ご当地★HERO秋田編アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
極楽寺遊丸
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
4.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/06〜03/08
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●本文
「第二弾も無事に終わりましたね」
「あぁ、相変わらずハードだったけれど、賑やかで楽しかったな」
ここはスタッフ、ディレクターなど番組制作者が集う会議室。撮影から戻ってきて編集し、内容を確認していた若いディレクターが、にこやかにお茶を啜りながら話している。
またも強行な面もあったが同行したスタッフ達は色々と楽しめたと嬉しげだ。
「さてほんじゃ次に行ってみようか! 秋田県」
「はいな!」
えいえいおーっと手を振り上げ一致団結する彼ら。
「あ、そうだ忘れてた。これ」
「な、なんですかこのメモ帳??」
ディクターがスタッフにメモ書きを渡す。そこに書かれていたのは簡単にだが、ご当地に関する情報だ。
「ま、よかったら参考や使って欲しいご当地のネタだよ。ざっとだけど調べてみたんだ。‥‥さ、出演してくれるHEROを募集して、撮影に行こう」
「はーい」
というわけで、ディレクターとスタッフ達は機材を纏め、色々とその地域の事を詳しく書き込まれた地図を手に出掛けていった。
■出演者を募集いたします。
若手ディレクター企画の『ご当地HERO★』に出演して下さる方を募集致します。
この番組は『地域密着エンター風旅番組』が主です。ディレクター達が巡る地域を紹介して下さるヒーローとその悪役を募集致します。
面白そう、この土地は任せろ! っと思った方、また彼らのクルーに参加して下さるカメラマンや裏方も同時に募集しております。
皆様の手で楽しく地域を紹介して、視聴者してくれる方が行きたくなるような旅番組に仕上げて下さい。
では若手ディレクターと共にご参加をお待ち申し上げます。
■注意点と決めて頂きたいこと
・『ご当地HERO』とは地域密着型英雄で、主な仕事は地域の観光地アピールや特産物の紹介など、そしてたまに悪者を戦う事と、様々な仕事を請け負っています。
彼らの名前や容姿、着ているもの、その他に方言や設定、人数など細かな点を皆様でお考えください。
また同じように悪役もご一緒に宜しくお願いします。
その場合は、必ずその地方の特産物や地域名をもじったものでお願いします。【例:埼玉HERO★ カスカビーレッド、イワッキグリーン。悪役 ソウカ堅ヤッキー等】
なお、皆様の考えられた面白キャラクターを生かしたいとので、実在するものの使用は禁止いたします。
・この番組は特撮ではなく、彼らが戦うばかりを要求していません。仲良く名産品や名所を案内して頂いてもけっこうです。
その場合、近場でしたら行けますが、遠距離はVTR編集となります。
・できれば最初は道の駅からの登場。ここから担当する地域をご紹介ください。また必ず指定した県のアピールをお願いします。他県を紹介されても反映することが出来ません。ご了承ください。
・喧嘩の無いよう楽しんでお決めください。(これが一番大事)
■ディレクターが調べた簡易な秋田県情報
・あきたこまち 言わずと知れた有名なお米。餅米に近い触感が魅力。そして日本酒! 県内各地
・いぶりがっこ 『がっこ』とは漬け物の意味。沢庵の薫製と思って下さればおっけー。 県南地区
・きりたんぽ 新米を潰して炭火で焼いたものに比内地鶏の出汁にマイタケ、ゴボウ、セリと一緒に煮た鍋。 大館市・比内町県北
・はたはた 秋田名物八森ハタハタ。 八森町県北
・あめっ子祭り 昔から『この日に飴を食べると風邪をひかない』と言われ、山の髭大神や山人も買いにくるなどと伝えられる。なんと1588年からの民族行事。さまざまな飴の出店が並ぶ甘いお祭り。 大館市
・かまくら 雪の中の幻想的な風景を堪能できる。
●リプレイ本文
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番組タイトル『ご当地☆HERO』が画面に現れる。が、すぐに『FLASH! ツルピカーナ』の文字に押されフレームアウト。ふんわりとそれも消えたところで、彦三頭巾を被った少女二人が映し出された。
「ご当地ヒーロー内企画、FLASH! ツルピカーナの始まりだよ。私、白米の輝きアキタ・ピカーナパールと‥‥」
「アキタ・ピカーナゴールドが担当する新番組だよ」
名乗りを上げると、頭巾を外し投げる。現れたのはフリル付き編笠を被ったピカーナパールに扮する阿野次 のもじ(fa3092)と、稲穂の飾りの付いた三度笠を目深に被ったピカーナゴールドの美角やよい(fa0791)だ。
彼女達は、端縫い衣装をミニスカにアレンジした着物を纏っている。が、細部は個性を生かした違いが施されている。
美角は片袖を抜き、露わにした肌にナマハゲの顔が描かれたハードな雰囲気。一方の阿野次は米を意識した白いゴスロリ風の可愛らしいもの。ナマハゲ的なモノは背中の蓑と面のみ。
「古くから伝わる西馬音内盆踊りとナマハゲをミックスした私達は秋田の南と北を守るヒーローよ」
「まずは北から。これを見てね☆」
衣装の二大名物を紹介する美角に阿野次が続き、前撮りのVTRへ促した。
山々が連なる大自然の映像が流れる。萌ゆる緑の葉や厳寒の雪景色にそこに住む動物達の姿。
「秋田と青森の県境さある広大な森林地帯、白神山地。規模は13万ha。世界んだども稀なブナの原生林が広がる森だぁ。93年さ世界自然遺産さ登録され、そこさは絶滅の危機さある動物達がいっぱいる。これを守るのは皆の努力が大切だぁ。守ってねマナーと大自然☆」
秋田弁を駆使する阿野次。VTRが終わり、再度二人の登場。
「もちのロンロン名物は自然だけじゃない! もちもち食感サイコ−のヒーローが秋田の魅力をばぁーんと紹介するよ。見てけってば☆」
可愛くポーズを決める阿野次。美角もやや遅れ気味に同じ恰好を取る。
「その通ぉり! 秋田には色々あるが、その陰で悲しむ者もいる事を忘れるな」
「な、なに?!」
いきなりエコー掛かった声が響き渡る。二人は辺りを見回すも誰もいない。
「私はここだ。早く来い!」
挑発的な声に彼女達は頷き、ジャンプ。ぐるりと画面が変わり、道の駅『はちもり』に降り立った二人の画。
騒ぐ声に駆け寄ると駐車場で観光客や地元の人を追いかけ回す魚の着ぐるみ。怪人ハタハタこと新田・昌斗(fa3726)を見つけた。
彼は胸鰭の下から顔、側面から手足をニュッと突き出したお笑いと見間違いそうな恰好。だが、彼は至って真面目である。
「ハタハタを獲るなー食べるなー」
恨みがましい台詞を叫びながら駆け人々を襲う。新田曰くハタハタの悲しみと怒りが化けて出た怪人設定なのだ。
「おいたをする悪ぃこちゃんはナマハゲに代わってお仕置きだべ。白神山地の想いを乗せて、満たせ自然と人の調和の大地。そこに生えるは‥‥」
「ゴールドな光放つ稲穂の輝き!」
「‥‥その後に輝くパールな白米の輝き!」
新田を睨みながら次々に言葉を紡ぎ、最後は声を合わせ決め台詞。
「「泣く子を更に泣かす悪者を倒すふたりはツルピカーナ!!」」
ワッと拍手が上がった。だが、一人だけ応じない。
「むむぅ、格好良く決めたろころで所詮は我が同胞を食べるのに違いない!」
歯ぎしり一つ、ハタハタ怪人になりきる新田に彼女達のナマハゲ力が発揮され、二人はラバー製の出刃包丁を振り翳し必殺技を繰り出す。
「「あきたこまちボンバァー!!」」
「や、やられたぁ〜〜‥‥」
ズババン! っと効果音が流れ、すっかり改心した怪人ハタハタ。それを表すよう傍に来たおばちゃんから一夜干しを受け取ると嬉しげに尾っぽを振り振り食べ始める。
「すっかり心を入れ替えました。ではここで美味しいハタハタを紹介します! 冬の日本海で捕れる名物の一つ。白身なのに程良く脂の乗った味わいとツルっとした食感は最高なお魚。それにDHA、EPAを多く含んだ健康食です」
新田はハタハタの説明から、土地の説明に入る。
「ここ八峰町はハタハタの水揚げも有名ですが、海水浴や登山も楽しめ、世界自然遺産の指定を受けた白神山地に源を発する『お殿水』と呼ばれる湧水などもあり、レジャースポットが沢山。楽しんだ後は雄大な日本海の眺めながら温泉で休憩なんてどうでしょう? 遊びに来てくださいね」
見ている女性を虜にする笑顔で紹介を締めてCMへ流した。
●
CM明け。翼を広げる鷹と巨大な和太鼓が刺繍された祭り襦袢を着込んだ大きな背中が映し出された。その人物はドドンッと和太鼓を叩きまくっている。ふいにカメラを感じたらしい彼は撥を置き振り返ると、太鼓に負けない程の凄い笑い声を響かせ自己紹介。
「わーはは、拝啓、鷹巣ダンであぁる! 世界最大級の綴子大太鼓の前から道の駅『たかのす』を紹介しよう。ここ大太鼓の館は自体が道の駅になっており、和太鼓の他に各国の打楽器も集めた太鼓博物館なのだ」
鷹巣ダンことマサイアス・アドゥーベ(fa3957)が話し出すと合わせカメラは引き、人の背丈よりも遙かに大きい綴子大太鼓6台の全貌が映し出す。
「最大のものは直径3.8m、胴の長さ4.5mで重さ3.5tもある。次に大きい直径が3.7mの太鼓は牛の一枚皮を使ったという事で世界一の和太鼓として記録認定されているのだ。それとここは各種の体感ゾーンで実際に大太鼓を叩く事ができ、また巨大スクリーンで迫力の演奏も見る事が出来るのだ」
流れる解説に合わせ自慢の巨大スクリーンと地元の奏者が演奏している場面が現れる。
「大太鼓祭りこと八幡宮綴子神社例大祭は七月、それとは別に九月にはたかのす太鼓まつりがある。皆もここで壮大な演奏を楽しむのだ。太鼓は魂の鼓動! 世界一を体感せよ!」
紹介を終え、腕を組みガハハッと笑ったところで、一番大きな綴子大太鼓の上から高笑いが降り注いできた。
「おーほほほのほ。お祭りだったらこれだ! 私はあめっこ祭りの使者、キャンディーマスクだ」
マサイアスが反射的に目を向ければ、飴の包み紙風の黒い覆面で顔を隠した人物がいた。悪役のキャンディーマスクと名乗った夏姫・シュトラウス(fa0761)だ。
顔を覆う地味な覆面と違い、衣装の白タキシードは色とりどり飴や棒付きキャンディーの渦巻き模様が描かれた派手なモノ。
「2月に行われる大館市のあめっこ祭りと市は約400年前から続く伝統あるもの。一年の福を呼ぶためミズキの枝に飴をつけて神前に供えるものだ。この日に飴を食べると風邪をひかないともいわれ、白髭大神様も買いに来るという。そんな由緒あるあめっこ祭りだが、最近はバレンタインなどチョコを配る祭に押されだし、私は飴の地位向上させる為、飴以外の菓子を全てを消すべく活動しているのだ!」
夏姫は高笑いをしながら祭を解説し、その悲しい身の上を話す。黙って聞いていたマサイアスは首の後ろをさすりつつ、
「解った、解ったキャンディーマスクよ。見事な口上であるが、見上げて聞くこっちは首が痛くて敵わんので降りてこぉい」
「‥‥それもそうね。とぅ!」
くるる〜〜しゅた。
マサイアスの抗議に納得した夏姫は大太鼓の上から飛び降り現役レスラーの能力をいかした軽業を披露し、見事な着地を決めた。
見ていたマサイアスが盛大な拍手。が次の瞬間、深く息を吸い込み、
「どんな形であれ、悪事は許さぁぁん!」
ビビビビッ!
傍にある太鼓を振動させるほどの大声で一喝。驚いた夏姫は両脇の飾りのような布の上から耳を押さえ、
「っふはは、ここは素直に退こう。私と戦いたければ大館市の『やたて』の道の駅まで来い。けれど休館日は居ないぞ!」
「なんじゃそりゃぁ!」
夏姫はさりげなく名所をアピールしながら逃走。突っ込み所満載な一言に、マサイアスはまたも太鼓の皮を震えさせた。
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場所はまた南下し、今度の道の駅は『なかせん』。こめこめプラザから聞こえるドドンパ節はブルーグリーン☆田沢子役の姫乃 唯(fa1463)から発せられるもの。
機嫌良く歌いながら秋田について学ぶ彼女は、翡翠色の金属的な光を放つ派手なコスチューム姿は目立つ事このうえない。
「田沢湖周辺に悪人キャンディーマスクが出たらしい」
「了解。早速、ブルーグリーン☆田沢子出動よ!」
その言葉に反応した姫乃が外に飛び出す。外に出た途端、採光によって紺色に変わった。それは彼女が守る湖の水の色のように変化を遂げるようだ。
駐車場で待っていた同じくなかせんのヒーロー、武者姿の武士・カマクーラに扮したRickey(fa3846)の人力車に便乗する。
二人は神妙な面持ちでスタッフが引くそれに揺られると、映像は次の場面へ変わった。
静かな湖畔の向こうに連なる山々。なんとも心地よい場所が映る。人力車の引かれる音に合わせ姫乃が田沢湖の紹介を始める。
「ここ田沢湖は噴火により窪地となった場所に水が貯る事で出来たカルデラ湖なのだが、成因となる噴火が特定出来ない神秘の湖。その深度は423.4mと日本一の深度を誇り、この深さの為か真冬でも凍る事がない。夏場は遊覧船も出ているのだが、今はお休み。残念だ‥‥」
次に金色の辰子像を見つけ、
「この美しい女性は辰子という。永遠の若さと美貌を願った為にその報いで龍になり、田沢湖の主となって湖底深くに棲むと言う龍神伝説となっている。あ、このござを敷いたような平坦な岩場は御座石だ。秋田藩主が腰かけて休んだと伝えらているもの。そういえば、悪者はどこ?」
行く名所を次々と説明するが、肝心のキャンディーマスクの姿は見えない。ここで傍にいた武士・カマクーラのRickeyが、
「もしかして逃げてしまったのかな? 警護を兼ねて次は俺の担当する角館の武家屋敷へ行こう!」
一声に人力車は早々に角館へ向かった。
趣のある古い街並みが素晴らしい角館。人力車に乗るブルーグーリーン☆田沢子の姫乃と武士・カマクーラのRickeyはウットリと辺りを見つつ、解説を始める。
「藩政時代の面影を残すここ角館は、みちのくの小京都ともいわれるほど美しい城下町。元和6年にこの地方を領していた芦名義勝によって造られたんだ。昔の日本ってこんな建物が沢山あったんだね、凄いなぁ。ここってどんな人が住んでいるんだろう? 今でもサムライが住んでいる‥‥なんて事はないだろうけど」
高い塀の向こうから見える和の庭園と苔生した屋根。素晴らしい武家屋敷に言葉が出ない姫乃をRickeyはチラリと見やり、
「そう、角館は武家屋敷も有名だけれど、桜の名所百選にも選定されている所で枝垂れ桜が有名なんだよ。時期がもう少し遅ければ、さくら祭りも見られたのになぁ、残念。あのうす桃色って女の子が好きそうだよね」
ちょっぴり残念がる彼。ここでVTRが流れ枝が下がるしだれ桜の画。凛とする染井吉野とは違う味わいがある。
「そして最後に特産品は日本三大麺の一つ、稲庭うどん。産地は稲川町稲庭地区だけど、ここでは桜を練り込んだオリジナルのさくらうどんが買えるんだ!」
背後から土産品を手に取ったRickeyが紹介を終える。っと、そこに茶屋で一服楽しんでいるキャンディーマスクこと夏姫を見つけた。
「あ、キャンディーマスク。悪人は私が斬る!」
「その輝きは神秘! 謎に包まれしヒーロー、ブルーグリーン☆田沢子見参!」
「おーほほ、そう簡単にやられないわ」
さっきのほほんとは変わり厳つい顔で模造品の刀を抜くRickey。加勢する姫乃。
夏姫も簡単にやられるはずがなく、特注品の金太郎飴を模したキンタローソードを振り応戦。だが一人で戦う彼女は分が悪い。
「ちぃ、二人がかりではちょっと‥‥キャンディーハリケーン!」
彼女は素早く懐から飴玉を握り、節分よろしくぶちまけ怯んだ隙をついて姿をくらました。
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最後は秋田の南に位置する道の駅『おがち』。ここの担当は先程登場したツルピカーナゴールドこと美角だ。
「最後はおがちだよ。ここは小野小町生誕の地とされる観光地。建物も小町の旅姿、市女笠の形を模しているんだ。名産品のあきたこまちは、ここ秋田南部で作られる方が特に美味しいとされるんだ。そしてご飯に良く合う秋田の漬け物はコレ、いぶりがっこ。夏場の保存食として大根を囲炉裏火の上に吊り、燻製の香りをつけたもの。歯ごたえが良くホント美味しいんだ!」
美角は長いままのいぶりがっこを手に紹介していく。そこにキャンディーマスクこと夏姫が再々乱入。
「歯ごたえといえば飴だ! どう美味しいでしょ」
ぶばばばっ!
またも飴を美角目掛けて投げつける。が、美角も負けてない。いぶりがっこで打ち返し応戦。
「くぬぬ‥‥打ち返すとはやるな」
夏姫は次にキンタローソードで攻撃を仕掛けるが、
すてて〜〜ん!
なんと自分で撒いた飴に滑り盛大に転げた。
あまりのベタな展開に誰もが凍りつく。が、夏姫は素早く起き何事もなかったように、
「ふっ、この私にダメージを与えるとはやるじゃないか。地域を愛するヒーローパワーは大したものだ。この勝負はお預けだ、次のあめっこ祭りまで取っておけ。ほほほ〜〜」
捨て台詞一つ残してしゅたたーっと去る。ここで美角がポツリと呟いた。
「キャンディーと日本の飴って微妙に違うんだよね。因みにお祭りで出るのは切り飴の方が多いかな」
っと、楽しく秋田紹介を終えたHERO達。ここでハタハタの着ぐるみ姿の新田が笑顔で、
「秋田をこれからもよろしく。八峰町とハタハタね!」
最後のアピールで番組を終えた。