いろはに諺 みの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
01/14〜01/16
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「み」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
み
「身から出たさび」
意味:刃物の錆は、刃物自体から生じたものだということで、誰の所為でもなく、自分がした事によって苦しんでしまう事。
「水清ければ魚すまず」
意味:水が清らか過ぎても魚は住み着かないことから、あまりに正しい事を主張していると、他人と仲良くなれないと言う事。
「三つ子のたましい百まで」
意味:三歳の頃までに身についた性質は、百歳になっても変わらないということから、小さい時に身についた性質は年をとっても変わらない事。
●リプレイ本文
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彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると、画面は切り替わりスタジオの中。
「はい、やってきました。いろはに諺の時間、司会者の郭氏文令明です。お相手は何時も『水の滴るよう』な美があるユラお姉さんとマイお姉さん。年が明けてからこの言葉が更に似合うようになりましたね。顔形が美しい事は幸せを招く基だという『見目は果報の基』とも言いますので、素敵にこした事はないでしょう。お姉さん達の未来は明るそうです」
お馴染み司会者の郭氏文 令明(fa0243)は、前回の教訓を生かし褒めちぎる諺を披露しながら隣の豊浦 あやね(fa3371)をチラリと覗き見る。彼女は相方の変貌に驚いたように、
「にゃにゃっ?! なんや郭氏文さん、年が明けて更に口上に『磨きを掛け』たねんなぁ。ま、それは置いておいて‥‥今週もマロ君、文字ぃ君達そしてウチらが諺を紹介する『水先案内』を務めまよって宜しゅうに! あ、あらマイお姉さんおるん?」
「ここー、おいらも『身支度は整って』いるのだー。炬燵に定番の蜜柑の『み』ー。やっぱり炬燵で蜜柑は最高なのだ!」
頭を下げた豊浦は、隣にいるはずの苺(fa3120)の姿を探す。っと、しゅたっとカメラの端に蜜柑を握った手と腕章『ミソはじめました』が映り込んだ。
カメラが辿ると以前に使われた炬燵に潜る苺を捕らえる。
突っ込みどころ満載過ぎのオイシイ場面。しかし豊浦はグッと抑えた。何故ならADがフリップを掲げ、ネタ続きを指示しているからだ。
「とゆーわけで蜜柑でお腹一杯になった事だし、司会をするのだっ。寒ーい冬は頭まで布団を被れる炬燵に限るの‥‥だ‥‥ぐぅ」
「をぃをぃ、なに寝とんねん! 放送中や」
ばしぃぃんっ!
苺は話を進め出すも途中で睡魔に負けて眠りだす。っとそこに待ってましたと豊浦が放つ強制快眠の一撃。
「んあー、おいらはちっちゃい頃から炬燵に入ると眠くなっちゃう条件反射を持っているのだー。んんー突っ込みさえなければ、もう少しでミミガーを食べられたのにっ。ん? なんか口に入ってるのだ?!」
ぱっちり目を開けた苺は幸せな夢によって垂れてしまった涎を拭いつつ、口の中に入っているモノに気付き引っ張り出す。
「なんなのだーこれは?」
「俺の耳を食べないでよーの『ミ』ー」
なんと、それは牛ミミカチューシャだった。驚きの声を上げる苺に隣にいたHIKAGEが大慌てて取り上げる。
今回の彼は寝坊で遅刻してきたという事で枠が塞がり、スタッフが急遽用意した牛の衣装。自称第二のマスコット、牛のヒィ君役なのだ。端役でも仕方ない。これも身から出たさびだ。
ばしーん!
「はい、みんな注目ー。『水清ければ魚住まず』ばかりじゃ面白みがないかもやけど、せやからって遅刻、ふざけっぱなしってのもあかんねん。その辺はウチがしっかりと見極めさせて貰うさかい、あんじょうよろしゅうにな。ほな開始や!」
黙って彼らの遣り取りを聞いていた豊浦は、おもむろにハリセンで手を打ち視線を集めると、アップに映すBカメに向かってグッと睨みを効かし格好良くポーズまで決めて開始の挨拶をした。
●
「蓑虫の『み』ー!」
CM明け。元気にカメラに歩み寄り、棒に付く蓑虫を満面の笑顔で差しだす着物姿のマリアーノ・ファリアス(fa2539)。
聞かされていなかった女性スタッフ達の悲鳴が木霊すると、彼は腹を抱え大笑い。悪戯成功がよほど嬉しいようだ。勿論、悪意がない事もスタッフ達は周知。だが豊浦は許さない。ハリセンを振りかぶりマリアーノの頭めがけて振り下ろそうとする。
「何、驚かせるんねんっ!」
すぱーん?
「フフフ、そう簡単に突っ込まれないヨ。宮本武蔵の『み』ーネ。『見よう見まね』で二刀流に挑戦だヨ!」
模造刀は危ないという事で木刀を手にしたマリアーノは、瞬間的に屈み上手く重ねハリセンを防いだ。
食い止められた豊浦。驚くも、左手を背後に回し隠していた新たなハリセンを取り出し、
「流石はプロレスごっこ王の名を受けただけの事はあるわ。避けた事は凄いねん。しかし詰めが甘ぁーい! ウチも宮本武蔵の『み』ーや」
しゅぱぱぱぱーん!
こちらも、そちらも二刀流。
対処に困った彼に豊浦はビシバシ乱れ打ちをかます。哀れマリアーノは軽快な音を響かせて後ろへひっくり返った。
「やっちゃッタ‥‥調子に乗りすぎたかネ。これも『身から出たさび』ダネ」
「そうそう。ほな早ぅ、文字を作りぃ」
マリアーノがむくりと起きあがり諺を披露すると、着物の下に着込んだ白タイツに変じ、芸人コンビ・まいむ☆まいむの桐尾 人志(fa2341)と河田 柾也(fa2340)と共に文字作りセットによじ上りだす。
わりと身軽なマリアーノに桐尾。だが河田の乗る鉄棒から不吉な予感を駆り立てる音が聞こえてくる。当人もセットを壊すのはマズイと思うが構わず続行。真ん中棒担当の桐尾、一番上のマリアーノが鉄棒の上に寝そべり、最後に河田が下に寝そべると、片仮名の『ミ』が出来上がった。
「「「ミー」」」
ばきぃぃ! ドゥン!
声を上げた瞬間、鉄棒が河田の重みに耐えきれず、裂ける音を響かせ彼をマットに投げ出した。河田はやや大袈裟に「痛たたっ」と声を上げ打った腹をさすりながら立ち上がると、
「このセット作り弱すぎっ、腹打ちでお腹がこんな‥‥にも。もっと強化したモノを用意すべき、ディレクターに訴えて勝ってやるっ」
「コウダ君、いやそれは元からやし‥‥ほんま立派な‥‥」
珍しくキレ芸を見せる河田に、珍しくしみじみと相方のお腹を見つめながら突っ込む桐尾。
そこに如鳳(fa2722)が入るマロ君が、フリップに書かれていた文字『見上げたもんだよ、屋根屋の褌:『見上げる』と『立派』の意味の掛けた啖呵売りの口上の一つ』をカメラに向けながら登場。なかなかパンチの効いた諺だ。
勿論、宛てたのは別にもいる。遣り取りの間にまたも武蔵の変装をしたマリアーノにもだ。彼の輝かしい経歴に向けての諺でもあるらしい。するとクルリとフリップを返し、『みいちゃんはあちゃん:程度が低い事に現を抜かすような女や子供、また若者を軽蔑する言葉』
「マリスにも向けてるノ? 許せなイネ。いざ尋常に勝負ダヨ!」
口元に手を当て宛てて三人を煽る如鳳のマロ君は、有無も言わさず鎖鎌風のプラスチックで出来た小道具をブンブン振るう。
鎖の長さを考えれば二刀流のマリアーノは間合いをとりにくく不利。近付くのに躊躇っていると、更に煽るフリップをとりだし『見猿聞か猿言わ猿:三猿の意。自分の都合が悪いモノは、見ない聞かない言わないを現す』と書かれたモノを如鳳のマロ君は振って挑発。
「むー失礼ダネ!」
マスコットの意図は微妙に解りづらいが、しかしこれも台本にある事。マリアーノは繰り出される攻撃を数回避けた後、意を決して右手の木刀で鎖を受け止め巻き付けさせると、間合いを縮めて左手に持った竹刀でばしっと叩いた。
「〜〜!!」
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれダヨ。サァみんな、諺には悪い意味を持つモノもあるケド、使う時は細心の注意が必要ダネ」
倒れる如鳳のマロ君をちらりと見やり、歌舞伎で覚えた見栄をきり出番を終えた。
●
「妄りな予定は身の破滅‥‥『三度、吾が身を省みる』とゆーのは正に僕の為にあるような諺ですねー。どーぞ見下げず見捨てず見限らずに見守ってやって下サイネ。ではお馴染みパペット達の登場ー『水心あれば魚心』に因んだサカナ君と『三日先の事言えば鬼が笑う』を現すおっとりなオニ君だよ。サカナっとオニっと」
毎度お馴染みマペットコントのHAKASE(fa2600)の登場だ。いつも通り両手に嵌めた魚とオニのマペットを胸前で軽く抱き合わすとタイミング良く開き決めポーズをさせ、コントを開始。
サカナ君をオニ君に抱えられた状態を現したHAKASEは、歩くマペットに併せて会話をさせる。
「『水清ければ魚住まず』なんてよく言ったもんだ。綺麗で静かなのは良いのだけど、息が抜けないほど清いのも問題だねー。オニ君家の傍の池に住める事となってよかったよ。賑やかで楽しそうな話だもんね」
「うん、いつも賑やかなところオニ。ほら、着いた。どうぞサカナ君」
ぼちゃん。
手を開いたオニ君から抜け出て、合わせて水に落ちる効果音が響く。
「い、いいねー。けど煩すぎかも‥‥。いたっ! ぶつかってこないでよ。なんてマナーの悪い。あー水も濁ってきたし‥‥これじゃ『見ると聞くとは大違い』だ。それに具合が悪くなってきた。けど来たいと言った僕の『身から出たさび』だから仕方ないよね」
「大丈夫オニか? 連れて帰ってあげるオニ」
弱って腹を上に向けだすサカナ君を再びオニ君は抱え走り、元の泉に投げ込む演技。すっかり元気になったサカナ君を嵌めた手を優雅に動かし、泳ぐ演技をとると、
「やっぱり『三つ子の魂は百まで』だ。ふぅ生き返ったよ『水を得た魚のよう』でしょ」
「そのまんまかいっ! サカナっとオニっと。‥‥清らかなのも行き過ぎると息が詰まっちゃうかもしれないケド『水清ければ月宿る』って諺もあるよーに、綺麗に越した事は無いってコトで。解ったかなぁ?」
最後にまた胸前でマペットを合わせポーズを作り締めたところに、ソバカス顔に学生服姿の桐尾がTVを消す。
カメラトリックだ。視聴する良い子は一瞬何が起きたか解らなくなりそうだが、今はあっさりと桐尾に集中している。
彼はおもむろにギターの練習を始めだした。が音階を拾うだけしかできないので、段々と飽きてきた。
「無理や、やーめたっ」
デロロンっと不協和音を奏でギターを床に投げ出した処でセットの横に立った郭氏文が淡々とフリップを捲り『三日坊主』と書かれた諺をカメラに見せる。
「あ〜うっさい! モノを投げたらアカン言うてるやろ」
がぅん‥‥ドゲシッ!
ここで父役の河田が禿ヅラから湯気でも出そうな勢いで、部屋に入ってきてギターに躓きそのまま机に頭を強打。鈍い音が響いた。
「あたー、何で高いモンをこないな所に置いとんのや! ちゃんと仕舞いっ」
「えー、もういらへんし。僕には才能ないんや」
肌着に股引、ご丁寧に腹巻きまでした日本の親父の怒りの言葉もなんのその。桐尾はいじけた様子で膝を抱え愚痴る。察した様子で慰めるように、
「そんな事ない。ちょっとやらせてみ」
手にしたエレキギターで見事な早引きを披露する。目を丸くす桐尾。
「へー、やるじゃん」
「だろ? 折角買うたんや、投げたらギターも可哀想やろが。わしがやるわ」
えっへんと胸を張る河田。完璧にギターにハマった様子に郭氏文がまたもフリップ『ミイラ取りがミイラになる』を出す。
一旦ここで照明が落ち、郭氏文が「数日後」とナレーションを入れると、再び舞台は明るくなった。そこは部屋では無くロックフェスタの会場という設定。片付けられたセットを前にビジュアル系な姿でギターを弾く河田の姿があった。格好いいのかはちょっと疑問だがまあアリという事で。
「うはーおとん。すげー」
息子の桐尾は尊敬の眼差しを向けていると、
『あら、あんた達も来とったん? うちのステージを観にかい?」
「へ? おかん」
地味な着物に割烹着姿の如鳳のマロ君が立っていた。驚いた桐尾。更に母 マロ君の差しだす派手なメイクと衣装でステージに立つ超特大版写真の載ったポスターに驚き目をぱちくり。
突如ギューインっとギターが鳴り響くと、大人しい姿だったマロ君は、んばっと着物を脱ぎ激しい黒革の衣装に白塗りメイクを施したぶっ飛んだ姿に変貌。激しく頭を振りながらギターを弾きまくる。その背後に何故かバックダンサーまで踊っていた。まさに母のオンステージだ。
「おかん、めっちゃすげー! おとんよりずーっと!」
「‥‥なんやとー、お父ちゃんやてなー」
ステージに釘付けの桐尾に父の河田は悔しげに文句を言うが、聞いてはくれない。そこで最後に郭氏文が紙を捲り『三日天下』を出すと、ひとつお辞儀した。
●
「さーて、ここで炬燵の中で作るまいちゃん即席クッキングー♪。ここに既に出汁を取ったモノがあるのだ。次にミキサーの『ミ』で微塵切りしたグザイを入れ、ひと煮立ちさせるのだ。具は細かいからすぐに煮えるのですぐ味噌を入れれば‥‥ほらぁ、味噌汁の出来りなのだ!」
終了間近。苺は最後に笑顔で味噌汁を作り、お別れをしようと考えたようだ。具は豆腐と葱、大根。それらをミキサーに入れ、微塵切というかペーストを作り、出汁の入った鍋の中に投入。誰もが冷や汗と息を呑む中、
「ほらっ、美味しい味噌汁の出来あg‥‥。うん、多分美味しいのだ‥‥きっと‥‥」
笑顔が完成品を観た瞬間、凍りついた。なんとか誤魔化すも、泳ぐ視線とダウンした声は誤魔しきれない。興味で覗いたマリアーノは、スッと視線をハズし、
「ん〜諺の『見て旨そうな物食うても旨し』だといいんだケド‥‥これはネ‥‥」
言葉を濁した。いじける苺を慰めるのは郭氏文。『見つめる鍋は煮立たない』を使いこっそりと慰めている。
一段落ついたところで豊浦が締めに掛かった。
「お終いの時間やね。いつも通り『水の流れと身の行方』でやったけど。みんなは楽しく学べましたか? これからも『身を粉にして』頑張っていきますよって宜しゅう」
「ええ。では最後に一つ。『見るは法楽』という言葉があります。モノを見る事は例えようも無く楽しく、また見るだけならタダだからした方が得という事です。しかし電気代が掛かるなどの率直過ぎな『身も蓋も無い』は言わないでください。では、まったねー」
一同、手を振った。