いろはに諺 すの巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/25〜02/27

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
 スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
 あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
 さぁ、賑やかに放送開始である。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 その1 諺とは関係なく「す」(濁点可)の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となり、体を張り文字を作って頂きます。
 その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントを一つお願いします。
 ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうも良いですし、体を使ったスタントでコントもオッケー。
 とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
 コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
 最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
 用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽくふわもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジっ子でボテボテした動き。だが意外と俊敏な時もあり?(中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動。

■お題
 す
「捨てる神あれば拾う神あリ」
意味:困っている時に見捨てる神様もいれば、救ってくれる神様もいることから、世の中は見捨てる人ばかりでなく助けてくれる人もいるのだから、クヨクヨする事はないという事。

「雀の涙」
意味:雀は小さいから、流す涙もほんの少しだという事からほんの少しのものの例え。

「粋が身を食う」
意味:遊び上手な人が、いい気になり遊び過ぎて体を壊したりお金を使い過ぎて、身を滅ぼしてしまう事。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)

●リプレイ本文


 いつものタイトル画面からスタジオへと切り替わり、文字ぃ君達と司会進行を勤める三人が映し出される‥‥ハズだが違った。
 なんと彼らの代わりに上機嫌で踊る鬼王丸・征國(fa0750)が映っている。
「すいすいすい〜‥‥昭和の香りを歌に込め、やって参りましたいろはに諺でごz‥‥」
 すぱぁんっ!
 手は平泳ぎに似せ、足は態とらしく大きく上げるスローなテンポで動く鬼王丸。何とも楽しげだ。その頭部にハリセンのいい音が響く。
 スンバラスィ突っ込みを繰り出したのは豊浦 あやね(fa3371)。
 彼女は落ちる鬼王丸を一瞥すると、何事もなかったようにちゃっちゃっと番組を進めだす。
「‥‥はいな、ラスト二回のいろはに諺。今週も始まりやで。司会は勿論いつもの三人。マイお姉さんに郭氏文さん。そしてウチことユラお姉さんやねん。けれど三人だけでは番組は成り立ちまへん、毎度楽しいメンツ‥‥マスコットのマロ君に文字ぃ君もおんねん。さて今日は『す』。『酢の利いた』『頗るつき』のネタを期待してますー」
「かうんとだうーんつぅ! って、あれぇ? 次がワンで最終回ならゼロはどこでやればいーのだ?」
 豊浦に続き、元気一杯に腕章『水泳は寒中!』の付いた腕を振る苺(fa3120)。
 ふいに頭に疑問が浮んだのか、困惑顔で小首を捻る。
「さぁ、どこでするのでしょうね‥‥。それはお楽しみにという事で。‥‥はい今回もこの通り賑やかにお送りします、いろはに諺。司会者の郭氏文令明です。誰もが羨み欲すという例え『垂涎の的』に匹敵するであろうお姉さん達とご一緒できるのもあと僅か‥‥。寂しい限りです」
「ほー郭氏文さんの心配はそれなんやねんなぁ。ウチはこの番組が完走できるか心配やったわ。ま、無事に終わりそうで何よりや。『水滴も石を穿つ』とは言うけど、まさに『雀の涙』のような小さな積み重ねの突っ込みが結果をもたらしたやも知れへんな。ほな今週も最後まで『スピード全開』で‥‥駆け抜けよかー!」
 上品に微笑む郭氏文 令明(fa0243)が苺に受け答えつつ、内心に潜む切なる願いを今回も吐き出す。が、それは変わらず呆気なく豊浦にかわされ終了。
 またも完敗。ガックリ項垂れる郭氏文を慰めるように肩に手を置いたのは如鳳(fa2722)の入るマロ君。
 空いた一方の手には好物の西瓜とフリップ『水中に火を求む:水中に入り火を探しても得られない。誤った手段で求めても得られない喩え。ない物強請りの喩え』を掲げる。
 どうも慰めているようだが、更なるドツボにとっぴんしゃんだ。
 しかし言い得て妙なものに郭氏文も二の句が継げず、黙ったところで番組が開始された。


「色々な諺にも出てくるスズメの『ス』ー。可愛いよなー丸くてさー。てのひらサイズでモフモフでさー‥‥。軽量だから稲穂にも留まれるんだよー。んーつぶらな瞳がキューッツ‥‥」
「後がつかえてんねんっ」
 すぱこぉんっ!
 CM開け、文字作りセットの前に立つHIKAGE(fa1340)は開始の合図早々に白タイツの姿の頭部に乗る雀(縫いぐるみ)について熱弁を振るう。
 いつ果てるとも知れないどころか更に加熱するそれに豊浦が頭部の雀を避け背中にハリセンをヒット。ぶっ倒れた彼を跨ぎ真田・勇(fa1986)がイソイソと挨拶開始。
「スロースターターの『ス』っす。大器晩成とは遅めにドカーンっとの意味っす。それは僕のことで、これから本領発揮で本番っす! って‥‥え? もう番組終了って‥‥がーんっす‥‥。そんな事言わずに続いろはにとか、いろは群雄伝とかやろうっす! ねーねーディレクターさんっ。ねーったらっすー‥‥」
 上目遣いでお強請りする真田は、しつこく繰り返す。っと、
「だぁぁ。ええ加減にしぃ! 早う文字を作りや」
 すぱこんっ!
 前者に次いでここも軽快な音の突っ込みが入った。叩かれ慣れた真田はこんなもんでめげる玉ではない。
「う、解ったっすー。じゃあ『ス』作るっすよ」
 っと一言。HIKAGEを起こし鉄棒を上がる。真田は高い位置の鉄棒に寝そべり少し斜めに下に腕を伸ばした。そこに下で体をへの字に曲げたHIKAGEと上手く合わさりお題文字の完成。
「「スー」」
「素敵に出来ましたね。っと、ではここでマペット君達と諺の勉強の時間です」
 郭氏文がスイっと現れ、両手に人形を携えるHAKASE(fa2600)に送る。
「こんにちはー。好きには身を窶す勢いで寸劇を続けたHAKASEです。僕なりにスムーズに進めようと推敲をしてますので、スベっても見捨てないで下さいねー。という事で毎度お馴染みマペット、『雀の酒盛り』に因んだスズメ君と『雀の千声鶴の一声』のツルさんと一緒に諺を学ぼう。スタッフさーんテロップヨロシク! スズっとツルッと」
 手に嵌める雀のマペットと鶴マペットを胸前で抱き合わせタイミング良くパカッと開きコント開始。
「スロット、楽しかったチュン。旅は道楽、遊びながら行かなくっちゃ‥‥って、財布の中身が‥‥うわ使い過ぎた。僅かな事をさす『雀の涙』に‥‥。家に帰れないチュン‥‥」
 雀の羽根の中に親指、中指を使い持ったがま口を開けて、項垂れる。と、スタッフがタイミングを合わせテロップ『粋が身を食う』を流す。
「おや、お困りのようだねスズメ君。え? 賭け運にも見放され旅費を使い込んでしまったツルか‥‥。仕方ないお金を貸して上げるツル」
「ありがとう。『捨てる神あれば拾う神あり』チュンよ。僕もツルさんのように誰か役に立てるようになるチュン!」
 雀と変わって優しい声で鶴を演じるHAKASE。左手を動かしポケットからお金を取り出す仕草。お金を受け取った雀は羽ばたき嬉しげな仕草。そこに合わせた諺『水鏡の人』。
「数ヶ月後‥‥。スズメ君はどうしたかな? あれれ‥‥やっぱり『雀百まで踊り忘れず』で遊びが忘れられなかったみたいツル‥‥」
 一旦、両手を背後に回した後、HAKASEの影から様子を伺う素振りの鶴にゲームに興じる雀。
 呆れた口調で鶴に最後のコメントを言わせると地に戻り、
「好きの道には薦かぶるって言葉もあるし、いくら好きでものめり込み過ぎは良くないよーってコトで。スズっとツルッと」
 上手く締めお馴染みのポーズを取らせ、頭を下げた。
「ほぅ上手く纏まったのぉHAKASEさん。ほいじゃぁ次はワシと四文字熟語を学んでみよう。まずはスズメ君の行動じゃが『過ぎたるは尚、及ばざるが如し』で度を過ごす事は水準に達していない事と同様に良くない。これは孔子が弟子を評し、過ぎた子張と及ばない子夏は、ともに十全ではないの意で、人の言行には中庸が大切である事を説いたものじゃな」
 さっきと打って変わり真面目に話す鬼王丸。誰もがどこでボケるかを期待するが、その予兆はない。
「それでじゃ寸進尺退とは僅かに進んで大きく退く事。得るものは少なく失うものが多い事の例えじゃが、スズメ君の人生においてその辺も多そうじゃのぅ」
 しみじみとスズメ君を評論すると息を吐き、
「過猶不及、今まで出てきた熟語類もそうなのじゃが、元々中国からのも多く、故事・諺の類は日本語じゃが漢字のみの故事成語に直せる事が多いのじゃ。良い子の皆、興味をもたれたなら調べてみてはどうかのぅ。面白いぞ」
 っと、さも教育番組的に締めようとする。が、しかしやっぱり問屋は卸さなかった。
 しゅぱんっ!
「すかたーん。そっちの読みはお題やならんやん!」
 豊浦のハリセンが宙を踊り鬼王丸の頭にヒット。しかも彼は打合せの段階でもバッチリ文字を間違えていた分、更に強くあてられている。
 鬼王丸は小さく呻き床に落ちた所でCMにいった。


 いきなり画面に登場した真田は奇っ怪に体をくねらせている。
「酢だこの『す』っすー。お酢で酢だこっす。酢っすよーお酢ー。いやーお酢は体に良いらしいっすー。いいね、お酢! 押忍っす‥‥いやいや酢っす」
「すかぽんたぁん! すっすすってやかましい。それにそのダンスはなんやぁ」
 ぶばしぃぃん。
 どうも酢ダコをイメージした創作ダンスだったらしい。が、キツイ映像になる前にハリセンよって強制終了。ぶべっと床に落ちた真田は、めげずに立ち上がり今度は両手を高々と上げ、
「この通り体は丈夫っすー。ギャグ属性バンザーイ! さてさて僕が好きな『す』。‥‥好きな諺は『据え膳食わぬは男の恥』っす! 女性からの誘いを断るのは男として恥っす。だからって浮気じゃないっすよー。もうーマジで、まーしちゃったもんはね〜〜‥‥」
「なに、すっとこどっこいをぬかしてんねん! 良い子の番組に大人な話はナシっ」
 どっこん。
 下ネタチックな言動を吐く真田にディレクターは笑っているが豊浦は当然、諫める。
 ハリセンを食らったというよりドツキ倒されたが正しく彼は一気にダウン。
「こ、これだけ体を張っても‥‥給料は‥‥雀の涙‥‥。世の中は非情っす‥‥ガックリ」
「確かに据え膳食わぬは男の恥ですが、誘いがなければどうしようもないですよ‥‥ね。真田さん」
 自業自得に嘆く真田。しかし郭氏文が追い打ちをかけた。
「まーまー。そう嘆いても仕方ないよ。この番組の良いところは、言えば言っただけ食べ物が出てる事。給料分食べてやるぜ☆」
 床にいる真田と代わり、テーブルの前に座るHIKAGEが現れる。
 彼の前には局内喫茶店の人気メニューのクラブハウスサンドや裏の料亭から取り寄せた懐石料理。そして某専門店の名物、五日煮込んだビーフシチューなど素敵な料理が茶さじの先に僅かに乗っていた。本当に雀の涙ほどの量。
 早速、口に運ぶHIKAGE。
「‥‥う〜ん流石の味わい‥‥って味わえるかぁぁ!」
 一人ボケ突っ込み。異様に突っかかる彼。ここで『因みに彼は前日から食事を抜いてます』っとテロップが流れる。
「うう、空腹すぎ‥‥」
 極限状態のHIKAGEは訴えると、マロ君が通常の量の料理を載せたカートを押してきた。しかしよく見れば怪しい。
 酸っぱい匂いが鼻につくクリームシチューや、乾いたアンパン。更に先週作った辛子と山葵たっぷりの餅などが並ぶ。
「うわーい、食べ物だ。がっつり食うぜ! 『空き腹にまずいものなし』だー。う、美味いぞ。美味いぞぉ、ぉ?!」
 それでも喜び食べまくるHIKAGE。途中、喉に詰まらせ咽せながらも掻き込む。が、徐々に顔色が変わりだす。
「だ‥‥騙せない‥‥ま不味い。これが『過ぎたるは及ばざるが如し』なのーね」
 うぅっと嘆くHIKAGEに新たな惨劇。
 ピィィゴロゴロ‥‥。
「ずんばぜん。ひ、ひづれいざぜでいただぎまふ‥‥」
 季節外れの祭囃子が腹部から響く。HIKAGEはササッと立ち上がりスタジオを後にした。
「ヒカゲンが帰ってくるまで、おいらの悩みを一つ。『粋が身を食う』という諺と『粋が川へはまる』という諺、同じ『粋』を扱っているのに、意味が逆‥‥。ところですいって何なのだ? 川の話なんだし‥‥とゆーわけで川に填ってくるのだっ」
 出て行く彼を見送りながら苺がシュタっと手を上げると事前に用意されていたVTRへ移る。
 映しだされたのは何も考えず、目の前の冬の川に入っていく苺。
 勿論、川は冷水。彼女は体当たり演技が自分の芸風だと思っている節がありなんとか耐える。しかしそれはやせ我慢にすぎず、テロップで『良い子はマネしないでね♪』っと、苺が書いたであろう丸っこい文字が躍った。
 そこで水の中から顔を出す苺が、
「うぷーぅワカサギさんと親しくなってー‥‥『水魚の交わり』してって、いないのだー!?」
 どうも諺を勘違いしている。ついでにこの河にワカサギなど居るはずもない。これぞ水泡に帰す。の実施。
 捨て身に近いネタを終え、震える彼女が岸に戻ったところでVTRがスタジオへ戻り、
「と、ゆうーわけで寒かったのだぁっ。すぐに温まるのだー」
 用意された炬燵に潜り込みコタツムリと化したところで、
「ってな訳で今週も賑やかに終わり‥‥来週はついにラスト。最後まで応援してなー。皆『好っき』やねんでー」
 豊浦が締めに入る。
 その隣で如鳳のマロ君が腕に顔を押しつけ泣き真似をしながら『随喜の涙:善行に接した時、喜びのあまりに零す涙。心からありがたく思って流す涙』と書かれたフリップを振る。
「こら、まだ終わっとらへん‥‥早過ぎや」
「いやこれは円満終了するからじゃ。無茶な引き延ばしも打ち切りもない、目出度いことではないか‥‥」
 すぱこぉん!
「にゃにゃ! 勝手に話たらあかん‥‥。い、今のはHAKASEさんの腹話術や。最近、極めに入ってらっしゃるから」
 豊浦はいきなり話し出す如鳳にハリセンの鉄槌を下し黙らせるとHAKASEに振る。
 いきなりの事に困惑しつつ頷くHAKASE。驚いたのは彼らだけではない、影で見ていたディレクターは言われた諺にビクビク。
 如鳳のマロ君は仕方なく気を取り直し、床に置いたフリップを取り『水滴も石を穿つ:道徳を納める者も弛まずに努力し求めるべきだという事』を振った。
 そこに郭氏文が最期の締めに入る。
「さて残すところ一回、『寸陰を惜しむ』で僅かな時間も大切にしながら『水魚の交わり』という言葉のように切っても切れない関係‥‥親密な友情や交際の例えがあるようにその昔の中国の主君と軍師のような深い縁を探し結びたく思います。皆さんも絆は大切に致しましょうね。ではまったねー」
 今日も賑やかなうちに終わりを迎えた。