いろはに諺 もの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/11〜02/13
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「も」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となり、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントを一つお願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうも良いですし、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽい、ふわふわもこもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジ。ボテボテした動き。だが、意外と俊敏な時あり? (中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動
■お題
も
「物は相談」
意味:何か問題が起こった時は、誰に相談すれば解決するかもしれないという事で、困難に会った時は、人に相談してみるといい事。
「もちはもち屋」
意味:餅は誰でもつけるが、餅屋のモノが一番、美味しいという事から、どんなことでも専門家に任せるのが一番という事。
「桃栗三年、柿八年」
意味:種を撒いて実がなるまで桃と栗は三年掛かり、柿は八年も掛かるという事から、何事をやるにも成果が出るまでには時間が掛かるという事。
●リプレイ本文
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いつものタイトル画面からスタジオへと切り替わり、白やピンクのタイツを着用した文字ぃ君達とその前に立つ司会進行を勤める三人が映し出された。
「日曜日夕方は『勿論』いろはの時間。さー今週も始まりや♪ お馴染みのマロ君と今日のお題『も』が付く『文字ぃ君』。そしていつもの司会の三人組、ウチことユラお姉さんに郭氏文さん、ボケ担当のマイお姉さんや」
「そうなのだー。間違えはご愛嬌ーってことでぇ。かうんとだうんはふぉー! これで掛け違えたボタンを直して元の鞘に収めたのだっ。‥‥え、ソレは仲直りに使うもの? で、でも物は言いよう、通じれば万事解決なのだ!」
メイン司会&突っ込みを務める豊浦 あやね(fa3371)が挨拶。続いて照れ笑いを浮かべながら腕章の『文字ぃ君感謝祭』を振りカウントをとる苺(fa3120)。
実は彼女は素で、カウント数を間違えていた。ディレクターがこっそりと編集し誤魔化していたが、ようやく気づいたようだ。
「物事が成就するには間違いも致し方ないこと。それよりも与えられるのを待つばかりでなく、自ら進んで求める姿勢が大切なのですよ。諺で言うなら『求めよ、さらば与えられん』。言葉通り、何もしなければ始まりません。次の番組でも使って頂けるようアピールは大切ですね。私事はここまでで、回を重ねる毎に『物言う花』の諺のとおり美しくなり、数年先がとても楽しみなユラお姉さんのご紹介に預かりました、司会者の郭氏文令明です」
売り込みを挟みつつ郭氏文 令明(fa0243)が挨拶。
「ほな、今日は『勿体つけて』もしょうがあらへん‥‥前置きはここまでにして始めよか♪」
豊浦が早々に冒頭を打ち切り本編へ促す。今回は早い開始である。
●
カメラが切り替わりお題文字セット前。
スカート付きピンクのタイツ姿の横田新子(fa0402)、椎葉・千万里(fa1465)。そして白タイツのHAKASE(fa2600)とHIKAGE(fa1340)が映る。
「モイスチャーの『も』ー。それは何? っと気になる良い子は辞書で調べてね!」
横田が一言。すぐに椎葉が胸の部分を両手で隠しながら、
「全身タイツってボディラインがモロに出るんね。上げ底をもそっとしよっかなー‥‥の『も』や」
ボソボソ呟く。
視聴する良い子や演者達はどこを? と問いたいがそれは聞いてはいけないお約束事項。
椎葉のコメントの終了を合図に四名は踵を返し、セットによじ登る。
まずは椎葉とHAKASEが上段と二段空けて上がり横になった。そこにHIKAGEが彼らの真ん中に立ち、足下で横田が海老反り。
「「「「もー‥‥」」」」
文字を仕上げ降りてくる彼ら。
横田がシュっと手を上げ、
「番組の勝手にもそろそろ慣れてきたので、もう少し自分らしさを出したいと思います。ということでユラお姉さんぐらいのツッコミなら『門前の小僧習わぬ経を読む』で、私にもできるハズ。『物は相談』、担当を変わりませんか? 『物は試し』てみるものですよ」
「何言うてんねんっ。無理に決まってるやろ‥‥ま、そこまで出来る言うならやってみぃ」
かなり挑発的な事を言う。勿論、豊浦も黙ってはいない。ビシバシ火花を散らし周囲を戦かす、二人の間をマロ君に扮する如鳳(fa2722)がふらついた足取りで乱入してきた。
彼が気まずい雰囲気を悟れないのは、巨大な流木に頭を挟まれているため。
それでも手にしたフリップは離さず『盲亀の浮木:百年に一度、姿を見せる盲目の亀が海上に漂流する浮木の孔に偶然、頭を入れてしまうという非常に稀な事。極めて得難い機会に巡り合うことの喩え』を出し、大きな動作で頭が抜けない事を表現し闇雲に振るう。傍にいる者は堪ったモノではない。
加減なしで振るう流木に当れらないよう、一同、左右に避けたり屈んだりと避けるのに必死。
そんな彼らを気にせず、新たなフリップ『土竜塚から山を作るな:物事を大袈裟、無闇に荒立てる事の喩え』を振った。
豊浦の変わりに横田が、
「うわぁ、だからって暴れすぎですマロ君!」
ぴこぉぉんっ!
ぱかん!
問題行動ボケに対して容赦ないピコハン攻撃。如鳳の後頭部を思いっきり打ちのめし、ついでに流木から彼を解き放つ。が、素直に喜べるべき事ではない。マロ君はあまりの痛みに呆けてしまったのだから。
星が瞬く頭で如鳳のマロ君は、新たなフリップを取り出し、『物も覚えず:どうすれば良いのか分からなくなる。また正気を失う。夢中になる。上の空である』と指まで差した。
混乱した状態と言いたいらしい。その通り唐突に季節外れの桃を取り出し食べようとするが、郭氏文が手を押さえ止めながら呟く。
「これはユラお姉さんに負けない突っ込みですね。しかし物には限度があるという『物には七十五度』がないような。って、すみません『諸刃の刃』になりかねない発言でした。さてマロ君、それは白桃。貴方の好物の桃とはやや違います。なのでこちらのモンブランをどうぞ‥‥ではお次は椎葉さん。お願いします」
「ほな、来月の行事は体の腿やなくて、お花の桃のお節句。女の子は皆、綺麗に着飾って楽しぃ過ごす雛祭りですわぁ。ということで、菱餅を作ってみようかと思います。それもただの菱餅やなく巨大なのを! 出来上がりを楽しみにしたってなぁ」
やんわりと微笑む椎葉の前に巨大菱形の型板と赤、白、緑と色の付く水飴を混ぜた餅生地が、個々に入ったでっかいボウルが置かれていた。
彼女はさっそく型に流そうとボウルを抱えて持ち上げようとする。が、あまりの重量に上がらない。
「うはぁ重くてあかんわ。そやマイお姉さん‥‥。皆、手伝ってや。‥‥そう、ほなウチの方から傾けていくさかいに‥‥」
「こーゆうのは一気に入れた方が良いのだー」
どどどど〜〜っ!
椎葉は傍にいた司会を助っ人に呼ぶ。食べ物に釣られ喜んできた苺と一緒にボウルを持ちあげ、流そうと傾けた瞬間。
苺が勢いよくボウルを直角に傾け、その拍子に椎葉はバランスを崩しひっくりかえった。それも運悪く型の中。
餅は止まることなく一気に流れ込み、彼女の体をネトネトにしていく。
「な、なにすんのぉ?! た、助けてぇ」
「食べてゆけば大丈夫なのだっ! 美味しいのだー」
藻掻き起きようとする椎葉だが、滑って絡まりどうしょもない状態に陥っている。一方、苺は救助とは名ばかりに嬉しげに餅を食べだす。
「折角の餅がぐちゃぐちゃで『元も子もない』やん。『餅は餅屋』‥‥。やっぱり無理にせずプロに頼むんやったわぁ‥‥」
がっくりと項垂れる椎葉は、最後の足掻きにぬぅっと真っ直ぐに手を天井へ伸ばし、ピンポイントで照らすライトを掴むようにバイオリンで鍛えた指先をプルプルと震わせパッタリと落とした。
「こらぁ椎葉さん。食べ物の中で寝てはいけませんですよー」
ペコン☆
横田はピコハンを振い椎葉に突っ込んだ。やる気満々の素速い突っ込みにムムム顔になる豊浦。だがここで救世主(?)の登場。
「ちょっと待ったー。突っ込みお姉さん役を掛けた勝負は番組ルールで行わないとっ。それはロシアン! 今回は菱餅ロシアンだぜ」
HIKAGEがダイニングテーブルを前にメガホンで彼女達を呼ぶ。
テーブルの上には梅干に佃煮、かき氷シロップ。白味噌やスパイスが香るカレー粉や缶詰の果物類などの食材が置かれていた。
勿論ロシアンもとい、食べ物ネタに黙する苺ではない。颯爽と餅の中から、
「餅はたくさーんあるのだ。これだけあれば桃も‥‥餅に、ぐっくり餅、んで掻き餅がでぎるのだぁ。ではマイちゃんクッキングー。おいらが用意したのは桃缶と天津甘栗に揚げ物。あ、苺を入れるのなら生苺の方が良いのだ」
HIKAGEの指示で如鳳のマロ君と郭氏文、数名のスタッフが未だ椎葉と苺が埋まる餅をテーブルの前に運ぶ。その間、型の中から苺は嬉しげに解説。だが揺れの所為で舌を噛み、発音が微妙におかしな事になる。
それでもめげずに餅を千切ってはHIKAGEに渡し、共に手巻き寿司宜しく具材を包む。見ている出演者達の頬は引きつりだす。
ロシアンという通り、入る物が凄いからだ。
「山葵に辛子入り。これらは緑と黄色が上手く使えるね。ピンクはピザソースかな? 香り付けにくさやだよね。ものは試し! マイお姉さんに因んで、旬の苺も入れよう。二月は苺の時期だもんね」
なんだか一つ覚えのモノや微妙な味になりそうなモノ、はたまた匂うモノが作られていく。
突っ込みを入れたい横田も豊浦もショッキングな調理法に言葉を失い何も言えずにいた。
ふいにHIKAGEは苺入りの菱餅を丸めている時、今月に行われたとても大切な行事の存在に気づいた。
「あぁ〜〜、そういえばバレンタインがあったんだ! ねぇ、お姉さん達ものは試しだ。このお餅と交換に俺にチョコを‥‥いや愛をくれてみないかぁ〜い?」
「それは無理ですっ」
ぴここぉんっ!
作ったばかりのチョコ入り菱餅を食しつつ、女性陣にお強請りをするHIKAGE。ここで横田がピコハン突っ込みを入れた。
前につんのめる彼の背後で不敵な笑みを漏らし豊浦を挑発するが、物応せず構えている彼女に業を煮やしたあまり、とうとう横田は意味もなく壁やスタッフ達に突っ込ピコハンを振り翳しまくり、
「っふ、この見事な突っ込みはロシアン菱餅を食べずと勝敗が解るでしょう。『求めよ! さらば与えられん!』です。絶対にユラお姉さんには負けませんっ。目立つのはこの私です! おほほほほ〜〜」
「はいはいー横田さん。向こうで餅を食べて落ち着こうねー」
横田は自分の方が優れている事を示すため暴挙な突っ込みをしまくる。さながら悪の女帝ような笑いを振りまく彼女に見かねた風に黒子に扮するディレクターと如鳳のマロ君が、小脇を抱え強制的にスタジオから運び出した。
「あ、あかんなぁ。やっぱり『餅は餅屋』。やっぱりこれを他の人に譲る訳にもいかへん。ということで、そろそろ最後のコント。マペットお兄さんのHAKASEさんの登場や」
連行されていく横田を溜め息混じりに見つつ、元の鞘に収まったことに安堵し最後のお題コントを披露するHAKASEに促すと、愛らしい二つのパペットを両手に嵌め優しげに微笑むHAKASEが映し出された。
「物には、始めあり終わりありで、もうじき番組ともお別れ。そう思うと物寂しいデスー。持ちも提げもならないネタを続けてきた僕ですが、もういいなんて申さず、もうちょっとお付き合い下サーイ。今日の文字は『も』ということで、『百舌勘定』に因んだモズ君と『猛虎も時を失えば鼠に均し』に出てくる気弱なトラ君の登場。ではスタッフさーんテロップヨロシク。モズっとトラっと!」
小鳥となんとも気の弱そうな虎の人形を胸の前に抱き合わせテンポ良くパカッと開き、お題コントを開始。
「ほんと、お餅って美味しいよね。僕はお餅大好きなんだ。けどさお店で買うと高いじゃない? あ、そうだ自分でついてみようかな。‥‥けど一人じゃ出来ないっか‥‥」
軽快にモズ人形を動かし話すHAKASE。
途中タイミングを合わせ『儲けぬ前の胸算用』のテロップが流れ、続いて『餅搗きと喧嘩は一人でできぬ』がでる。
ひと間置き、右手に付けたトラの人形をのんびりとした歩調で登場させた。
「あ、いいところにトラ君。ねぇ物は相談。僕は餅つきをしたいのだけど、手伝ってくれないかな?」
「あぁモズ君。僕で良かったらいいトラよ。‥‥なら杵を振るから、モズ君は餅をひっくり返すトラね」
用意していた小物の杵を虎に持たせるように中で親指と中指でしっかり固定すると、手首を上下に動かし杵を振り下ろし餅つきを開始させる。
「よ、よいしょ!」
「あ、危ないよっ。テンポが合ってないと僕の頭に当たるじゃないかっ」
「おっととと? そういうモズ君も駄目トラ。ちゃんと混ぜないと美味しくないトラよ!」
臼の前で餅を動かす百舌も虎同様に親指と中指で餅を捏ねる仕草を取らせるも、上手く行かない素振りを見せた。そこでテロップ『桃栗三年、柿八年』
「あぁ、上手く行かないね。『餅は餅屋』。お店で買うのが一番かも知れないねトラ君」
「そうトラね‥‥。っと、モズっとトラっと。このように物は宜しき所あり材は施す所あり。無理して挑戦するぐらいなら得意な人に任せちゃいましょーってコトだね!」
コントを終わらせHAKASEは頭を一つ下げた。
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「さて今日もお終いやね。どうでした、勉強になったやろか? 『孟母断機の教え』と言って学問は途中で辞めたら意味がない言うそうやけど、かといって勉強ばかりで『専らにし』過ぎてもエエモンやないし。ゆっくりと継続していくのが大事かも知れへんな。『求めよ、さらば与えられん』って奴やね。ともあれっウチも長い間、続けてきた番組もあと数回のラスト。もっともっとテンション上げて頑張って行きますよって、最後まで応援、よろしゅーに」
番組終了間近。豊浦の挨拶で締めを始める。続いて郭氏文が、
「えぇ、お姉さんの言う通りです。『門前の小僧、習わぬ経を読む』で、毎日のように接したりしていると、感化されたり影響を受ける事の例えがある通り、TVの前の皆さんももっと諺に慣れ親しんで使って頂きたいものですね」
「‥‥そうなのだー。時に餅のように粘っこく‥‥うっぷ‥‥。絡まれ餅から脱出するのとロシアン餅を食べるのに八年掛かったのだー」
「嘘こけぇー」
ずばしぃぃん!
口を動かしながらシレっと嘘をぶっこく苺に豊浦の突っ込み。涙目になる苺の隣で、タイツを脱ぎ餅から脱出した椎葉が、普段着で手を振った。
「まったねー」