いろはに諺 ひの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/04〜02/06
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「ひ」(濁点、半濁点可)の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となって、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントなど、お願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうのも良いですし、創作した諺の披露や、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
ひ
「ひょうたんから駒」
意味:冗談で言った話が本当になったり、思いがけない処から予想もしなかったものが出る事。
「人の噂も七十五日」
意味:噂はすぐに広まるが、そのうちに忘れられてしまう事。(けして四十五日ではない)
「ひいきの引き倒し」
意味:自分の好きな人の応援をしすぎて、その人にとって悪い結果を与えてしまう事。
●リプレイ本文
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彩色豊かなタイトル画面からスタジオへと切り替わり、映し出されたのは満面の笑顔で一升もあるお櫃を抱えた苺(fa3120)。
「暇潰しーもっじを入れ替えれば、ひっつまっぶしーぃ♪ ホント美味しいのだー。えっと今日のかうんとはふぁいぶーなのだ」
彼女は『暇を惜しんで食べる』と書かれた腕章文面を実行し、さっさとコメントするとお櫃の中のひつまぶしを堪能する事に勤しむ。
普段ならこいらへんで豊浦 あやね(fa3371)の豪快なスイングが見られるのだが、彼女はただ黙して見ているだけ。
へっ?! 突っ込みがないっ? と、驚愕する出演者とTVの前に座る良い子達。
これは天変地異か、はたまた世界沈没か?
とばかりに誰もが大人しい豊浦の行動に憶測を巡らすが、答えは呆気なく出た。
マロ君が持つハンディカムが画面の右下に現れ、赤いランプが点るメインカメラの横でADが、苺のネタが続く事を合図をしている様子が映し出されている。
その通り。
まだ突っ込みを入れるわけにはいかず、苦々しい表情の豊浦。彼女とは裏腹に幸せの絶頂な表情を浮かべた苺がお櫃を抱きかかえ続けてく。
「お題文字の発表な‥‥もぐ‥‥『美人薄命』の『ひ』なのだ‥‥もぐぐ。おいらとユラお姉さんの場合は、同じ薄命でもコンビの寿命の事、番組もあと少しでお終いで解散なのだー。それまでは『額に汗』して綺麗に飾り『左褄を取る』の実行なのだ。もぐもぐ」
すぱこぉん!
「誰が『左褄』や、ウチは芸人やなくアイドルやねん! それに食事中はお喋り禁止やろ。まったく教育番組の司会やったら『人の鑑』を心掛けなあかんで」
「がぅ?! 痛ーいのだぁ。うぅおいらは威の一番の突っ込みの『火ぶたを切』ってしまったなのだー」
ADのキューの合図で、豊浦はハリセンを思いっきりスイング。ようやく突っ込みが出来た彼女は満足げにハリセンをビッとメインカメラに向け、
「はいな! 準備体操を兼ねた突っ込みを終えたところで、いろはに諺の始まりや。司会進行はウチことユラお姉さん。そしてこの通り『一癖も二癖もある』マイお姉さんに郭氏文さん。あと『一筋縄ではいかぬ』な文字ぃ君の面々とマロ君も一緒や! 今回も『捻りを効かせた』ネタの『百花繚乱』をよろしゅうに。せやけど不穏な動き、ウチへの挑戦状にはビシバシ『火の出るような』『必殺の一撃』を『ヒット』させますよって。勿論、どんな相手にもや。『贔屓の引き倒し』はあらへん、『平等』が一番でっしゃろ。ほな、我が身の危険も恐れず、持てる力を出し切って『火に入る』覚悟で臨んできてなー‥‥って?!」
ばっちり番組を進めていく豊浦の脇を突如、ブワサっと緋房のついた指揮十手が振られた。振り返って見れば火事羽織に野袴を着用し火付け盗賊改め方の姿になった鬼王丸・征國(fa0750)が現れた。どうも繰り返し出た『火』の付く諺に反応したらしい。
「火‥‥火か。この諺がおゆぅ出てきて物騒じゃ。今日のワシはそれを取り締まる『火付け盗賊改め』、その『ひ』じゃ。必殺の『ひ』とどっちにしようか迷ったがのぉ。まぁ尤も両方の主人公は、江戸時代の防犯や捕り物に携わる職人。今でいうと警察じゃな。もちぃと細かくゆやぁ、捕り物役は同心、与力や指揮、検使役にあたるんじゃ。その上の職が火付け盗賊改め方。まぁ刑事といったところかの?」
いつものように諺の他に為になる話をする。
心の奥で蘊蓄ボケ芸人になりそうじゃのぅ、と、溜め息を付く鬼王丸だが、それでも見てくれている皆の期待を裏切る事はしない。そこが彼の人の良いところ。いつものように調べた蘊蓄を披露していく。
「そういった職に付く侍達は『日日に新たにして又日に新たなり』で、常に自分を新たに向上させる姿勢を見せているのじゃ。そう、四文字熟語の『百戦錬磨』も物事の経験を沢山積み重ね鍛えられる事と言うて、進歩を怠らないという点では近いものがあるな。どうじゃ解ったか?」
熱心に語った鬼王丸はネタを締める。
はーいっと口を動かしながら返答する苺の後に、十二単と束帯姿で雅な雰囲気のあずさ&お兄さん(fa2132)も大きく手を振り、彼に続く。
「鬼王丸さんの勇ましいのも素敵だけど、今の時期はやっぱり‥‥ひな人形の『ひ』でしょっ。お節句までひと月ないし、節分と入れ替わりに用意する家もあるんじゃないかなっ?」
「それは早すぎや!」
すぱーんっ!
愛らしく微笑むあずさの後頭部にハリセンを一撃見舞う。前につんのめり転がる寸前‥‥、我先にとあずさの体を支えるHIKAGE(fa1340)とマロ君。
「ふっ、美しい黒髪を喩えて言う『翡翠の髪状』の『ひ』ー。この通りか弱い女性を助けるのは当然の事‥‥。バレンタイン前だからではないですよ」
付け髭顔と爽やかな笑みを顔に貼り付けHIKAGEが、気障に挨拶。口では違うと言いつつ、思いっきり意識をしているようだ。彼の言動に冷ややかな視線を送る女性陣+2。
それでも怯まないHIKAGE。マロ君も同様に手にした『百花繚乱』のフリップで乙女達の気を引く事を惜しまない。やはりこの時期のメンズは色々な苦労があるようだ。
バチバチッと効果音を立て火花を散らし始めた二人。止めに入ったのは郭氏文 令明(fa0243)。
「お二人とも喧嘩はここまでに。いい加減にしないとユラお姉さんのハリセンで『非業の死』を遂げる事になりかねないのですよ。え、えぇ紹介が遅くなりましたがいつも通り司会者を勤めます郭氏文です。それにしてもお二人とも見事な『人の心は九分十分』の実行でしたね。TVの前の皆は解りましたか? そして諺をもう一つ、彼らの人気の的の女性陣は『美人に年なし』でしょうか? 意味は美人は幾つになっても若く美しく見えるという事でして‥‥。ですがあまりの可愛さに親が一人娘を嫁にやるのを惜しがり縁遠くなりがちだと言う事になりかねない『一人娘と春の日はくれそうでくれぬ』にならないよう注意してくださ‥‥ですが、当て嵌まるのに時間が掛かりそうな方が‥‥」
郭氏文は未だに一升のお櫃に挑んでいる苺をチラと見やり、ぽつり言うが早いか、
すぱこぉーん!
失礼発言を聞き逃さなかった豊浦のハリセンが閃き彼を打ち負かす。と、また出てきた鬼王丸。
「お姉さんはツッコミ過ぎの刑で前科三犯じゃな。あぁ、そこで一升入を平らげたマイお姉さんは、食べすぎで前科ご飯じゃ! それと‥‥やはり今回は『ひ』が頭に来る‥‥あぎゃ?!」
勝手に刑を確定させかつ下らないダジャレまで撒かす。豊浦が再度突っ込みを入れた。危険そうな諺をあっさりと阻止。鬼王丸は無念とばかりに蘊蓄に差し替えた。
「や、やっぱし‥‥必殺の方がえかったんか? 某米国映画やらで有名になった活劇シーンが多くは日本が嚆矢じゃのぅ。さ、最後にこれ‥‥鬼へーはんがちょぉん!」
スッと伸ばした手を耳元で引き、突拍子もなく往年のギャグをかます。これは若い世代には難しいが、大ウケした一部のスタッフ達は涙を堪えつつ、CMへ切り替えた。
●
「久し振りのコントを披露しようかと思ってるの『ひ』ー」
「やっぱりこれ! HIKAGEの『ひ』」
CM明け、ピンクのタイツを着用したあずさ&お兄さんと白タイツ姿のHIKAGE。
カメラの前でポーズを決め、イソイソと文字作りセット登りだす。
互いに背を向け、やや斜めに体を固定すると、上げた腕を小さく倒した。
「「ひー」」
足の裏を重ねてカーブを描き人文字を完成させた。
文字を作り終え、セットから降りる二人の頭上からブーカ、ブーカっとハーモニカの不協和音が響く。
誰もがそっち視線を送れば、ふた昔前の特撮宜しくなファッションに身を包みハーモニカを吹く真田・勇(fa1986)がいた。
「ヒーローの『ヒ』っす。やっぱ登場は高い所で楽器を演奏しながらっすね」
「こらぁ、勝手に登ったらあかん。セットは大切にしなはれ。それになんやの、時代錯誤な恰好はー」
捻れた知識を披露する真田の下で、拡声器を手に怒鳴る豊浦。
あまりの剣幕に押され彼はスゴスゴと降り始めた。が、足の動きは心許ない。なんせえらくヒールの高い上げ底ブーツを穿いているせいか、感覚がないのだ。
これも必需品かも知れないが、これは危険である。しかし既に二人の文字ぃ君も降り、誰も居ないセット。万一、真田が転げたとしても人を巻き込む危険が無い。っと、誰もが考えた矢先、
んべちょ。
ヒキガエルが床に貼り付くような音を立て、真田が落ちた。それでもめげずに体を起こすと、
「ぶほーぷかー。ヒーローだって失敗はあるんっす。これも愛嬌。つまり『卑下も自慢のうち』っすよー」
口に填ったハーモニカでやや聞き取りづらいがネタを続ける。いい加減呆れた顔の豊浦。
「諺の活用法がちゃう気もするねん‥‥ま、そのハーモニカを外しがてらに‥‥」
すぱーん!
ぷかーっ。
豊浦はハリセンを真田の後頭部に一発決めた。反動でハーモニカが吐き出されて飛ぶ。
助けられた真田だが、何を思うのかお姉さんに意見の一言。
「ってか、ユラお姉さんは解ってないっす。ヒーローの楽器は哀愁を漂わせるため必要アイテムなんっす! それと悪役は意味もなく高笑い! これ必須条件。ということでお姉さんはレディ・ハリセーンにふー‥‥」
ばひぃーん
「へぇ、ウチは悪者なんか? 変な名前を付けんなやっ」
「おやまぁ、『匹夫の勇』ですね。ヒーローを目指す真田さんも良いのですが一番身近な疑問を投げたいです。えぇ本当に声優かどうかの方です。さて、次はあずさ&お兄さんの番です」
真田の言葉を打ち消す豊浦の強力なハリセン音。再度、床に落ちる彼に郭氏文は疑問を投げかけつつ、次に促した。
●
カメラが切り替わり、椅子と机が用意された控え室風のセット。そこにあずさの姿はなく、あるのは椅子に座ったお兄さん人形。
彼はどうも最近のヒドい役回り等の不当な扱いに腹を立ているようだ。マネージャー役の郭氏文に『人を射んとすればまず馬を射よ』とばかりに直談判中らしい。
『‥‥っと、ほんと酷いと思わない? 私だって頑張ってるに出番をくれないんですもの』
「解りました。それとなく言っておきます。けれど、逆効果になるかもしれませんね‥‥いえ、冗談ですよ」
半泣きで訴えるお兄さんの声の出所は、机の下に仕込まれた超小型スピーカから。これで郭氏文は一人芝居ではなく、きちんと受け答えがされているので演技もしやすい。
彼は最後に含み笑いを浮かべ、部屋を後にすると一旦、暗転。
今度はあずさとお兄さんの姿が部屋にあった。
「んもー、お兄さんのせいでマネージャーに怒られたよっ」
頬を膨らまし怒っているあずさ。黙っているお兄さんに文句を言うもそのうち、
「んー『人を怨むより身を怨め』だよねっ‥‥それに『人使うより胴使え』とも言うし、これからは私もお兄さんがしていたヒドい役も頑張ってみるよっ。だから安心してねっ」
と反省の色を見せ、決意も新たに大きく頷く。その言葉に慌て出すお兄さん。
『ちょ、ちょっとそういう意味で言ってるんじゃないのよ。私は待遇をね‥‥、あぁマネージャーが言った事が本当になっちゃったわ。『ひょうたんから駒が出』に『人捕る亀が人に捕られる』ってこのことかしら‥‥』
お兄さんは深く溜め息を付く。だがもうこうなったのは仕方のない。項垂れた所で再度、暗転しコントが終わった。
●
「がぅ、『ひょうたんから駒』、おいらもちょっと実戦なのだ。この諺のゆらいは小さな瓢箪から大きな馬が出てくるハズがないという事だけど、本当は出るかもなのだ」
苺は手にしたノミでひょうたんの中を刳り貫き始める。ごりごりと削る音に目を覚ました真田が、
「マイお姉さん、『ひょうたんから駒』っすか? んー冗談だと思うっすけど、人と会う度に僕が芸人ではないかって言って、広めてるっすよ。本当『火の無い所に煙は立たぬ』っすけど、これは本当の事じゃあないっす! まあ、どちらにしろ噂っすからね〜。『人の噂も四十五日』っていいますね〜‥‥。聞いてるっすか? マイお姉さん」
「がぅー。これでも入らないのだー、こーなったらこっそり底の部分を刳り抜いて‥‥これなら中に入るのだ! 巨大ひょうたん出来たのだー! これなら駒と言わず、何でも入るのだって。なに? 真田さん」
「それを言うなら七十五日じゃ。四十九日っちゃ法要の事じゃな」
懸命にノミを動かす苺の横で話す真田。しかし最後に大ボケをカマし、鬼王丸から軽ーい突っ込みを貰った。自分の間違いに気付いた真田は、頬を真っ赤に染め顔を両手で覆いながら猛ダッシュ。
「七十五日だったんすか? いやーん恥ずかしいっすぅー」
ズボッ!
「馬以外の大きいモノも入るようになったのだー」
スタジオの外に逃げ出そうとする真田。だが苺の作ったもといスタッフ達とすり替えた巨大ひょうたんに填る。恥ずかしさに拍車を掛けられ抜け出そうと藻掻くがどうにも無理。とうとう疲れだし、
「もぅ疲労困憊ッス‥‥。休ませて頂くっす‥‥」
今回も踏んだり蹴ったりの真田。マロ君が用意した立て札『疲労困憊:疲れ果てた様子』をひょうたんの上に建てた。
ここでも一つ突っ込みたい豊浦だが終了間近。仕方なく最後の挨拶を始めた。
「‥‥ほんまこの番組は何だかんだで似たもの同志が集ってくる『火が火を呼ぶ』という事ですやろか? いつも賑やかですが突っ込みが『ひっきりなし』やねん。そうウチは一体、いくつの突っ込みをしてきたんやろか? ‥‥ま、今日はこの辺で‥‥まったねー」
またひとつ、賑やかに番組が終わった。