いろはに諺 さの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/17〜12/19

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「さ」の文字を頭に使い(濁点可)面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 さ
「砂上の楼閣」
意味:絶対に出来ない事や、長続きしない事の例え。

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」
意味:山椒の実は小さいけれど噛むと辛いことから、体は小さくても素晴らしい能力を持っている人の事。

「触らぬ神に祟りなし」
意味:物事に関わらなければ、害を受けることはない。自分に関係のない事には手を触れないのが安全だという事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)

●リプレイ本文


 彩色豊かに描かれるタイトル文字が子供達の声で読み上げられ、画面は切り替わる。
「はい、いろはに諺の時間。司会者の郭氏文令明です。今日の文字は『さ』。『三顧の礼』ですね。地位や目上の方に仕事を引き受けて貰う為に、何度も足を運び礼を尽くし頼む事です。さて、私がお姉さん達にお願いする時、幾度足を運べば聞き入れて下さるのでしょうか?」
 折り目正しい郭氏文 令明(fa0243)の挨拶から始まったこの番組。彼は諺を上手く交え、お姉さん達にお願いをしてみる。聞いた豊浦 あやね(fa3371)は何か企んでいるだろうと思いつつも、
「ええよ。クリスマスやけ聞きましょうか。『最後に笑う者が最も良く笑う』と言うように、ずっと笑いながら学べる最高の番組を目指して、『三位一体』で頑張るマイお姉さん、郭氏文さん、そしてウチことユラお姉さんですわ。『山椒は小粒でもぴりりと辛い』の実戦で頑張るよって『山葵を利かせた』ネタをよろしゅうですー」
 特別仕様、サンタルックの豊浦。しかし手にはプレゼント袋ならぬお馴染みのハリセンを準備運動を兼ねて牽制とばかりに唸らせる。
 やはり出演者達への贈呈品は、心の籠もる突っ込みハリセンと彼女の中で決まっているようだ。
「『三種の神器』の『さ』! 代々の天皇が伝承する三つの宝物の意味だけど、ここにもあるのだー。ユラお姉さんのハリセン、おいらのマイクー。そして令明さんの‥‥手帳! これがいろは版、三種の神器なのだー」
 豊浦と揃いの衣装で登場の苺(fa3120)は、腕章『三種三様十人十色』のついた右腕を天井に突きだし愛用のマイクを掲げる。三人の愛用する物をカメラにどうだとばかりに出しポーズを決めると、そこに彼らを押し退け赤タイツ姿に一本角をつけた、かなり怪しい出で立ちの真田・勇(fa1986)が乱入してくる。
「三人揃えば司会者の諸君! 三は良いっすよー。三倍の『さ』! 取り敢えず赤くて角つければ三倍なんっすー。つまりシ‥‥」
「何してんねんっ!」
 ずばしぃぃん!!
 のっけから大暴走する真田は際どいネタをぶちかまそうとした途端、ハリセンが翻り、猛烈な突っ込みを喰らう。
 んべちょっと床に叩きつけられ、あまりの痛みに手足が痙攣。その姿は仕留められた彼の虫のようだ。
 そんな半死状態の真田を大きな紙で回収する赤鼻とベルを付けたトナカイ姿のマロ君に入る如鳳(fa2722)。因みに彼がヘラジカだという事は気にしてはいけない。
「‥‥こほんっ、『先んずれば人を制す』で人よりも先にアクションを起こせば、有利な立場に立てるという諺が立証でき誰よりも早くハリセンを頂く事になった真田さんでした。では、いろはに諺始まりです」
 さっぱりと真田の行動を流し、郭氏文はいつもの調子で進め冒頭を締めた。今回もぶっ飛んだ形で開始である。


 恒例の文字作りセットの前。
「昨今の『さ』ー。クリスマス到来! お姉さんやマロ君も着飾ってるね。俺も頭にポインセチアでも挿しておこう☆ うふふ妖精みたい?」
「挿すの『さ』ー。HIKAGEさん、それは乗せているが正しいですね!」
「さようならと寒い北風が吹く中、去って行く寂しげな背中。左遷かと最愛の妻に尋ねられ、在宅になったと答えた。支えてくれる姿に、再興を決意し菜園を開始する。作物の出来に細心の注意を払い、さまよいながらも才覚を表した。最高の出来栄えに最愛の妻と手をとり、盛んに喜んだ‥‥の『さ』ー」
 カメラの前まで走り、全身白タイツ姿で頭の上に植木鉢を固定しているHIKAGE(fa1340)。本人は可愛い妖精を気取るも、すぐ後のHAKASE(fa2600)が手に携えたマペットと一緒に突っ込む。
 その後をクリスマスを意識した真っ赤なリボンのシールをあちこちに貼りながら、お題文字を当てた即興曲を歌う雅楽川 陽向(fa4371)。個々に最初のお題文字を終えると、文字を作る為セットに登った。
 鉄棒の上段に寝そべるHIKAGEにHAKASEが縦棒役でくっつく。彼らの足下に雅楽川が寝そべり颯爽と声を合わせ、
「「「さーー」」」
 お題文字の完成である。数秒キープした後、イソイソと降りてくると、HIKAGEは辺りを見回し、やや態とらしく溜め息。
「クリスマス何か足り無くない? そうクリスマスツリーだよ! ということでハイっ」
 ツリーが無い事に気付いた彼は、意気揚々と取ってきた。が、よく見るとそれは梅の盆栽にオーメンと飾り付けたモノ。
「ヒカゲン、それ梅やろ!」
「あ、間違えました! こっちこっち‥‥ハイ!」
 豊浦に突っ込まれ次を出す。ざざっと涼しげな葉音立てる竹だ。細い枝が飾りの重さで撓っている。ついでに靴下の代役に短冊に願い事まで下がっていた。呆れ顔の豊浦が再度、
「これ、竹やん! 七夕ちゃうんやから短冊に欲しい物を書いても無理やねんで!」
「これも違うの? なら三度目の正直、今度こそ」
 眉根を押さえ豊浦がまた突っ込む。HIKAGEは三度目のなんとやら。準備していた台車をガロゴロと押してきた。
 遠目に見れば、綺麗に飾られたもみの木。だが徐々に近付いてくるとそれは和っぽい雰囲気を醸し出している。
「松の木やんかっ間違いは『二度ある事は三度ある』の実施やったんかっ‥‥天誅!?」
「違うよー『三十六系逃げるにしかず』です。それー逃げろぉー」
 ハリセンを振り上げる豊浦にHIKAGEは上手い諺を当て嵌め、三つの和風ツリーを放置し脱兎の如く場を後にした。
「『三十六計逃げるに如かず』、計略にも色々あるが、不利な状況に負い込まれた時は逃げるのが、最良の策だと言う事。上手いですね、ヒカゲン。では次は私。先程冒頭でお姉さん達にお願いをしていた事をしますね。パーティに欠かせないサンドウィッチ。この番組では恒例のロシアンサンドウィッチの登場です。『先んずれば人を制す』で相手より一歩先に手を打てば、断然有利に相手を制する事が出来るという言葉があります。ですが今日の私は後者に回りますね」
 郭氏文が事前に指示をした辛子や山葵のはみ出すサンドウィッチが運ばれてきた。勿論それはダミー。見えないものの方に沢山入っている細工なのだ。
「皆さんお先にどうぞ。HIKAGEさんも。真田さんも起きましょうね」
「僕も後でいいっす! みんなが選んでいる間に話を一つ。『さ』の真田・勇っすよー。最近の『さ』でもあるっすね。ふと気付いたのですが、TVの力は怖いモノでネタと事実の違いは分かり難く、世間の認識と事実が異なる場合が多々あるっす‥‥」
 背後ではあーでもないこーでもないと選ぶのに余念が無い出演者。真田は気にせず、続ける。
「しかぁし、声を大にして言いたいっ僕は断じて芸人じゃないっす! っと言っても去るモノ日々に疎し‥‥。『砂上の楼閣』っす。最近は声優業もしていないので、つい自分でもそうだ思ってしまう事もあり、これを言ってないと本当に忘れそうで‥‥忘れそうで‥‥て、これただの愚痴ぃ?!」
「その通りです。さ、皆さんが選び終えたので、どうぞ真田さん。早くしてくださいね」
 真田は気怠げに遠くを見つめ、虚しい一人ツッコミをする。そこに郭氏文があっさと突っ込んだ。ある意味、豊浦のハリセンよりもキツイ。激しくいじけそうになる真田だが、諦めてサンドウィッチを手に取った。
「みんなーいっせいので食べるのだー! いっせいのー」
「「頂きまーす」」
 ばくんっ。
「辛子が少し効いていて美味しいー」
 苺の掛け声と共に出演者達が食べ始める。彼女の案で作られた牛豚鶏の三種類のサイコロステーキ入りのサンドウィッチ。なかなかの好評で満面の笑みで舌鼓を打つ出演者。その間に、のたうつのは真田と仕掛けた郭氏文だ。思いっきり当たってしまったらしい。
 鼻の奥にツーンとくる辛子に耐えながら郭氏文は、
「『歳寒の松柏』‥‥どんなに苦しい自体に陥っても決して節操を変えず、信念を貫き通す事の例えの言葉があるので‥‥と言いたい所ですが、ここは先程のHIKAGEさん同様に『三十六計逃げるに如かず』で‥‥少々失礼を‥‥」
 足早にカメラの前から消える。もちろん彼と同じように食べてしまった真田もそこにはいない。
「郭氏文さんの古代中国の兵法の諺に因んで、『左慈を投げる』を。本来は『匙を投げる』で困ってどうしようも無い見捨てる事である。この形になった場合、魏の国民が困っている所に投げると色々と助けてくれたりする。転じて助けが飛んで来る意味になったとか、ならないとか? 謎らしいです」
 と雅楽川が解説するもテロップ。『この諺の意味は誤変換です』と流れた。
「ふっ‥‥『策士策に溺れる』郭氏文さんの置いていった意味を紹介するわ。策略に秀でた人は策に頼り過ぎ、逆に失敗してしまうと言う事。そのまんまやったね。‥‥ほな次に行こうか、マイお姉さんよろって、あれ、お姉さん?」
「うるぅ‥‥誰もトリの着ぐるみを着てくれなかったのだー‥‥、せっかくクリスマスに食べるフライドチキンになって貰おうと思ったのにぃ‥‥」
 豊浦の呼びかけに答えず、いつの間に着替えた鴉の着ぐるみ姿で隅に正座をしサンドウィッチを食べながら、いじける苺。
 可愛い姿だが、郭氏文とHIKAGEをジトメで見、言っている事はかなり恐い。
「なんや、自分がトリになっていじけてるんかっ! まぁええわ。次はマペットと一緒に諺を解りやすく説明してくれるHAKASEお兄さんの登場や」
 苦笑いを浮かべる豊浦はHAKASEへ促した。


「歳月人を待たず、歳末まで先延ばして来た大掃除が迫って来ましたねー。雑然とした部屋でも挫折せずに片付けましょー。僕もさくさくと頑張りマス。毎度お馴染みパペットで諺を紹介するねー。サギっとサルっと」
 HAKASEが手に嵌める『鷺は洗わねどもその色白し』に因んだ鷺のサギ君に『猿の人真似』のサル君のマペットをにこやかに振り、いつものように胸前でパカッと開きご挨拶すると、お題コントに移る。
「あそこにいるのはサギ君だ。すごいや、小さいのに次々と魚を捕まえちゃうなんて! うきぃー『山椒は小粒でもピリリと辛い』だね、けど羨ましいっきー、おいらもこの尻尾で釣ってみるっきー」
 右手のサギ君が魚を次から次に捕まえるのを、羨ましそうに見る左手のサル君のマペット。閃いたように中の指を上手く動かし、HAKASEはサル君に手を打つ仕草をさせると、長い尻尾をカメラに向けてフライのように尾を投げ出させる。そこでテロップ『猿が魚釣る&砂上の楼閣』が流れた。
「う〜ん、上手く釣れないっきー、魚いないのか‥‥な、うっぎぃ!?」
 どぼーん!
 釣れないらしく落ち着かない仕草をサル君にさせると、今度はやや大袈裟な仕草で足を滑らせる演技。
 HAKASEの口から水に落ちる効果音が入り、再度テロップ『災害は忘れたころにやって来る』。
「うわぁサル君が川に落ちたサギッ! けど僕は小さいから巻き込まれちゃうし‥‥。ここは触らぬ神に祟りなしとでスルーするサギ」
 音に気付いたサギ君は振り返り、流れてくるサル君に知らんぷり。HAKASEはゆっくりと手を交差させ、やや捻る形が苦しいが少し我慢して続けた。
「サギ君、酷いっきー! た、助けてアブブ‥‥って、あ、あれ?」
「サル君は慌てすぎて、気付いてなかったけど浅い川だったんだねー。『騒げば三文の損』。みんなも困った事がおきても騒がず冷静に対応しようねー。サギっとサルっと!」
 HAKASEが丁寧に頭を下げて終わりにすると、その後ろを侍姿の如鳳が入るマロ君が通った。手には今回の好物の鯖があるが、派手なリアクションで悔しがっている。どうやら鯖が傷んでいたらしい。半泣き状態でフリップを掲げた。
 書かれていたのは『鯖を読む:数を誤魔化す事。鯖は痛みやすいので、数える時に急いで飛ばし、数えて実数を誤魔化す事が多いからという』。
 地団駄を踏んでアピールする如鳳のマロ君。だが何か閃いたのか両手をポンっと打ち、次のフリップに回す。そこに『侍と黄金は朽ちても朽ちぬ:金がその輝きを失わないように、武士の誉れの名も永く朽ちない』と書かれ、彼は築地へ行く。とフリップを一枚置いて行ってしまった。
 魚にメロメロ設定のマロ君らしい行動だが、出演者達は呆気にとられる。そこで苺が機転を利かせて、
「マロ君、築地へ行くのは良いけど温かくしていくのだー。『三寒四温』の言葉にもある通り、冬だからといって気温は変わらないわけじゃないのだ! みんなも対策しっかり忘れずに風邪に気をつけて欲しいのだ! じゃあねー」
「ちょっと待ったぁ、最後に二つ! 三度目の正直の『さ』、『触らぬ神に祟りなし』を実演っすー。つまり‥‥」
 締めに入る苺を制止し、真田が豊浦の頭を撫で撫を始める。あまりの恐いモノ知らずぷりに誰もが凍りついた。
 頬を引きつらせる豊浦は、ハリセンを一閃。
「乙女の頭をかいぐるなぁ!」
 ずばしぃぃん!
「うぅ、この通り‥‥再三再四‥‥意味はニ度も三度もあるっす。‥‥ツッコミの無限回廊っすな」
 メゲずに実戦しているのは真田自身。呆れ返りながらも出演者達はカメラに向かって手を振った。
「まったねー」
 マロ君は来週、築地から番組をする事になるかは、未だ不明である。