いろはに諺 京の巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 03/11〜03/13

●本文

 サブタイトルは実体験で諺(ことわざ)を学んじゃおう!
 一応、教育番組である。いや、そのはずだ! 何と言おうと‥‥。
 っていうのは先週までの話。47の文字を頭に使ったエンター風教育番組は先週をもって無事に終了していた。
 これもすべて様々な諺を駆使し楽しくアピールしてくれた文字ぃ君、お姉さんず’、そして司会者の彼とマスコットのマロ君のお陰。
 毎週、聞こえた賑やかな声や突っ込みハリセンの鋭い音が聞けなくなるというのは残念至極である。
 このままバイビィーなんていうのは寂しいっと、楽しみに視聴していた良い子や番組を裏から支えたスタッフの言葉にプロディーサーからの一つの案が出された。
「ま、確かにここでお終いというのもなんだかなぁ‥‥。毎回出演してくれたお姉さんず’や司会者さんに文字ぃ君やマロ君にもかなりお世話になったし。そうだなぁ‥‥もう一つの最後の文字、『京』を出そう。うん、この文字を使って彼らに番外編いろはに諺の演出をしてもらおう。勿論、スタジオで‥‥なんて野暮は言わないよ。せっかくの文字なんだから、京都でロケなんてどうだい?」
 おぉー太っ腹ーっとスタッフ達の間で歓喜のどよめきが起きる。
 ‥‥てなことで、もう一つの最後の文字『京』を使った京都ロケが決まった。

■出演者募集
 いろはに諺の出演者を募集します。
 楽しく頓知のきいた芸人さん出演者と番組進行係のお姉さんず’&司会者さん、演出を手伝ってくださるスタッフの方々の応募をお待ちしております。

■演出
 今回は京都ロケ。京都の各所を巡って京都の街に因んだ諺を披露して下さい。もちろん美しい街並みに対する感想的な諺でもおっけー。いざとなったら『きよ』や『きょ』でも‥‥。
 とにかく京(きよ)に絡めてちゃってくださいね。

■番組マスコット情報
名前:いろはの守言彦麻呂(略称いろは麻呂でマロ君)
外見:赤い色をしたヘラジカっぽっくふわもこでなんか可愛い。
持ち物:大きな筆を所持。
性格:基本はドジっ子でボテボテした動き。だが意外と俊敏な時もあり?(中に入った人次第)。好きなモノは毎週のお題で変動。

■お題
 『京』。
「京男に伊勢女」
意味:男は京の良く、女は伊勢が良いという事。
 
「京の夢大阪の夢」
意味:夢の中では京都でも大阪でも見物することができる事から、夢の中では色々なモノを実現したり見たりできる事。現実的ではない事を言う時に使う。

●今回の参加者

 fa0243 郭氏文 令明(20歳・♂・鷹)
 fa0402 横田新子(26歳・♀・狸)
 fa0750 鬼王丸・征國(34歳・♂・亀)
 fa1340 HIKAGE(18歳・♂・小鳥)
 fa1986 真田・勇(20歳・♂・猫)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa2600 HAKASE(18歳・♂・一角獣)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa3120 (14歳・♀・狼)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)

●リプレイ本文


 いつものタイトル画面から京都の美しい街並みが映り、司会者、出演者へとカメラが流れる。
「はい、いろはに諺の時間、本日は最終回スペシャルという事で京都にお邪魔しております。司会者とガイドも兼任する郭氏文令明です。それにしても素敵な街並ですね、折角ですからお姉さん達、お着物をなど如何です? おや、着替えてらっしゃたのですね。良くお似合いです」
「京都に来たなら京に染まるんどすねんでー♪ え? 京都弁と関西弁は違うのか‥‥? ま、細かい事は抜き! だって新番組いろはに諺をお送り‥‥」
  すぱこぉん!
 スタッフお手製のツアー旗を振る郭氏文 令明(fa0243)が冒頭の挨拶。続く苺(fa3120)は可愛らしい舞妓姿になっているも、混濁方言で暴走気味に話す彼女に豊浦 あやね(fa3371)はハリセンを一閃し制御。
「さて長かった番組も今回でホンマにホンマのラスト。最終回は『京』の文字に相応しい京都ロケ♪ 一緒に行くのはずっと共演した、いろはにオールスターの皆さん♪ 今日も楽しくいってみよー」
 彼女もまた韓紅色の舞妓姿。しなりしなりになるかと思えばその言動は、苺と五十歩百歩。ま、元気が一番という事で、いろはに諺京の巻ロケが開始した。


「さて『京』のお仕事は、いろはに諺の特別編はロケで京都です。そうだ京都に行こう! むしろ来ているよっ」
「そうや言うてるやんっ」
 てしっ!
「倒れるのもいいですが、急な坂に転がり落ちないよう気を付けください。‥‥では他の皆さん、付いて来て下さいね。ここ京都は鳴くよ鶯 平安京でご存じの通り794年に桓武天皇が遷都し1869年まで日本の首都となってました。昔は中国王朝の都となった洛陽に因んでそう呼ばれた場所です。ではまずはここ清水の舞台からいきましょう」
 最初は東山にある京都の名所、清水寺。
 のっけからボケ倒す横田新子(fa0402)は速攻、豊浦のハリセンの餌食となり坂を転がる。その様子に郭氏文が慇懃無礼な一言を放ちつつ、旗を翳しながら一行を案内していく。
「ここの有名な諺は『清水の舞台から飛び降りる』ですー。因みに飛び降りても生存率は約85%と高いかったみたい。ということでぇ、どぉーん」
 郭氏文の言葉に諺を繋げるあずさ&お兄さん(fa2132)のあずさ。おもむろに手にしたお兄さん人形を投げ落とした。勿論、すぐに豊浦のハリセンが唸りをあげる。
「こらぁ、不法投棄禁止! 因みに明治5年に政府が飛び降り禁止令を出してるんや」
 すぱこぉん!
 見事ヒット。前につんのめったあずさは欄干から落ちそうになるが、危ういところで真田・勇(fa1986)が捕まえてくれた。
「京都大原三千人〜んって、僕は飛び降りる覚悟という危険なモノではなく、清水の舞台でカラオケ歌う覚悟の方がいいっすよ。って、なんかこの歌詞でいうと京都って人口少ないっすねぇ‥‥。え、これは三千院? そんな聞いてないっす」
 いきなり歌いだす真田。途中、歌詞に首を捻るが、こっそり郭氏文が一言。それでも合点がいかず、
「そんな事は無いっすパンフレットを見てみるっす‥‥。‥‥三千院はまた梶井門跡と呼ばれ‥‥明治には三千院と公称するようになりました‥‥」
 白タイツから無理矢理パンフを引き出し読み直す。どうも答えは郭氏文の方が正解だったよう。驚きの表情の後に、負け惜しみな一言。
「‥‥て、こんな事に気合いれてどうするんだ僕。けど元は教育番組なんっすから歴史を知るのもアリっすな〜。あはっはっ〜す」
「‥‥さて見学終えた事やし、次はどこ行こうか?」
「京都だぁ! ここってかなり京都っぽい雰囲気だぁ?! 実はまったりと京都見学をするのは生まれて初めて。あ、次に行くところ? やっぱり諺通り『花より団子』で花見も良いけれど、なんか美味しい物を食べに行こう!」
「私は二条城を見たいのですが‥‥あぁ待って下さい!」
 いつもならここで豊浦のハリセンの一撃なのだが、当の彼女は地図を見つつ坂を歩いていってしまう。HIKAGE(fa1340)と如鳳(fa2722)の入るマロ君も近くの土産物屋さんで仕入れたらしいお菓子を食べながら後に続いて行ってしまう。
 そんな彼らを郭氏文は旗を振り追いかけ、各々の好きな場所へ行く一行。あまりの冷徹スルーに真田はやるせなくなりながら、
「ふう‥‥なんか寂しいのもあるっすが、春先にこの格好は冷えるっす。でも番組の正装っす! 僕、頑張るっすよー。おお〜?! 道行く人の応援感謝っすー。あ、でも僕は芸人じゃないっすよぉぉ」
 周囲の観光客はそんな真田を優しい目で見ているが、彼には他の様に映ったらしい。視線に気力の充填を完了し思いっきりエコーを効かせ叫ぶ。が、猛ダッシュで現れたご住職から制裁の卍固めキメられその場に崩れた。


 さて次の名所に来た一行、中心街から少し外れた場所を探索している。
「うむ、賑やかな都といえども田舎めいた所もある。京都いろはがるたの最後の句の『京に田舎あり』だが、江戸は『京の夢大阪の夢』じゃよ」
「へぇそうなんだー。やっぱり古都、京都に来たからには彼岸桜に梅に桃、んでもって菜の花っとひっくるめて花ぁ見学と行こう! あぁ、なんて素敵な景色。だがしかぁし実のところ俺はお菓子諸々を食うのに忙しいのだ! んー麩饅頭がたまらーんっ」
「えー、いつぞやはツッコミ合戦ではっちゃけ過ぎました。『昨日の敵は『京』の友』、ということで『京』は京都で仲良くしましょう。しかし京都でも古風な建物の間からビルがチラホラですねぇ」
 近代的な建物の間に残る細い路地の古民家。庭に咲く花達を愛でながら歩く彼らの先頭で、有終の美を飾るべく諺を披露する鬼王丸・征國(fa0750)。続くHIKAGEは綻ぶ花を見つけては、花見とばかりに抱え込む菓子を貪る。
 そんな彼と対照的に横田は京の言葉を引っ掛けボケ倒す。まだまだ微妙なのだろうか? 豊浦のハリセンは動かない。
「あ、見て見て! こっちの梅、綺麗〜。けれど本物のわらび餅は違うなー! あ、このお店ってあの有名な八つ橋さん?! 生のほうが人気だけど俺は煎餅の方が好きなんだ」
「そうみたいですね。なんだかここも近代的に変わってしまいました。ま、『昨日の淵は『京』の瀬』と言いますし、これも時代の流れなんでしょうかね‥‥」
「‥‥なんや、さっきからボケ満載やね、横田さん。ヒカゲンは食べてばっかりやん。ほな道も広くなったところでぇ天誅!」
「がぅ、危ない、お二人さんコレにくるまるのだ!」
 ばばしぃぃん!?
 テロップで横田のボケを確認していた豊浦の目が鈍く輝き、細い通りから出た瞬間、ハリセンを振りかぶった。どうやら動けるところまではと黙って待ちかまえていたようだ。
 風を切り唸りをあげるハリセン。苺が素早く布団大の特大八つ橋を投げる。
 肉桂の匂いと共に横田とHIKAGEは皮に包まれ間一髪、難を逃れた。が、しかし安心も束の間。じゅるりと響くあらたな危機。
「巨大八つ橋の完成ー! ぱっくんっ」
 満面の笑みを浮かべ大口を開ける苺。如鳳のマロ君も一緒に食いつく。それは敵わないとHIKAGEは八つ橋の皮の真ん中を破り、
「げふーこれで京菓子は食べ尽くした。で、京懐石はいつ出るの? ユラお姉さん」
「んなモンでえへんわ。代わりに京都名言ぶぶ漬け食べて逝きなはれぇーハリセン!」
 ぶばしん!
 豊浦は必殺技を題し一撃見舞った。思いっきり目を回す横田。しかしHIKAGEは意味を解らず、
「いたた、けどやっぱり京都の漬物は違うな。ご飯が進んでしょーがないよ! お代わりぃ」
「‥‥今日のヒカゲンは強いのぅ。『京の着倒れ大阪の食い倒れ』じゃな。意味は京都人は服飾に大阪人は飲食におごる傾向があり、過ぎれば身を滅ぼす元なると言うものじゃな。同意語で『京は着て果て大阪は食って果てる』がある。がここは京都。ちょいと場所が違うのう」
 HIKAGEのめげない様子に呆れた豊浦に代わり、鬼王丸が突っ込み諺を一つ。
「それはそうと今日のユラお姉さんはよう働くのぉ。働くゆぅたらここ京都出身のゲーム会社は沢山ある訳じゃが、その商売は京都独自の理念に沿っっており、顧客からの信頼を大一第一と考えサービスを徹底して利益率が低くてええとする商売法の事じゃ。ある意味お姉さんのハリセンもサービス品。つまりゃぁTVの前のええ子を楽しませとるなぁ」
 京都の商売理念を語る鬼王丸。最後は上手く纏めた所でCMである。


 CM明け。最後は五条橋。
「京の名所は寺、仕事で凝視出来るなんて粋な計らいに胸中は驚喜の境地なHAKASEです。いろはに諺は京の巻でお別れだけど、今日まで紹介した諺が皆サンの興味と教養のお役に立ったなら恐悦至極デス。ということで最後もお馴染みパペット『京鳶に鳥羽烏』に因んでトンビさんと『京の生鱈』のタラ君だよ。タラッとトンビっと☆」
 『京』を上手く引っ掛け挨拶をするHAKASE(fa2600)は、胸の前で両手に携えたマペット人形を合わせてタイミング良く開き、諺寸劇開始。
「京都って『京に多きものは寺と女』にもある通り、お寺も多いけれど美女も多いの。私も彼女達のように綺麗になりたいなぁ。だって夢で着物姿の美人になるってお告げがあったんだもの。って、着物の買いすぎでお金が‥‥これこそ『京の着倒れ』。どうしようお家賃払えない。あ、タラ君」
 右手の付けたトンビのマペットを親指と人差し指を使い、小さな着物を抱え込ませて夢を語らせるも浮かない表情を見せる。そこに左手のマスの姿をしたマペット。
「やぁトンビはん。どへんしたの? ‥‥へぇそれはしんどいだね、解った『京の従兄弟に隣かえず』だ。わいの家においでよ。一緒に暮らせば夢が叶うかも。けれど万が一があってもご飯にはしへん約束でね。諺で京男に伊勢女言うくらいだから」
 マスの口をパクパク動かし京都弁を駆使しするHAKASE。事情をすぐに飲み込んだタラ君のマペットを一方のマペットの手を引く仕草を取らせ締め。
「京都の人はケチだって言う『京のお茶漬け』なんて諺もあるけど、僕はこのタラ君のように人情味ある人が多いっと信じてマス! タラっとトンビっと☆」
 頭を下げ終了した。
「はいHAKASEさんの諺寸劇でした。そろそろお別れの‥‥って、何、橋の真ん中で仁王立ちしてんっ!」
「あははーそのハリセンはまさに千本目に相応しい。だからちょうだーい☆ くれなきゃこの七つ道具でぇ」
『ねぇ、いつ999本集めたの? それに金ダライや長ゴムって突っ込み道具だった?』
 豊浦は締めの挨拶に移ろうとするが、五条橋のど真ん中にピンクの山伏衣装でふんぞり返るあずさを見つけた。豊浦よりも先に突っ込むのは十二単姿のお兄さん。あずさに向かって隙無く言葉を挟む。
「‥‥っていうか、う〜ん重いよぉ。これが『京の着倒れ』って奴ぅ?!」
『立っているのがやっとよねぇ‥‥。ね、あずさちゃん、諺の意味全然違うわよっ』
「言いたい事はそれだけやね。このハリセンは誰にも渡しまへんし、橋を占拠するとは言語道断!」
 あずさは重みのある籠と衣装でよろけつつ突進。だが目標の豊浦はヒラリとかわし隙をついてすぱんっと臑を一撃。かなりの痛みに突っ伏し泣くあずさ。だがいきなり体を起こし、
「ねー『江戸の仇を長崎で討つ』ってあるけど、京の仇はどこで討つの?」
「あんな、仇に仇討ちを聞いてどないすんねんっ」
 すぱこぉん!
 子分になるどころか復讐を誓うあずさ弁慶に豊浦は再度ハリセンを見舞い轟沈させた。


「さー本当に最後になったのだ! 会議中に繋ぎ合わせた47の腕章。これこそっおいらの集大成なのだー! がぅ、これをどうするのかって?」
 ふんぞり返り長ーく繋いだ腕章を広げる苺。だが使い道まで考えておらず、誤魔化すように腕を振り、
「か、かうんとだうーんぜろぉ! 今まで食べたり料理したり、食べたりボケてみたりぃって色々あったけど楽しく諺を学んだのだ。ありがとーぅ」
 一気に捲し立てると矢継ぎ早に豊浦が、
「悔いを残さず楽しめたかな? 残ってしまっても『後の祭』。あこの言葉の由来は京都の有名なお祭り祇園祭の事やね」
 番組を締めだすと背後に文字ぃクン達が集まり始め、一同しんみりとした表情を浮かべ出す。
 HIKAGEは涙を堪え、人目憚らず突っ伏して大泣きする真田。スタッフも釣られだす。
 郭氏文はすいっと前に出て、
「朝日が昇るように勢い盛んな様子を言葉にした『旭日昇天の勢い』で今まで見てくれた良い子、出演者さん達の活躍を私は陰ながら応援させて頂きます」
 深々と頭を下げる。そこに如鳳のマロ君が、
『今日の後に今日は無し。二度と戻らないとはこの事で、この番組は当に教学相長ず。教える事、学ぶ事が上手く噛み合ってこそ知徳は助長発展するもの。人を教える事は自分への修行である』
 と書かれたフリップを振りつつ、次の瞬間‥‥
「ま、みんなも今日の一針は明日の十針じゃ。服の綻びは直ぐに縢れば一針で済むが、放っておけば破れが大きくなりもっと縫わねばならぬ。今できる事は直ぐにしてしまえじゃよ。頑張ってくれ。あー喋っちゃった」
 豊浦達が止める間もなく如鳳は地声で話す。すぐに目的を果たしたとばかりに八つ橋屋さんに向かってしまった。
「ま、まったねー!!」
 大慌てで出演者達が手を振り、本当の最後を迎えたいろはに諺。
 後日、鬼プロディーサーで知られる鬼王丸と、マロ君の他に衣装係も兼任した如鳳が、着ぐるみのデコに横田を含む出演者達の寄せ書きサインを見つけ、こっそり微笑んだ。