いろはに諺 この巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/19〜11/21

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「こ」の文字を頭に使い(濁点可)面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 こ
「怖いもの見たさ」
意味:人は怖いものと聞くと、かえって見たくなるという事。

「コロンブスの卵」
意味:コロンブスは誰も出来なかった卵立をして見せた。人が行った後は何事でも簡単に思えるという事から、人の真似するのは簡単だが、一番最初に何かをしたり考える事は難しいという事。

「子供は風の子」
意味:子供は寒風が吹いていても元気に遊ぶ事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa3957 マサイアス・アドゥーベ(48歳・♂・牛)

●リプレイ本文


 彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると、画面は切り替わる。
「はい、今回もやってきました。いろはに諺の時間、司会者の郭氏文令明です。今回は『こ』と言えば『恋に上下の隔てなし』ですか? 意味は恋をし、愛し合う者同士の間に身分や年齢、また貧富の隔てなどはない。それは勉強する意欲にも当て填る気がしますね。みなさんはどうでしょうか?」
「おいらの恋は『恋に支障なし』じゃなくて『恋に師匠なし』なのだ。言われなくても時期が来れば解るってゆーか‥‥」
 いつになく緊張した面持ちの郭氏文 令明(fa0243)からの挨拶で始まった番組。それもそのハズ、ここ最近は冒頭をよくジャックされ久しく頭から登場していなかったのだ。
 やや赤面でお題を交えたコメントの彼に、舞台中央の隣に設置された炬燵からくぐもり言い渋った物言いが聞こえる。語尾からしてどうやら苺(fa3120)のようだ。イマイチ元気のない。
「おや‥‥お悩みのようですね、珍しい。ではもう一つ『恋は思案の他』。恋は常識では推し量る事が出来ず、説明しずらいもので、また人の理性を失わせる一面を持つと言います。恋にかまけるのも良いですが、お姉さん達を含め皆さんのような若者には、気力もあり将来への可能性を伸ばして頂きたく、『後生、恐るべし』で一生懸命、学問に励み進歩は畏敬すべきものにして下さいね。おやまぁ? また変わった唸り声が聞こえてきました。なんでしょう?」
 郭氏文は炬燵に向かって声を掛けながらも、裏から聞こえてくる唸り声にカメラと共に覗きこみ、あまりの光景に言葉を失う。
 なんとそこには着物姿の鬼王丸・征國(fa0750)と如鳳(fa2722)の入るマロ君が、二枚並べた座布団の上で『こ』の文字を天井釣り固めを用いて作っていた。
「後生、恐るべしは若者のモノだけではないぞ。くっ『諺』の『こ』じゃ‥‥。意味は昔から人々の間で言い習わされてきた教訓や知識、風刺、興味等を含む言葉でのぅ。独特の定型と背景になる説話をもつ。‥‥の通り言葉の技術や活用を示すものが多いぞぉ‥‥」
 着ぐるみを理由に如鳳に拝み倒され、仕方なく鬼王丸が技を掛けられる側の上の画を担当。うわずる声からして過酷な作業のようだ。それでも果敢にもフリップで『言(こと)+業(わざ)』をアピールし、解説していく。
 当人らの苦労とは裏腹にその光景は、炬燵でくつろぎプロレス中継を見ていたお父さんが、縫いぐるみ相手に着物の裾を構わず技を掛けているという長閑なものにしか見えない。
 郭氏文が一応、突っ込みを入れる。
「え〜番組を思ってのお気持ちは『米の飯より思し召し』の通り大変嬉しいのですが『こ』でしたら二画。『コ』の場合は一画多いですね。まぁご馳走様でしたという事で」
「し、しまったぁ。確かにこれでは『こ』ではなく、ロメロスペシャルの『ロ』じゃのぅ‥‥」
 がっくりと項垂れる鬼王丸を解放した如鳳マロ君は、座布団の下からフリップを取りだす。そこに書かれていたのは、『子供叱るな来た道だもの、年寄り笑うな行く道だもの:過ちを無闇に突っ込むのではなく、老人の言動を軽々しく笑うものではない。自分も子供の頃に同じ過ちをした筈だし、やがて年を取れば同じような言動をするようになるということ』と書かれたフリップを掲げた。
「えぇ確かにこれから私達も通る道かも知れませんねマロ君。では新たに言い換えまして『功なり名遂げる』とさせて貰いましょう」
 困った笑いを浮かべる郭氏文は機転を利かす。満足げに頷く如鳳のマロ君。
 そこで座布団から立ち上がった鬼王丸が着物を直し、道具を片付けようとするが先にHIKAGE(fa1340)の手が伸びてきた。
「片付けや掃除はこの俺! 恋にうつつを抜かさず、頑張っている俺に任せてよ! 『弘法筆を選ばず』でどんなボロっちぃ箒や雑巾を使おうと綺麗できるんだぜ。これでお姉さんにも認められるかな? って、けど今日は具合が悪いみたいで居ないんだね〜『恐いものみたさ』で気になるけど、今は番組の進行だ。お見舞いはそれから‥‥って。ハッ! なんでそぅ考えたんだ。これってもっ、もしかして恋っ!?」
 クルクル動き回りスタジオ内を掃除し回りながらコメント。だが自分の言動に驚く。
「‥‥こ、こんなの駄目だ、ひかげんっ! 恋に生きるのでなく掃除に掛けるのだ。って誰だ炬燵なんて出して! 退かすのが面倒でそのまま掃除していたら、撤去する際に天板の下がゴミ溜めと化していたって某ディレクターが言ってたんだよね。まったく『後悔先に立たず』とはそのこと。掃除はちゃんとしなくっちゃ! はい邪魔、邪魔ー」
 誰からも突っ込まれず、一人勝手に処理したHIKAGEは清掃再開。炬燵を退かそうと持ち上げようとした時、口をへの字に曲げた苺が、ニュッと布団の間から首を出した。
「コタツムリー! 今年の流行語大賞はコレで決まりなのだ。邪魔じゃなく冬には欠かせない物なのだっ。けどお掃除の邪魔になるなら仕方ないのだ‥‥」
 右手に付けた腕章『コタツムリ帝国築き中』を振り上げ抗議をするも、HIKAGEの言葉に従い渋々と炬燵の移動開始。ズルズルとスタジオの隅に持っていく。
「撤去終了ー。代わりにこれを見つけたのだっ! 『恐い物見たさ』で残されていたこのハリセンをクローズアップ。とゆーわけでカメラさん、ずずいっとどーぞなのだ!」
 代わりに隅で保管されていたハリセンを手にカメラの前に戻り差しだす。ややビビリながらも言われた通り、アップで撮影するカメラマン。苺は話を続けていく。
「突っ込み活動に耐え、今も現役のハリセン。どれほど使い慣らしの傷がついているか今解き明かされるのだっ」
「そ、それが俺の頭によく炸裂するお姉さんの? き、気になる‥‥けど俺は一介の文字ぃ君、片や皆を恐れさせ‥‥もとい纏めるアノお姉さんのハリセン。あぁ眩しい、神々しいぜ! うぅこの武器を前に俺は、なんてちっぽけなんだっ。けど負けないっ! そこに身分違いの差はあれど『恋に上下の隔てなし』! お姉さぁん」
 ずばこんっ!
 苺は神妙な面持ちで観察をする。その傍でHIKAGEが延々と一人芝居を続けていたが、いきなり両腕を広げ武器に向かって突進!
 ハリセンは苺の意志とは関係なく持ち主の気に反応し、HIKAGEの頭を思いっきり打ちのめす。軽快な音と共にHIKAGEは床に叩きつけられた。
「おぶふっ こ‥‥『転んでもただでは起きない』ぞ‥‥。人は俺の事をそう言うっ! と言う事で、眼鏡に萌ぇ〜でHAKASEさーん」
「ぼ、僕? うわぁ‥‥ちょ、恐い! こ、来ないで下さいっ」
 がばっと顔だけ起こし、今度はHAKASE(fa2600)の眼鏡に狙いを定めると、力強く彼の名前を呼びながら床を這う。呼ばれたHAKASEは堪ったモノではない。両手に嵌めたパペットと共に驚いた顔で、大慌てで逃げ出した。
 スタジオを恐怖に陥れたHIKAGE。誰も助ける事が出来ず、ここで一旦CMと相成った。


「ワハハハ、『声の高い者が勝つ』を地で行くマサイアスである。『郷に入っては郷に従え』ということで、和風なこの番組だから、まずは形から入ってみた。どうだ、似合うだろうか? それといつも娘たちが世話になっている。しかしわしは初出演だ。『子は親を映す鏡』というが、さてさてその鏡像に近い人物にみえるか? ともあれ、よろしく頼むのであーる」
 CM明け。羽織袴のコスプレに木刀を手に登場したのはマサイアス・アドゥーベ(fa3957)だ。
 鬼王丸と同様に着物が良く似合う彼は、野武士風味で豪快に笑い飛ばすため、インパクトがかなり強く、誰もが押され気味になり遠巻きに見ている。
 ぶぅんっと木刀を一振るい。肩に掛けると帯に結んでいた小さな袋から何やら白い粒を取りだして、巧みな話術を開始した。
「評論家のわしが紹介するお題、まずは米だ。それも古米である。この古米というやつは炒飯などにする分には良いが、匂いの問題があり普通に炊き食べるには向かぬ。だが炊く際に色々と工夫をすれば、ちゃんと食べられる味になるのである。なかでも面白いのは蜂蜜を使い焚く事だな。どこの家にでも大抵、常備しているものだが、なかなか米に入れてみるという発想にはならん。これぞまさに『コロンブスの卵』であるな。うむ」
 飄々と米と諺について語る彼の言葉は慣れたモノ。おぉ〜っとスタッフの間から拍手喝采が上がる中、更に言葉を続ける。
「さてお次は『子』である。『子供持つなら三人持て』などと言うが、わしも三人の子供がいるのである。特に二人の娘が可愛くて仕方なくてなぁ。いやはや『子有れば万事足る』とは当にと実感する次第である。親バカが行き過ぎて『子故の闇に迷う』など言われぬようにせねばならんがな、しかし娘というものは‥‥」
「そうですねー。お子さん特にお父さんには娘さんって可愛いかも知れませんね。育つのは『光陰矢の如し』でお嫁に行ってしまうのは悲しい事かも知れませんよ、今のうちに親バカを返上しておかないとかもでーす。そうこの諺をもう一回リバース。番組のお終い間近で文字もあと僅か。これからも古人の諺を小粋にご紹介できるよーに頑張りマース。ネタの方はいつものパペットコント。スタッフさーん、テロップヨロシク! コイっとトリっと☆」
 時間を気にしだしたスタッフに頷いたHAKASEがマサイアスの言葉を遮り、両手に嵌めた『鯉の一跳ね』に因んだ鯉のコイ君と『鴻漸の翼』の水鳥のトリ君でいつものポーズを決め、コントを開始する。
「うわーい楽しいね、コイ君。もうすぐ十二月だけど、僕達は『子供は風の子』で寒くたってへっちゃらさ」
「そう元気だよね。って、ねぇトリ君。あれを見て! 洞窟があるよ。うわぁ不気味だけど『恐い物見たさ』で入ってみないかい?」
 マペット達にHAKASEの胸前で走り回る演技をさせ、すぐに何かを見つけた様子で左側に人形を寄せヒソヒソ相談話。頷き合った二つのマペットはコソコソと洞窟に入り、手首を捻りさも首を動かしたり辺りを見回す仕草をさせた。
「な、何か凄いところだよね、トリ君」
「動物の骨とか沢山あるねぇ‥‥もう出ようよコイ君、嫌な予感がって、あ! 誰か来たよっ」
「うわぁ、入らなきゃ良かったね、トリ君。『後悔先に立たず』だよ〜。どうしよう、もう駄目だ」
 後悔し諦めた様子で、その場を跳ね回るコイ君。だが左手に付けたトリ君に上の方を見回させ、何か発見した演技でコイ君を足に掴みそのまま羽ばたき飛ぶ。
「見て! コイ君、骨になったみんなが見つけられなかった穴だよ、これぞ『コロンブスの卵』だね、早く出よう、バサバサー」
「トリ君の機転でコイ君も『虎口を脱する』で一緒に助かったみたいだね。好奇心も程ほどにってコトでー、コイっとトリっと☆」
 飛び立つ演技の後、HAKASEがニッコリと笑って一言。すぐに胸前でマペットを使い、パカっと手を開かせるお馴染みのポーズで締めた。
「相変わらずお上手に使われますね〜HAKASEさん。っと、マロ君とマイお姉さん、何を食べながら歩いているのです? あぁ、コットンキャンディーですか。しかし食べ歩きはお行儀悪いですね、没収」
「えぇー、それはないのだっ。折角、前にお腹を壊す失敗の経験を生かして『転んでもただでは起きぬ』で胃薬や整腸薬を用意して『転ばぬ先の杖』で準備も万端だったのにぃ」
「モゴモゴ!」
 郭氏文にピンクのフワフワ綿菓子を取り上げられ頬を膨らます苺に、『五体を投ぐ』の実戦とばかりに体全体を投げ出し苦しみ悲しむ如鳳のマロ君。あまりの大暴れでフレームアウトまでしてしまうほどだ。呆れ顔の郭氏文が最後の挨拶で締めようとしたそこに声が響く。
「コーコケココ! ちょいと違うのぅ。って、まぁまぁ固い事を言いなさるな郭氏文さんよ。それにマイお姉さん、蒟蒻ならお腹は壊さないぞ。何故なら繊維質が豊富で腸の砂洗いとまで言われておるんじゃ。最近ではラーメンなるものも出ており、なんとスープを飲み干しても20キロカロリー。さらに繊維質なので便秘気味な方にはお勧めな食材じゃ」
 何故か鶏の鳴き真似をしつつ灰色で四角い型の着ぐるみを着込んだ鬼王丸が再度現れた。豪快に笑う度、体をプルルンっと揺らす。どうもそれは蒟蒻のようだ。
「がう、蒟蒻ー、というとおいらにそれで垣根を作れという事なのか?」
「どうしてそうなるかは解らないが、前回までの雪辱があるのでのー。勝負じゃ。ふっははーこれだけ出れば食れまいっ」
「うわぁぁー、な何ぃ」
 そこでCGが使われ無駄に増殖を開始した蒟蒻の鬼王丸。一個一個に彼の顔が入り恐い事この上ない。たまにマサイアスの顔もあるのは愛嬌だ。
 それでも怯まず積み重ねていく苺が悲鳴を堪えていると、何故か向こうの方でHAKASEが悲鳴を上げる。見れば彼の足に不気味にへばり付くHIKAGEが居た。
 健全な番組が一転、ホラーなものになってしまっている。この場を止められる人が不在とあって既に収拾のつかない状態だ。
「これはもしや司会者としての機会は取り逃がしてはいけない、極力生かすように努めよと言う『好機、逸すべからず』でしょうか? 私もハリセンを振りかぶるべきでしょうかね‥‥」
 ふぅっと溜め息を付いた郭氏文に如鳳のマロ君が、『五風十雨:五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降るという意味で、天候が順当なこと』と書かれたフリップを振り慰める。あぁっと納得顔の郭氏文。まぁこの番組はこれで順調なのかも知れない。
「まったねー」