いろはに諺 ゆの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/31〜01/02
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「ゆ」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
ゆ
「油断は不覚のもとい」
意味:油断すると、仕損ずる事になるという意味。
「湯水のように使う」
意味:金銭をあるに任せて無駄遣いする事。
「雪に白鷺」
意味:雪も白鷺も白色であるところから、見分け難いこと、また、目立たないことの喩え
●リプレイ本文
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彩色豊かに描かれるタイトル文字が子供達の声で読み上げられ、画面は切り替わる。
「はいなっ、今年も残すところあと僅か、年内最後のいろはに諺の放送やで♪ 本年最後のお題は『ユラお姉さん』の『ゆ』ー。他には『勇者は懼れず』やな。何事も失敗を恐れず『雄心勃々』と『勇往邁進』して、いつでも諦めない気持ちを持つ事は大事や思います。そうすれば『夢』も叶う筈ですよってな。ほな、紹介と行きまひょか? 毎度お馴染みうちこと、ユラお姉さん。そしていつも『雄心勃々』なマイお姉さんに『悠悠緩緩』の郭氏文さん‥‥それから勿論マロ君に文字ぃ君達も一緒や。今年最後、気合入れて『有終の美』を飾って新年を迎えよかー♪」
「えぇ、お題は『優美』なお姉さん達の『ゆ』ですね。素敵な言葉の頭に付く文字のようです。おや、またも甘過ぎでしたか? こほん、では気を取り直して、自己紹介を‥‥司会者の郭氏文令明です。ここで私から一つ提案なのですが、有名なお姉さん達と有休をご一緒させて頂き、湯煙の旅というのはどうでしょう? もしかしたら、湯煙夢気分で番組進行の方が数字が取れるかもしれませんよ。『湯の時宜は水になる』で如何です? ディレクターにお姉さん。遠慮するのも時と場合を考えてすべきだと言う事になりますよ? っと‥‥これ以上ここで言うのは、ファンの方々よるクレームが来てしまいそうですね」
本年最後の放送という事もあり、豊浦 あやね(fa3371)は気合いを入れて挨拶すると、隣に立つ、シャキッとスーツを着す郭氏文 令明(fa0243)に振る。彼はその容姿とは裏腹に、かなりリラックスした様子で言葉を紡ぎだす。が、かなり緩みすぎな気配だ。
ちょっぴりアヤし気な言葉まで加え、カメラの横にいるディレクターに企画なる冗談口まで飛び出させた。だが口元は笑っているも、ディレクターを見る目はかなりマジ。
聞いていた鬼プロデューサーが、楽しそうな企画にOKの合図を出そうとするが、豊浦や苺(fa3120)にしてみれば、乙女と混浴とは以ての外。
当然、突っ込みお姉さん豊浦の不穏当発言やボケネタアンテナが素速く反応示し、手に持つ愛用のハリセンが振り上がる。
「なに、微セクハラチックな発言をしてるんや! 天chぅ‥‥って、うはっ?! マロ君、なんやのぉ?!」
ビシィィ。
だが今回、郭氏文の頭にハリセンが命中する事はなかった。
何故なら青地に金縁の鎧の胸に、大きな丸の中にお題文字である『ゆ』の字を収めた、めっさ格好いい勇者姿のマロ君こと如鳳(fa2722)が、一方の手でビラビラと風に靡くマントを演出しながら豊浦のハリセンを剣ならぬプラカードで受けていた。
両者、ギリリっと火花散らしての鍔迫り合い。
一瞬の隙をついて、如鳳のマロ君がぽよんとしているお腹で豊浦を付き飛ばした。尤もこれもプロデューサーの書いた台本に書かれた流れのうち。
よろめいた彼女をチロリと見ると、マロ君はヒーロー顔負けの見事な決めポーズを作り、勇往邁進でフンッと鼻息荒くプラカードを掲げた。書かれていたのは『勇にして礼無ければ則ち乱す: 勇気があるのは大事だが、節度がなければ単なる乱暴者である』っとある。
どうも郭氏文に、もの申すというようだ。だが彼にそんな事をするよりも豊浦にアタックを決めてしまった方を気にした方が良い。
ゴゴゴゴっと怒りのオーラを纏う彼の突っ込みお姉さんにようやく気づき、たじろぐ如鳳のマロ君。
「確かに郭氏文さんのコメントは節度の問題やけど、女子にプラカードを振り上げるのも一緒の節度越えやろ! 『弓は袋に太刀は鞘』平和ならこのハリセンは必要あらへんけど、やっぱり流石にそんな訳はないんやな‥‥ほないつもの‥‥天誅!」
ズバシィィン!
いつも通り、豊浦がハリセンを力一杯、振り切ったスイングを如鳳のマロ君のド頭に決め、床の打ちのめす。
喰らった如鳳のマロ君は、痛々しいやや大袈裟すぎる演技で、フルフルと『弓折れ矢尽きる:戦いに散々に負けた状態。また力尽きて、どうにもしようがなくなった様子』のプラカードを掲げると、パタリと倒れた。
「さて、そろそろ今日のいろはに諺を開始したいと思いますが、なんだか後ろがスースーします‥‥。そう、今日出演予定でした文字ぃ君達は風邪を召されたようでお休みのようです。人が少ないと寒いモノですねぇ」
郭氏文が残念そうに一言。カメラがゆっくりと回り、やや薄暗い出演者の休憩所を映し出す。マスクを掛け、テーブルの上に器用に座らせられた人形の姿が一つ。ちょっと切ない映像だ。カメラはまたゆっくりとスタジオに戻ろうとすると、床に突っ伏する如鳳のマロ君が手にするプラカードに悪戯を施している苺も映し出した。
カメラの存在に気付いた彼女。本人はこっそりやっている気らしいが、端から見れば堂々としたもんである。糊付けし終わりひと息付いた時、ようやく見つかった事に気づき、慌てて立ち上がると場を取り繕うように、
「がぅ?! だからスタジオは『幽霊の浜風』のようなのかー‥‥。意味は浜風に吹き晒されたように、ぐったりとして元気がない様子。いやに文字ぃ君が少なくてそう感じるのだ。でも大晦日もいろはに諺でいくのだ! ところでみんな来年の抱負を考えたかー? おいらの抱負は年末より年始にやった方がいいのだ。という事で始まりなのだー!」
しどろもどろで愛用のマイクSHOUTと『行く年来る年』と書かれた腕章の付いた腕を振りながら、ジトメで見る豊浦に目を合わせないようにして勝手に締めてしまった。今回は少々寂しい感じで番組‥‥開始である。
●
「ん〜、文字ぃ君がおらへんかったら字が作れないなぁ‥‥え? うちらで作れ?! そんな無茶な‥‥って。うはぁ、ヒカゲン!! いつからそこにおったん? 座敷童みたいで驚いたわー」
お題文字を作ろうにも文字ぃ君の姿がない。ひとまず司会の三名の手でと行こうと思うが、ふとスタジオの隅で膝を抱える体育座りでニコニコと番組を眺めているHIKAGE(fa1340)の存在に、豊浦が気付き飛び退いた。そんな恰好で居られれば彼女でなくとも驚く。
しかし驚かれた方のHIKAGEは心外だとばかりに、
「酷いっ! 居たさ、ずっと居たさ! みんなが挨拶をしている時にちょっとお使いに行って番組から出た以外は。ま、あまり目立たない『雪に白鷺』の諺が上手く行ったという事で、よかったー。ところで今日は大晦日だよね、だったら『行く年来る年』の『ゆ』ー! さっき番組から年末のおこづかいを貰って年越し蕎麦買ってきたよ! そりゃもう『湯水のように』 お金を使い、特上の蕎麦や大海老入り天ぷらにお節料理と、あらゆるものを買い揃えてきたぜ。やっぱり最後は年越し蕎麦を啜って年を越そうよっ! トッピング乗せ放題だよ〜っ」
実はディレクターに頼まれて買い物に行っていたHIKAGE。出演者に買い物を頼むとはどういった了見なのかと問いたいところであるが、彼も快く引き受け、近くのスーパーで色々と買い揃えてきたのだ。
HIKAGEは黒子の衣装を着た女性の用意するテーブルの上に買ってきた物を並べだす。取り出される食べ物に苺の目が輝いた。
「さー、これで全部だよ。早くお蕎麦を食べようよ!」
袋の中身を出しきると、笑顔で調理に取り掛かり始めるHIKAGE。だがまだ足下に残る大きな袋を見た豊浦の目がキラン☆ っと光った。
「なぁヒカゲン、この袋はなんやねん? 色々とぎょうさん入ってるけど‥‥」
ざばーっ!
ぎくりと身を強ばらせ、そそっと袋を隠そうとするHIKAGEだが豊浦の手に一歩及ばず。彼女は素速く袋を掴み、テーブルの上に撒けた。
出てきたのは大量のおまけ付きお菓子。HIKAGEは大慌てで引っ掻き集め、懸命に弁解を開始する。
「あっ、『行きがけの駄賃』ってやつで‥‥ついでに買って来た♪ 年末セールで安売りしててさぁー、ホラ、これいいでしょ? リアルな鍋物のフィギュアでねっ」
ジトメで見る豊浦と郭氏文に大汗を掻きながらHIKAGEは色々と言葉を並べる。苺は逆にHIKAGEが並べた食べ物を横からサッと掠め片っ端から口に放り込み、幸せそうに咀嚼。
「自分のお金でしたらいいですが‥‥どうでしょうヒカゲン?」
「う‥‥お、俺の金で‥‥いあ。てへっ☆ ごめんちゃーい」
「なぁに番組の経費を使いこんどるんやぁぁ! ほんまに天誅や」
どごげしぃぃん!!
郭氏文の追求に、もはや逃れられないと思ったHIKAGEは、可愛く小首を傾げ謝罪を述べる。が、豊浦は許さなかった。熊虎の如く正義の鉄槌。凄まじい破砕音を響かせ今年最大の突っ込みハリセンをHIKAGEを吹っ飛ばす。
しゅるる〜〜ぼとん。
ぶっ倒れている如鳳マロ君の傍にぼとりと床に落ちたHIKAGEは、よよっと最後の力を振り絞り、
「うぅぅ‥‥、沢山、ドツかれてもめげなかった俺にお疲れ様。それじゃ、みんなよいお年を‥‥。悪い初夢見ても『夢は逆夢』ってゆーから気にするなぁ〜‥‥いい初夢だったら、正夢だと‥‥、あぁこれも夢?」
言い切ると、突っ伏した。
代わりにマロ君がふっと息を吹き返し、重い頭を揺すりながら起きた。辺りを見回し、一つ手を打つ。どうやら本人は夢を見ていたと思ってるらしい。傍にあったプラカードを手にすると、カメラに向かって、
『夢は逆夢:悪い夢を見た時に縁起直しにいう言葉。夢に見た事が現実に起きるとは限らないという事。夢とは往々にして逆夢で、実際には反対のことが起こるものだということ』と丸っこい文字で書かれた『ユラお姉さん=優勝劣敗』を掲げた。
「起きてきて夢オチかいなっ! マロ君」
すぱーんっ!
再度、豊浦のハリセンが唸りを上げ如鳳が入るマロ君後頭部に鋭い一撃を与えると、お終いを見極めた郭氏文が、静かに前へ現れ、最後の締めの挨拶を始める。
「さて今年最後のいろはに諺は落ち着いたようですね。今日も楽しく諺を学べましたか? では私からも夢に因んだものを一つ。『夢の浮橋』、世の中が頼りなく渡り難い事や、儚い事の例えです。そう、もっと‥‥私の思い通りにならないものでしょうかねぇ‥‥ギャラは安すぎですし、出番もやや少ない‥‥。それらが叶うのは夢のまた夢でしょうか? ははは、全ては夢の話ですよ。えぇこんな小さな夢も『夢は逆夢』で現実では逆の形となって現れると言うことであれば良いですね」
彼の言葉はどことなく切ない訴えも混じっているがプロディーサーもディクターもスルー。
「夢といえば、もうすぐ初夢! 初夢においら達が出てくるようになったら、TVの前のみんなも立派な諺博士なのだ。さぁって、今年も残りあと僅か、気は抜かずに最後一日を格好良く決めようー! 油断大敵、流行病なんかは特に気をつけてねーなのだ。‥‥って、綺麗に纏めておけば、突っ込みも入らないハズ‥‥っ」
「この最後の諺はマロ君のものちゃうのは、解ってるんやで! 油断は禁物で大敵やマイお姉さんっ」
にっこりと微笑み手を振る苺も夢に因んだ言葉で締め。最後にモゴモゴとなにか口にし小さくガッツポーズ。だが豊浦の目はやっぱり誤魔化せない。
すぱーんっ
景気のいい音を立て、苺の頭にハリセンを打ち込むと、クルリと満面の笑顔でカメラに向き直り、
「なぁラストはいつもの『まったね〜』でもええですけど、やはりちゃんとしたもので締めるのも乙やろ? ほな、本年中は色々とお世話になりました。明年も『いろはに諺』をどうか宜しくお願い申し上げます」
深々と頭を下げる。隣ではマロ君がスタッフに手渡されたフリップ『2007年もいい年でありますように』を振りながら可愛らしく頭を下げた。
「今年も残すところ僅か、番組のお題文字も同様に僅かです。最後は『有終の美を飾る』で、物事を最後まで成し遂げ、良い結果を残す事が如く、頑張りますよ」
来年の抱負を語る郭氏文。そして最後に苺とようやく復活したHIKAGEが手を振り、
「もうすぐ終わり‥‥因みに、『ん』は総集編とか、打ち上げ風特番でもやるのかなー?」
「だと良いね、いっぱいおまけ付きのお菓子の準備だー」
鬼プロディーサーの顔を期待の眼差しでじっと見た。さて、来年、この番組の最後はどうなる事でしょうか? まぁまだ先の話し。
今はもう少しで鳴り始める除夜の鐘を聞きながら、年越し蕎麦を啜る事に専念いたしましょう。