いろはに諺 ゑの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/28〜01/30

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「ゑ」(えと変化)の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動


■お題
 ゑ
「縁は異なもの味なもの」
意味:人の結びつきや、男女の結びつきの出会いは不思議で面白いものであるという事。

「得手に鼻突く」
意味:得意な事で失敗する事。

「栄華の夢」
意味:華やかに世を過ごしている自分を見た夢。また栄華の儚さを夢に喩えて言う事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4287 帯刀橘(8歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文


 彩色豊かに描かれたタイトル文字から画面がスタジオに切り替わると、いきなり聞こえる元気な声。
「かうんとだうーんファイブ‥‥じゃなくて、シ、シックスーなのだ! これは今日の『ゑ』の回を狙ったボケネタとゆーことで、え‥‥ええじゃないか音頭の開始なのだっ♪ ええじゃないか、ええじゃないかー全て誤魔化せ、わはっはー。けど誤魔化せないのは残りの回数。次で片手で収まるまでになったけど、最後まで勢いを失わずいくのだー!」
 ボケ担当のマイお姉さんこと苺(fa3120)が、愛用のマイクを手に何を勘違いしているのか聞きたい『エンちゃんと上ポン』と書かれた腕章を付けた腕を振り上げ、リズミカルに踊りながら登場した。
 それに触発され、筆代わりに好物の『恵方巻き』とフリップ『潁川に耳を洗う:隠士の許由が堯帝から帝位を讓ると言われた時、穢らわしい事を聞いたとして潁川で耳を洗った事から、不愉快な事を聞くのを厭う。高い地位や世間の俗事を顧みない高潔の士である喩え』を手に腹を揺すりながら出てくる如鳳(fa2722)の入るマロ君。
 どうやらフリップの件は、家族やライバルに関する事らしい。彼曰くマスコットは一人で十分といいたいのだろう。賑やかな踊りに誤魔化しながらも本音をぶちかます。
「お二人さん後が続かへんよって、そろそろ仕舞いや」
 すぱこぉ〜んっ!
 豊浦 あやね(fa3371)は振りかぶったハリセンで、停止スイッチを押すように彼らの頭部を打ち半強制的に停止させた。
 痛みで屈んだ苺とマロ君の後から郭氏文 令明(fa0243)が淡々と現れて言葉を紡ぐ。
「マイお姉さんとマロ君は『悦に入る』寸前で閻魔‥‥いえ、ご意見番のユラお姉さんからいつもの制裁を頂いたようですね。‥‥始まりました、いろはに諺の時間。司会者を務める郭氏文令明です。二人のお姉さん達と共演すること半年。ようやく『鴛鴦の契り』が合致する程、仲睦まじい夫婦のように分かり合える位置についたと思えるのですが、如何でしょう?」
「あれー郭氏文さんがアピールしてるのだ。夫婦‥‥縁結び‥‥の話といえば赤い糸。恋愛の神様の話をしようと思うのだ! ‥‥あ、その前になんだこれはー?」
 意味深な視線を投げる郭氏文にぐっと言葉を詰まらせた豊浦。そこに苺が頭をさすりながら画面に再登場。
 屈んでいる間に準備した赤い紐が結ばれた左手の小指をフリフリ、ネタのアピールだ。
 見ればいつの間に付けたのか出演者全員の小指にも付けられている。しかも途中から糸と言うか紐は複雑に絡み合い、誰に繋がっているのか解らない状態。
 皆、たぐり寄せたり引っ張ったりしている中、苺はネタの説明をしようとするがうっかり中身を用意していなかった。またも誤魔化すように笑いつつ、
「これはみんな繋がってるのだ! 縁の〜‥‥縁‥‥。むぅ動くのに邪魔なのだ。という事で!」
 ちょきん!
 唐突に大きな裁ち鋏を取り出すとさっぱり断ち切ってしまう。
 唯一の繋がっていると見える女性の一人を失った郭氏文が慌てる。
「ちょっ、ちょっと待って下さい‥‥どう見ても女性が少ないのになんで簡単に切ってしまうのです! 人の忠告を聞き入れようとしない者は、どうにも救いようがないと言う事の『縁なき衆生は度し難し』の実戦ですか?」
「郭氏文さん、甘ーいのだ。どの紐の先も出演者さん達と繋がっているとは限らないないのだっ。だけどおいらのは未来の王子様に‥‥あ? あれれ?!」
 苺はにんまりほくそ笑み、切った紐をぐぃっと引っ張る。ズズズ‥‥と怪しい音が響き、人ならぬ犬小屋が引きずられてきた。
 驚きの声を上げる苺。もしかしたらと淡い期待を持っていた如鳳のマロ君は殊更、凹んだようだ。これを期に義理チョコしか貰った事のない彼が本命チョコを貰えるかもっと抱いていた気持ちは断ち切られた。
 これでは今年も一人を約束され、彼は切ない空気を背中に漂わす。しかし思い立った。ヘラジカの自分がチョコを貰うのはおかしいのではと。そこで『栄耀に餅の皮を剥く:そもそも餅はそのまま食べる物なのに贅沢に慣れると、その皮まで剥いて食べるようになるという度を越した贅沢』のフリップを上げ、おもむろに今年の方位である北北西を向き恵方巻きを食べ始める。
 それもおかしな話だが長い恵方巻きをはむ如鳳のマロ君に誰も突っ込みを入れず感心している間、場を繋げるのは恵比寿様に扮した鬼王丸・征國(fa0750)。ここで司会者達の遣り取りを当て嵌めた諺を披露する。
「さて、縁結びの糸の話で微妙に盛り上がっていた毎度お姉さん達狙いで諺を引っ掛けてくる郭氏文さんは『英雄色を好む』が当て嵌まりそうじゃの。意味をゆやぁ、英雄は何事につけ精力的じゃけぇ、女色も好む傾向が強いっちゅうこと‥‥色のみ好む凡人は、何の役にも立たんので」
 これは的を射てる分キツイ。流石に郭氏文はぐうの音も出ず、黙しているのをいい事に鬼王丸は更にネタを続けた。
「良い子の皆、今回のお題文字は『ゑ』っちゅう事で、かの有名なビールブランドの頭文字の『ゑビスビール』じゃ。因みに名前は東京の地名、恵比寿が発祥じゃよ。ビールを造るのに尤も重要で欠かせん発酵は高台に地下を深く掘り貯蔵庫とするんじゃ。なんでなら地下っちゅう場所は一年を通して温度が低く安定するけぇのぉ。昔の巨大冷蔵倉庫っちゅうわけじゃ」
 鬼王丸は酒造について熱く語る。が、やはりこの番組は良い子が見る一応教育TV。確かにその説明も教育的一環と言えば嘘ではないが、未成年者相手にどうかと思われる。豊浦はそれでも耐え、彼の長い口上が終了すると同時に、
「にゃにゃ?! 良い子が見てはる時間にアルコールの話は禁止や。もうちっと遅い時間の番組でしなはれっ」
 すぱーん!
 振りかぶったハリセンを鬼王丸の頭に決めた。叩かれた勢いで彼は愚痴をいう間もなく画面からアウト。
 一つフンと息を吐き出した豊浦はスタッフ達にもビシッとハリセンを向け、
「確かにウチも不穏な動きや挑発ネタはビシバシ突っ込んで、スタッフ達の間で『えげつない』などと言われてるらしいですけどな、ウチは少なくとも『柄の無い所に柄をすげる』無理に口実を設けて、理屈を捏ねて無体な言い掛かりを付けたりはしてへんで、‥‥多分。真の突っ込みは見極めが必要なんねん。見境無しに乱打しても『得手に鼻突く』って事になりますよってね。口癖でにゃにゃっと言うてますけど『鳶目兎耳』でしっかり見極めてますねんで」
 豊浦は信念をアピール。心中では「ウチはたぬき娘やけどなっ」などと思っている事は当然、視聴者の耳には届いていない。
 触発された文字ぃ君姿のHIKAGE(fa1340)が、結ばれた紐を解きながら出てくる。
「そう、しっかり事を見極めるのが大切だよね。実は前の回で、めぼしい諺が出ているから焦ったぜ。被ってても問題ないんだろーけど。それでも辞書とにらめっこして諺を見極めてきたよ! やっぱり前のネタを使うなんて俺の芸人ポリスィーが許さないんだぜ!」
 彼がいつから芸人になったのかは不明だが、なかなか格好いい事を言っているのは確かだ。ひとまず突っ込みは止めておく豊浦は長くなり出す前置きを締めるべく、ハリセンを一つ手の平に鳴らし注目させた。
「ほな、今週もいろはに諺の始まり始まりやっ。皆で諺をエンジョイ、楽しみながら勉強していこかー♪ 司会進行はウチことユラお姉さんにマイお姉さん、そして郭氏文さんや。諺を教えてくれるマロ君と文字ぃ君達と一緒に『円石を千仞の山に転ず』勢いでエンドレスなハイテンションでお送りしまひょ! Everything is OK?」
「「「ぃえー」」」
 と、司会者の二人に文字ぃ君、マロ君。更にスタッフやディレクターまで彼女の言葉に合わせ、元気よく拳を振り開始を盛り上げた。


 文字作りセットに上がるHAKASE(fa2600)。上部方に寝そべりやや上半身を乗り出しながら、揃えた腕をやや斜め下に向けて伸ばす。そこに白い黒子の衣装の小さなスタッフがセットの下段、中央に背筋を伸ばし座ると巧く両足を開きバランスを取った。
 二人声を揃え、
「「ヱー」」
 文字を完成させ降りてくる彼ら。HAKASEは両手に嵌めるマペットで手元が危ういのか慎重に鉄棒から降りてくる。その間を埋めるため鬼王丸が、
「HAKASEさんとと黒子は『縁の下の力持ち』じゃ。番組に無くてはならぬ存在じゃな」
 ウン、ウン一人勝手に頷いて納得。そんな彼をセットの隅で易者に扮したHIKAGEが手招きする。鼻眼鏡と易者帽子を着用し筮竹をじゃかじゃか適当に振るその姿は、なんともいかがわしい。
「あー、そこの頷いている強面の方、帰り道で生涯の友に出会うかもしれないね。おぉ、恵方巻きを食べているヘラジカ君に司会者さん。キミ達は‥‥異性からもてず、尚かつ苦手だね?」
 なかなか当たる発言を繰り返す。尤も長く番組にいるHIKAGEだ、これは占いで当てたとういうより日頃の観察によるものというのが正しい。それでも当たった事に驚く出演者達に気をよくした彼はいつも通りくだらない方へと変わりだす。
 今度は苺と豊浦に視線を投げ、低予算の為水晶ではなくビー玉に念を掛け、占いの結果を言う。
「おおぉ?! そこのお嬢ちゃんはお腹を下すと暗示が出ておる‥‥健康運が下がっているから気を付けるのじゃ。あ、なんという事だ! ハリセンを手するお方の背に黒い運気が張り付いておる。この悪運を回避したければ、ワシの用意したエンゲージリングを受け取るか、高級レストランのフルコースを奢れと出ておるっ!」
『得手に帆を揚げて』なのだろう、好き放題の占いを放出する彼にとうとう、豊浦の鋭い一撃突っ込みが入った。
 すぱこぉぉ〜ん!
「ヒカゲン、得意なんは解るけど『得手に鼻をつく』やそれにその対処法は当て填らんやろ『宴安は酖毒』な言葉がある通り、悪戯に遊び楽しむ事は毒薬のように人を損なうものや言うんや」
「ふぁ〜〜い、以後気を付けますぅ」
 きつーいお仕置きを受けたところで『易者身の上を知らず:人の身の上の事はアレコレ言うが自分の事となると正しい判断が出来ない例え』っとテロップ。HIKAGEは納得したように小さく手を上げた。


「栄光とか栄冠には縁も縁もないHAKASEでーす。縁の下の小豆の木ではアリマスガ、円滑に演じられるようエネルギッシュに頑張ってくので、笑顔でエールをお願いしマース! ネタはいつものマペット君『鰕跳れども斗を出でず』に因んだエビ君と『猿猴月を取る』のサルさん達。スタッフさーん、テロップヨロシク! ゑびっとサルっと」
 締めのコントは毎度お馴染み、諺を使ったマペットコントで人気を博すHAKASE。手に嵌まる海老と猿のマペットを胸前で軽く抱き合わせパカッとタイミング良くポーズを決めるとコント開始。
「お、君はエビ君キィ? ねぇ君の噂は聞いてるキィ。占いが得意なんだってね。僕も一緒なんだキィ」
「そうなんだサル君。これも『縁は異なもの味なもの』かもしれないね。どう、一緒に易者をやろう」
 HAKASEの胸前で会話をする猿と海老、言葉を発する方を軽く揺らしどっちの話か解りやすくする。会話のあと用意した小道具の卓を並べ仲良く仕事をする様子を現す。
「はい‥‥うん、良い運気だね。‥‥あ、今日はここまでね」
「エビ君、お疲れ様キィ。二人で商売を始めてから更に大繁盛キィ。元でも掛けず贅沢三昧な毎日。『海老で鯛を釣る』だキィ」
 仕事を終え、贅沢するマペットにテロップ『栄耀に餅の皮を剥く』と流れると、再度、彼らの仕事風景へ変える。そこに郭氏文が客を装い声の演出。
「エビ君、サル君。君達の占いが外れたよ。どうしてくれるんだ」
「えぇー‥‥。あまりに得意になってた所為か気が緩んで『得手に鼻突く』になっちゃった」
「あぁ待って行かないでよー。これからちゃんと占うから」
 憤慨して居なくなった客を追う仕草のマペット達。そこで最後の『栄華の夢&栄華あれば必ず憔悴あり』のテロップが流れ、HAKASEが地の声で、
「栄枯常なし、何事も永遠じゃナイからこそ鋭意努力していきましょーね。ゑびっとサルっと」
 頭を下げて終了した。
 パチパチー。
「面白かったのだー。さて本当の最後を締めるのはまいちゃんお料理教室。今日は海老にえのき、エリンギ、枝豆、豌豆‥‥をよく混ぜて、打ち粉をまぶし衣をつけ‥‥揚げた特製かき揚なのだー!」
 にっぱり笑顔と拍手をHAKASEに送った苺は素速くネタを開始。シュタタっと手際よく料理をすると見せかけ、既製品を掲げる。
 すぱこーん!
「コラ、ホンマは作っとらへんのに何言うてんねん。似非はあかんで。‥‥とまぁ今日もお終いやけど、この番組を続けて色々な人と知り合えましたわ〜。まさしく『縁は異なもの味なもの』ですやろか? ほんまはエンドレスといきたいんやけど、もう少しで最終回‥‥なんや寂しいもんやな」
 豊浦はしっかりと苺を突っ込んで、最後の締めに掛かった。
 しんみりと言葉を紡ぐ彼女に鬼王丸が、
「じゃが、どの回も十分満ち足りて不足がなくまた人柄が円満で穏やかである『円満具足』じゃな。最後まで『淵底に玉を拾う』物事とを究極まで窮める精神で頑張るのじゃ! ではまったねー」
 優しく言うと手を振る。出演者達もカメラに向かって手を振り、いつも通り楽しく終了を迎えた。