いろはに諺 んの巻アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
1.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/04〜03/06
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●本文
サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
どうも言葉が濁る理由は、番組担当のプロデューサーの指示で運び込まれる小道具、衣装の所為だからである。華やかで奇抜、要するにイベントパーティーでも行われるのではないかと思えるモノばかりなのだ。
スタッフの手により次々と運び込まれる段ボールと、大道具さん達が作る和風なセットが着々と仕上がってゆき、大きな筆を持ったヘラジカがモチーフのマスコット『マロ君』が、スタジオの隅で衣装さんの手を借り着替えを済ませると、スタンバイOK!
あとは文字ぃ君となる出演者、司会のお姉さんのスタジオ入りを待つばかり。
さぁ、賑やかに放送開始である。
■出演者募集
いろはに諺の出演者を募集します。
楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんS’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。
■演出
その1 諺とは関係なく「ん」の文字を頭に使い面白発言や全身黒タイツ(女性はピンクでスカート付き)を着用し文字ぃ君となり、体を張り文字を作って頂きます。
その2 各個人、または団体で諺に沿ったコントやドラマ仕立てミニコントを一つお願いします。
ボケをかましお姉さんにツッコミを入れてもらうも良いですし、体を使ったスタントでコントもオッケー。
とにかく一番大事なことは、皆様がワイワイ楽しんで番組を作ってくださること!
コントの大道具、衣装はスタッフが用意致します。
最後に諺の意味をちゃんと説明して終了予定? それは参加された皆様次第!
用意した諺は、全て使わなくても大丈夫です。
■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽっくふわもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジっ子でボテボテした動き。だが意外と俊敏な時もあり?(中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動。
■お題
今回は『ん』。この文字では諺がありません。
という事で皆さんのお好きな諺、もしくは47回の中で思い出になった諺を一つ題材にミニコントをお願いします。
●リプレイ本文
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いつものタイトル画面からカメラはスタジオへと替わり、文字ぃ君や司会進行役の三名が映し出された。当然、彼らの挨拶で始まると思いきや、ヌッとデカ頭ズラの二人が現れる。
「んーちゃっちゃ!」
「んぴぃ〜ぷぅ」
アフロズラに白衣、足下はサンダルと一風変わった科学者の鬼王丸・征國(fa0750)に続き、黄色いフワモコ触角の付きズラ、ステイにおしゃぶり姿の自称アマチュア芸人の佐渡川ススム(fa3134)が、シュタッと元気よく右手を突き出し挨拶。
それは一昔前に大人気となった某アニメの挨拶方法だ。
あまりの古さに誰もが解らずフリーズ状態。きっとTVの前の良い子達もそうだろうとディレクターは予想はしつつも、ただただ黙して見守る。
そう、今のディレクターにはその権限が薄い。何故ならプロディサーで、けして被り物芸人ではない鬼王丸が提案する冒頭挨拶を無碍に却下など出来るわけがない。
だが彼にだって策があった。事前に砕いて説明して欲しいと佐渡川に頼んでいたのだ。が、しかしこの有様。なぜ主人公の眼鏡娘ではなく、ベビーキャラなのか今一つ理解しがたい上に、なにやら怪しい夜のプレイのよう。
佐渡川曰く、教育番組に下ネタは不要。しかし持ち味は生かしたいぜ☆ という事らしい。しかしそれが生かされているか不明である。
そんな二人をヌルイ視線と言葉で排除に回る豊浦 あやね(fa3371)。
「ん〜早速の挨拶に悪いんだけれど、ネタ解りづらいって。だって両方とも主人公じゃないでしょ? 顔の大きな博士になんでも囓る赤ちゃんだけじゃねぇ」
ハリセン突っ込みを食らう予定だったが彼らは、あっさり出端を挫かれスゴスゴと下がり司会者の郭氏文 令明(fa0243)にタッチ。
「はい、今回も始まりました、いろはに諺の時間。お馴染みの司会者の『脳ある鷹は爪を隠す』な郭氏文令明です。この諺の意味は、優れた能力を持つ者というのは無闇に才能を誇示する事が無いの例えでして、そう私のようにずっと黙して隠した者に当て嵌まる諺ですね」
「それもどうやろか? 郭氏文さん。っと、とうとう最後の『ん』の巻ですっ。だからって気ぃ抜‥‥かずに走り続けるのが、いろはに諺流。さーみんな全力で最後まで突っ走っていこー♪ 司会進行はいつも通り、私ことユラお姉さんだよ」
いつも通り淡々とした言葉を並べていく彼。番組最後ということで、きっちり諺を使い、やや過剰に自己アピール。それに対して豊浦はハリセンではなく言葉で斬り捨てつつ、流暢な標準語で番組を進め「おーっ」と元気な掛け声と共に拳を掲げた。
釣られて文字ぃ君やマロ君も腕を振り上げ、ここで一旦、CMである。
●
CM明け。文字作りセットの前に立つHIKAGE(fa1340)がVTRの回るカメラにグイッと近付き、
「んー、またも思い起こせば一年前‥‥。出演依頼の話を貰った時、俺は喋りや動きのある仕事が勤まるのか不安だったのだけれど、今はすっかりヨゴr‥‥じゃない、馴染んで、今や皆勤賞だったりしちゃうぜ。頑張ったなーの『ん』!」
しみじみと一言。続いて佐渡川にタッチ。
「んふふ、佐渡ちゃ『ん』で〜す! 芸人を名乗っている以上、一度は出たいと思っていた番組。ようやく滑り込む事が出来たんで、最後に大暴れしちゃうよ『ん』っ」
さっきの衣装から正規の白タイツに替わっているが、先程と変わらずここでも元気に暴れ出す。それを郭氏文と如鳳(fa2722)のマロ君が両方の小脇を抱え強制連行。ようやく落ち着いたところで真田・勇(fa1986)がカメラに走り寄り、
「‥‥ついに最後となったすー。うーん長い事やってきましたっすなぁ。ではここで文字の『ん』を作るっすー」
クリリと踵を返すと文字作りセットへによじ登り出す。勿論、挨拶をした二人も一緒だ。
佐渡川は一人セットの隅でバランスを取りながら鉄棒の上に座り、腕を頭の上に伸ばし、やや体を斜め倒した形で両足はお腹にくっつけ膝を折り曲げ文字を作る。その隣では真田が鉄棒の間を縫うように体をのたらせ、やや傾けた体で鉄棒に捕まるHIKAGEにくっついた。
「「「「ん゛〜」」」
体勢がきついのか佐渡川を含む三人は不明瞭な声でお題文字の一言。見ていた苺(fa3120)は出来に納得いかないように前に出てきた。
「がぅ‥‥真田さん、最後なんだからちゃんと。だからもう少しこう‥‥」
「が‥‥ぉ、そ、そんなに体は曲がらないっす‥‥。え? だから無理だって。いた、いや‥‥それ以上は‥‥ヘブンっ」
グキ、ポキ‥‥。
セットによじ登り苺が、力ずくで真田の背を押すと、彼の腰から鈍い音が響き蛙が潰れたような声が漏れた。
ぐったりする真田に苺がグイッとタイツを引っ張り鉄棒に固定し文字を作りあげ、何事もなかったように腕章の文字をカメラに翳しながら一言。
「さー『皆さんご一緒に口を閉じて ん』なのだ」
いや、真田にとってはご愁傷様、ち〜んの『ん』だろう。っと感じる。そんな真田を残し鉄棒から降りてくる二人の間を繋ぐのはマロ君。手に持ったフリップには『色は匂えど 散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見し 酔ひもせず』っと書かれ、テロップで『全部、漢字で書くとこうなるんだよ!』と流れていく。
一呼吸おいてマロ君は腕を組み回想しするポーズを取ると、ホワンホワンっとありがちな効果音が流れだしVTRへ移った。
そこには『わの巻』より初登場したマスコット、赤い鼻をしたフワモコのヘラジカが立っていた。勿論、入っているのは裏方歴の長い如鳳。この回は夏も盛りに向かおうという時期。そんな時に着用を買って出た彼。だが、いくら冷房の効いたスタジオとはいえ、暑い。体力的にも無理がある為、中で獣人の姿を取っていた。そのため終了まで絶対に脱ぐ事が出来ない。
そんな中、HIKAGEが、
「名前はまだ無いって‥‥某小説のニャンですか?! それになぜ赤鼻のトナカイ? かなり季節外れなだよね」
物珍しそうに赤鼻を引っ張ってみたりとやりたい放題に弄くりじゃれついている。最後に背中のファスナーを見つけ、
「開けたら、どうなるのかなぁ?」
この台詞に慌てる如鳳。HIKAGEを振り払おうとするが思うように動けない。困っている彼を見かねて豊浦が、
「何すんねん! ヒカゲン」
すばんっ
着ぐるみの可愛さにメロメロになった為もあるが、これから仲間になるマスコットの困窮に黙っていられるハズがない。興味深げに手を掛けたHIKAGEに向かってハリセンを一閃。叩き込んで黙らせたところで終わる。
‥‥懐かしい映像に誰もがしみじみしていると、繋げるようにHIKAGEが出てきた。
「思い出って良いね。俺も、いの巻に登場したロシアンシューや、はの巻で初めての女装。んで文字を間違えている事に寸前で気付いた、よの巻や、たの巻ではレアキャラひぃ君の扮装。みの巻のネタが恐ろしいくらいに被った事、それに完璧に遅刻して裏方に回った‥‥あ、もういい?」
思い出を語り始めたら止まらなくなったHIKAGEにディレクターが腕を回しマキの合図を送る。気付いた彼はようやく本題へ。
「‥‥まあ、そんな訳で記念すべき最後のネタは、俺が自分の可能性に掛けこの番組への出演を決めた『一か八か』。その後も基本的に駄目元‥‥じゃなくてこの精神に基づいて行われていたのだぁ。勿論、ロシアンシューネタでも使った諺だよ。という事であの日を思い出しつつ俺は挑む! 出でよ百個のうち九十九個の山葵入りのシューよぉぉ」
裏に回っていた如鳳のマロ君が言葉に合わせ台車を押してくる。その上には堆く積まれたシュークリーム。
「えぇ、そうでしたねヒカゲン。私もその意見は一緒ですよ。ということで『残り物には福がある』で最後まで残ったモノは意外と良いものがある。人と争わない遠慮深い人は思いがけない幸運に恵まれるということで、シューと共に恒例のロシアン海苔巻です」
ロシアンと聞いて黙っていない郭氏文。彼も同調したのか声を張り、豊浦の運ぶ台車に積まれた海苔巻きの小山を呼ぶ。
「さぁ、みんな最後の運試しにシューも海苔巻きも一つずつ選ぼう。これはアウトでもセーフでもある意味、当たりだから問題なしでゴゥ!」
ズバシィン!
「‥‥だ、誰っ!? 俺は令明お兄さん以外、男性の突っ込みは受けないもんっ」
「‥‥っふ、誰って佐渡ちゃんだよーん。俺の前でネタ被りとは舐められたものだ。元祖被り芸人としてビシバシ取り締まってやるぜ! 都合の良い事にユラお姉さんも大人いしぃ‥‥これってもしかして俺の天下ぁ?」
鼻に神経を集中させ山葵を探るHIKAGEに佐渡川のハリセンが一閃。
彼は紙一重で避けるが、手前のシューにヒット。中のクリームがハリセンに押され飛び出し顔に掛かる。山葵でなくとも微妙に痛い目に合っている。
「佐渡川さん、はっちゃけ過ぎなのだー。おいらもせの巻ではそうだったけれど、あれからちびっと反省してるかもなのだー。というわけで再挑戦! 今度はしっかり水分を絞ってから揚げるのだ!」
皆が取るのを待っていた郭氏文にも佐渡川はハリセンを振るおうとするが、ここで乱入した苺に阻止された。
彼女は以前のぶっ飛んだ行動に大して指で一ミリ程の反省を示し、再度、煎餅ネタを披露しようとスタッフと共に準備。
「いや、それは洗わない方が懸命と思います」
煎餅を水に浸す寸前に郭氏文が忠告。苺はやや唇を尖らせつつ、
「がぅ?! じゃあ洗わないで煎餅をそのまま揚げるのだ!」
「‥‥って、そりゃぁ元から上がっとる煎餅じゃぁないか。それより独自に煎餅を洗う境地に至るたぁ流石、食いしん坊なマイお姉さん。じゃがはぁその路は開かれとったのよ。ぱらぱらっぱぱ〜ん煎餅汁ぅ〜〜っ」
鬼王丸はニャン型ロボアニメで流れる効果音を真似しながら、後ろから両手鍋を取り出す。蓋を開ければ湯気と共にお麩のような物体が現れる。
「解説しょぉで。こりゃぁ東北地方の鍋物の一種で、味噌味の鍋に南部煎餅を入れ、ほどようやおぉなったら食べるモノじゃ。ふゆぅて考えてみりゃぁ、煎餅も米から出来る物。鍋に入れても合う訳だ」
「‥‥いあ、南部煎餅は米じゃなく小麦粉が原料だから」
すぱん!
ここで鬼王丸の頭に佐渡川のハリセン一撃が決まったところでCMである。
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スタジオに漂う美味そうな匂いに釣られ起きたのは真田。先程の痛ましい事故からの復活である。
「‥‥あの背骨折りで僕も最後っぽい‥‥かもって思ったけれど、放置されっぱなしで切なくなり復活っすー。さてさて‥‥僕も今までの思い出をば‥‥って。あ、あれ? 記憶が‥‥。うーん思い出せない‥‥。アレか、激しい突っ込みによる記憶障害が発症しているんっすな。すっごく痛かったし、これはもう慰謝料を貰うしかないっす。そう、ちの巻は喋ってないし、ふの巻だって‥‥」
「真田さん、それは不味いのだ。とまぁ、こういう方にお勧めするのは、いろは名場面VTR集。ユラお姉さんのハリセンツッコミ特集においらの料理レシピ。鬼王丸さん&マロ君の着ぐるみ全集。ヒカゲンと郭氏文さんによるロシアンシリーズ。これをみれば、いろはが一目瞭然。きっちり思い出すのだー。お値段はなんと特別価格の十万円! 本当は覚えている方にもお勧めなのだ」
「ぐふ‥‥た、高いっ! あ、バレてた‥‥せっかくのチャンスだったっすのに」
苺にあっさりと返された真田。手を差しだす彼女をやり過ごすべく、場に倒れ死んだふり。
「突っ込み特集といえば、今日のユラお姉さんはずっと標準語で大人しいし、ハリセンが出ていないね。こ、これって病気?」
「にゃ‥‥? 天変地異でも見るような表情を浮かべないでよヒカゲン。 最終回ということで今日ぐらいは皆、きちんとしてくれるって信じてたから」
ふと今日の疑問に気付いたHIKAGE。血相を変えて叫ぶも、いつになく穏やかな表情の豊浦に窘められる。が、ジッと顔を見れば表情が強ばっている。しかしアイドル的笑顔を向けプロ根性を強調。
ここで郭氏文が最終回の締めへ入る。
「ええ、そうですね。今までお姉さん達や文字ぃ君達と色々と楽しく過ごして参りましたが、ここでお別れです。ですが『会うは別れの初め』と言いますように、出会いは別れる事の始まりです。ですが『説曹操、曹操就到』の言葉のように曹操様の話をすると彼はすぐやって来る。つまり噂をすれば影の意味で、皆さんが沢山話をして下されば、また会えるかも知れません。そして私はこの偉大なる曹操様のような方の付き人になってみたいものです」
バッチリ決めたが最後に苺が、
「かうんとだうーんわんー。じゃなくてぜろぉ。本当は今日がぜろの予定だったけれど、実は来週の『京の巻』が本当の最終回、ゼロなのだー」
可愛く手を振る苺。その言葉に豊浦が、
「ぬぁに?! 最終回は今日や無くて次? 聞いておらへんでディレクター」
ブバシィン!
瞬間的に戦闘能力を上げた豊浦。慌てたディレクターは逃げる間もなく、彼女が隠し持っていた天誅ハリセンの一撃を食らった。倒れたところで次のターゲットにロックオン。
「佐渡川さん、突っ込みやったらハリセンの振りがちゃう。それにあの下ネタプレイに俺様天下暴言は禁止やで! ヒカゲン‥‥真田さんなぁ」
ばしぃん! ぶしぃぃん!
馬脚を現した豊浦は手が付けられない。まるで猛獣‥‥否、怪獣の如く暴れ、突っ込みの限りを尽す。収拾がつかなくなり始めたところに苺が出てきて、
「というわけで来週の、京の巻にご期待。またねーなのだ♪」
小さく手を振った。