いろはに諺 ふの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/12〜11/14

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「ふ」の文字を頭に使い(濁点、半濁点可)面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 ふ
「冬来たりなば春遠からじ」
意味:寒くて辛い冬が来れば、春が来るのも遠くはないという事から、今は辛いとしても、いつか幸せな時がやってくるという事。

「覆水、盆に返らず」
意味:盆から零れてしまった水は元に戻せない出来ない事から、一度やってしまった事は取り返せないという事。

「笛吹けども踊らず」
意味:いくら懸命に誘ってもその相手が応じない事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4286 ウィルフレッド(8歳・♂・鴉)

●リプレイ本文


 彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると、画面は切り替わる。
 映し出されたのは白タイツも着用せず、褌一丁の真田・勇(fa1986)がプリンの皿を手にこれ見よがしに仁王立ちしている姿。
「褌の『ふ』っす! ふっふっふ‥‥遂に来たっす! ふの巻。学生時代に褌王子と呼ばれていた僕としてはこれしかないっすよー。もちろん褌は自前の品を使用っす! ‥‥あとh‥‥うぎゃ」
「ぷぷっおいしーのだ。あ、それは真田さんの褌姿じゃなくプリンがなのだっ! そういうわけでユラお姉さんが好物のプリンの『ぷ』!」
 妙な調子で説明していく真田の背後に忍び寄った苺(fa3120)が、大口を開け彼の手ごとプリンに食いつく。勿論、あられもない姿の彼も目に入っているが、ここは敢えてスルーの方向。突っ込まれる代わりに喰われた真田は悲鳴を上げる。
「ぷんぷん☆ 勇君、今日は俺とプリティーなウーマン変身勝負しよう!」
 体にフィットするミニスカに化粧まで施したHIKAGE(fa1340)が、前に出てきたかと思うと扇子をフリフリ、いきなり勝負を挑む。ここでも褌にネタはあっさりと流され、真田は悔しさのあまりがっくりと膝を着き、
「っく、二人ともスルーっすか。けど、めげないでアピールっす! 褌はいいっすよ〜、みんなも褌を着けようぜ! ああ、ちなみに最近はクラシックパンツと呼ぶけど邪道っすよ。邪道! ‥‥ふほーぅ」
「二月月ぶり! TVの前のみんなもお兄さん&お姉さんも元気だったか? そしてマロ君、会いたかったぞ〜v ふわふわもこもこの『ふ』だな」
 めげない真田は褌について熱く語っているところにティタネス(fa3251)が、再会の喜びと目の前にいる可愛いマロ君に会えた事を祝して、剥き出しの真田の背中に加減ナシの張り手をお見舞いした。炸裂音と共に奇声が聞こえ、床で真田は四つんばいで悶える。
 ティタネスの張り手の威力は半端ではなかったらしい。その証拠に真田の背中にジワジワと見事な紅葉が浮かび上がる。だが作った方のティタネスの視線は見事な紅葉よりも可愛いマスコットのマロ君の方へ移っていた。
 彼女は障害物と化した真田を跨ぐと、マロ君に抱きつきモフモフを堪能。ここでも興奮のあまり加減を誤り見事なサバ折りをマロ君に喰らわせる。骨の軋む音に慌てた豊浦 あやね(fa3371)が、ここでナンバハリセンを振り翳した。
「みんなよく見といてな『風林火山』の実践やで! ‥‥疾如風で真田さんの手まで食いついたマイお姉さんのボケに突っ込み!」
 ずばしぃん!
「うがっ! ふ、不意打ちなのだっ。う〜舌を噛んだのだぁ」
 残りのプリンを食べていたところを叩かれた苺が半ベソで訴えた。しかし軽く流して豊浦は更に続ける。
「徐如林は真田さんのボケもたまには聞き流す事も必要や。その姿もやけど‥‥」
 ようやく気付いて貰え真田は嬉しそうであるが、鋭い眼光で見据えられおたつく。豊浦は素速く次に移った。
「ひかげんとティタネスさんは侵掠如火や! 恐い女装&マロ君への攻撃は罪やねん」
 べししぃん!
 勢いよく彼らにハリセンを振り下ろす。故意ではなく事故である部分も考慮され、ティタネスにはやや甘めだ。
「さて最後、不動如山‥‥司会者たる者、どーんと構えてへんとね。褌一丁で怯む様では勤まらしません」
「くっ『笛吹けども踊らず』っす‥‥。このように懸命に誘っても相手が応じない事っす。うぅ駄目っすか〜褌姿‥‥。折角のだし、そうだ視聴者さんにこれをプレゼント企画すr‥‥」
「勝手に企画すなぁ!」
 ぶばしぃん!
 司会者としての構えの一つ、生温い目で真田を温かく見守る事にすると見事『風林火山』の実践完了。
 だが、それを良い事に真田がぶっ飛びの一言。これには豊浦も当然の如く鋭い一撃を炸裂させた。
「うう‥‥褌の明日は‥‥どっちだ」
 ガックリ崩れた真田を撤収するべく、引きずっていくマロ君。見送った豊浦がフッと一つ呼吸を整え、
「とまぁいつもの様に『風林火山』の心構えで速やかに突っ込みや。さー気を取り直して‥‥。今週も始まりやで! ほな諺を一つ『古川に水絶えず』言うて、意味は古くからある河は涸れて見えても、実は地下に脈々たる水脈があり涸れていない事から、基盤がしっかりしていれば簡単に滅びない。それは常日頃から勉強し、基本を押さえていれば行き詰る事はあらへんという事やろか。ともあれ『風雲の志』を胸に秘めつつ『不撓不屈』の精神でいきましょ。ほな、司会はお馴染みウチことユラお姉さんや。面白さ大奮発でフィーバーして行こかー♪」
「そうですね。始まりから大事変が今にも起こりそうな差し迫った情勢の例え『風雲急を告げる』のようですね。あぁ紹介が遅れました、司会者の郭氏文令明です。しっかり者でお強いお姉さん達に焦がれ、『刎頚の交わり』と極めて親しく、堅い交わりを結びたいと常日頃思うのですが、私を含め最近の男性は『文はやりたし、書く手は持たず』で恋文を送りたいが文字を知らず書けないし、代筆を頼むのは恥ずかしいっと、引っ込み思案の方が多いようです。尤も私は字は書けますが。どうです? 代筆なら私が承りますよ。えぇ男が一旦、約束したら守ります、『武士に二言』はありませんよ。さぁ‥‥番組開始です」
 元気よく挨拶をする豊浦に続き、郭氏文 令明(fa0243)が淡々と葉を紡ぎ始まりを促した。


「プロデューサー業の『ぷ』じゃのうて『ふ』じゃ。さぁ文字ぃ達よ、やってしまうのじゃ」
「最近、文字を作ってないですねーという、鋭い突っ込みが入ったお便りが届いたのだ。そゆわけでお手本なのだ!」
「元々、この番組の基本の一つだからな。『故きを温ねて新しきを知る』。やっぱり大事にしないとだ」
 少佐の白い衣装を着込んだ鬼王丸・征國(fa0750)が参上。文字作りセットを手の持ったステッキでビシィと指し文字ぃ君達を嗾ける。
 それを合図に袖に『風雲児』と書かれた腕章を付けた白ツナギ姿の苺が、愛用のマイクを首から提げて文字作りセットによじ登り始め、続いてティタネス。そしてマロ君の筆を強奪したウィルフレッド(fa4286)もイソイソと参加していく。
 セットの上の方で『ふ』を作ろうとする苺が三画目の位置に行くも、一人じゃ作れないと判断し、急遽ティタネスを呼んで彼女の頭上で横になる。すかさずその足からティタネスが体を右から左に伸ばし『フ』の文字を完成させた。
 その一方。彼女達の下でウィルフレッドがマロ君から奪った筆を頭上の鉄棒に固定し、両足の靴を脱ぎ自分の体の横に引っ掛け、上手い具合に一人で『ふ』の文字を作った。
 出来たのを見届けた鬼王丸が説明に入る。
「文字の出来上がりじゃのぅ。『不倶戴天』の『ふ』意味は共に天を抱かず。要は宿敵の事じゃ。と言えば先日、格闘イベントのじゃね‥‥」
「鬼王丸さんも文字ぃ君に参加しなはれ! 説明だけとは人の褌で相撲を取る真似をしたら、あかんやろ!」
 ずばしぃん!
 文字ぃ君に参加せず、長々と説明に入る鬼王丸に何事に対しても真面目に取り組む豊浦の一撃。炸裂音が響いた時、褌からタイツに替えた真田が諭すため現れた。
「お姉さん『分別過ぐれば愚に返る』っす。考え過ぎると却ってつまらない方に行くので考えてないでおくっす。『船は帆任せ帆は風任せ』っすよ」
 そう言いうが早いかだらけだす。あまりの無責任発言に豊浦は、
「考えないのはタダの愚か者やねん!」
 ばしぃん!
 痛烈な言葉と一緒に真田を一掃。モロにカウンターが入った彼は、
「ぐぷぅ僕の命が『風前の灯火っす』。ここで辞世の句を‥‥我が人生一片の悔いな‥‥いや、まだ見てないDVDがあるから‥‥我が人生ちょっと悔いありっす‥‥」
「ふっそんな真田さんに合う言葉をもう一つ、『俯仰天地に愧じず』。孟子の言葉で、自分の心や行動に少しも恥じるところがない境地を意味するのさ」
 真田は意外に余裕な一言を吐き崩れると、そこでライトが落ち一筋のスポットが当てられだす。光に浮ぶのは肉襦袢を着込み、片腕をライトに向けたまま硬直したウィルフレッド。少々偉ぶった口調は恥ずかしさを隠す為の方便だ。彼も真田と同じように慣用句を実施し羞恥を我慢している。
「それと『布施無い経には袈裟を落とす』とは、僧侶が布施を貰えない時は袈裟を着けず或いは安物の袈裟で出掛けるという言葉が転じ、報酬により労力を出し惜しみする事の喩え。けど俺は手を抜かないよ。我が人生に一片の悔いなし! まぁ何にしても理解できなければ『豚に念仏猫に経』。有り難い教えを説いても無駄って事。なんの効果もないことだな」
 やや早口で紡ぐ。だがそこには聞き捨てならないモノも含まれ、それは豊浦のセンサーに反応した。
「こらぁ『風雲の志』はええけど、『節が立つ』ような相手の感情を刺激する言動は吐いたらあかん! 成敗」
 ぶばしん!
 やや小生意気な言動にがっちり突っ込み。豊浦のハリセンで伸されたウィルフレッドが、マロ君により速やかに運ばれだし、ここでCMへ入った。


 CM明け。映し出されたのは鬼王丸の悪の少佐姿から黒豚に変装を遂げた姿。
「ほぉれ、お姉さん達よ、この可愛い白子豚の着ぐるみを着て、ワシと共に解説するのじゃ。きっと似合うぞ! 『豚も煽てりゃ木に登る』じゃ!」
「鬼王丸さん、なんや自分勝手な解釈で事実を曲げてんでそれは『舞文曲筆』や。意味を思いっきり間違えてんな。それは褒め言葉ちゃうわ」
 着ぐるみを彼女達に渡そうとするも乙女には抵抗があり、さらっと断られてしまう。ついでにお叱りの言葉も受けてしまい、鬼王丸は仕方なく一人、黒豚の姿で豚についての説明を開始。
「最近のグルメブームは豚にも及んでおるようじゃ。九州の黒豚に無菌で育てる無菌豚。伊豆の地元名産のご当地豚もブームのようじゃ。それにストレス無しで育て旨さを保たせるふく豚というものもあるらしい。同じように生育したダチョウも同じように美味くなるようじゃ。〜って、マイお姉さん、なんじゃの?」
 一人納得しながら淡々と長い説明を入れていく豚姿の鬼王丸を苺とマロ君が巨大フライパンを手にとっ捕まえ巨大フライパンへ押し込め蓋をする。
「マイお姉さんのお手軽クッキングのお時間なのだ! 材料はここで手に入った黒豚さん。手順は簡単、温めたフライパンの中に豚さんを入れるだけ。ホコホコに焼き上がるのを待つのだっ」
「ちょ?! 何じゃー? あちち、や、ヤメレ」
「はいはい、黒豚さ‥‥ん、ではなく鬼王丸さん。お話が長くなりそうなので料理されていて下さいね。ではVTRに行きましょう、HIKAGEさんです」
 いつも通りポーカーフェイスの郭氏文によって淡々と次のHIKAGEへと流され、用意されていたVTRが流れ出す。
 それはどこかのスネークランド。意気揚々とリコーダを持ったHIKAGEが、
「やぁ、みんな『笛吹けども踊らず』って言う諺があるけれど、笛の音色で踊る動物もいるんだよ! さて何かな!? ‥‥そう蛇だね。じゃぁ踊らせて見よう」
 実は蛇嫌いのHIKAGE。だがカメラが回っている事もあり余裕な素振りで蛇の前へ立ち指先で穴を押さえ、なぜか童謡のゾウさんを演奏し始める。
 勿論、蛇が踊るわけがない。それどころかシャーッと威嚇の声を上げ襲いかかる。驚いたHIKAGEの笛がわれ鐘のような音を立てベソかき状態で逃げ出すと、スタッフの笑い声が木霊した。
「‥‥と言うわけで、俺はリベンジを要求しますー!」
 映像はスタジオに戻され、怒りに震えるHIKAGEはリコーダを手に雪辱戦を開始。VTRと同じ童謡を演奏始めると蛇の代わりにティタネスが踊り出す。クルクルと色々なダンスを取り入れ楽しそうだ。
「この文字は踊りと縁があるな。フラダンス、フラメンコにブレイクダンス! というわけで、みんな踊ってみよう」
「へ、蛇の代わりに‥‥ティタネスさんですか?!」
「えぇやん、文句もあらへんやろがっヒカゲン!」
 ずばしぃん!
 驚くHIKAGEに豊浦の突っ込み。叩かれた彼はぴぃぃっと笛を響かせ、
「うぅ、突っ込みばかりの寒い冬だけど、俺にもいつか春が‥‥来るはず? けど冬が長過ぎじゃない?」
 ポツリと呟き床に突っ伏した。
「ところであたし以外、誰もやってくれてないじゃないか。まさに『笛吹けど踊らず』だな。なら、これならみんなで大丈夫だよね」
 一人踊っている空しさに気付いたティタネスの言葉を合図に定番のフォークダンスの音楽が流れる。
 戸惑う出演者達だが誘われ輪になり始めた。HIKAGEはむっくりと起きあがり真田の手を取り、
「二人なら‥‥できると思うの☆」
 意味不明な言葉を投げかけダンスを開始。苺も豊浦の手を取りお辞儀を一つ。こんがりローストされた黒豚の鬼王丸はウィルフレッドの手を取り、礼儀正しくティタネスの手を取り踊る郭氏文。彼らの周りでマロ君が足を踏み音頭を取っている。
「あはは、HIKAGEさんは次から相手が女性に変って『冬来たりなば春遠からじ』だけど、勇さんはいつまでも男のままだね。まさしく『踏んだり蹴ったり』だ」
「そうですね。皆さんも真田さんと同じようにどんな困難に出合っても怯まず挫けない『不撓不屈』の精神で頑張りましょう!」
 ステップを踏みながらティタネスの一言に合わせ、締めの挨拶をする郭氏文。出演者達もダンスをしながら、空けた手でカメラに向かって手を振った。
「まったねー」
 カメラが徐々に遠ざかるも賑やかな音楽はなかなか止まなかった。