ご当地★HERO宮城編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 極楽寺遊丸
芸能 3Lv以上
獣人 フリー
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/27〜03/29

●本文

 今週もやってきました、毎度お馴染みご当地HERO。六回目は宮城県。
 少しは春めいてきたかも? といってもまだまだ東北の春の歩みは鈍いらしい。
 いつものように寒さで震えるスタッフ達。だが今日は違う震えを起こしている。その理由は、若手ディレクターが消息を絶ったからだ。
 さっきまで喜んで牛タンを食べていた彼が、忽然と姿を消した。
 番組収録前に前代未聞の出来事。スタッフ達は血相を変えて探し回っている。
 そんなスタッフ達をヨソにモコモコもダウンを着込んだ若手ディレクターは、観光名所である市内を一望出来る高台にいた。
 備えられたベンチにちんまり座り、デザートの缶入り甘酒を啜っている。
「ふぅ。ここはいつ来ても良い景色だねぇ。いやぁ甘酒も格別美味しく感じるなぁ」
 しみじみ一言。
 大きな河が挟まれた大きな街並みを見下ろす景色。こんな素敵な地を治めていたという彼の人の銅像の前で、缶入り甘酒を脇に置きぐぐっと拳を握りしめ、
「将軍のように俺もビシバシ頑張って地域統一を目指すぜ」
「み、見つけた! ‥‥まったく、何そこでわけの解らない固い決意を誓ってるのですかディレクター。彼の御仁の歴史本をきちんと読んで学んでからそーゆー事は言ってください」
 大声を上げ、響くお馬鹿な誓い。ようやく辿り着いたスタッフに窘められ、宮城の歴史について書かれた分厚い本を渡される。
「確かに歴史も学ぶ‥‥それも大切だ。ご当地紹介にも役に立つしね。ということで、今回もいってみようか宮城県!」
「‥‥最近思うのですがノリの部分が多すぎません?」
「そ、そんな事はない‥‥よ。きっと。ま、それはそれで味があるというか、イカしたカンジでしょ?」
 スタッフの言葉にギクっとするディレクターだが、誤魔化すように「えいえいおーっ」と腕を高々と振るい上げ、イソイソと地域情報誌を手に坂を下りロケへ向かった。

■出演者を募集いたします。
 本性発揮っぽい若手ディレクター企画『ご当地HERO★宮城編』に出演して下さる方を募集致します。
 この番組は『地域密着エンター風旅番組』で、挙げられた土地に因んだヒーローや悪役を募集しております。
 面白そう、この土地は任せろ! っと思った方、またディレクターのクルーとして参加して下さるカメラマンや裏方さんも同時に募集しております。
 皆様の手で楽しく地域を紹介し、視聴してくれる方が行きたくなるような旅番組に仕上げて下さい。
 では若手ディレクターと共にご参加をお待ち申し上げます。

■注意点と決めて頂きたいこと
・『ご当地HERO』とは地域密着型英雄で、主な仕事は地域の観光地アピールや特産物の紹介など、そしてたまに悪者を戦う事と、様々な仕事を請け負っています。
 彼らの名前や容姿、着ているもの、その他に方言や設定、人数など細かな点を皆様でお考えください。
 また同じように悪役もご一緒に宜しくお願いします。
 その場合は、必ずその地方の特産物や地域名をもじったものでお願いします。【例:埼玉HERO★カスカビーレッド、イワッキグリーン。悪役 ソウカ堅ヤッキー等】
 なお、皆様の考えられた面白キャラクターを生かしたいとので、実在するものの使用は禁止いたします。
・この番組は特撮ではなく、彼らが戦うばかりを要求していません。仲良く名産品や名所を案内して頂いてもけっこうです。
 その場合、近場でしたら行けますが、遠距離はVTR編集となります。
・できれば最初は道の駅からの登場。ここから担当する地域をご紹介ください。また必ず指定した県のアピールをお願いします。他県を紹介されても反映することが出来ません。ご了承ください。
・喧嘩の無いよう楽しんでお決めください。(これが一番大事)

■ディレクターが調べた簡易な宮城県情報
 ・笹かまぼこ プリプリの歯ごたえが堪らない宮城県の名物の一つ。近年、様々な味付けのモノが用意され食べきりサイズで包装されているのが嬉しい。
 ・牛タン こちらも言わずと知れた名産の一つ。牛の舌の部分を塩味やタレをつけ炭火等で焼いたもの。大抵そのまま食べる。
 ・ずんだもち づんだとも言い、枝豆をすり潰して作った緑色をした餡に餅を絡めた郷土料理。
 ・お釜 蔵王刈田岳、熊野岳、五色岳の三峰に抱かれた円型の火口湖。釜状なのでお釜という名前がついた。エメラルドグリーンの水を湛え、荒々しい火口壁と対比して神秘的な雰囲気で、冬の樹氷と共に蔵王の象徴。

 ディレクターが独自に調べたモノです。内容をもっと深く掘り下げて使うもおっけー、また使わず新たな名物HEROになって下さってもおっけー。
 皆様のお好きなHEROになってくださいね。

●今回の参加者

 fa0295 MAKOTO(17歳・♀・虎)
 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa1414 伊達 斎(30歳・♂・獅子)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa2614 鶸・檜皮(36歳・♂・鷹)
 fa2671 ミゲール・イグレシアス(23歳・♂・熊)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa4563 椎名 硝子(26歳・♀・豹)

●リプレイ本文


 今日、紹介する宮城県上空の映像に被る番組のタイトル。すぐに画面は替わり、公園風の道の駅『あ・ら伊達の道の駅』が映る。
 公園風に作られた道の駅を撮影する鶸・檜皮(fa2614)のカメラに向かって来る一人の紳士。
 褐色のブリティッシュスーツを着こなした司令官風の伊達 斎(fa1414)だ。
 程良い間で立ち止まると、刀の鍔を模した眼帯の付く顔に柔和な笑みを乗せ、
「ようこそ宮城県へ。僕は政宗長官だ。さっそく県の説明をしよう。県内には道の駅が11箇所設立され、ここ『あ・ら・伊達な道の駅』は8番目にできたんだ。見所は初代藩主、伊達政宗が仙台に居城を移すまでの青年期を過ごした岩出山町がある事。毎年9月に催す正宗公まつりは、青葉城跡にあった政宗平和像を昭和39年に移したのを機に行われるようになり、騎馬武者隊、甲冑武者隊の行進を眺め、歴史を偲ぶ事のできるもの。東北四大祭りの七夕ほど艶やかではないけれど、もし機会があったら見てください」
 解説に合わせ、戦国絵巻のような祭のVTRが流れ、その隣に伊達のバストアップ姿。見れば胸ポケットから覗くチーフの柄は、9種類の伊達家家紋の中で尤も一般的な『竹に雀』だ。同様にタイピン、カフスにも施され、さり気ない洒落っ気を見せていた。
「次は司令室をお見せしよう。各地にいるHERO達と通信する事ができるんだ」
 伊達に促され、広々とした施設内の情報コーナーへ移動。中は許可を得て入れた巨大モニターとそれらしい機械に甲冑のセットがあり、まるで特撮の司令室のようになっていた。
 伊達は慣れた風に兜に付く月型の前立てに触れ、モニターに話し掛ける。
「まず始めは‥‥西南から。ビュースノー君、応答願います」
 問いに白いスキーウェアを着た雅楽川 陽向(fa4371)が、ストックを振り応える。と画が替わる。
「はーい正宗長官。ではダム湖の畔で一息つける場『七ヶ宿』から雪の楽しさをお届けしますね」
 白く化粧した連なる山を背景に解説を始める。合わせて右下に流れるVTR。
「さて、ここ七ヶ宿から車で20分程の場所にある蔵王連峰。日本百名山の一つ蔵王連峰の由来は、吉野の蔵王堂より来られた山頂の刈田岳神社と麓の刈田嶺神社に奉養した事からきています。頂きにある御釜、別名五色沼と呼ばれる火山湖があるんだ。そうだ、ちょっと見に行ってみましょう。‥‥とぅ!」
 雅楽川は解説を終えると微笑み、その場ジャンプ。画は前撮りVTRの一面雪景色へ変わる。
「あらら? 何も見えない。‥‥けど代りに霧が凍り出来上がった世界的に珍しい樹氷現象が見られますね。では暫し幻想の世界と一緒に滑ってみましょう!」
 大きなゴーグルをした雅楽川が、辺りを見回し樹氷について説明すると樹氷の間を縫うように滑りだした。そこで彼女が付けているのだろう小型カメラの画に替わり、動きのある映像が流れる。
 ザッと雪を散らす見事な滑りを見せる雅楽川。だがこれはスタント。やはり雪解け間近の山を滑らすのは不味い。試行錯誤の末の策だ。
 滑り降りてきた風を装う雅楽川は再度、七ヶ宿の駐車場から撮られる。
「ここは夏でも滑りを楽しめるよう、グラススキーが出来るよ。他にも遊びが満載! ‥‥んー沢山滑ってお腹が空いたら水の都の名物お蕎麦をどうぞ。ここでは石臼を引いて作る蕎麦粉体験教室があるんですよ♪ ぜひ、色々と楽しんで下さい」
 雅楽川は再度、微笑み手を振ったところで画面は司令室へ切り替わった。
 モニターを操作する伊達は兜の目が黄色く点滅しているのに気付いた。それはHEROから呼び出しの合図。すぐにそっちへ回す。
「やぁ、やじろーこけしん君。どうしたんだい?」
「‥‥近くが映った‥‥みたいなので‥‥私もこけしを紹介‥‥をしたいと‥‥思いました」
「了解。よろしく!」
 ボタン操作で司令室から丸い趣のある建物、弥治郎こけし村へ画が切り替わる。カメラは玄関の中に入りHEROを探した。だが大小新旧様々なこけしがあるばかりで肝心な人物がいない。
 頭を捻るカメラマンの鶸。そこに声が響いた。
「‥‥ようこそ‥‥白石町‥‥弥治郎こけし館へ‥‥。早速こけしについて‥‥お話しましょう‥‥。弥治郎こけしの特徴は‥‥大きな頭と胴体に‥‥多用されたロクロ模様です。‥‥当初‥‥子供向け玩具として‥‥作られていましたが‥‥現在は観賞用として‥‥収集され‥‥大人の目も‥‥楽しませてくれます‥‥」
 どうやら展示品内に潜んでいるよう。ゆっくり探す画面の動きが止まる。見れば一つだけ雑誌を握る巨大なこけしがいた。色彩のロクロ模様を施したこけしの着ぐるみ姿の湯ノ花 ゆくる(fa0640)だ。手には命の源、三時のおやつはメロンパン! ではなく宮城県の観光ガイドブック。本をチラ見して内容を確認しつつ解説。イマイチ自信がなかったらしい。
「‥‥では見て良し‥‥触って良し‥‥飾って良しの‥‥こけしを‥‥作って‥‥みましょう♪」
 んしょっと動き、モソモソと進む彼女。その背にはこのまま、こけし作りをする事に些か不安を覚えている様子。だが感情は画になる事はない。代りに決定的瞬間を捕らえられた。
 どて。
 安定の悪い着ぐるみの所為でフラつきぶっ倒れた。が、湯ノ花はすぐ起き上がるとササッと隅へ移動する。一連の出来事に戸惑う伊達。
「どうしましたか? やじろーこけしん君」
「‥‥‥」
 問いに応えない。どうやら凹んでいるようだ。息を漏らした伊達は、またも点滅する兜を見、画面を変えた。
 呼んでいたのは巨漢のHEROミゲール・イグレシアス(fa2671)の扮する仙台ブラック。
 駅は駅でも道の駅ではなく電車の通る仙台駅の陸橋の上で大きく手を振っている。その姿はどっか焼き肉屋さんの店員のよう。
「これは仙台ブラック。お元気そうですね」
「当たり前や! わいは毎日牛タンを食べてるさかい元気や。ということで力の源、牛タンとその歴史。今の状況を語ろう。牛タンとは、牛の舌の事。発端は食糧難の時代、残される舌の部分を活用出来ないか考えられた事からや。その後、調理法で美味しく食べる事が出来、現在は焼肉屋の人気メニューに数えられている程。問題はな‥‥狂牛病の際に外国の入荷が減り、和牛の値段が高騰したんや‥‥」
 一気に話すミゲール。彼は用意された七輪の前に立つと手にする団扇で仰ぐ。網の上には脂が滴り落ち、香ばしい香りを放つ牛タンがある。
 彼は焼け具合を確認し、繊細な手つきで割り箸を操り肉を紙皿に載せモニターに向かって突き出す。
「ホラこの通り値段が高くたって美味そうやろ? 食べにおいで」
 パックン。
 頬張ったミゲールは美味さを巨体を揺すって表現。次々焼ける牛タンに箸が伸び、食べては踊る彼に伊達がポツリ。
「ちゃんと野菜も食べてくださいね‥‥。おや? 次のHERO達からのメッセージが来てますね」
 どことなくママっぽい発言をしいしモニターを切り替えた。


 映るのはひまわりと亜炭の町にある道の駅『三本木』の食堂。
 金糸のロングヘアに合う白いフリル付きワンピースとスパッツ姿のMAKOTO(fa0295)が扮する仙台ブランシュ。
 どうしても閉じる事のできない胸元からJカップのバストの谷間が零れ、見学するお父さん達(ついでにディレクターやクルー)の目を釘付けにしている。
「変なトコばかり見ていないで、僕、宮城の使者・仙台ブランシュが案内する名物も見て欲しいな」
「ホントだねぇ。私は宮城のちびHERO・鳴ちゃんだよ」
「「二人は‥‥やまなみガールズ!!」」
 スカートの裾に付く笹蒲鉾の飾りを揺らし、やや呆れた表情を浮かべると、その隣で黄檗色の着物を纏う月見里 神楽(fa2122)も一言。二人はすぐに背中を合わせキメポーズ。
 ばっちり決まったところで早速、MAKOTOが笹蒲鉾を乗せた皿を取り出し説明開始。
「まずは始めの紹介は宮城県名産の一つ笹蒲鉾。明治初期頃に平目の大漁が続き保存をする為、すり身にして手で笹の形に成型し竹串に刺し焼いたのがルーツと言われている。勿論今でも同じ形だ。竹や笹は古来より生々発展の印象が強く、瑞々しくゆかしいものとして、昔から愛されていたからね。んー美味しい」
「うわぁ、これからの季節に合う植物と美味しそうなお話♪ そしたら鳴は道の駅周辺を紹介するね。ここから車で5分の場所にある、ひまわりが丘は7月から8月に向日葵、今の時期から5月中旬に菜の花が咲くんだー。二つの季節に見られる黄色の絨毯は綺麗だよー。そして目の次にお腹も満足させるため、菜の花そばはいかが? わぁ頂きまぁーす♪」
 MAKOTOは箸で蒲鉾を摘みパックン。食べるのに忙しくなった彼女に代わり月見里の番。VTRに合わせて解説を始める。勿論、用意された蕎麦をツルルッ。上手く纏めたところでMAKOTOがソフトクリームを手に再登場。
「名物を食べた後のデザートは、やっぱり名物のひまわりソフト! はい鳴ちゃん」
「わぁ、美味しそう」
「こらこら、食べてばかりいないできちんと紹介をしなさい。それまで没収だ」
 伊達の声に合わせスタッフのマジックハンドが現れ、ソフトを取り上げた。途端に月見里は大きな瞳に涙を浮かべ抗議。
「駄目ぇーそれは鳴のー」
 演技のように見せつつマジの彼女。大泣き寸前に慌てた伊達はモニター内から鳴子こけしの首を鳴らし宥めるとアッサリと機嫌を直し、再度ご当地紹介。
「可愛いー。それ鳴も作ったのー。この鳴子こけしは二百年前の木地師達が顔を作り色を塗り、我が子の玩具として与えたのが始まり。そして名前が一緒の鳴子温泉は837年の火山噴火で七日七夜地面が唸り続け、鳴動の湯と呼ばれこれが現在の鳴子に転じたという説と、義経の妻や主従が逃避行し道中生まれた亀若丸の産湯になった啼き子の湯。これが鈍って鳴子になった説があるんだよ」
 温泉のVTRに合わせ月見里が説明。
「良くできたね、鳴ちゃん。ご褒美だよ」
 伊達の声と共に再びマジックハンドが現れ、新しいソフトクリームを二人に渡した。

●フィナーレは悪HERO登場で?
 ピィヨン、ピィヨン!
 ご当地紹介も終わりに迫った頃、司令室に警戒音が響く。兜の目が赤く光り悪HERO登場を知らせていた。
 伊達は慌てる事なくモニターに画を映す。現れたのは海沿いにある道の駅『大谷海岸』内に設置されたマンボウアクアリウムの前。
「このマンボウは大谷の大謀網で捕獲されたコ達なのよ。ふふ‥‥いつ見ても可愛いわ」
 よく拭かれた水槽に指紋が付くのを気にせず、なぞり泳ぐ魚をうっとりと眺めるのはふかひレディこと椎名 硝子(fa4563)。
 ふいに恍惚な表情が驚愕へと変化する。
「や、やだお肌が荒れている! 最近、寝不足気味だったから‥‥悪役も楽じゃないのよね。こんな時はコラーゲンたっぷりのフカヒレを補充だわ」
 黄金色のドレスを翻し物産店の方へ。並ぶ魚介類を見ながらお目当てを探す椎名。ついでにその説明。
「フカヒレは高級食材として有名で、鮫の鰭の部分に付く骨と皮の間のゼラチン質部分だけを干して作られているもの。コラーゲンやミネラルが豊富で美肌だけでなく健康にも良いのよ。ここ気仙沼市は鮫の水揚げ日本一! お土産用のフカヒレラーメンやスープがお手頃価格で購入出来るわ。と言う事で‥‥ふふふ、わたくしの為にフカヒレを残らず差し出しなさぁい! 県内のフカヒレはわたくしの美容の為にあるのよぉ!」
 話を終えると、いきなり腕を振り上げ見事な我が侭をのたまう。
「そうはさせない! 宮城食通HERO、衣食足りて礼節を知る仙台ブラックが相手やぁ」
「同じくビュースノー。必殺スノー愛ランド! 吹き荒れろ、吹雪y‥‥きゃ?!」
 駆け付けたミゲールが立ち向かい、雅楽川もCG使用の技を繰り出そうとするが、敵も然る者。椎名は傍にあった鮫を手に取り、
「お〜〜ほほほほほっ! 皆、わたくしの美しさの前に平伏すがいいわぁ!」
 高笑いをしながらぶん回す。危険極まりない行為だ。
 近付く事が出来ない中、湯ノ花は真こけしモードで防御とりつつ抉るような一言をぽつり。傍でオロオロする月見里。
 そこに背負った二本の大きな筆の一本を抜き、現れたMAKOTO。
「仙台で有名なのは食べ物だけじゃない。『仙台御筆』もだ。政宗公が学問と勧業の目的で大阪の筆職人を召し抱えた事から始まったと言われている。その後、常時製筆工の養成と藩士の手により技術発展し『仙台毛筆』の名を当時の都、京にまで響かせた。中でも『萩筆』と『五色筆』は5つの材料を軸に5種類1組で作られているんだ。いずれも精緻な細工と高い品質を誇る逸品。因みに筆は字を書く以外の使い方もあぁる」
 解説を終えると巨大筆の穂の部分を上手く椎名の脇腹に当て揺する。
 こちょこちょ。
「お〜〜ほほほ‥‥きゃ〜ははぁ! お、おやめ‥‥きゃぁ?!」
 べちょ。
 擽られた方は堪らず高笑いから大笑いへ変更。ついでに体勢も崩し運悪く鮫の下敷きになる。そこへ現れた伊達。
「これで悪HEROも懲りた事でしょう。最後は僕が腕によりを掛けて作った郷土料理を食べて仲良く終わりましょう!」
「「「はーい」」」
 いつの間に作っていたのだろう、彼は地元の食材をふんだんに使い郷土料理を用意していた。誰もが舌鼓を打つ中、番組は楽しいまま終了を迎えた。


「おつかれさま鶸さん、撮影と編集を感謝。面白い番組になったよ」
 現れたディレクターがクルー参加の鶸に声を掛ける。
「いえ、俺は‥‥俺なりに出来る仕事をやっただけだ」
 俯き呟く鶸。彼もまた伊達男に相応しいとディレクターはふと思った。