿を探す。
「あそこに船が何隻も停泊している‥‥島はあっちの方ね。操舵手! 左の方へお願い」
航海士の言葉に操舵を握る女性が大きく頷き、舵を大きく回した。
島はそこまで見えている!
「おや? 道を外れたみたいですね。これは‥‥マルティンク島に寄るようです」
「ふぅん、どうやら補給のようだな。俺達もそうするか? なぁ船長! ‥‥え? 良いのか!」
ジョリールージュ号を追うプレイベーティア号。
甲板員が前の船の行き先を読み大声を張り上げると、丸太のように太い腕を腰に当てた砲手の一人がフンと息つく。
確かに度重なる戦闘と長旅で、疲れが出てきた彼ら。読みとった船長が髭をひと撫でし快く頷いた。こちらでも歓喜の声が挙がる。
操舵手は、ジョリールージュ号に気付かれないよう、だが取り急ぎ舵を回した。
一方、島の反対側に待機するのは、サンド・ドミグル総監率いる英国の軍艦が三・四隻。
「っふ‥‥私が来たからには、この島にいる海賊達を生かして海には出すものか。やつらに恩赦などいらない。全員、絞首刑台に送ってやる。おっとその前にやる事がひとつある‥‥。まぁその間、せいぜい楽しむんだな‥‥海賊よ」
鼠を弄ぶ猫のような狡猾で、ねっとりとした笑いを浮かべるサンド・ドミグ。だが、なまじその言葉は嘘ではない。彼の目の前にある島はその心一つで、どうにでも出来るのだから‥‥。
そんな事とは知らず束の間の安らぎを求めて、マルティンクの港に降り立つジョリールージュの面々。これから始まる最後の冒険前に、息抜きとストレスを発散だ!
■参加者を募集します。
ヨーロッパ発の海を渡る冒険活劇『female Buccaneers』に出てくださる出演者を募集してます。
女性海賊達が乗り込むジョリールージュはなるべく女性の船員が好ましいと考えており、またプライベーティアの方は王室から許可書を得た私掠船。こちらは男性の乗組員で構成をして頂きたいと考えております。
そして配役は二つの船の船長以外、まだきちんと決まっておりません。この二つの役が重ならない限り、皆様の演じたい役のご希望を頂ければ嬉しく、また添えるよう努力させて頂きます。ただしこのドラマに沿った役でお願いします。
ジョリー・ルージュの船長 腕っ節と機転の良く利く女船長。
プライベーティアの船長 明晰な頭脳と繊細な神経の持ち主だが、土壇場に強い男
操舵手
帆手
甲板長
砲手
調理長など船に関わる仕事など。
使用できる武器等。
ピストル:原始的なフリントロック式。殺傷能力は高いが一発撃ったら再装填しなければならない。また潮風で火薬が湿気り不発もしばしば。そのため何丁も肩帯から提げることがある。
マスケット銃:銃身の長いフリントロック式の銃。殴り合いの時でも使われる。
カトラス:海賊が用いた片刃の小剣。船など狭い場所で戦う時に威力を発揮した。
●リプレイ本文
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強い日差しが降り注ぐマルティンク島の港。幾多の船がきちんと整列し、次の出航を大人しく待っている。
メアリー・ショウ(マーシャ・イェリーツァ(fa3325))が舵を取るジョリー・ルージュ号も着岸すると、乗組員の誰もが歓声を上げ、降りる準備始める。
「この娘の舵を握っているのは楽しいけれど、あれだけ色々続くと流石に疲れましたわ。いい中休みってところね」
「そうじゃな、メアリー。中休みも欲しかった所じゃし、丁度、買い出しも必要じゃったから好都合じゃったよ。さて補給するモノは水、パンと豆‥‥乾し肉。それに消耗品だな。メアリーの着替えが済む前にこっちも準備するのじゃ!」
メアリーは大きく伸びをすると、ドレスを着替えに行った。その様子を見たリーザ(エキドナ(fa4716))は、たっぷりの布で作られた異国風の衣服を翻し、大柄な女性甲板員と共にメアリーの支度が終わる前に、補給する物を細かくメモをしていく。
「そろそろ降りる準備は出来た?」
「えぇ出来ましてよ。さぁ息抜き開始ですわ! あなたはここでお留守番よ。行って来るから、大人しくしてて頂戴ね」
「こっちも終了した。息抜きの前に先に買い出しを済ませるのじゃ」
サイリーン(豊浦 まつり(fa4123))が声を掛けると、メアリーはいつもより少し上等な臙脂のドレスを纏い現れた。リーザの方も作業が終わったようだ。
彼女達は甲板に集合し船を降りる。メアリーは愛着ある舵を軽く叩き暫しの別れを告げると、彼女を手招きするサイリーンの後を追い、港へ降りた。
「我々もここで休養を取る事に致しましょう。これより先は休める機会が、少なくなりそうです。ですから十分食べ飲んで、馴染みの御婦人との逢い引きを楽しんでください。ですがその前に、足りなくなっている食料や武器、弾薬の補給をお願いします。こちらも方も彼女達に向ける思い入れ同様に、念入りに行ってください。では‥‥クライド、あとを頼みましたよ」
「解った。さーて先ずは仕事だ仕事! 水の補給に食料の仕入れだ。早く酒にありついて羽伸ばしたいなら、とっとと済ませろ。なにぃ? 一杯だけだぁ? ほぅ、航海中食事抜きでも構わんならいいぜ」
ジョリー・ルージュからやや離れた場所に停泊するプライベーティア号。
ソワソワ気味の乗組員達を前に、穏やかな口調で語る船長のキャプテン・ホーキンス(AAA(fa1761))。珍しく冗談を交えながら手短に用件だけを告げると、そのまま港に降りていく。
引き継いだ調理長兼下っ端雑用全般の統括役のクライド(四條 キリエ(fa3797))は、颯爽と船と陸を繋ぐ簡易な橋を下る。が、その足が地面に付く直前、彼はつい、いつもの癖で足踏みをして探る仕草をしてしまった。久方ぶりの地面の感触は落ち着かないのだ。
背後でこっそりと見ていた水夫達が漏らす笑い声を聞き、グッと振り返り誤魔化す様に言葉を紡ぎ彼らを一喝。
プライベーティア号の面々も、彼女達と時間を違わず港に入ったのであった。
●
ここマルティンクの港町は船を扱う人間の楽園である。食べ物や酒に女。武器に弾薬、そしてあぶれた人材や情報がたんまりとある。彼らが欲っする大半の物が手に入るのだ。
港から少し先、細かく入り組む路地をサイリーンを先頭にしたジョリー・ルージュの面々が進む。なにげに彼女はこの辺りの路地に精通し、迷うことない。必要な物をすぐに買い揃える事が出来た。
喧騒溢れる道の角を曲がる度、また店に入る度に驚きや喜び、嫌悪といった七変化の表情を見せるメアリーを楽しげに眺めたサイリーンと力のある乗組員と共に荷物を持つリーザは、買い残した物がないか再度確認した後、
「さぁ、これを船に積んだら酒場で休憩じゃな。喉を潤そう」
「そうだね、ならオールアドミットに行こうか」
その一言にサイリーンはこの町で一番有名な酒場の名前を挙げた。
●
古い店構えだが活気ある酒場『オールアドミット』。名の通り、この店は海賊も軍人も犯罪者も分け隔てなく受け入れる、荒くれ者達の社交場だ。
切り盛りをする女店主のマリア(那由他(fa4832))も店名に負けないほど、彼らを隔てることをせず振る舞い、喧嘩や騒動が起きてもゆったりと構え、マイペースに壊された物を伝票に記していくという、なかなか肝の据わった処を見せてくれる。
とは言っても店内は一応戦闘禁止。
だが海を渡って来た荒くれ者が、大量の酒で麻痺させた頭でそんな言葉を聞くはずもない。喧嘩ぐらいここでは日常の風景だ。
それでも威勢がよく物応じしない度胸のある看板娘のソニア(アイリーン(fa1814))が止めに入るので、大事は起こらなくていた。酔った頭でも彼女の愛嬌とその愛らしさに誰もがコロリとやられ、大人しくなるのだ。
「いらっしゃーい。あら? 珍しいわね、女性の団体さんなんて。しかも美人揃いの」
「あら、久しぶりね。サイリーン。最近どうしてたの?」
短く切られた金色の髪を揺らし、人懐っこい笑顔で振り返ったソニアの目に、扉を開き空いた席に着くジョリー・ルージュの面々が映る。サイリーンとの久方ぶりの再開を喜ぶマリアは、何年も会っていなかったのが嘘の様に気さくに声を掛ける。ソニアはさっそく注文を取るべく彼女達に近付いた。
「オールアドミット‥‥ふぅん。なかなか素敵な雰囲気ね。折角陸に上がったんですもの、わたくしはワインを頂戴。えぇ上等なのをね。それにカビの付いていない新鮮なチーズ。グロッグと青色のチーズには飽き飽きですわ」
「私は茶か乳酒を」
「やぁマリア。元気そうでよかったよ。ん〜ジョッキをくれる? そうだ、メアリー。カードでもやらない?」
辺りを見回し雰囲気のある店を気にいったメアリーは、嬉しげにソニアに注文を入れる。続くリーザとサイリーン。
飲み物がすぐさま運ばれ、ワインに口を付けたメアリー。久しぶりの上手いワインに徐々にリラックスしてきた彼女に向かってサイリーンは一勝負を挑む。
「わたくしが賭け事に弱い事を知っていて言っているのかしら? サイリーン。けれど、挑まれたからには勝負するわ」
「へえ‥‥サイコロだけじゃなくポーカーもするの、サイリーンさん? 私も挑戦してみようかしら」
酒の勢いもあるのか、負けん気の強さを出してしまったメアリーにほくそ笑むサイリーンは素速くカードを取り出すとシャッフルし配り始めた。その様子をソニアが見ている。
そんな彼女達から少し離れたところで飲んでいたプライベーティア号の面々が傍に寄ってくる。彼らも買い出しを終え、この店で羽根を伸ばしに来ていた様だ
「よぅこれはこれはジョリー・ルージュの皆さん。ほぅカードかい? それも楽しそうだがもう一つ楽しんでみないか? そら随分良い飲みっぷりの姉さんもいることだし。どーだい? 勝った方が奢るってことで」
ジョッキを手にクライドが、勝負を申し出る。しかしメアリーは彼が近付いてきた所為かあからさまに顔を顰める。敵が来たからと言うわけではない。それは海上のルールであって陸に持ち込むのはナンセンス。彼女が顰めた理由はただ単に男性が苦手と言うだけだ。
「クライド、お嬢さんが困っておいでですよ。ご機嫌よう、皆さん。お変わり無いようで」
いつの間に来たのかホーキンスがクライドを窘めつつ、隣のテーブルに座るジョリー・ルージュの船長の隣に腰を下ろす。更に機嫌悪そうな表情を浮かべるメアリーだが、まったく気にしていないサイリーンはカードゲームを進める様促す。
「ふぅん、飲み比べか‥‥いいじゃない? あたしじゃ不満とは言わせないよ?」
「お、良いね。望むところだ!」
船長と一緒のテーブルから立ち上がり、クライドの申し出を受けたのはジョリー・ルージュ号の船員・シアだ。酒豪を自負する彼女は、クライドと共に隣の席に移り、一杯目のジョッキを重ね、飲み比べを開始。
双方、軽々と一杯目を飲み干してしまい、すぐに次のジョッキを運んでくるソニア。その様子を楽しげに眺めているマリアは幾つものジョッキを準備する。
「はいはい、次のジョッキよ! 海賊も海軍も飲んじゃえば、どっちも同じ酔っぱらいね。そう、海軍と言えば‥‥今朝、あのドミグ総監の軍艦を見たって噂があったわね」
ソニアは今朝方耳にした噂も乗せてジョッキを次から次へと運ぶ。まるで底なしの様な二人は勢いよく酒を喉に流し込んでいく。
ふと、ソニアの言葉を耳にしたホーキンスは一つ思案し綺麗に整えられた髭を一撫でしつつ、差し障りのない世間話を隣で酒を飲むジョリー・ルージュの船長と交わしている。
「ほう、本当に良い飲みっぷりだねぇ。姉さん」
「あたしはシアって言う名前がある。あんたもこのあたしと対を張るとは‥‥」
「俺ぁ、クライドって名があるぜ、シア」
この店の酒樽を空にしてしまうのではないかと周囲が呆れるほど、酒をよく飲む二人。互いの飲みっぷりを笑顔で讃え合う。
その隣で、メアリーの白熱した声が響いた。
「コール‥‥いえ、レイズですわ! ‥‥そんな、またですの? 勝ち逃げなんて許しませんわっ! もうひと勝負なさいサイリーン!」
「え、もう一勝負? どっちにしても勝敗は解ってる事だからね。そういう向きになるところを直さないと、カモられるわよ、メアリー」
どうも勝負はサイリーンに分が上がっている様だ。負けず嫌いのメアリーは賭け事に弱い癖にかなり向きになっている。これではサイリーンに良いカモだと言われても仕方がない。それでも収まらないメアリーはカードを切る様に促した。
「先程、ここのお嬢さんが話題にしていた海軍のサンド・ドミグ総監のことですが、あの方が、傍にいるというのは気を付けた方が良いですね‥‥。大の海賊嫌い。見つけ次第、裁判に掛けず処断する事もしばしば‥‥。尤も何か狙いがあってここに来てらっしゃるのでしょう、おっと陸で話す事ではありませんね‥‥し、しつr‥‥‥ぁっ! こ‥‥これは本当に失礼いたしました」
船長に耳打ちする様に話すホーキンス。彼もサンドのやり方を気に入っているわけではなく、それに目的が彼女達であれば、ホーキンスにとってはこれは許される事ではない。
話を終え酒を口元に運ぼうするもホーキンスに突然の眩暈が襲う。くらりと体が揺れ、手に持ったグラスを取り落とし中の酒をテーブルの上に撒く。慌てた部下達が彼の傍に駆け寄った。
しかしすぐに顔を上げ、心配げに覗きこむ船長にすかさず酒を撒いた詫びを入れた。だが、あげた顔はその顔色は病に蝕まれたかのように青白く、尋常ではない。
「し、失礼‥‥。楽しさのあまり少々飲み過ぎてしまった様です‥‥、では私はこれで‥‥ご機嫌よう‥‥。そろそろ行きましょうクライド」
ホーキンスは気に掛ける船長や、自分の部下達をはぐらかしつつ、なんとか立ち上がり店を後にした。呼ばれたクライドはジョッキを置くと、
「おっと船長がお呼びだ。シア、この勝負ドローだな」
「あぁ」
勝負が着かなかった事は悔しいが、クライドは嬉しげにシアに向かって親指を立てホーキンスの後を追った。
「そろそろ私達もお開きじゃな‥‥」
カウンターでマリアに美味い茶を勧められ飲んでいたリーザがポツリと言った。
●
「ね、姉さん‥‥」
「ん、何とか生きてるね‥‥それにしても‥‥あんたがここで看板娘とはねー、驚いたよ」
ジョリー・ルージュの面々も店から引き上げ残ったのは店主のマリアとソニア、そしてサイリーンだ。ソニアに呼び止められ、振り返ったサイリーンは笑顔で妹を見る。
噂でジョリー・ルージュ号に乗ったと聞いた時から、ソニアは姉の枷にならない様に黙って他人のフリをする事を決意した。またサイリーンも同じ気持ちで過ごしてきた。互いを干渉をしない間柄となっても二人には姉妹という強い絆がある。
「また危ない博打に手を出してるんだろうけど‥‥気をつけてね、姉さん。そ、そうだ。ねぇ私歌を覚えたんだ。聞いてくれる?」
ソニアは最近覚えた歌を歌い始める。マリアは静かに帳面を付けながら彼女達のやり取りとその歌を聴いた。それは酒場で昔からよく歌われる歌。幼い彼女達はよくここで耳にした旋律だ。歌詞は海を愛し風を友とする船乗りに、幸運の女神より幸あれと祈る‥‥。サイリーンによく合う。
「上手いもんじゃない。ま、歌の通り、風と賽の目の流れがこっちに向けばまた会う事もあるでしょうし‥‥それまでまた‥‥かな?」
「どうしたの、サイリーン? 船が‥‥わたくし達の家が待っていますわよ」
メアリーの呼ぶ声に反応したサイリーンは、もう一度妹に向かってニカッと笑うと振り返り、ジョリー・ルージュの面々が待つ扉を押した。
●
恒例の二日酔いで不機嫌極まりないクライドは厨房篭城。
「大声を出すなっ」
騒いでいる部下達にいきなりナイフを投げつけた。しかし彼らにも言い分はある。
「だってホーキンス船長が、一度サンド総監に会いに行くって話してるんですぜ」
「なに、それは本当か? ‥‥ってうわぁ! あたた‥‥」
「本当ですよ、クライド。少し船を離れますので、副艦長について皆に指示を宜しくお願いしますね」
驚くクライド。更に彼を驚かせたのはどにからともなく現れたホーキンスの存在だ。ホーキンスは頭を抱えるクライドに一つ指示を出すといつもと変わりない様子でボートに乗り込み船を後にした。