いろはに諺 ての巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/04〜12/06

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「て」の文字を頭に使い(濁点可)面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 て
「天災は忘れた頃にやってくる」
意味:自然災害は忘れた頃に起こるもので、油断しない事が大事だという事。


「天はニ物を与えず」
意味:人には良いところもあれば悪いところもあるという事。

「手前味噌」
意味:自分の作った味噌はお美味しいと人に自慢する事から、自分で自分を褒める事を言う。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0361 白鳥沢 優雅(18歳・♂・小鳥)
 fa0365 死堕天(22歳・♂・竜)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa4339 ジュディス・アドゥーベ(16歳・♀・牛)

●リプレイ本文


 いつものように彩色豊かに描かれるタイトル文字を子供達の声が読み上げようとしたその時、如鳳(fa2722)の入るマロ君と白鳥沢 優雅(fa0361)がにゅっと割って入り、大きく手をフリフリ、冒頭ジャックを成功させた。
 スタジオ内は態とらしいディレクターの怒声とスタッフ、出演者達の素の笑い声が響く。いつも通りの賑やかで楽しい雰囲気だ。
 画面が切り替わりここでもアピールすべく、白鳥沢の輝く笑顔の横ちょに立つ如鳳のマロ君がカメラに向かってプレートを掲げ、お題諺『手薬煉を引く:十分に準備して機会を待つ。予め用意して待ち構える』を指さし、口元に手を当て笑う仕草を見せた。
 っとその時、二人の後頭部から軽快な炸裂音が響く。
 すぱこぉぉん!
 暴走を止めるべく立ち上がった郭氏文 令明(fa0243)がハリセンを振りかぶったのだ。彼はふぅっと小さく息を吐き、
「そろそろボケを野放しにしておくわけにはいきませんね。『天王山』の言葉の通り、この機を逃したら出番は少なくなってしまう今まさに勝負の分かれ目となる重要な時。それに突っ込み天下を握るか敵に取られるかの『天下分け目』。ということでマロ君に突っ込みを入れるのを境に『手薬煉を引』いて待ってますのでどうぞドンドン、ボケてくださいね。‥‥という事で今回もやってきました、いろはに諺の時間。司会者の郭氏文令明です」
 ハリセンを小脇に抱え、一つ頭を下げると淡々と自己紹介。台本通り続く苺(fa3120)がお題によって変わる腕章『天衣無縫?』の付いた腕を大きく動かしリズミカルに鞠をつきながら話しだす。
「てんてんてまり、てんてまりぃー♪ っと。手が空かずとも口は開く食べ物大好き! マイお姉さんなのだっ。おいらは忙しくても、しっかり朝ごはんを食べる派!マネージャーに急かされても、梃子でも動かないのだ! 因みに三食全て自分で作る手料理、手間暇かけた方が美味しいのは昔の話で、最近は手際よく簡単にが主流な気がするのだー。けど手抜きは駄目ないのだ。ということで今回、おいらが用意したのは『て』の文字を使ったレギュラーメニュー申請中のロシアン手巻きなのだっ」
 途中、蹴り上げた足の下を潜らせたりと細かな技を披露し、最後にボィンッと強く跳ねさせ手中に収める。それに合わせてスタッフがワゴンを押してきた。
 皿に盛られている海苔で覆われた物体。身は見えないが美味しそうな香りを漂わせている。
「具は手羽先に照り焼き、手打ちうどんと鉄火巻き‥‥こっちは鉄板焼きに手長海老の天ぷらなのだ。外れなしの罰ゲーム。こーゆー手抜きは良いのだ!」
 順に説明する苺の言葉に、なぜだか脂汗をしっとりと掻き、引きつった笑みを浮かべる郭氏文と白タイツ姿のHIKAGE(fa1340)。
 まったく気にせず言葉を続ける苺に如鳳のマロ君が、好物である天ぷらに反応した。
 むくりと立ち上がり、黒装束に身を包む黒子役の死堕天(fa0365)から新たなプレート『手の舞い足の踏む所を知らず:強い感情に促され、歌うだけでは足りず知らず知らず有頂天になって踊り出す様子』を受け取り、小躍りで現す。
 だがそんな幸せは長くは続かない。浮かれまくるマロ君に苺が宣告。
「天ぷらは数に限りがあるのだ。天ぷらでないモノなら増やすのは可能かもだけど」
 その瞳に危険な輝きが現れる。だが聞いた如鳳のマロ君は大仰に肩を落とし、もう一枚プレートをカメラに向けた。
『天地は万物の逆旅、光陰は百代の過客:無限の宇宙や永遠の時間、天地や光陰に対立する時、自己の卑小を感じて不安になり淋しくなる状態は過去も今も変わらず、人類は最も悲しく最も淋しくなる』を寂しげにフリフリ。
 だが寂しいのは彼だけではない。郭氏文やHIKAGEだって(何故か)同じ様子。しかしこの場では理由を明らかには出来ず、グッと堪え郭氏文が一言。
「マイお姉さんが恐い事を言ってますが‥‥。ここは敢えて流して‥‥。これは宴会メニューですね。お酒も出るんでしょうか? でしたら諺を一つ紹介しましょう『手酌五合、たぼ一升』。意味は手酌では五合しか飲めないのに、若い女性の酌では一升も飲んでしまうという事です。尤も普段でしたらお姉さんは傍に来ないかもしれませんし、それに私はお酒が苦手でしてね」
「あ、それは解るなぁー。折角だしお料理を頂きまーす。鳥系は避けてっと」
 意味あり気な苺の熱い視線をかわし諺を披露する郭氏文に、HIKAGEは同意しながら良い匂いを放つ料理に手を伸ばす。
「郭氏文さん、よい子が観てるのに、お酒の話はまずいでしょう。確か匂いがそんな感じがするものが多いですけど。では、私もお題文字の『て』に合わせ『天高く馬肥ゆる』を当てはめてみます。季節は過ぎたのですが、やっぱり食いしん坊さんが多いということで。え? これはロシアン‥‥なのですか? ですと辛いのも入ってるかも? ん〜喉が渇きそうなので、ティーポットで紅茶を用意させてもらいますね。‥‥この時期はホットだと思って熱々を用意したんですけど‥‥『天を測り地を測りても人の心は測り難し』ですか」
 冷えないようキルトのカバーを掛けたポットを手にジュディス・アドゥーベ(fa4339)が、酒の代わりに紅茶を勧めていく。だがかなり熱いのか誰も手をつけずにいた。無言で口を動かしながら冷めるのを待つ一同。
 しかし暫しの沈黙。番組としてはちょっとマズい。アワアワし始め、スタッフが何か話せと合図を送るのに気付いた郭氏文が、
「おっと中断していますね‥‥。こういう沈黙をフランスでは『天使が通る』といいまして、座が下がった時に使います。ではここは一旦CMに入りましょう。始まりはその後で!」
 咄嗟に外来の洒落た言葉を披露して素速くCMに促した。


 CM明け、カメラの前に立つのは白鳥沢 優雅だ。専用のラメ入り白タイツを着用しライトを一身に浴びている。それはピカピカというよりテカテカが正しい様に思え、何か勘違いをして口元を緩ます苺や、巷で飛び交っている手羽先や照り焼きネタ発言などなんのその、一向に気にする風はなく。
 三回目の出演だというのに、さも長く出演している風を装い颯爽かつ優雅な笑顔で挨拶。
「天から備わった天性の優雅さと天才的な美麗なセンス、天真爛漫な心を忘れない手前みそな僕、白鳥沢だよ♪ お腹一杯食べたら動こう! 美麗な僕を目指す良い子の皆〜ぁ、白鳥沢体操はじまるよ〜♪」
「こぉの馬鹿鳥がぁぁ! 何、手前味噌の意味を勘違いしてるんだ。そして体操をするのは別番組だっ! 突っ込み『天誅』の『て』だっ!」
 ぶばこぉん!
 彼はどうやら褒め言葉と勘違いして胸を張り諺を自慢げに披露する。その後すぐに体操の準備に掛かろうとするが、黒子姿な死堕天が力一杯ハリセンを見舞う。
 打たれた方の白鳥沢は、すぐに乱れた髪を手櫛で整えると死堕天に詰め寄った。
「黒い地味な君に美しい僕の頭を叩く権利なんてなぁい! 叩く代わりに撫でたまえ」
「地味? 俺は黒が好きだし、ここでは素顔を見せないのが通ってもんさぁ! もう一丁、鉄拳制裁をしようか?」
「まーま。白鳥沢さん『出るくいは打たれる』です。美形というのにその暴走っぷりはお見事ですが仕方ありませんよ。また死堕天さんの突っ込み『天罰覿面』の言葉がある通り、ボケに対する天罰が素速くていやいや素晴らしい。ま、ここは一旦、争いを下げて次に流させていただきますね。では、ジュディスさん、宜しくお願いします」
 珍奇なキレネタをかます白鳥沢の発言に死堕天はしっかりきちんと答える。
 ギリギリと鬩ぎ合いで喧嘩する風な彼らを上手く取り纏めた郭氏文。彼の言葉に白鳥沢が取り急ぎ文字作りセットへ移動する。
 ジュディスを中心に作るお題文字にHIKAGEと共に手を貸しているからだ。
 彼らが待つセットの真ん中の辺りの鉄棒の上に寝そべると、カメラ目線で上等な笑顔を作る。
 その上にはHIKAGEがバランスを取りながら俯せた。上の出来を確認した縦棒役のジュディスが身体をやんわりと傾けると、『全員が適材適所』と書かれたテロップが流れる。三人の文字ぃ君で『テ』が出来上がった。
「て‥‥天使の微笑みのジュディスです。これって『手前味噌』ですかね〜? むしろ『天然ボケ』とか言っちゃダメですよ? 取り敢えず、最初は『定番』の人文字‥‥『テ』です。上手くできましたか〜?」
 微笑み、のんびり口調でカメラの横に立つ郭氏文に声を掛ける。彼はジュディスの文字を満足げに見てOK印を出すと、最後の出演者を導く。
「えぇ良いですね! という事で早くも番組も最後。トリはいつものこの方、HAKASEさんです」
「どもー手が空けば口が開くHAKASEです。『て』とゆーコトで手っ取り早く手品でも。鉄球を手玉に取って見せましょー」
 今回はいつものコントにプラス手品という趣向らしく、HAKASE(fa2600)は手に嵌めた人形達にカップとパチンコ玉を持たせ振っていると、黒子役の死堕天と如鳳のマロ君がビロードのいかにも手品用なテーブルを彼の前に運び込んだ。
 そのテーブルを使いHAKASEは人形達を翻し、巧みにカップを操りパチンコ玉を消しては出す手品を披露していく。
 スタッフの間から歓声と拍手も聞こえだすと、本題のコントに移った。
「手品はここまで! ではでは今回もテンポ良く展開出来るよーに努力しマース! ネタは毎度お馴染みパペットコント。スタッフさーん、テロップヨロシク! デデンっとテングっと」
 右手に嵌める『蝸牛が日和を知る』の蝸牛のデデムシ君と左手の『天狗も雨宿り』の天狗のテング君を抱き合わせる様にくっつけるとパッと開き、いつものポーズでお題諺に因んだコントを開始。
「あぁーいきなり雨か。『天に三日の晴れ間なし』だ。ねぇデデムシ君、殻の傍で雨宿りさせておくれよ」
「いいよーテング君。僕の殻はすっごく大きくてなおかつ綺麗だから君も入れるし、時間潰しで眺めても飽きないよ。ね、素敵でしょ」
 テング君の右手、左親指を上に上げ雨を避ける演技をさせたHAKASEは、すかさずデデムシ君の声音をつかって自慢げに話す。そこでテロップ『手前味噌』&『手前味噌で塩が辛い』が流れた。
「あ、寒いと思ったら雨から雪に変わったね。大雪になりそうだよ『天災は忘れた頃にやってくる』だ。ねぇデデムシ君、このままじゃ凍っちゃうから他に避難しようよ」
「大丈夫さ! 僕の殻は凍らないよ、行くなら君だけでどうぞ」
 テング君の申し出をデデムシ君にアッサリと断らせ、中で動かしていた拳を上手く殻に頭を引っ込める。それを見て諦めたテング君をイソイソと走る演技をさせ一旦、背後へ回した。
「そして後日! あの後デデムシ君はどうしたんだろう? ‥‥あ、凍ってる!」
「そ、その声はテ、テング君? 助けてー凍って手も足も出なくなっちゃんだよー」
「‥‥あのさーデデムシ君。僕が言うのもなんだけど君の場合は『天狗になる』でこうなったのだし、それに君には元々手も足もないじゃないか! ‥‥デデンっとテングっと。皆は敵を見て矢を矧ぐことにならないよーに、日頃から天変地異に備えましょーねってコトで」
 再度現れたテング君に凍ってしまったデデムシ君を発見させる。弱々しい声で助けを求める彼に最後、上手くオチを付け、HAKASEは胸前でマペットを合わせ挨拶させ、ぺこりと頭を下げるとそのままCMへと入った。


 二回目のCM明け。番組も終了間近だ。それでも未だ苺とHIKAGEは仲良く手巻き寿司を頬張り、如鳳のマロ君はお疲れモードで舞台袖でだらけている。が、カメラが向いくと電光石火の勢いで立ちプレートを掲げる。書かれていたのは、『亭主の前の見せ麻小笥:亭主の前で嫁が勤勉な振りをして見せること。人前で体裁だけ働き者らしく振る舞うことの喩え』
 言い得て妙な例えに郭氏文は笑いながら、いつも通り最後の挨拶を始めた。
「『手を抜く』のも『手を回す』のもお上手ですねマロ君。今回も終わりに近付いてきました。さて『敵は本能寺にあり』という言葉は本当の目的は表面に掲げたものではなく別の所にあるという例えですが、これだけ『手が届く』配慮を見せれば、他でも出演依頼が来るかもしれませんね。くっくっく‥‥失礼。では最後に『天網恢恢疎にして漏らさず』。悪事を犯した者は、決して天罰を逃れる事は出来ないという事で良い子は悪い事をしてはいけませんよ」
「それって『天に唾す』の実践なのだ? 皆は令明サンみたいにならないよう気をつけてねーっ」
 苺は天真爛漫な瞳でナイスな毒舌。テロップが流れ本当の意味を知る彼女も郭氏文と共に閉口する。
「あらあら〜? では最後にTVの前の良い子に一つこの諺を『天地これ師なり、事物これ師なり』。世の中のあらゆるものに何らかの学ぶべきところがある。だから謙虚な気持ちで全ての人から学ぶようにという意味です。色々いっぱい勉強して、立派な大人になって下さいね。『天は自ら助くるものを助く』ですよ? ではまったねー」
 伊達眼鏡の蔓をくぃっと上げ、咳払いをしたジュディスが見事に最後を締め手を振り、他の出演者達も引いていくカメラに向かってにこやかに手を振り、番組は終了を迎えた。