いろはに諺 しの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/21〜01/23
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「し」(濁点可)の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
し
「上手の手から水が漏れる」
意味:どんなに上手な人もちょっとした不注意や油断をすれば、失敗する事があるという意味。
「しわんぼうの柿の種」
意味:ケチな人は柿の種まで人にあげない事。
「初心わするべからず」
意味:習い始めた頃の素直な心や真剣な気持ちは、いつまでも忘れてはいけない事。
●リプレイ本文
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彩色豊かに描かれたタイトル文字が子供達の声で読み上げられると画面は切り替わり、文字作りセット前に立つ文字ぃ君に扮する出演者と、いつもの司会の三名が映し出される。
「はい、今回もやってきました。いろはに諺の時間、司会者の郭氏文令明です。今日もお姉さん達とご一緒できて嬉しく‥‥。あぁ、胸が締め付けられ苦しいのは『四百四病の外』‥‥恋煩いとはこの事でしょうか? はぁ‥‥」
「にゃにゃっ?! 郭氏文さん、毎回毎回、何『渋を食らう』事ばかりを言うてんねん!」
すぱーんっ!
郭氏文 令明(fa0243)は台本に書かれた通り、頬を染め甘い溜め息を付く演技。なかなかの技量の演技にたじろぎながらも豊浦 あやね(fa3371)は、彼の背後からジャンピングハリセンビンタをお見舞いする。景気の良い音と一緒に目が覚めた郭氏文。
「イタタ?! どんな困難に遭おうと心の持ち方一つで辛さを感じる事なく、乗り越える事が出来る『心頭滅却すれ火もまた涼し』‥‥この言葉の応用で、ユラお姉さんのツッコミもまた痛くな‥‥いえ、痛かったですね。やはりこの突っ込みがお姉さんの本性‥‥当に『尻尾を出す』です。意味は隠していた事がバレる事。アイドルも大変ですね」
すぱこーん!
「そんなん今更な事やねん‥‥。と、まぁこんな調子で今週も始まり始まりやねん‥‥。司会はお馴染みウチことユラお姉さん。勿論、マロ君に文字ぃ君達おるねんで。さぁ『舌を巻く』ような『獅子奮迅』の活躍を見ているみんなと一緒に期待してます。あぁ、言うまでもあらへんが、アホ発言はハリセンで『しばき』倒すしますよって『真剣に』よろしゅうです。さてお次はマイお姉さん‥‥なにしとんねん?」
再度、郭氏文を突っ込み倒した豊浦。足下から聞こえてくる彼の「言う前に‥‥」の言葉もアッサリと流し挨拶を終えると、隣に立つ苺(fa3120)に視線を投げた。
「ワンーツースリーフォー‥‥ファイブーにシークッスの『シ』ー。というわけで、この番組も残り数える程になってきたのだ。TVの前のみんなは、今までの諺を全部覚えてる? 最後に抜き打ち試験があるかもなのだー。おいらも受けるのかって? あははーなのだ」
振られた苺は元気よく『司会初級ボケ専門?』腕章の付いた腕を上下にスイングさせながら、最終回までのカウントを取っている。
しかしよく聞けば、ダウンをするはずのカウントはあがっていた。素で間違えているようだが、実は倒れる郭氏文に向けられているようだ。バレて突っ込まれる前に苺は、素速く切り返し番組終了の話へ持っていった。
「そやな、この番組もあと僅か。けど最後まで『初心忘るべからず』の精神を通し、『性懲りもない』発言に対しては『疾風迅雷』『疾風怒涛』『篠を突くような』で行くで。勿論『日月に私照なし』の分け隔て無しや。文句が出てもそりゃ『自業自得』ねんから覚悟しいな。ほな、開始や!」
豊浦はしんみり顔をするも、すぐにきっちりと冒頭を締めた。
●
文字作りセットの前に立つ、ピンクのタイツ姿の横田新子(fa0402)に白タイツ着用のHIKAGE(fa1340)と真田・勇(fa1986)。
「私は『し』んこじゃなくて、にいこです。ですから当てはまりませんね。え〜、仕事の『し』ーでよろしいでしょうか? それでなければ、収録の『し』とか。オッケーですか? はい。久し振りの登場ですが今回もしっかりやりたいと思ってます」
しっかりとした挨拶をする横田とタッチしたHIKAGEが、
「『初心忘るるべからず』の『し』〜。俺も従業員の身の上で番組に飛び込んで、最初は謙虚で丁寧で思慮深くて、お嫁さんにしたいNO3の男だったけど‥‥最近は少し天狗かもしれないなぁ。ここは一つ新年を迎えたということで初心を取り戻そう!」
「なんで嫁やねんっ」
ばしーんっ!
HIKAGEの誓いのボケに豊浦は素速く反応しハリセン一撃ヒット。痛みでフェードアウトする彼に代わり真田がカメラに近づき、
「しー『死にモノ狂い』で頑張るの『し』ーっす!」
そう言うとイソイソとセットに上がり出す。勿論、横田とHIKAGEもだ。
横田は靴を脱ぎ鉄棒に掛けて身体を斜めに鉄棒に捕まり片仮名を『シ』を作る。その隣で平仮名のを作るため直立するHIKAGE。
彼の足下でやる気の無い素振りの真田が身体を横たえ曲げたり伸ばしたりと、態とらしく動きを鈍く動きなかなか文字が仕上がらない。
「もっと元気に素早くしなはれっ」
業を煮やした豊浦が真田の頭にハリセンをヒットさせる。っと、痛みを堪え彼が渋々動きだす。
「「シとしー」」」
ようやく文字が出来上がる。
「え〜〜『初心忘るずべからず』のぉ〜〜『し』。最初の頃のように元気一杯でやらないと行けないと、それを言いたい為にダラダラっやったす。だから態とであって本気でダラけていた訳じゃないっすよ〜〜本当っす!」
数秒停止しポーズを取り、ささっと降りてきた真田は素速く言い訳を口にする。勿論、そんな事通用するはずはない。という事で、
ばししぃ〜〜ん!
豊浦からの無言の制圧。これほど恐いモノはない。ヘルム姿のマロ君に扮する如鳳(fa2722)が『塩辛を食おうとて水を飲む:塩辛を食べると喉が渇くからといって、食べる前に水を飲んでおく事や手回しが良過ぎて却って間が抜けている喩え』の書かれたフリップを掲げ、クルリと返し『獅子に鰭:陸上では百獣の王といわれる獅子に鰭が付けば、水中でも自由に暴れ回れるようになる。強い者が益々強く有利になること。ここではユラお姉さんにボケ担当とハリセンと言っておこう』 口元に手を当て笑う仕草をする。
勿論、彼は背後から立ち上る怒りの炎に気付いていない。
「言いたい事はそれだけやね? マロ君‥‥?」
ぶばしぃん!
剛速球のハリセンをモロに受けた如鳳のマロ君。床にへばり付いた彼は新たなフリップを取り出し、『四海兄弟:真心を以って人と付き合えば、世の中の人が兄弟となるという事。また世界中の人々は兄弟のように親しく、愛し合うべきであるという事』と返すも、彼女がコメントをする代わりに真田が首を上下に振りながら割って、
「その諺合ってるっすーマロ君‥‥。そして獅子繋がりでもう一つ『しし食った報い』とは正にこれ‥‥っす。悪い事したら自分の身で受けるのは当然という意味っす。でもまあ‥‥この角度は実際はかなりイイモノで。痛いのとベストアングルで二度美味しいっす」
「にゃ! 『獅子身中の虫』やね。乙女の敵めー」
ぶばしぃん!!
上を見ながら緩んだ笑みを浮かべる真田。なんとも床からの絵は良いモノのようだ。すぐに意図が解った豊浦はゴルフのスイングのようにぶぅんっと振りかぶり、真田に三度目のヒットを決めたそこに、
「ここで一旦CMです」
郭氏文が淡々とした態度でCMへと促した。
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最近は色々と営業している元々アイドル芸人のあずさ&お兄さん(fa2132)。何故かいつものお兄さん人形の代わりにスノゥ・ベアーを振り回している。
「お兄さんの代わりに白熊さんの『し』。可愛いよねー。今回は『初心忘るべからず』という事でこんなものを用意してみましたっ! こういうのって不意打ちでやってこそ面白いんだよねー。ではさっそくスタートぉ」
手に持ったベアをひと撫ですると、事前にスタッフと打ち合わせていた他の出演者達のデビュー当時の映像へキューを出す。
不意を付かれた出演者達が慌てるがもう遅い。次々とアニメ、コスプレ、ドラマ、そしてこの番組だった出演者達の新人時代の奮闘が流れ出した。小さく画面に区切られ、真っ赤になる出演者達をあずさは笑顔で紹介し、彼らのリアクションを楽しんでいる。
「さてー最後の映像だよー。誰かな‥‥って‥‥ええぇ?! 何これっ聞いてないよー」
突如、慌てふためくあずさ。それもそのハズ。最後に自分の映像が出たのだ。しかもNGシーン。思いっきり噛みまくり頬を染めて台本と向き合っている彼女の画。
「や、やめてよー! 恥ずかしいー」
「おや? あずささん、私のはいいからは通用しませんよ。最後は『自縄自縛』ですねぇ」
消してーっと騒ぐ彼女に郭氏文がニマリと笑いながら突っ込む。いたたまれなくなり、あずさはとうとう横田の後ろへ避難すると、
「ほんと郭氏文山さんの言う通りですね。では次は私、さて『し』がつく諺は色々とあると思いますが、耳一番に馴染みがあるのはやはり、『地震、雷、火事、親爺』ではないでしょうかね? これは恐ろしいと思うものを順に並べたもの。皆さんも一つや二つ‥‥三つに四つ‥‥ここまで来たらオマケだ! 五つ、六つ‥‥」
「たたき売りかいな!」
ばしぃん!
披露する諺を紹介し題材を説明し始める。だがなにやら彼女は途中から勝手に白熱し始めると、豊浦のハリセンが一撃ヒット。
瞬時に正気の戻った横田は恥ずかしげに、
「こほん。とにかくこの諺は、怖いモノと言いますか、誰でも苦手なものがあるいう事を指してます。ですから本日は出演して下さっているお姉さん、文字ぃ君の皆さんにも恐いモノ、苦手なモノを聞いてみましょう」
咳払いをすると、出演者達に恐いモノを聞いて回る。威の一番はあずさ。
「試験ですねー」
「うちも同じく『試験』ですわ。‥‥や! これでも成績の方は悪くは無いねん。この番組の司会やってる以上、文系科目は上位押さえてますし!」
あずさと同意見の豊浦。しかも理科系に触れないのは彼女の苦手なとこらしい。そこにHIKAGEがぽっそりと、
「俺の苦手なものは‥‥ミックスベジタブルに入ってるニンジン。普通のニンジンは嫌いじゃないけどねー‥‥。あずささんとユラお姉さんは試験なんだ? ふぅん。お姉さんは家庭科の追試とかしてそうだねっ、料理とかお裁縫とかで居残りにさせられたり。俺は国語と算数は得意だっ‥‥」
「そこ! 誰が『進級が危ない』やねんっ! 流石に赤点は回避しとるわ。『針小棒大』な事言いなやっ」
ばしぃん!
「痛いー。ひ、酷いなあ‥‥『舌も引かぬ内』に突っ込むなんて! それに『失敗は成功の元』って言うじゃない。優しく見守ってよぉ。渋柿を口にしたようなキツイ突っ込みは受け付けないよ! ‥‥でも、これが『獅子の子落とし』だったら、俺ってば期待されてるんだねっ? 寧ろ愛されているかもに違いない! 頑張るぞー」
先程のコメントをあっさりと覆すHIKAGE。舌の根の乾かぬうちに無礼キャラに逆戻りだ。しかも横田が苦手なモノといっているにも拘わらず得意な教科のあった小学校時代を思い出す。と、素速く豊浦の反撃ハリセンが飛んできた。
彼は文句を付けるも最後は勝手に諺を引用しなんだか納得までしている。
呆れる豊浦や出演者。実は使われる諺は別に意味もあるらしいが敢えてスタッフは黙った。
「あー試験ですか。私も覚えがあります。前日に一夜漬けでヤマ張って勉強したのに外れた時の悔しさと言ったら‥‥」
フムフムと頷く横田に真田が肩を叩き、
「苦手なモノは締め切り‥‥。少し知り合いの手伝いをしているうちに構成作家の仕事が来る様に‥‥。しかもお笑い番組の‥‥いや、僕は声優のハズっす」
「〆切‥‥ですか? 原稿を書くのも大変ですね。やはりこれも試験と一緒で一夜漬け‥‥は無理ですね。次にマイお姉さんの苦手なモノはなんでしょう?」
本業とはほど遠い仕事ばかりの真田は項垂れる。横田は慰めるように慈愛に満ちた視線を送り、苺に流すと、待ってましたとばかりに、彼女は大量の食べ物が乗ったカートを引きながら現れた。
「おいらの苦手な食事制限なのだ。食べられない事が何より辛いのだぁ‥‥。とゆーわけで、ここ一週間の食べた物リストと実際の量なのだ。まずはシチュー大鍋ー。シュークリームにぃ‥‥」
どうやらこの食料達は彼女の食事の量を再現されたものらしい。しかも丁寧にメモまで読み上げていく。これは明らかに一般の少女の食べる量ではない。
多さに閉口する横田と出演者。
「あ、あの‥‥解りました。凄い量ですね。けれど格闘をする為、食事制限をされたのでしょう?」
「格闘技の関係で体重調整を行い食事制限をしたのだー‥‥アレほど辛い事はないのだ。もう終わって晴れて食べられるのだー」
にっぱりと笑顔の苺。傍にある食物をパク付いているのは言うまでもない。誰もが彼女を見守りる中、カートからこっそりと好物のシュークリームを手に取り割って食べようとする如鳳のマロ君。だが、彼は切なさと怒りに全身を振るわせた。何故なら中にはホイップクリームではなく、カスタードクリームだったのだ。
「ん? マロ君はカスタードクリームが苦手なのですか? 好き嫌いは駄目ですよー。そう、私の苦手は‥‥ぅっ! そ、それは‥‥ちょっと失礼しまーす」
何気なく横田が好き嫌いを戒めるとムッとした演技をする如鳳のマロ君は、彼女が苦手な物を言うが早いか背後から重量計を取り出し、振る。
見た横田は口元を引きつらせささっと場を後にした。そこで郭氏文が番組の締めをするべく現れた。
「私の苦手なモノは、失策です。そろそろお終いの時間です。『死せる孔明、生ける仲達を走らす』意味は亡くなった後もなお生前の威力が保たれ、生きて居る人を恐れさせるというものですが、この番組が終了しても、世の中に広く知られ評判になる『人口に膾炙する』ようになっていますかね‥‥。そうだと私は嬉しいです。では最後に若者達を励ます言葉‥‥『少年よ、大志を抱け』を皆さんに送り終わりましょう。ではまったね!」
巧く彼が纏めて手を振り、本日の終了を迎えた。