いろはに諺 えの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/26〜11/28
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「え」の文字を頭に使い(濁点可?)面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
え
「えびで鯛を釣る」
意味:小さくて安い海老を餌に使い、大きくて高価な鯛を釣り上げるように、少量の金銭や贈り物で、大きな利益を得ること。
「絵にかいた餅」
意味:絵に描いた餅は、どんなに美味しそうでも食べる事は出来無い事から実際には、出来ない事や役に立たない事。
「得手に帆を揚げる」
意味:船が進むのに都合がいい風が吹いた時、帆をあげて出航する事から、自分が得意な事をするのに、丁度良い機会が巡ってきた時に喜んでする事。
●リプレイ本文
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スタジオの隅の休憩所で和気藹々とネタ合わせや、段取りを打ち合わせているメンバーの中にあのお姉さんの姿がなかった。気付いたHIKAGE(fa1340)が閃いた様に手を上げ、
「今日もお休みなんだ‥‥。よしっ久しぶりに得意な女装でキャピッと場を仕切るチャンス到来! ‥‥そうと決まれば、お姉さんスタイルで行くぞーっ」
「そだ、一緒に真田さんもやっちゃいましょう! お願いします」
「えー勘弁して下さいっすよー」
「ダメダメ、今回は弄られ上等なんでしょ? いつもの様に、いや、それ以上に頑張ってよ。ほら『枝葉が咲く』っていうじゃない? 他方面というか新しい役の開拓だよ。着替えておいでー」
得手に帆を揚げるとはこの事で驚いたスタッフ達をヨソに気張った彼は、すたこら楽屋に着替えに戻っていく。それを面白いと捕らえたスタッフの一人がいつになく大人しい真田・勇(fa1986)にも促す。まったりとする予定だった真田は反論の隙を与えられず、渋々HIKAGEの後を追った。
「おや、お姉さん不在とあっちゃぁワシもトークで頑張ろう。え〜『開口一番』『片腹痛い』って‥‥しもぉた、文字を間違えた。が、誰も気付かんじゃ、ある意味勝利じゃのぉ」
見送った鬼王丸・征國(fa0750)は広島弁を巧みに操りネタ帳を確認するが、今回の文字の間違いにここで気付く。しかし誰からも突っ込みが入らなかったので一人にんまり。
隣でお茶を飲みながら聞いていた敷島ポーレット(fa3611)はその様子にクスリと笑った。
白タイツに着替えたティタネス(fa3251)は、変わらず賑やかであるがどこかぎこちないスタジオに入り一言。
「『英雄は艱難の日にのみ知らる』ともいうし、こういう時こそ、みんなしっかりしないとな。というわけで、あたしもいつぞやのように司会もどきでも‥‥と思ったけど二人追加されてるし、『海老は跳ねても一代、鰻はのめっても一代』とも言うから、大それた事は止めておくよ。けど頑張って行こう!」
小さく気合いを入れると、ディレクターの撮影を開始するアナウンスが流れだす。それを機に一同、顔を引き締めた。
さぁそろそろオンエアだ!
●
彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると、画面は切り替わる。
腕章の『海老反り天守閣』が付いた腕を振る苺(fa3120)が映し出され、俄関西弁でご挨拶。
「ええとこ見せまっしょ♪ いろはに諺の時間なのだ、司会はおなじみボケ筆頭マイお姉さんと、いつでも冷静時々不穏な令明司会者さんでお送りするのだっ! 今回は『ええじゃないかー』の『え』! 一騒動あって収拾つかなくなる可能盛大っ、だけど番組を見落とさないようにねーw」
「えー違うわよー。司会はあと二人追加、俺‥‥じゃなかった飛び入り参加のヒカゲンお姉さんとプリティー勇君も一緒でぇーす☆ よろしくね」
真田の手を取り現れたタイトスカートに洒落たシャツ、そして流行を汲んだマニアには溜まらない眼鏡とハイソックスにツインテール姿のHIKAGEは小首を傾げキャピッと可愛い仕草を作る。
しかし結いあげた髪型は少々無理があるようで、園児の髪型宜しくに跳ねまくっている。連れてこられた真田もそれに合わせてか、白タイツの上から青いスモックを着せられいた。
「はい、いつも通り、司会者の郭氏文令明です。登場から男女の縁、結びつきは常識や理屈では予測できない不思議なモノ『縁は異なもの味なもの』が展開されているようです」
やや苦笑いを浮かべながら自己紹介を兼ねて諺を披露する郭氏文 令明(fa0243)。ひと息付き、続けて諺を披露していく。
「凡人には考えも及ばないほど、英雄は人並み外れた才知で驚くような事をして相手を欺く『英雄、人を欺く』という言葉があります。もしかしたら今のHIKAGEさんや真田さんの事かもしれませんね。しかし私が仕えようと考えている方とは、やや違いがありますが。いずれにしても、そのような方に仕える身なれば、それなりの知略も必要でしょう。これぞ『悦に入る』ですねククク‥‥」
「ある意味、英雄って‥‥ちゃうやろが☆ ねー勇君」
「そうっすー、この番組でビシバシ突っ込まれている僕達は真の英雄っすー。それよか郭氏文さん、テロップを見るっす」
被らない様、ハリセンではなくピコハンを振り上げ、態とらしく怒った態度のHIKAGEに乗る真田。
含み笑いをしていた郭氏文は二人の指摘を受け、胸元のテロップ『えせ者の空笑い:軽薄、いかがわしい者が、可笑しくもないのに追従笑いや高笑いをする事』に気付き、言い得て妙な諺に怒りも露わに抗議する。
「なっなんですか!? このテロップはっ! ふっフン‥‥『燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや』で所詮小人物には、大人物の心の中は理解できないのでしょう。では‥‥気を取りなおして、TVを観ている皆さんも将来を見通した考えを持たないと、目先に急な心配事が起こると言う例え『遠慮なければ近憂あり』があるかもしれませんよ。将来をしっかり考えなければ、近い心配事にも対処できませんからね。では番組の開始です。楽しく諺を学んでいきましょう!」
少しばかりふて腐れながらも上手く締めくくり、番組開始を促した。
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「えー改めて犬神だ。宜しく頼む。本職は裏方で表舞台のやつらを手助けをしている。『縁の下の力持ち』ってやつだな。まあ最近はこうして表舞台にも顔を出させて貰ってるが」
にっこり笑って登場したのは、前々回褌トークでクラシックなパンツの着心地を紹介した犬神 一子(fa4044)だ。
「最近身内で結婚したやつが居てな『鴛鴦の契』。俗に言う鴛鴦夫婦となりゃいいんだが。実は正直、そいつらが結婚するとは思ってなかったんで、『縁は異なもの味なもの』ってやつかね。男と女の結びつきというのは、予測のつかねえ本当に不思議なものだな。んで、遠くに新しく縁者が出来たわけだ。そうしたら思いがけなく遠方の名産なんかを食べる機会に恵まれて『縁につるれば唐の物を食う』ってやつだな。そうだ今日のお題文字は『え』。『得手に帆を揚げる』で結婚式の酒宴や頂いた名産をひとつ絵にしてみよう。こう見えても絵は得意だぞ」
「がうっ美味しそーな豆にキノコ料理なのだ。それに海老の佃煮! 早速いっただっきm‥‥」
紙と筆を取りだしささっと枝豆やエノキ、エリンギにエンドウ豆を描いていく。あまりの達筆に掲げられた絵に食いつく苺。モシャモシャと紙をはむが当然美味くない。顔が段々と歪み、
「‥‥あれー? なんだか食感カサカサ、味も変な感じなのだー?」
「こ、こら、食いつくな! こいつは『絵にかいた餅』で食えるわけないだろ、苺嬢ちゃん」
「紙に書かれた絵でも海老の佃煮って美味しいかしら☆ ってなんでやねん☆」
ピココッ!
犬神は引きつった笑いを浮かべる。ここぞとばかりにHIKAGEがピコハンで苺の頭を可愛らしい音を立てて一撃見舞う。
突っ込まれた上、食べ損なった苺はイジケモード。隣にいた鬼王丸は彼女の手から絵を一枚取りじーと見る。
「マイお姉さんが食いつくほど、上手い絵じゃけん、この絵は展覧会に一つ出してみようって‥‥」
ガッシャーン!
後ろから額縁を取り出すが手が滑り額を落としてしまった。危険な硝子は入ってなかったものの木の枠はバラバラになる。
「ありゃぁ、こりゃまさに『永久不変』な物はこの世にゃぁのぉて、また人との出会いは『会者定離』じゃっちゅうことじゃのぉ」
鬼王丸の言葉に合わせテロップ『永久不変:いつまでたっても何も変わる事がない事』『会者定理:会えば必ず別れる定めにあり、この世の儚さをいう。一期一会とは少し違う』が流れる。しかし説明が足らないと鬼王丸は考え、
「もうひとつ突っ込んで解説しょぉで。一期一会は人との出会い、一生に一回かもしれんから。その一回を大切にするっちゅう意味合いが強いが、会者定離はどがな親しい人、昨日まで元気じゃった人やらでも何時別れる事になるか解らんゆう、この世の儚さに主眼としてるけぇ用法が違う。ほいで『会者定離』を念頭に置くと『一期一会』の精神がよう判るんぅ。どうか?」
「美味しく食べてしまえば、なんでもお別れが来るのだっ! どこかの名産品の海老の佃煮の絵もそうなのだ。そだ、敷島さんに旅のお話をして貰うのだー!」
ふむっと説明を終えた鬼王丸に未だ海老の絵を口に含みながら苺は納得顔。しかし本当に理解しているかは本人のみぞ知る話というところで、次は名産品=旅に因んだネタの敷島を紹介した。
「え〜。なんか名産の話題が出てたので‥‥。うちは旅とかけっこう好きでな、移り変わりのある四季の綺麗な景色を眺め歩くのが好きで、飽きへんから旅行をするのが病みつきになってしもうてん。『煙霞の痼疾』ってやつやね〜」
のんびりとした関西弁で話す敷島。深く自然の風景を愛し旅を好む習癖の意味を持つ言葉を当て嵌め、更に続ける。
「それでな、旅に出るとき気をつけてはおるんやけど、つい忘れ物があったりして困る時があるんよ〜。『遠水近火を救わず』。遠くにあっても手元に無いんなら役には立たへんよな〜。それにあちこち回ってると、ふと故郷が恋しくなったりする時もあってな。えっちょうなんち‥‥えっちょうなんしにちゅ‥‥」
「越中褌?」
「犬神さん褌は無いっすよー。ネタ的にはオイシイっすけど女の子が口にはしないっす!」
ぺこーんっ!
「それを言うなら『『越鳥南枝に巣くい、胡馬北風に嘶く』でしょうか」
「無理に早口にしなくてもヨシ☆」
ぴこんっ!
まったりと話す敷島は舌の回りにくい言葉に数回、噛んで苦戦を強いられると、釣られて褌の話を持ち出す犬神に青いスモック姿の真田が突っ込みを入れた。
まだ言えない彼女に郭氏文の助け船を出し再度挑戦しようしたところに、何故か遅れてHIKAGEが突っ込む。可愛いハンマーで叩かれ頭をさする敷島は、反動で滑舌となったのかするりと話し出す。
「あたた。『越鳥南枝に巣くい、胡馬北風に嘶く』ってやつやね。‥‥普段使わん難しい言葉を早口で言おうとしたら、ちょっと失敗したな〜。無理なことはするもんやないね〜『猿猴月を取る』やな」
敷島は自分の失敗をきちんと諺で落としてきっちり締めた。
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「『江戸は空風信濃は雪』。全国気候は違っても、どこでも番組は同じ時間に放送されて‥‥いるよな? の『え』ー」
CM空け。文字作りセットに登り、お馴染みの人文字の『え』を作るティタネス。鉄棒の上で器用に片膝つき、違う方の足を斜め後ろにずいっと下げ、両腕を上に掲げ水平に突き出す。頭上には真田が文字ぃ君として参戦し、やや長いが上の棒を作った。
「「えー」」
声を揃えて文字の完了を知らせ降りてくると、郭氏文が渡す釣り竿を手に犬神の絵を使いティタネスはお題開始。
「今回の好物は『え』だと何だ? 『海老で鯛を釣る』だな。 海老‥‥海老で、よーし」
床に垂らす糸の先にはマロ君の好物海老の佃煮の絵。マロ君は拾い上げると嬉しそうに踊る。掛かった事を確認したティタネスは、ぐっと力を込め、マロ君を釣り上げた。
「よっしゃー、あ、あれ? アミがないから直接あたしがあげるっ! もふーっ」
引っ張られるマロ君をアミがないと言い、ティタネスはもふっと抱きつきゲット。なんかとても幸せそうだ。微笑みながら海老についての蘊蓄を披露。
「みんな、知っているか? 一人あたりの海老の消費量が最も多い国は日本なんだそうだ。言われてみれば、えびフライにインスタントラーメンの具にまで小さな海老が入ってたりするもんな」
「そうじゃ、日本人は好んで食べる海老な。海老色とかある通り江戸時代にもあったようじゃ。そうじゃ、江戸時代の『え』という事でもう一つ。日本の商業・文化の中心になったのは徳川家康が幕府を開き‥‥」
「食べ物じゃないのならいいのだー。もう時間も迫ってるし、宴会を始めるのだっ! さっきのは違ったけど、コレは本物なのだ」
「ふ、いつまでもそう同じネタは使わんがの‥‥って聞いてるか? 江戸っ子着ぐるみネタは良い子の皆に解れば良い‥‥のじゃ」
鬼王丸の話を途中で止め、犬神と同じ絵の料理を苺は取り出し勝手に宴会を始める。着ぐるみネタについての話に鬼王丸はフッと息を付き、正装姿でなくさりげなく着た着流しで江戸っ子姿をアピールするが、食べ物に夢中の苺は、おろか誰も聞いちゃいない。彼はがっくりと肩を落とし、悔し紛れに出された宴会料理を食べ始めた。
「『遠慮は無沙汰』。控えないで頂くとしよう。‥‥何、食べ過ぎ? 大丈夫、『得食に毒なし』って言うだろ?」
先程、海老の話をしてお腹が空いたティタネスも遠慮なしにパクパク。
苺が口を動かしながらHIKAGEの方に向き、フォークに刺さった枝豆を差しだす。
「はいっ、コレあげたら、もっといーものくれるのだ?」
「ギャッフン☆」
最後にしてやられたHIKAGEは知る人ぞ知るオチで一人落ちをした。
「ま、まったねー」
宴会まっただ中。カメラは食を楽しむ彼らを映しながら徐々に引いていった。