ご当地HERO★青森編アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
5.2万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
02/13〜02/15
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●本文
「随分、好評でしたねーご当地HERO、北海道編」
「あぁ、なんだかハードだったけれど、賑やかで楽しかったな」
ここはスタッフ、ディレクターなど番組制作者が集う会議室。スタッフと若いディレクターが、にこやかにお茶を啜りながら話している。
強行な面もあったが同行したスタッフ達は北海道を堪能できたと満悦の様子。勿論、視聴者や上司達からも地域に基づいた視点から見たこの番組は好評だったようだ。
嬉しさでホコホコ顔のディレクターは早速、次の案を出した。
「さて、あれから随分と時間が経ってしまったけれど、次の地域を紹介してみようか?」
「え‥‥続くのですか?? あれっきりじゃないんだ」
「当たり前! 流石に雪深い東北の撮影は難しいと思って中断していただけだよ。だけど今年は暖冬らしく、雪が少ないようだから、動く事や撮影にそう影響はなさそうだろう? と言う事で、行ってみようか青森県!!」
「あ、やっぱり北から発信するんだ‥‥しかも青森ですか‥‥」
元気よく指示を出す彼とは裏腹に、はぅ寒そうだな‥‥っと溜め息を付くスタッフ。しかし若いわりにワンマンなワンマンなディレクターが、言い出したこの企画を聞くしかない。
ということで今回は青森。
ディレクターとスタッフ達は機材を纏め、色々とその地域の事を詳しく書き込まれた地図を手に出掛けていった。
■出演者を募集いたします。
若手ディレクター企画の『ご当地HERO★』に出演して下さる方を募集致します。
会議室でディレクターとスタッフが話しの通り、この番組は『地域密着エンター風旅番組』です。彼らが巡る地域を紹介して下さるヒーローとその悪役を募集致します。
面白そう、この土地は任せろ! っと思った方、また彼らのクルーに参加して下さるカメラマンや裏方も同時に募集しております。
皆様の手で楽しく地域を紹介して視聴者の皆様が行きたくなるような旅番組に仕上げて下さい。
では若手ディレクターと共にご参加をお待ち申し上げます。
■注意点と決めて頂きたいこと
・『ご当地HERO』とは地域密着型英雄で、主な仕事は地域の観光地アピールや特産物の紹介など、そしてたまに悪者を戦う事と、様々な仕事を請け負っています。
彼らの名前や容姿、着ているもの、その他に方言や設定、人数など細かな点を皆様でお考えください。
また同じように悪役もご一緒に宜しくお願いします。
その場合は、必ずその地方の特産物や地域名をもじったものでお願いします。
【例:埼玉HERO★ カスカビーレッド、イワッキグリーン。悪役 ソウカ堅ヤッキー等】
なお、皆様の考えられた面白キャラクターを生かしたいとので、実在するキャラクターの使用は禁止いたします。
・この番組は特撮ではなく、彼らが戦うばかりを要求していません。仲良く名産品や名所を案内して頂いてもけっこうです。
その場合、近場でしたら行けますが、遠距離はVTR編集となります。
・最初は必ず道の駅からの登場。ここから担当する地域をご紹介ください。また必ず指定した県のアピールをお願いします。他県を紹介されても反映することが出来ません。ご了承ください。
・皆様できちんと打合せをしてくださり、喧嘩の無いよう楽しんでお決めください。(これが一番大事)
では長い説明となりましたが宜しくお願いします。
●リプレイ本文
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番組タイトル『ご当地☆HERO』が画面に現れ、今日紹介する本州北端の地 青森県が映し出される。
まずは澄み切った青い空に良く映える真っ白なスノーパウダー。ここは県を代表する山、八甲田山。
黒地に赤い軍服風の八甲田少佐に扮する鬼王丸・征國(fa0750)の意向で撮影が行われたのだ。
スノーパウダーを散らし、樹氷の間を颯爽とすり抜けていく彼。‥‥とはまぁ本人評価で実際は引き腰気味なボーゲン。思うと行動は些か遠い。
事無く降りて来た彼は、待ち構えていたカメラの前で威厳を保つように胸を反らせ、
「‥‥む、むはは。諸君、ご当地HEROの時間じゃ。紹介するのは青森県。といえば八甲田山じゃな。なんせ東北、青森市の南側に聳える火山群の総称で国土地理院では大岳と称し、その標高は1584m。その昔に悲惨な事件があった場所じゃが、眼下に広がる樹海は春はブナの新緑、秋は楓や七竈など人の目を楽しませ、今の時期はこの通りアオモリトドマツの樹氷が美しいのじゃ」
ストックに仕込んだゴム製のサーベルを振り八甲田山について熱く語る。
「そして‥‥ってうぎゃぁぁ?!」
ざばぁぁ!!
もっと深く説明を始めようとした矢先、突如雪を浴びせられ驚きの声と共に雪だるまと化す。
その代わりにカメラの前に出たのは、スキー板を履いた武者鎧姿に真っ赤な林檎の被り物の中から顔を出す桃木舞子(fa5279)。
「やっぱり青森といえば、ねぶたに林檎! 夏に催されるお祭りは勇壮な武者人形が乗る山車を引いてねり歩く東北三大祭りの一つに上げられるし、忘れてはならないのは美容に良い林檎! 全国の50%を生産し、弘前だけでも20%もあるんだ。秋に見られるあの実ってる姿は可愛いよね。っと、いうわけで僕、ねぶたの国のハートフルりんご王子がこの県で一番有名だもんねー」
説明不足感は否めないが、知名度の高さに安心し細かい事は気にせず威張る桃木。
そこに何とか雪の中から這いだした鬼王丸が、埋められた怒りと凍傷で震える手で持つストックサーベルをビシっとメルヘンとデンジャラスが同居する桃木を指し、
「ぬぬぅ‥‥黙って聞いていれば‥‥確かに有名なモノが多いが、八甲田山だってのぅ‥‥って、なんじゃ自慢するだけして、去るとは卑怯! HEROの風上にもおけん奴め‥‥雪に埋もらさせられ一人勝手な講釈を聞かされた恨み晴らしてくれようぞ」
怒りに任せぶちまけるが、桃木は「ラッセーラーラッセーラー、りんごりんごアップル!」と、微妙にスベってる感漂う掛け声を上げながら任務完了に安堵し、ぴょんぴょん跳ね居なくなっていた。
一人寂しく残された鬼王丸は桃木をHEROと勘違いをし、逆恨みによる逆襲を誓うのであった。
●
場面は替わり、十和田バイパスの南に位置する道の駅『とわだ』が映る。
レストランの一画に座るベス(fa0877)が、湯気の立つ料理を前に水色系の南部裂織の半纏に顔の上半分をバイザーで覆われたヘルメット着用した姿で口元に愛らしい笑顔を浮かべ紹介を始めた。
「水澄み渡る十和田湖のぷりてぃーちゃーみーな湖の化身、十和田ヒメだよ。あたしが紹介するのは道の駅『とわだ』通称とわだぴあ。無農薬、有機栽培された新鮮な野菜や養殖されているアメマスが美味しく頂けるんだ。オススメは産地素材で作られるパスタや十和田牛を使った定食! ほんと、毎日食べても飽きがこないね」
ベスはツルリっとパスタを頬張り、更にホコホコの笑顔。
「しかもそれだけじゃない。季節毎のイベントも有名なんだ。今月は十和田湖冬物語と、とわだ雪見ラリー。冬物語の方は花火を打ち上げたりと賑やかなんだ。ぜひ見に来てね!」
左隅に去年のVTRが流れる。
「さー次はお隣の道の駅を紹介してくれる奥入瀬シルバーの登場よ‥‥よろs‥‥」
大きく手を振り次に進めようとするベス。だがヌッと鬼王丸が現れ、
「十和田ヒメよ、まだまだ紹介ができとらんのぅ。くぁはは、調べが甘い!」
「そ、そんな事ない‥‥けど‥‥いいわ、次に回している間に調べてくるっ。次は奥入瀬シルバーよ☆」
手帳を手に意味深な視線でベスを翻弄する鬼王丸。しかしソコには何も書かれていない。ただ単に嫌がらせだ。負けず嫌いの彼女はつい口車に乗り、さっさと奥入瀬シルバーこと竜華(fa1294)に回すと店を後にし調べに走った。
ここでまたカメラが切り替わり、銀地に白い滝の飛沫が躍動感溢れる構図が見事なチャイナドレスを着用するセクシーな竜華が、扮する奥入瀬シルバーが妖艶に手を振っていた。
「好、ここは名水と四種類の地ビールに十和田湖牛が味わえる道の駅『奥入瀬』よ。有名なのは渓流ね。中で見物は雲井の滝かしら。比較的水量が多く落差25メートルと迫力のある滝は一見の価値はあるわよ」
建物の中にある特産物販売所や喫茶をゆったりとした足取りで歩き、施設内を案内しながら近隣の渓流館や名所も紹介。
雲井の滝に関しては今は冬で凍ってしまい行く事が出来ない為、予め用意していたVTRを流す。迫力と美しさを兼ね備えた滝の映像に魅入りながらも、ここでも登場した鬼王丸。
「ふふふ、滝か‥‥なかなか見事な画じゃな。しかし今は冬。春の映像を流すとは勘違いする視聴者が出たらどうするのだ?」
またも嫌がらせ。雪に沈められたのをかなり根に持っているよう。だが限度がある。
竜華はそれでも無言。言葉よりも態度が出る彼女は、目を据わらせ腰を低く落としたかと思うと、動を利用し深く引いた右腕を高く突き上げた。
「豊かな自然を護る為、必殺の瀑布昇竜撃!」
ぶばきぃぃん!
渾身のアッパーが鬼王丸の顎にヒット。彼はそのまま吹っ飛び、ここで一旦CMに入った。
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つがる市にある道の駅『もりた』。ジーンズとラフな恰好でベンチに凭れ三味線の練習に勤しむ津軽ジュンこと美角やよい(fa0791)。
ベンベンっと撥で弦を爪弾くもどうも上手く音が出ず、HEROになれない。溜め息を混じらせる彼女。そこにねぶたの国のハートフルりんご王子桃木が現れた。
「おや津軽三味線? 確かにそれも有名だよね! ま、僕の愛しの林檎ほど有名では無いけど」
「いきなり知名度の話? まぁややマイナーかも知れないけど、最近では若い弾き手が増えてきて人気もあるんだよ」
ムッとした表情で答える津軽にヤレヤレと言わんばかりの笑みを浮かべた桃木。
「いや、知名度は必要だよ! 君は有名な曲とか弾ける? もっと人気を出していかないと生き残れないよ。ってそういえばここの名物を紹介していないじゃん」
「そ、そこまで言うなら解ったよっ! 今に見ていなさい。ん? あ、そ、そういえば‥‥」
「名物なら、それはー‥‥」
びょぉぉおお!
スランプ設定の津軽役の美角は的を射た言葉に声を荒げる。ご当地紹介モノが他の展開になりつつあるところに桃木が気を利かし、名物紹介へ促した。
そこに寒空の中、白い着物姿の堀川陽菜(fa3393)ことユッキー五所川原が突風と共に現れる。
風に捲れた着物の中は懐炉が張り巡らされているも、寒さを凌げていない。特殊メイクさながらの青ざめた唇で、
「うふふ‥‥冬のこの時期は地吹雪が有名で地吹雪体験ツアーがあるという五所川原。‥‥しかし今年は暖冬で雪が少ないので、ちょっぴり寂しいです」
厳しい気候を逆手に取った町おこし企画。流石に上手いタイミングで出るモノではないので、内緒で巨大扇風機を回し似非地吹雪を作り出している。
「イジワルは駄目ですよ、許しません。ホワイトブレぇス〜〜!!」
ぽち。
びょぅぅぅ〜!
「さ、寒い! ごめんなさーい」
再度、扇風機のスイッチを押し、堀川はニセ地吹雪を作り上げ桃木を退治した。
ふぅっと息を吐き振り返った堀川は美角を見、
「三味線練習、頑張ってね。影ながら応援するわ」
おほほほーっと震える笑いをしながら扇風機と共に飛び乗った台車でフレームアウト。
地吹雪の冷たさの裏に隠された暖かさに励まされるも、
「れ、練習はと、取り敢えず、市名産のじゅんさいがふんだんに入ったじゅんさいラーメンを食べて‥‥リフレッシュをしてから‥‥。おばちゃーんラーメン宜しく!」
あいよーっと掛け声を聞き三味線を傍に置いてテーブルに着いた。
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「さて津軽ジュンちゃんが練習している間、青森市の東部にある合浦公園を紹介です。ここは弘前公園と共に桜の名所の一つ。けれどまだ時期までは遠いです。今日は雪と遊ぼうをテーマの冬の祭りに参加してみました。これは雪の滑り台、大きいね。ふふ、みんな楽しそう。僕は‥‥そうだ、棒パン作りに挑戦しよう」
フワモコの防寒服を着込んだ小学生姿の炭焼き戦隊棒パンジャーになる藤拓人(fa3354)。尤も年齢もその通り小学生だ。
別撮りされたVTRに映る彼は賑わう市民祭りに参加し、目の前にあるパン生地を捏ねて伸ばしだす。その隣にこそっとスタミナ怪人ニンニックーとなり大蒜の着ぐるみ姿をした若宮久屋(fa2599)が、威勢良く手にしたニンニクを突きつけ、
「パン作りご苦労。この寒さだから、田子特産ニンニクを入れてみたら暖まるかもしれないよ。因みに田子はここより南に位置する町だ」
寒さも何のそのな勢いで特産品を紹介。
「う、それはちょっと‥‥普通のパンを作りたいので遠慮します」
藤はあっさりと断りを入れる。それでも食い下がる事の無く、若宮は着ぐるみを脱ぎ捨て、もう一枚着ていた筋肉着ぐるみを披露。
「日本一のニンニクの生産地、田子町のニンニクを食べてスタミナをつければ、ホラ君も肉体美と健康を手することが出来るよ。まさにガーリック・パワー!」
グッとポーズを決める若宮に、益々素っ気ない返事を返す藤。カメラはこの二人の置いて、次のHEROの待つ弘前へと切り替えた。
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「ぬぬぬ‥‥HERO達め分散して掴まらんっ‥‥ぬ? なんだこの音色は?!」
顎にでっかい絆創膏を貼った八甲田少佐こと鬼王丸は、弘前の道の駅『ひろさき』でキョロキョロと辺りを見回す。
音の出所は先生について練習をした津軽ジュンこと美角の三味線。
猛練習の甲斐があり、それなりに良い音色である。
引き込まれる鬼王丸の後をカメラに追い、彼女の前に。三味線の手を止めず美角は、
「よく来たね。三味線の音色は良いみたいだね。そう説明を忘れてた! これは青森県西部、津軽地方で誕生したもので、民謡の伴奏に用いられたのだけど、現代は独奏を指して呼ぶ場合が多いんだ。独特な撥を叩きつけるように弾く打楽器的奏法にアップテンポが多い楽曲も特徴的だよね」
音色に惹かれ鬼王丸だけでなく、他の悪役やHERO達も集まり出す。
「ここで津軽三つ物と言われるじょんがら節、おはら節によされ節を紹介しよう‥‥よぉお!!」
音色を変え三つの楽曲を次々と演奏する彼女。ウットリとした表情で聞く彼らにメタリックな和風鎧を着込んだ弘前ジョーになった鷹飼・源八朗(fa5082)が、
「津軽三味線に弘前城‥‥良い組み合わせだな‥‥。そう弘前城の歴史は古く津軽藩祖為信が津軽統一を成し遂げたのが始まりで市の中心部に西に岩木川、東に土淵川を配し東西約603メートル、南北約1キロ。面積は約4800アールという広大な地域を占めているんだ。お堀に植えられた3000本ものソメイヨシノやヤマザクラが見頃を迎えるとそれは見事としか言いようがない‥‥。桜祭りにはぜひ来てくれよな、ボクと握手だ!」
ちゃっと格好良く右手を画面に出し爽やかな笑顔を作る。
まだ鳴り響く音色の中、ベスが扮する十和田ヒメが隣に立った鬼王丸にようやく気付き。
「あ〜〜、さっきあたしに甘いって言った失礼な人! あの時は釣られちゃったけど許さない、十和田すぷらーっしゅ! 可愛いと思って油断してたら痛い目みるよっ。十和田の水は身を斬るように冷たいんだからねっ!」
どげしっ。
スカートが捲れるのもなんのそので思いっきり顎に向かって足蹴り。地面に這った八甲田少佐役の鬼王丸は、再度入れられた顎を撫で、
「うはぁ! ま、待て! そもそもワシが気持ちよく八甲田山を滑走していた際に雪をぶっかけたのはあんた達じゃろうがっ」
? マークを浮かべる竜華や鷹飼。一人ピーンと来たのは、桃木だ。
「あ、アレはボクの仕業だよー。ごめんねー」
「そうじゃったのかー。もしやワシの勘違い‥‥って。こらぁぁー」
ぶぅん!
「あ、危ないっ桜花乱舞斬! 弘前ダイナミぃぃック」
林檎の被り物の上から頭を掻く彼。勝手に勘違いしHERO達に嫌がらせをしていた鬼王丸は、更に怒りの炎をもやし桃木にゴムの仕込みストックで襲いかかろうとした。
が、鷹飼の手にした日本刀の模造品によって受け流される。ジロリと睨み合いながらも呼吸を置いてかききーんっと斬り結ぶ。
なんだか本格的HEROショウになりだしつつあるところに美角が、
「こらぁ同じ郷土の者が喧嘩してどーするの?! これを聞いて改心よ、響け正義のじょんがら節っ!」
ベケベケベケ‥‥。
さっきよりもなお激しく三味線を掻き鳴らす。さて、これで改心したかどうかは解らないが青森編のご当地★HEROはこれにてだ。
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「あー寒い‥‥」
撮影終了後、薄着をしていた堀川が凍える手でスタッフとして入った少年の用意した南部煎餅が入る煎餅汁を受け取る。
「この棒パンも一緒にどうですか? 美味しいですよ」
「いいねー。付け合わせに貰おう」
撮影で作ったパンを振る舞うのは藤だ。隣で大蒜が添えられるステーキを頬張る若宮。他の面々も嬉しげに名産品を食し暖を取る。
この寒さの中でも誰もがホコホコの笑顔を湛えていた。