ご当地HERO★北海道編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 3Lv以上
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 5.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/14〜11/16

●本文

「あぁ〜、なんかこぅ面白い旅番組とか出来ないものかねぇ〜」
 唇に鉛筆を挟みながら器用に話すは、新人ディレクター。まだ三十前の若い彼がそんなに早く、この地位を手に入れたかは簡単。彼の持つ独自のセンスとカンが生かされた企画が、連続でアタリを収めたからである。
 今回も局の上層部から任された旅番組というか地域情報番組のネタを考えている真っ最中。
「そうですねぇ。最近は高級旅館で贅の限りを尽くして、マンネリな観光名所巡りばかりですしね。なんか面白味に欠けますよね」
 悪口とも取られ兼ねないが、なかなか的を射たコメントを出すスタッフ。ディレクターも頷きながら、
「そうなんだよね〜。ありきたりじゃなくてさーこぅ若い子やお年寄りまで楽しめるエンターな旅番組というかお国自慢っていうかぁー。ん? ねぇ携帯に付いている、それ何?」
「あ、これですか? これは地方の名物を捩って作られたキャラですよ。彼らは悪と戦うわけでもないんですけどね。どこかユルい感じが面白いんですよ」
「‥‥あ! そ、それ‥‥それだ!!」
 スタッフの携帯に付いたストラップに興味を引かれたディレクター。彼の話を聞いて、何か閃いたのかガバッと立ち上がり、すぐさまPCに向かって企画書を作り始めた。

 数十分後‥‥。
「出来たー! ねぇ、どうどう? これ」
「はい、えっと‥‥ご当地HERO★ が紹介するその土地の楽しみ方? ‥‥面白そうだけど、難しくないですか?」
 プリントアウトした原稿をスタッフに手渡す若手ディレクター。その顔は充実感と新企画に対する高潮で溢れている。
 読んだスタッフは、やや首を傾げた。良く言えば斬新すぎるアイディア。成功するのか甚だ疑問である。
「色々な県を北から順に巡っていく企画だ。その土地ならではな面白ヒーローや悪役に名産や名所を案内して貰うんだ」
「北からって‥‥すると今回は北海道から出発ですか? 確かに紅葉も残っているところもあるだろうし、良いかも知れませんね」
 困惑顔のスタッフに企画を砕いて説明し出すディレクター。今回の行き先は北海道。それを聞いたスタッフはそっこう企画に賛同を示した。しかしそこには美味いモノが食べられるという、邪念が含まれていたのは内緒である。


■出演者を募集いたします。
 若手ディレクターの企画した『ご当地HERO★』に出演して下さる方を募集致します。
 会議室でディレクターとスタッフが話していた通り、この番組は地域密着エンター風旅番組です。
 司会者達が巡る地域を紹介して下さる、ヒーローとその悪役を募集致します。
 あ、面白そう! や、この土地は任せろ! っと思った方、また撮影スタッフと同行して下さるカメラマンさんや大道具さん、メイクさんも一緒に募集しております。
 どうぞ奮ってご参加下さい。
 皆様の手で楽しい旅やご当地の紹介をTVを観ている視聴者に、ビシバシ伝えてください。
 では若手ディレクターと共にご参加をお待ち申し上げます。

■注意点と決めて頂きたいこと
・『ご当地HERO』とは地域密着型英雄で、主な仕事は、彼らがこよなく愛するその地域に出没する悪者との戦う事。また観光地のアピールや特産物の紹介など様々な仕事を請け負っています。
 名前や容姿、着ているもの、その他に方言や設定、人数など細かな点を皆様でお考えください。また同じように悪役が出る場合もご一緒に宜しくお願いします。
【例:埼玉HERO★ カスカビーレッド、イワッキグリーン。悪役 ソウカ堅ヤッキー】など
 なお、皆様の考えられた面白いキャラクターを生かしたいと思っておりますので、実在するキャラクターの使用は禁止させて頂きます。
・この番組は特撮ではなく、また彼らが戦うばかりを要求していません。仲良く名産品や名所を案内して頂いてもけっこうです。その場合、近場でしたら行けますが、遠距離はVTR編集となります。
・最初に映し出されるのは決まって道の駅。ここから地域をご紹介ください。
・必ず指定された地域のアピールをお願いします。他県を紹介されても反映することが出来ません。ご了承ください。
・皆様できちんと打合せ、喧嘩の無いよう楽しんでお決めください。(これが一番大事)

●今回の参加者

 fa0155 美角あすか(20歳・♀・牛)
 fa0761 夏姫・シュトラウス(16歳・♀・虎)
 fa0791 美角やよい(20歳・♀・牛)
 fa0928 舞腹 旨井蔵(33歳・♂・豚)
 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa4360 日向翔悟(20歳・♂・狼)
 fa5082 鷹飼・源八朗(19歳・♂・鷹)

●リプレイ本文


 ここは日本の北端の地、北海道。これから始まるご当地紹介番組の出発地点である。
 まず最初の現場は、道の駅『ニセコビュープラザ』の広い駐車場。三時間という制約で、一部場所を借り取り急ぎ撮影が開始された。道央のこの辺りを紹介するのは、銀生地に白いビーズで刺繍の施されたロングチャイナに同色のマント、銀の錫杖を手にした雪祭りシルバーこと竜華(fa1294)だ。11月に入り雪が積もり始めたニセコで彼女のような薄着は、かなりこたえるハズだが厚い生地で作られた衣装に使い捨てカイロが見えないよう張り巡らされ、それなりに防寒対策はとられている。だが、それだけで足るわけがなく露出された素肌は寒風に晒され竜華はひとつ気合いを入れ乗り切る事を決意。キューの合図と共に錫杖を振り、ご当地紹介を開始した。
「‥‥この姿では悪の女幹部に見えなくも無いけど‥‥ご当地ヒーロー雪祭りシルバーよ。さて私が紹介するのは北海道を代表するイベント・雪祭り。初めて開かれたのは1950年、当初6基だけだったけれど、五年後に自衛隊が参加し始め、徐々に盛り上がっていったわ。明るいイベントである雪祭りも当初は暗い世相が‥‥って、あ! 冬を知らせる雪虫。その正体は実は害虫‥‥アブラムシ? 悪の手下『雪虫ッカー』め!」
「ユッキーぃ」
 北海道に生息する昆虫を模した衣装のスタッフ達が竜華に襲いかかる。錫杖と雪祭りの画の入った数枚のフリップを手に軽いフットワークで次から次に倒して、雪祭りの解説をしていく。
「‥‥を吹き飛ばす為のレクリエーションで、またその成長も途中オイルショックにも阻まれた事もあるの。まぁお越しになる際の注意事項は、足下が凍っているから滑り止めのスパイク靴が必要ね。それに室内やお店、デパート内は温かいから厚手の上着で中は薄着。すぐに脱げて体温調節が楽なものが良いわよ‥‥ってきゃぁ?!」
「あ、雪祭りシルバーあぶなーい‥‥! 北海道の冬と言えばスキーにスノーボード。ウインタースポーツで体を動かせば寒さなんて吹き飛ぶぜ☆ けどさっむー」
 隙をつかれ襲われそうになる竜華に青いスノーボードウェアに同色のマスクを被ったブルーニセコに扮するブリッツ・アスカ(fa2321)が救助。極度の寒がりであるブリッツは体を動かせば温かくなるだろうと目論みスポーツ紹介を担当したのだ。
 彼女は派手なアクションを散りばめながらスノボーで氷の粒を弾き、雪虫ッカーを怯ませた。
「2月の雪祭りも良いけれど、その前にゲレンデで遊ぼう! ゲレンデは来月12月から本格的にオープンするので、みんな、このフリップを要チェックだ!」
 ブリッツはやられた雪虫ッカーに渡された大きなフリップをカメラに翳す。そこにはニセコ近隣のスキー場の積雪情報やイベント日程が書かれていた。
「すでにオープンしているキロロスノーワールドはコンディションも良く初滑りには良い感じだよ。来てね」
「わはーはは! ボンジュルーノ。ヒーローには敵がいないとだ。我が輩は敵役のジャンクフード伯爵。よくも手下の雪虫ッカーを倒してくれたなぁ。このお礼はきっちりするぞ! 俺に付いてこーい」
 にこやかに紹介するブリッツに突如、われ鐘を叩く様な笑いが響く。声のする方向を見てみれば、バーガー風の帽子にフライドポテトに似せたモールを肩に乗せた、なんとも派手な出で立ちの悪役を名乗る舞腹 旨井蔵(fa0928)がフリースペース棟の前で購入したらしいソフトクリームを食している。彼が笑う度に大きな腹が揺れ、黒いタキシードのボタンが千切れそうだ。
「ま、悪役なんて‥‥」
 竜華がチャイナドレスを翻し彼に立ち向かおうとするが、舞腹はいち早くバーガーの包み紙に似せたマントを返し、用意されていた白いバンに乗り込んだ。
「他の道の駅で会おう、雪祭りシルバーにブルーニセコ。わはははー‥‥」
 言うが早いか舞腹は去っていった。


 ニセコから約500km離れたここは、北方領土に近い知床『らうす』の道の駅。言うまでもなく別撮りされたものである。そこに立っているのはクールなヒーロー、ウルフグレイを演じる日向翔悟(fa4360)だ。彼の役どころは自然をこよなく愛し守る絶滅したエゾオオカミの化身。着ぐるみとは思えないほどリアルな毛並みが冷たい風に靡く。
 実は彼が獣化した姿にメイクで手を加えただけなのだが、あくまでも視聴者には秘密。見ている方は手の込んだヒーローだと思いこんでいる。
「知床半島担当のご当地ヒーロー、ウルフグレイだ。エゾを人の好きにはさせんぞ! ここは貴重な原生植物や動物の宝庫‥‥この画を見て自然を学ぶのだ」
 低く唸る声と共にVTRが始まる。そこは日本の最北端最後の秘境。夏の萌える緑から荘厳な雪景色への移り変わりが織りなす自然の中で鮭を捕獲するヒグマに木の枝に止まるシマフクロウの画。雪化粧をした地の上を優雅に飛ぶオジロワシが惜しげもなく映し出され、それらを強くそして優しげな眼差しでウルフグレイが見守る。
 静かな音楽と共にVTRが終わり、再びらうすに戻るとわれ鐘のような声がまたも響く。
「わーはははっ! ご飯を食べるとゴミがいっぱーいでるんだ。ほぉら、ぽぽーいっ」
「あ、こら! 自然を破壊する行為は許さんっ」
 あのジャンクフード伯爵こと舞腹。手にしていた海鮮の焼き物を食べ終えると。串をぽーいっと投げる。それを見たウルフグレイ扮する日向は怒り駆られ鼻に皺を寄せ唸り声を上げた。しかしここで怯んでは悪役は務まらない。
 舞腹は大きく膨れあがった腹を一つ叩き、先程同様に白いバンに逃げ込むと窓を開け、
「悔しかったら追ってこい、ウルフグレイ! 別の道の駅で会おう。わはははー」
 これまた捨て台詞を吐いて去っていった。


 観光客や子供を連れた地元のお母さん達で賑わいをみせるここは、函館に近い道の駅『YOU・遊・もり』。
 少し先に行けば美角あすか(fa0155)演じる函館ミルクホワイトと大沼ビーフブラック役の美角やよい(fa0791)姉妹の故郷がある。
 仲の良い姉妹なのだろう、形が良く似た胸元のやや開いたジャケットにタイトなミニスカートの色違いを着用し、愛らしい丸いお尻から長い尾が嬉しげに揺れていた。
「ん〜久しぶりだなあ、気持ちいいね〜‥‥北海道はでっかいどー!」
「ちょ、ちょっと姉貴、止めてよ!」
 美しい峯が一望できる展望台ラウンジでお茶をしてい二人。突如、やよいが立ち上がると雄叫びを上げる。慌てたあすかは口を塞ぎ止めた。そんな彼女達の前に現れたのは、らうすから車で8時間程、揺られてフラフラ気味のジャンクフード伯爵こと舞腹だ。
「誰、あなたは?!」
「我が輩はジャンクフード伯爵! 名物など不要、日本中を同じ味覚に同じ生活、同じ文化で染め上げるのが目的だ。ほほーう、ここのヒーローは牛の姉妹か。牛と言えばハンバーガー‥‥よし! 我が輩の部下にしてやろう、ジャンク洗脳デムパ〜〜!」
 手に持った巨大な先曲がりストローから光線らしきモノをやよいに向かって浴びせた。そこで雪虫ッカーに扮したスタッフが現れ彼女に黒マント&サングラスで変装をさせる。
「わははー、お前の妹はもう我が輩の部下ブラックバーガーだ! 返して欲しくば着いてこい」
 そう言い残し舞腹はやよいと共に階段を駆け下り、白いバンで走り去った。呆気にとられたあすかは白地に黒い斑点模様の衣装をじっと見つめ、
「あれってただ被せただけよねー? んもぅもっと可愛い衣装用意してあげればいいのに」
 どこまでも天然でマイペースであった。


 先程の道の駅から近い函館市場。小さな店が建ち並び水揚げされたばかりの魚や蟹、新鮮な野菜が所狭しと並んでいる。大きな水槽を前にでっかい蟹が逃げ出して‥‥いや違う。蟹と思ったのは函館ヒーローのクラブレッドこと鷹飼・源八朗(fa5082)であった。
「マグロといえば海峡挟んで反対側の大間が有名だが、こちら北海道側の港で取れるマグロの評価も非常に高いんだ。そして市に来たのなら絶対食べるべきはこの海鮮丼! ウニ、イクラに蟹が贅沢にトッピングされ×××円だ!」
 小柄ながら元気なおばちゃんが運んできた海鮮丼をカメラの前に差しだすとコメントを一つ。その後、食べようとするが、いかんせん赤い汎用全身タイツに甲殻類を思わせる飾りをつけが邪魔をする。仕方なくおばちゃんから食べさせて貰い、満足げな顔で次の店へと入る。
 ここでは苫小牧から直送された生ほっき貝が置かれ、さき程の要領でおばちゃんに食べさせ貰う。ホコホコの笑顔で電話番号や場所を記載したフリップを手に鷹飼は、
「みんなも魚介類も食べて今日も元気っ。毎日のバランス良い食生活を目指せよ、俺と約束だ!」
 ヒーローっぽくポーズを決める。なかなか慣れた演技。それもそのハズ、彼は各地でスーツアクターとして務めながら巡業しているのだ。
 まだ時間がある事をスタッフが示し、他の店に入ろうとしたところで頭上から甲高い笑い声が響く。市場に居た人々がその声に釣られて見上げれば、メロンのようなてっぺんに蔓の着いた覆面で顔を覆い、赤みがかった緑色のタキシードで身を包んだ夏姫・シュトラウス(fa0761)が仁王立ちでそこにいた。
「ほほーほ、ここだっ! 私は夕張メロンをこよなく愛するマスクマン・ユウバーリメロンマスク! 夕張メロンを愛するが故、日本全国何処でも夕張メロンが作れるよう、HPを立ち上げ勧誘を活動しているのだ。とぅ!」
 すちゃ。
 かなりエキセトリックな発言をぶちかます夏姫が屋根から飛び降り見事に着地を決める。歓声が上がり拍手も上がりちょっぴり満足そうだ。
「ほほーほ、この芳醇な香りと糖度12度のジューシーでとろけるような赤肉。まさに世界一のメロンよ。数件の農家さんが様々な苦労と改良を重ねた末に開発した芳香豊かなオレンジ色の果肉‥‥これこそメロンの王だわ」
 高笑いの合間を縫い、綺麗に皮だけを剥かれ丸ごとのメロンをスタッフから受け取った夏姫は、自慢げかつ愛おしそうに紹介を進めると、カブリとかぶりついた。あまりに美味そうに食べる姿にグビビと喉を鳴らす鷹飼と見学者。
「流石は悪役‥‥高価な果物の一気食いとはー‥‥、しかし愛故の暴走も良いが夕張メロンは市オリジナルのブランドだ! 他で作られたら違うモノになってしまうぞ!」
「ほほほーって‥‥ぅっ。そ、そう言えばそうね」
 鷹飼の指摘に高笑いを詰まらせる夏姫。鷹飼は悪役を改心させて嬉しげに鼻を鳴らす。が、そこに音もなく現れたジャンクフード男爵舞腹の大腹ボディーアタックを見舞われた。
「何を改心しておる。ユウバーリメロンマスク、行くぞ! クラブレッドよ自力で五稜郭まで来るのだ。わははー」
 ぶっ倒れた鷹飼は衣装の重心が高いため、なかなか起きあがる事が出来ない。その間にホッキ貝の海鮮丼を強奪した舞腹が夏姫と共に白いバンへ乗り込み朝市を後にした。
「くっ! 食べるならほっき貝だけではなく、いずしも食べていけー」
 おばちゃん達に助け起こされた鷹飼は悔し紛れの一言を吐いた。


 撮影最期の地、函館五稜郭。タワーの展望台から見れば星形の要塞が一望できる。緑に囲まれた五稜郭の広い敷地に、もの凄く浮いた賑やかな色遣いの八人が三対五で別れ睨み合い立っている。そうそれは北海道HEROと愉快な悪役さんだ。
「ブラックビーフバーガー! エゾレンジャーを倒すのだっ」
 巨大ストローを振り翳すジャンクフード伯爵舞腹の掛け声にずぃっと前に出たサングラスにマント姿のバーガーブラックやよい。涙を振り切り止めに入ったのは彼女の姉、函館ミルクホワイトあすか。
「やめてっ! ビーフブラック、思い出して! とっかりセンターのアザラシを食べようとしたじゃない。けど、駄目って叱られて他のアザラシを捕まえようとオホーツク海へ行ってクリオネと一緒に流氷に流されたよね‥‥。それに函館山のロープウェイであの有名な夜景を見た後、料金が勿体ないからってロープを素手で降りようとして‥‥格好良かったよ!」
「そ、そんな事していたのか‥‥」
「だぁ〜何言ってんのっ姉貴!」
 ぼげし!
 捏造を大いに含ませ語るあすかにウルフグレイが呆れて一言。勿論他のヒーロー達も同様だ。やよいはマントをぶわさっと外し、姉に向かって裏拳をヒットさせた。それは嬉しさで戻ったというよりも怒りで我に返ったというのが正しい。
「さて、ここで悪役のジャンクフード伯爵にユウバーリメロンマスク、北国戦隊ブルーニセコが相手だ」
「ちょっと待って! どさん子戦隊じゃなかったけ? どさん子戦隊雪祭りシルバーって聞いてたけど‥‥」
「ち、違うわよ、カムイ戦隊キタレンジャー函館ミルクホワイトとビーフブラックよ」
「‥‥俺は秘境レンジャー、ウルフグレイ‥‥」
「ほほほっ道央戦隊ユウバリンは駄目?」
 好き勝手言い出すヒーロー達。夏姫もこっそり混ざっている。苛々とし始めた舞腹が、
「やめやめー。ええぃ統一が取れてない奴らめ! 統一、味覚も全て同一。それこそ美なのだぁ」
 揉める彼らストローを振り翳しに襲いかかる。慌てた彼らは示し合わせた様にすぱぱっと組み体操の扇を作り、
「必殺技だけは決まってるわよ、北海フラーッシュ!」
 ストロボが焚かれ、ジャンクフード伯爵舞腹が倒れる。そこで彼らは各自ポーズを作り、最後のテロップ。
『こうして悪は倒され、彼らの名物紹介と名物は守られた。ありがとう、名物戦隊エゾレンジャー! いや、北国戦隊ドサンコーって‥‥どれがホントだよ』
 どれも合っていなかったのは内緒の話である。