いろはに諺 きの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/24〜12/26

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「き」の文字を頭に使い(濁点可)面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 き
「木によって魚を求む」
意味:やり方が間違っていると、どんなに努力をしても目的は達成出来ないという事。出来そうもない望みを持つ事。

「京の夢大阪の夢」
意味:夢の中では京都でも大阪でも見物することができる事から、そこでは色々なモノを実現したり見物できる事。現実的ではない事を言う時に使う。

「木を見て森を見ず」
意味:森に入り木の一本一本に気を取られると、森全体の姿は分からない事で、小さい事や些細な事に気を取られると全体を見失う事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3724 ニコラ・リリェフォシュ(17歳・♀・亀)

●リプレイ本文


 彩色豊かに描かれるタイトル文字が子供達の声で読み上げられ、画面が切り替わったスタジオはいつもより賑やかな雰囲気でとなっていた。
「はい、今回もやってきました。いろはに諺の時間、司会者の郭氏文令明です。御相手はいつもの『錦上、花を添える』という、美しいものに更に美しいものを重ねるという如くなマイお姉さんとユ‥‥いえ、名物お姉さん、と言いたいのですが、お一人お休みで、本日の突っ込み役は私が務めさせて頂きます。思い切りよく決断し『清水の舞台から飛び下りる』の気持ちで頑張りますね」
 いつも通り挨拶を決める郭氏文 令明(fa0243)は『規矩準縄』と大きく筆書きされたハリセンを一振り二振り使い心地を試す。
「き、きらきら衣装でクリスマスーなのだぁ〜。がぅ?! けどやっぱりミニスカじゃなきゃ駄目なのかっ。ちょっと恥ずかしいけど。この際やってみるのだ〜‥‥。クリスマス きっちりやります いろはに諺なのだ!」
 隣の苺(fa3120)は毎度のツナギではなく、愛らしいボンボン飾りの付いたミニスカサンタの衣装に身を包む。
 しかし、その腕にはいつも通り『きらきらぼし』と書かれた腕章とマイク。この二点は譲れない苺の拘りようだ。彼女は照れながらも俳句を披露し、隣で待機するリミテッド版サンタクロース仕様のマロ君(如鳳(fa2722))に繋ぐ。彼は右手で衣装を摘みつつ、左手のプラカードを振りご挨拶。
 書かれているのは『京の着倒れ』。どうやらマロ君の生まれは『京都』という設定らしい。新たな秘密発覚に出演者は吃驚だ。
「ちょっと見ない間に、マロ君は進化してるんだ〜」
「日々、進化して流行が生まれてるんだ。世の中はきびしぃ〜っの『き』!」
 マロ君の発案者ニコラ・リリェフォシュ(fa3724)が、のほほんと納得顔をすると、絡むようにティッシュの箱を片手に現れたサンタ姿のHIKAGE(fa1340)。
 かみすぎて赤くなった鼻の彼はトナカイ向きの気がするが、これに関しては言ってはいけない。お酒を飲んで陽気なサンタ風といえばオチが付くからだ。
 風邪ひきさんの為か一人異様な盛り上がりを見せ、聞き覚えのあるスタジオ内を寒風を吹き曝すギャグを一つ。
 HIKAGEは凍りつく出演者達を気にせず、次へ移った。キューの合図で前もって録音していたナレーションが流れる。
『今日のお題は『き』。『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』か。イトコのお兄ちゃんから、女子にチューをして貰うと風邪が治るって聞いた事あるけれど、本当かな‥‥?』
 どうやらお悩み事らしい。カメラの前で悶々と考えを巡らすHIKAGE。純情といえば聞こえが良いが、見事に女性出演者やスタッフをドン引きさせていた。
 それをつゆ知らず、何か閃いたのか彼はひとつ手を打ち、苺に向かって今年の干支、猪よろしく猛進。
「マイお姉さぁん、チューして貰ったら風邪が治るって本当ぉ〜、試していい?」
 ぶばしぃん!
 間髪入れず郭氏文がハリセンで一蹴。モロに入り突っ伏するHIKAGEにフンッと鼻を鳴らし諺を交えた一言。
「そんな都合の良い風邪の治し方があるわけないでしょう! しかもマイお姉さんに強請るとは以ての外。『雉も鳴かずば撃たれまい』言わなくてもよい事を言うと、このように時に災いを招く時があります。皆さんも無用な事は言わないようしましょう。しかし私は仕事上喋らないわけにもいかないので‥‥。マイお姉さん、涎が出てますが私は雉じゃありませんよ? では今日も楽しく始まりです」
 彼のコメントで涎の筋をツーッと垂らす苺を軽くスルーして冒頭を締める。今回もいろはに諺が賑やかに始まった。


 やはり始まりは文字作りという事で、鉄棒が沢山ついたセットの前にティタネス(fa3251)と鬼王丸・征國(fa0750)そしてHIKAGEにニコラが立つ。
「イブの放送だけに『き』と言ったら『木』でツリーだよな? の『き』ー」
「ティタネスさんはツリーを担いで今日も元気いいの『き』じゃな」
 デデンっと、巨大なクリスマスツリーを担いで来たティタネスが微笑んでお題文字挨拶。鬼王丸がそこに上手く言葉を繋げ、鉄棒によじ上る。
 采配を振るう鬼王丸は横棒のHIKAGEとニコラに細かく指示を出す。ティタネスが二人に重なるように縦棒となり、セットの中央で直立。出来上がった事を確認した鬼王丸は、その足下の鉄棒にやや斜めに寝そべり固定した。
「「「「きー」」」」
 頭にサンタ帽を被った平仮名文字が出来上がる。数秒固定した後、降りてくる彼らの間を繋ぐ如鳳の入るマロ君が、ホワイトボードを手に再登場。カメラの前に立つとぺこりと一つ頭を下げ、ボードを一回転させた。そこには『喬木風に折らる:人の上位にある者は他人の嫉妬などを受け易い』とある。
「ふぅん、マロ君は人気者でみんなから嫉妬されているとゆー事なのか?」
 苺が不思議そうに問うと、派手なリアクションで頷くマロ君。
「こちらも『雉も鳴かずば撃たれまい』ですね。その自信はどこから来るのでしょう?」
 郭氏文が背後から忍び寄り溜め息混じりで、マロ君に一撃。喰らった方はショックとばかりに大袈裟に反応して、マジックでホワイトボードに『虚器を擁す:実権を伴わない名ばかりの地位であるので、自分の意志を働かせる事が出来ず、他人から自由に操られ、制御されること』と書き込む。
 静かにペンを置き、トボトボとスタジオの隅まで行き、さめざめと泣き真似。完全にいじけたマロ君にどうして良いか解らない。
 その時、ツリーのてっぺんによじ登っていたニコラが、えいやっ! っとフライフィッシングの要領で彼の前に人参付きの糸を垂す。
「覚えてるかなー? 久しぶりの登場のニコラだよー。んとねーお題はー『木に寄りて魚を求む』なんだー。意味は水の中にいる魚を捕まえるのに木の近くに居ちゃ捕まえられない‥‥つまり、方法が間違ってるって事だねー。マロ君の前に人参を出しても好物が違うから食べてくれないかもーっていう意味。けど慰めにはなるかもー?」
 目の前で揺れる人参をちろっと見るもマロ君は食いつかない。代わりにCGで処理をした若き日の鬼王丸と相棒である馬の麒麟号が颯爽と草原を駆ける映像が流れ、鬼王丸の懐かしむような低い声が追う。
「人参といえば馬。ワシの若い頃はこの通り精悍な馬を連れ、よくレースに出場したものじゃ! そして今も‥‥」
 説明と共に映像が終わり、化粧によってかなり老け込んだ鬼王丸と馬がスタジオに姿を見せた。
 昔の栄光はどこへやら。しかしまだレースをする気はある。いじけるマロ君の肩を叩き、
「のぅ、マロ君よわしらと勝負するのじゃ! 人参を先に取った方が勝ちじゃ」
 誇らしげに挑む。勿論、挑まれたら後には引かないマロ君。着ぐるみというハンディはあるが掛けに乗る。男の意地だ。
「がうっ! クリスマスにレース‥‥。ん〜、いろはに諺G�Tアリアリ記念なのだー! ではよーいどんっ」
「ん〜、マイお姉さんのちゅーが駄目なら、男子でどうだろう? 試してみる価値あるかな?」
 苺のスタートの合図に合わせニコラがクルクルとルアーの先に付いた人参を操り、誘導する。
 えっさほいさ走る彼ら。鬼王丸はかなりマジだが、先程から女性限定にちゅー攻撃をしていたHIKAGEが無差別ちゅー乱射を始め、勝手に馬に飛び乗る。鬼王丸はそのため思うように動けずにいる。
「こりゃぁ、寄るなぁ。そんなの嘘に決まっておるじゃろぉ」
 叫ぶ鬼王丸に腹黒い笑いを浮かべたマロ君は彼らを軽々と追い抜き、人参をゲットした。用意されていたホワイトボードにキキュッキューっと諺、『戦国策−楚策 夫驥之歯至矣 服塩車而上太行:中国戦国時代、遊説家の汗明が楚の宰相春申君に自分を売り込んで言った言葉』を書き込み、一人で勝利の余韻に浸る。負けた鬼王丸はガックリと肩を落とし、
「うぅ、一日千里を走ると言う麒麟でも、老いては駄馬にすら劣ると言う『麒麟も老いては駑馬に劣る』のか。いや、次こそ起死回生を狙う! 待っておれよ」
 今度は彼が半泣きとなり、スタジオの隅でいじけだした。
「勝者はマロ君なのだー。人参ゲットでよかったのだ」
「おめでとーマロ君、あー人参で釣れたんだー。そうだ、木に寄りて魚は釣れないって言ったけど、こうするとね?」
 拍手喝采の苺。ニコラはおっとりとした口調で釣れた如鳳のマロ君の上に、ぱさりと大きめな布を落とし彼を隠す。小さく呪文を唱え、竿を器用に操り針で布を捕らえると、リールを回し外すと、なんと下半身がお魚になったマロ君が現れる。
「マロ君が魚になりました〜♪」
 愛らしく微笑み得意の手品を披露するニコラ。その下で如鳳のマロ君は跳ね回り、戻してっと行動で訴える。
「んー? 戻して欲しいのー、それじゃあー」
 ニコラはちょっと残念そうな声を上げるも、再度布を掛ける。
 ぶわぁ!
 今度はリールで巻き上げるのではなく、ステッキを振るい小さな風を巻き起こし布を払う。そこには元の足が生えた如鳳のマロ君が現れた。
「ん〜、やっぱり木の上ではお魚は釣れないという事でー」
「そうですねニコラさん。『机上の空論』、木の上の魚釣りは頭の中だけの実際に釣れず、役に立たない考えの事でした。ではひと息、CMです」
 ちょっとばかりキツイ物言いだが、郭氏文は上手く諺を使いCMへと促した。


 CM明け。イトコに騙された異様に目の据わったHIKAGEと『疑心暗鬼』のテロップが同時に映し出される。
 どうも他の出演者達に疑いを持っているようだ。
 そんなことを気にしていないのはティタネス。彼女は緑色の衣装に着替え、小人役で彼に話し掛ける。
「ねぇ、HIKAGEサンタさん。あたしもプレゼントをラッピングするのを手伝うよ、ここに積んでる三倍の量は確実に出来るね」
「へぇ‥‥それって『京の夢大阪の夢』。とても現実的じゃないよ」
 HIKAGEが笑う。ついでに彼の心の声もナレーションされた。
『ティタネスさんは小人さん役だけど、大きくて羨ましいなあ〜。けど俺の事はチビだと思っているに違いない‥‥。きっと俺と戦ったらボロ負させる事が出来ると、思っているのでは?!』
 疑心暗鬼もここまでいけば被害妄想。丸聞こえであるがティタネスは気にしないように心掛け、次に動く。
「いや、思って‥‥。違う! 包装出来きるったら出来るんだ」
「ふぅん、それじゃお願いするよ」
 言い切っ彼女に、当てこすりなのかHIKAGEは三倍の量もあるプレゼントの山を用意した。
 驚くティタネスだが後の祭り。途方にくれるもすぐに気を取り直し、
「『窮すれば通ず』だね。なんとかなるさ」
 すぐに手を動かし作業開始した。その様子は少々編集され早回しの中、こっそり紛れ込んだ黒子役の金髪の青年と共にちゃっちゃっと包装していく。
 明け方。包み終えた彼女の前にHIKAGEサンタが現れ、感心した様子で辺りを見回した。
「ふぅ、終わったよ。HIKAGEサンタさん。本当はただの大風呂敷だったんだけど、『虚が実を引いた』かな? けれどマジメに頑張ったら何とかなったよ。『勤勉は成功の母』だね」
 それに真顔で微笑んだ。いつになく可愛い仕草に言葉を飲み込む男性陣。特にHIKAGEは間近で見てどっきりだ。つい、
「ティ、ティタネスさんっもしかして、俺に無理矢理チューしようと思ってません!?」
 ぶっ飛んだ事を口走る。流石のティタネスもこの一言にはちょぴりキレだし、
「んなのあるわけないっ!」
 ずぼっ!!
 ぶぅんっと腕を振りHIKAGEを思いっきり横殴り。彼は容易く吹っ飛び、そのまま包み終えたプレゼントの山に突っ込んだ。
「こ、これが本当の『九死に一生を得』だ‥‥ね」
 何とか起きあがり一言。だがすぐにヘロヘロっと床に落ちた。


「さぁ、そろそろお仕舞いの時間です。皆さん楽しんで諺を学べましたか?」
「クリスマス会の始まりなのだー。ここに用意されたお料理は恒例のロシアンメニューなのだ! うわーいトリなのだ‥‥ってがぅ?! か、からぃ〜〜」
 最期の締めを行う郭氏文。背後に並ぶ出演者達の目の前には苺とスタッフが用意した中に山葵や辛子が入った奇想天外なロシアンメニューが並んでいる。どの料理も全て同じ外見ではない事から区別を難しくしようという配慮をしたものだ。
 だが、それが仇となり真っ先に苺が引っ掛かっている。笑いが起こる中、最後に鬼王丸が着ぐるみの説明をする為、前へ進みでる。
「マイお姉さんが『聞いて極楽、見て地獄』を実戦しているところで、ワシも着ぐるみについて説明をしようかのぅ。着ぐるみとは聞いてる分や見てる分には、楽しそうかもしれぬがやるのはちぃとつらいんじゃ。っと、ん? マイお姉さん もう復活したのか? 以前よりおもk‥‥」
「酷いのだー! とぅ」
 ズバシっ!
 着ぐるみと聞いて目を輝かせた苺が鬼王丸によじ登り、トナカイの角のヘアバンドを頭に装着。強面になんだか可愛いヘアバンドはミスマッチのように思えるが、なかなか愛らしい。しかし言っている事はまったく可愛くないので、素速く苺に蹴られた。
 誰もがその光景を笑いながら、出された料理を疑いつつ食べる始める。そんな中、郭氏文が本当の締め入った。
「さて私は来年こそ『驥尾に付す』で、優れた上司を見つける予定です。皆さんも早くに抱負を見つけ、実行しましょう。ではまったねー」
「うぅ、俺がチューに拘ってるのは今日がイブだからだー! けどこれは来年の抱負ー」
 HIKAGEの虚しい抱負が響く中、番組は終了した。