いろはに諺 めの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/07〜01/09
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「め」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
め
「目の中に入れても痛くない」
意味:自分の孫や子供等がとても可愛くて凄く可愛がる事。
「目は口ほどに物をいう」
意味:口で言わなくても、気持ちのこもった目つきは相手に自分の気持ちを伝える事が出来るいう。
「名物にうまいものなし」
意味:各地の名物と言われている物は、食べてみると実際、さほど美味しくない事から、評判というのは必ずしもその通りではない事。
●リプレイ本文
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赤と金色の煌びやかな垂れ幕で賑わういろはに諺の撮影スタジオ。更なるおとそ気分を盛り上げる雅な縦笛と琴の音色が流れ、カメラの前に正装した司会者達が映し出された。
「ぉ‥‥めでとーうございますなのだー。年が明けたのだ」
「今年も信念一発目のいろはに諺の始まりやねん。さー『メートルを上げて』『めっちゃ』楽しく始めていこか。と言うことで司会を勤めるのは、ウチことユラお姉さんにマイお姉さん。そして郭氏文さんやねん。勿論、マロ君文字ぃ君も一緒や! 今年もTVの前の皆が『目が離せない』ほどのネタの数々を『目白押し』するさかい、しっかり勉強したってくださいー」
桃色の振袖の袖をブンブンと振り回しながら、やや無理のあるお題に因んだ挨拶をする苺(fa3120)。苦笑いを浮かべつつ、赤い袖を着た豊浦 あやね(fa3371)は切り替えるようにペコリと頭を下げた。
次いで紅一点ならぬ黒一点の司会者、郭氏文 令明(fa0243)がビシッと決めた黒のスーツ姿でいつもと変わらない淡々とした話しを進め出す。
「はい、去年に続き今年もお馴染みになる予定の司会者、郭氏文令明です。新年早々、美しく着飾ったお姉さん達を拝めるとは‥‥『目の保養』でしょうか? しかし同じ殺生でも美人が流し目で男性を虜にするのは悪いものではないらしい『目でころすは殺生の外』には早いのでしょうかね‥‥」
「うちらはそないに子供やないで、郭氏文さん! 正月早々に『滅多打ち』覚悟な発言やねんなぁ」
ブゥン、ブゥン。
「あぁ、そんな『目くじらをたてる』事をしなくても‥‥」
お題文字とその諺を上手く当て嵌めているが、女性相手にやや不謹慎とも思える発言。素速く反応した二人から無言の圧力を掛けられ、郭氏文はたじろぎ、言葉を探す。そこに、初登場の恐い者知らずの長澤 巳緒(fa3280)がお題文字の『め』に合わせたメイド姿で現れ、
「だったら『綿々を絶たずんば蔓々を若何せん』だね。郭氏文さん。諺の意味は、災いは芽のうちに摘み取らなければ、蔓延ってしまい、除去できなくなる事。だからここは一旦、仕切直して新たに番組を始めようー。えっと‥‥今日も始まりました、いろはに諺。お姉さん達にマロ君、文字ぃ君達は今日も元気だよ。さっきユラお姉さんの他のVTRをみたけど、モテモテだね。これぞ『面面の楊貴妃』かな? 最近の流行のツンデレを地でいく? とか」
「長澤さん、モテモテはユラお姉さんばかりではないのだー。おいらもなのだ! んでーユラお姉さんも、一緒にメイドに変身! ツンデレ司会メイドなのだ!」
郭氏文を助けながらもちゃっかり司会を始める。しかしもその言い様は凄い。苺は何を思ったのか、というか台本通りに闘争心剥き出しの演技で帯に手を掛けグルグルっと着物を脱ぎ捨て、予め着ていたメイド服に早着替えを済ませると彼女に向かって、ビシッと愛用のマイクと『めんたいこー』と書かれた彼女直筆の似顔絵付き腕章を嵌めた腕を振り翳した。
この腕章のイメージは、耳に付いたら離れないたらこの被り物をした少女達がモチーフらしい。豊浦も苺に合わせ揃いのメイド服に着替えると、ここまでのボケに冷静に突っ込み開始。
「まずは長澤さんな、開始してしもうたらやり直しは出来へんでー。そして諺はウチに対する挑発やな? ほな、ここは一つ。これがほんまのメイドならぬ『冥土の土産』やっ!」
すぱこん!
「いたー私の発言って『目の上のこぶ』だった?」
「その通り! さて次にマイお姉さん。あんなメイドイコールツンデレはナイやろ? それに腕章‥‥突っ込みどころが多すぎやねん!」
「そんな事無いのだ! メイドはツンデレ。ユラお姉さんもツンデレなのだ。そして腕章は『たらこ』ではなく『めんたいこー』なのだ!」
すぱーんっ!
豊浦はハリセンを振り翳し長澤に突っ込むと、向き直り苺の番。
だが苺は納得がいかないらしく一人熱弁を振う。豊浦は台本通りフムフムと一応、最後まで聞くと、ハリセンを再度、振り彼女をはたく。
慣れてしまっている苺は、これくらいではめげない。頭をさすりながら、
「ツンばかりだと思うけど、ユラお姉さんがナイと言い張るなら、デレでもいいのだ。って、がぅ‥‥お姉さんには確実にそれはないのだ‥‥。仕方ない、ツンデレは諦めて、おいらと同じダラーン‥‥というか、じゅるりとかを探すのだー」
なんとか豊浦からデレの行方を探る。が、溜め息を付いた。まったく無いのだ。
仕方なしに自分指差しながら意味不明な一言を発すると、どこに反応したのか新年ということで羽織り袴を着ていたHIKAGE(fa1340)が飛び出してくる。
「えぇー、ツンデレでメイドのコスプレが自由化? それは着ねばなるまい! ちょっと小間使い風だけどエプロンとボンネットは着用だ! ぐふふふ、目から鼻へ抜けるような、抜け目なさで今年も頑張るぜー!」
んばっ。
彼はカメラの前にズズイっと立つと襟に手を掛け左右に引き、その場で生着替え。と、いっても苺同様に中に仕込んでいたので脱ぐだけだ。
現れたのは臙脂の矢絣に紺の袴を着用し、フリフリのエプロンをした和風テイストなメイドに変身したHIKAGE。
彼と同じように特大サイズのメイド服姿に好物のめざしを振り回す如鳳(fa2722)の入るマロ君が、隣で楽しげに踊っている。
ここまでくるともはやメイドが、なんたるか忘れてしまいそうだ。
ここでHIKAGEの心情を現したテロップ『この抜かり無さで、今年はお姉さん達の目から鱗が落ちるに違いありません』。
確かに落ちたようだ。だが落ちた理由はそっちではなく、その姿だ。
ともより諺で言うなら『目口開かる: 目や口が大きく開く。驚き呆れたときの様子』。
「こんな可愛く変装できる俺でもお姉さん達の付け合わせで十分! これが本心だよ、ほら、目が物語っているでしょ‥‥ね? 『目は心の鏡』なんだから」
「否。メガネっ子メイドでも大正浪漫漂う男のお給仕さん姿ではないのじゃ! パフスリーブのついたロングのワンピース、そしてエプロンにカチューシャ。色合いは汚れが目立ちにくいダークブルーじゃ。ミニスカに袖なしのメイドなど言語道断なのじゃ!!」
「なにもそこまで拘らんかって‥‥なぁ」
ウルルっとするHIKAGEを押しのけ、今風メイドに憤怒しながらもお題のケジメは忘れない鬼王丸・征國(fa0750)が登場。
彼は『明眸皓歯:明るい眸と皓い歯が美の要件。美人の例え』と某球団員の爽やかな笑顔の乗るフリップを手に、彼自身もキラリ歯を輝かせ独自に極めたメイド衣装のなんたるかをのたまう。あまりの熱血振りに呆れた豊浦がジャブ代わりに突っ込んだ。
「いや、人間、拘りは必要じゃよユラお姉さん。拘りを無くせば、そら‥‥」
ジッと女性陣の腹部当たりを見る鬼王丸に豊浦は目敏く意図を関知して、
「なんやねん、その視線?! 年末年始で太ったとか言いたいんやろか? 許せへんでー。ウチの『目の黒い内』は『目を光らせて』しっかりツッコミを入れさせてもらうわっ」
ぶばしぃん!
再三の失礼発言を黙認してきた豊浦だがこれは流石にちょっときたようだ。彼女はまるで剛速球を打ち返すバットの如く、ハリセンを振り切り鬼王丸を打ちのめした。
すかさず郭氏文は展開の途切れを察知し、冒頭をくくりに入る。
「『目は口ほどに物を言う』とありますが、これをユラお姉さんには当て填りませんね‥‥。何よりも先にハリセンが飛んできそうですからねぇ。さて話を戻しまして。近年は美人よりもメイドや眼鏡の女性に萌えるのが流行なのでしょうか? 私には少々理解しがたいのですが‥‥では‥‥」
「あら、眼鏡ッ子は萌えは当然よ! さー今日も楽しく諺を勉強しよう、番組が終わる頃にはきっと『目から鱗が落ちる』はずよ! いろはに諺のはじまりぃー」
美人好きを強調する彼に、長澤が愛用の赤い下縁眼鏡を押し上げ突っかかりつつくくりを奪う。
「あーっ長澤さん、おいら達の『飯の種』を取っては『めー』なのだ! さ、みんなで諺の勉強をするのだ。番組開始なのだー」
苦笑いをする郭氏文に、あっさりと役を奪われ膨らました苺は、ズズイっとカメラに寄りやや荒い諺を使いながら冒頭を締めた。
またも滅茶苦茶であるが、取り敢えず賑やかに番組が開始した。
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目先を変えるため、メイド服を脱ぎ白タイツとなったHIKAGEとロボット系の被り物をしたタブラ・ラサ(fa3802)の二人が、文字作りセットによじ上りだす。危なっかしい彼にスタッフ達は目が離せない。
しかし当のタブラは『命を知る者は惑わず』の実技か子供らしからぬ落ち着きを払っていた。しかし口ずさむガシーンガシーンと機械の動きを表現した口調はやはり子供。ぎこちない動きで横棒を作るHIKAGEに縦棒の彼が合わさり、
「めかノ「メ」ー」
おもむろに腹部に作られた小さな扉を開く。
中の精巧に作った機械部分をカメラに向けお題文字の一言。彼らが数秒停止しポーズを取っている間、長澤がカートを押してきた。
乗っていたのは八個のお餅。めでたい正月という事で紅白餅といきたいところだが、山葵に気付かれないよう草餅が用意されていた。
「へぇー『命は食にあり』のネタだね」
「そう! その通り今回のロシアンは『名物に旨い物無し』と言う事で今回はお餅! 中は餡子で一つだけ激辛ワサビになってまーす。当たっても我慢して飲み込んでくださいね。名演技を期待してまーす」
セットから降りてきたタブラは頭の被り物を外し一言。それを長澤が、司会のようににこやかに返す。
だが周囲はタブラに集中。誰もが目を点にしていた。それもそのハズ。メイクを施し緑色に塗られ、頭には蛇の玩具が付いたカツラ。彼は一昔前の妖怪風となっていたのだ。
「あ、驚いた? メデューサとメイクの『め』が成功ー」
出演者達を安心させるべく、タブラはタオルで顔を擦りメイクを落とすと普段の愛らしい顔が現れた。
誰もが安堵に付いたところで、背後から鬼王丸のくぐもった声が響く。
「くぉうら、わしらを驚かすとは‥‥目にモノではなく『目には目を』じゃな。これはハムラビ法典じゃね。現代では之を行うと罰せられるの意。ま、当たり前ということでじゃな」
「脅かしっこナシなのだー。それにしてもおっきい目は隙がいっぱいなのだー!」
ぶしっ!
被り物スキーの鬼王丸は百目の扮装でタブラや他の出演者を脅しに掛かる。しかし苺は大はしゃぎで彼の背中によじ上り、大きな目の一つを突いた。つい便乗した如鳳のマロ君もめざしを手に攻撃。一応メイド姿ということでいつもよりはやや甘めだ。
「はいはいー、そろそろ時間が怪しくなってきてんねん。さっさいこうかー」
いい加減、事態が収拾を付かなくなってきたのを眉根を揉んだ豊浦がハリセンをパンパン鳴らしながら収める。
皆、こっくりと頷くと、長澤が運んできた草餅に集中。どれを取るかで迷いだした。
「ん〜人間は考える葦であるというが、どれも‥‥。ぬ? つー事は男は皆アッシー君か。じゃが『め』じゃけんメッシー君じゃのぅ。どうせなら送り迎えのみのモノではなく、飯炊き等で部屋に入れるメッシー君の方がいいじゃろう。男性は飯炊きも上手い新しいメッシー君を目指すべきという標語じゃな‥‥だからか、最近有名になった某オーケストラ漫画も‥‥」
すぱこーん!
「だから、脱線させるなーちゅうねんっ。それにあの話はそういうストーリーではあらへん」
またも言うが早いか、またも豊浦は鬼王丸の顔を立てに一直線ジャンピングハリセンで打ちのめす。
哀れ、鬼王丸の顔にまたも傷が増え、赤くジンジンと発光する×の文字が浮かばせながら倒れる。やった方の豊浦は満足げだ。そんな彼女に向かって草餅を選んでいたタブラがぽつりと一言。
「ああ、これが『面食らう』ということなんだね‥‥」
「それはちょっとちゃうやろっ」
意味合いが少々違い、豊浦からの指摘。倒れている鬼王丸はまるで鬼の首でも取ったようにむっくりと起きあがり、
「ほれみぃな」
すぱーんっ!
嘲笑おうとするが素速い突っ込みを食らい、またも倒れた。
郭氏文は鬼王丸を一瞥し、演技的であるが溜め息をつきながらお終いの挨拶に入る。
「これは少々汚い言葉ですが『目くそ鼻くそを笑う』でしょうね。さてもう時間もありませんからここで締めを‥‥利口で物事を理解するのが素早い『目から鼻へ抜ける』とは、当に私のような人を謳った諺でしょうね。皆さんはどうですか? では皆さんお餅を選び終えましたか? 最後の挨拶と共に食べましょう」
「郭氏文さんは『明哲保身』『面従腹背』とかねー?」
餅を手にチロチロと彼に目配せする苺。そんな彼女に苦笑いを浮かべる豊浦と鬼王丸。HIKAGEは選び終えた餅を掲げ隣に居る如鳳のマロ君を可愛がりながら、
「俺の抱負はマロ君を『目に入れても痛くないほど可愛がる』ことと、ロシアンにはポーカーフェイスで望むことだ。ではー行くぜ☆」
がぷっ
かんぱーいのように勢いよく一同餅を口にした。みるみるうちに表情が変わる。
可哀想なのは最年少のタブラ。吐き出すこともせず我慢一徹だ。
「げほほ、なんやねんこれぇ、みんな山葵入ってるやんっ」
「あ、らら? はは、え〜と‥‥『明鏡も裏を照らさず』。こんな事もあるよね! ではまったねー☆」
引きつった笑いを浮かべて長澤は弁解する。どうも七個全部に山葵が入っていたようだ。残りの一つを掴み彼女は遁走。
新年早々の番組はいつも通り、賑やかに終了を迎えた。