【封神録】南米西遊記南北アメリカ

種類 ショート
担当 姫野里美
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/22〜04/26

●本文

 ある日、北海道はオフィスPの応接室にて、とある企画が進行していた。
「要は何でもありの中華ファンタジーを、世界規模でやろうぜと言う話です」
 企画書を手に、そう説明する、担当のウォンさん。甲陽映画舎と言う、華国系の映画会社の社員だそうである。手もとの紙には、こう書かれていた。

番組名:ダークハンター封神録

概要:ベース封神演義。それに西遊記、水滸伝、三国志等々、およそ中華と呼ばれる世界を全てごちゃ混ぜて作成する、問答無用な中華ファンタジー(一応)。

キャラルール:役を作っても、素のままで挑んでも可。CG抜きのリアルな演技でやるので、その為なら、容姿0でも問題なし。ただし、武器防具道具その他は、現実に調達してくる事。中身は張りぼてでも構わないが、実在させなけらばならない。一応TV映画なので、悪役で出てくる事もOK。ただし、携帯電話だけは、世界観の都合上、必ずごまかす事。

世界設定:19世紀半ば。産業革命の足音が、ひたひたと世界を包み込み、不安な情勢が続く時代。その影には、世界各地に散らばる天魔外道と呼ばれるモンスターが、糸を引いていた。このままでは、人類はその天魔外道に支配されてしまうだろう。それを阻止する為、出演者は『ダークハンター』『闇狩り人』と呼ばれる戦士となり、世界各地で起こるトラブルを解決する。

諸注意:徹底的なリアリティを追求する為、極力CG、ブルーバック等々は禁止。関係者は概ね獣人で、逃げ回る一般の方には、全て着ぐるみだと説明してあるので、獣化OK。本職じゃなくても構わない。

「既に1話のシナリオも上がっているんです」
 刺繍の施された白の上着に、黒のスラックスとか言う、どこのゲームから出てきたあんた! みたいな格好をした、黒髪長髪のイケメンは、そう言って、脚本を差し出す。
 ただし、A41枚程度の紙には、4人の設定のみが描かれ、『委細アドリブ。結果的にすごい事が起きて解決すれば良し』と記されているだけだ。
「なんだこの、坊主と猿と河童と豚は‥‥西遊記か?」
「その通りです。彼らには、南米の遺跡で、とりあえず暴れて来る役と説明してあります。ので、まずはこれをとっ捕まえてくるのを、第一話に‥‥」
 しかも、その配役は、『破戒坊主』『毒舌な関西猿』『暴れん坊の踊る豚』『少年愛の美学に目覚めた河童』とあった。
「わかった。では早速役者‥‥じゃなかった。家のダークハンターを、送り込もう!」
 すっかり乗り気なのは、なんと藤田Dである。彼はそう言うと、ぽんとはんこを押してしまった。
「よろしくお願いします。あ、藤田さんには是非、悪の黒幕として、御出演いただきますので」
「OK! 無問題!!」
 こうして、何でもありの中華ファンタジー、『ダークハンター封神録』は、スタートしてしまうのだった。

 そして、南米のとある村では。
「おーーほほほほほ!! この村は、私達秘密結社・赤狐組がのっとったのよぉん☆」
 月の綺麗な晩、尻尾生やして、高笑いをする女性が1人。
「ふはははは! 行け! 我が尖兵たちよ!」
「「「「いえっさー!!」」」」
 その下で、同じく大笑いしながら、4人の配下へ命を下す男が1人。
「大変だ! 村で坊主がお姉ちゃんを追い掛け回して、サルと豚が、食い逃げして、河童が美少年をかっぱらっている!」
 翌朝、村ではちょっとした‥‥いや、かなり大げさな騒ぎが起きていた。
「そこのおねえさーーん。拙僧といいことしなーい?」
「いやーん」
 スキンヘッドの若い坊主が、村の若いお姉ちゃんを追いかけている。
「この豚、意外といけるで」
「このサルの脳みそも、割とまいうーですよ」
「あのー‥‥。お代は‥‥」
 一軒しかない食堂では、猿と豚が、お料理を堪能中。っていうか、一番大きなテーブルに陣取って、居座っている。
「ふふふ。君のお尻はとても滑やかだねぇ。良いシリコダマが取れそうだ‥‥」
「そんな‥‥ボクは男なんだけど‥‥」
 その店の裏では、多少顔が青白くて、皿が乗っているが、新宿辺りで客とってそうな兄ちゃんが、二股に分かれた舌をちろちろ出しながら、10代の男の子を口説いてたり。
「クレイジーだな‥‥」
「何でも、東洋から来た妖怪変化‥‥だそーだ」
 顔を引きつらせる村長とPTA会長。ロケと言う話は聞いていたが、ここまでとは思っていなかったらしい。
「‥‥誰か助けてくれ!」
 とりあえず、言われた通りの台詞をはき、彼らは早々に逃げ出すのだった。

 一方、その救援要請をうけた、日本のとある秘密組織‥‥と言う触れ込みの雑居ビルでは。
「と言うわけだ! 我らダークハンターは、窮地に陥った村を救うべく、南米は遺跡の村へと向かう!」
 ドラゴンの翼を生やした長官らしき芸能人が、そんな指令を出していた。
「装備品は各自調達の事! なお、パオペイ巨兵の先ちゃんは、メンテ中なので、あんまり期待するな!」
 整備班班長は、女性らしい。スカートの下から、尻尾が覗いている所を見ると、おそらく蛇だろう。ちなみに、先ちゃんは、大人の事情により、画面の隅っこでモザイク描写になっている。
「どうなるんだろう。この番組」
「「気にするナッ」」
 この手の番組で、深く考えてはいけないのは、もはやお約束と言う奴だ。
 なお、番組には絶対に画面に映らない記録係が1人、ついて行くそうである。

●今回の参加者

 fa0179 ケイ・蛇原(56歳・♂・蛇)
 fa0922 亀山 綾(18歳・♀・亀)
 fa1163 燐 ブラックフェンリル(15歳・♀・狼)
 fa1385 リネット・ハウンド(25歳・♀・狼)
 fa2648 ゼフィリア(13歳・♀・猿)
 fa2680 月居ヤエル(17歳・♀・兎)
 fa3043 礼花(18歳・♀・トカゲ)
 fa3293 Even(22歳・♂・狐)

●リプレイ本文

「待ちなさいっ!」
 番組開始早々、目にも止まらぬ速さで駆け込んできたEven(fa3293)が、破戒坊主の頭をドツいていた。
「キミ! 嫌がる女性に、強引に迫るなんて、半分以上が犯罪ですよ!」
 涙目になる破壊坊主役の御仁に、女性を後ろに庇ったリネット・ハウンド(fa1385)がそう続ける。
「おぜうさん。あんな坊主はほっといて、僕とお茶でもいかがですか?」
 一方で、口先達者なイヴンさん。カメラ目線で、そう宣言すると、村娘さんのおててを取り、そう言う。
「おのれも調子に乗るんじゃない」
 笑顔で同じ様に口説いている彼の後頭部に、リネットがかかと落としでツッコんでいた。チャイナ服に皮のロングブーツと言う、どこかの格闘ゲームに出てきそうな格好での一撃は、相当に効いたらしく、頭にたんこぶを作りながら、地面に沈むイヴン。
「何を言う。これは全て御仏のお導きだ!」
 リネットの説得‥‥と言うかお説教に、坊主はふんぞり返ってそう言いきった。が、この界隈では、主にキリスト教が絶大な勢力を振るってるので、御仏パゥワァは通用しなかった! と言うのが、綾ちゃんの操るカメラに表示されている。
「だいたい。君ら西へ来過ぎ! 天竺へはここからこうこう、こう行って‥‥」
 と、そこへイヴンがそう言って、携帯電話の画面に表示された世界地図を広げ、おもむろに世界地理の講義を開始していた。坊主も何故かノリノリで学習モードに入っちゃっている。
「太平洋越えるより、アフリカ大陸渡っちゃった方が近いだろうしねー」
「問題は、暑い所は河童がうるさいんですよー」
 文句垂れてくる坊主。いや、確かに砂漠もサバンナも、河童には厳しい土地だ。
「それじゃよい旅を〜」
「って、それで良いわけないだろう!」
 笑顔で送り出されて、手を振り返してしまった坊主さんだが、植込みの影から、記録係の亀山 綾(fa0922)に睨まれて、はっと我に返る。
「まったく‥‥。キミみたいな犯罪くんには、これを食らわせてあげるわっ」
 嫌な事には、はっきりNOと言える日本人だそーなので、リネット嬢、まったく動じず、自慢の脚線美でもって、足元にローキックを食らわせる。
「あーあ、容赦ありませんねぇ」
 荒事は苦手のイヴンさん。のんびり珈琲すすりながら、被害女性と一緒に観戦中。一方のリネットさんはと言えば、よろめいた坊主を、肩車の要領で担ぎ上げ、近くの川へと放り込んでいた。
「しばらくそこで頭を冷やしてなさい。冷えやすそうな頭してるし」
 そのまま流れて行く坊主を尻目に、リネットさんは、イヴンに村娘を家まで送り届けさせると、食堂で騒いでいると言う猿と豚の対処へ向かうのだった。

 さて、仰向けで流れて行く坊主をアイキャッチに、亀ラマンの綾ちゃんが次に映したのは。
「猿はどこー!」
 広大な南米のジャングル‥‥実際は村の果樹園なのだが‥‥で、走り回っているバンダナ姿の燐 ブラックフェンリル(fa1163)だった。
「そこな亀っ! 猿はどこっ!」
 どうやら、村の一部とは言え、広い果樹園で迷子になったらしく、カメラ‥‥と言うよりは、完全獣化済の綾ちゃんに、手にした仕込み傘を振り回していた。本当は棍棒がよかったらしいのだが、手持ちになかったので、ソレになった模様。
「あたしは今仕事中や! 別の奴に聞かんかい!」
「んな事言ったって、豚さんちょっと突付いたら、池ポチャったまま、出てこないんだもの!」
 カメラ目線でそう言いながら、燐ちゃんは離れた位置にあるため池を指差す。ご丁寧に『底なし沼注意』と書かれた看板の向こう側で、ぷかぷかとアフロヘアが浮かんでいた。
「あーあ、かーいそーに」
 どこの西遊記でも、豚さんの扱いはあまりよろしくないらしい。律儀にその無様な姿を写しながら、撮影前の姿を思い出す綾ちゃん。
「はいはーい。撮影の後は、皆で片付けますんで、どなた様も、あまり近付かずに避難して下さいねー」
 現地入りしたイヴンが、友好魅瞳を使って、村長さんやPTA会長さんを、家の中に避難させている。
「冒険家より先に危険地帯に入るのは、カメラマンのお約束やね。悪役な方々、戦いへの抱負を!」
「生の舞台で鍛えた本番強さを、発揮できれば、よろしいですなあ‥‥」
 男幹部役のケイ・蛇原(fa0179)、そう言って取材に応じている。他の悪役連中も、それぞれ画面に映る姿とは、違う顔をのぞかせていた。もっとも、河童だけはそのまんまだったが。
「僕が戦いたいのは、関西弁で毒舌で食堂の人を困らせてる猿なんだ! いったいどこにいるんだ!!」
 げしげしげしっと、逆切れ気味に、せっかく池から上がろうとした豚さんを蹴落とす燐ちゃん。
「活躍しない事こそ裏方魂や! せやけど、あれはちっと止めたほうがええよーな気がすんなぁ‥‥」
 その様子を、ずーっとカメラに収めていた綾ちゃんだったが、さすがにかわいそうなので、絶対に画面に映らないのを良い事に、なだめに行くのだった。

 さて。残る西遊記御一行様は、『少年愛の美学に目覚めた河童』ただ1人である。
「ふふふ。これを撮らずして、南米まで来た意味などないっ」
 妙に乗り気の綾ちゃん。おめめがきらーんっと輝いている。気合満点の表情で、彼女が映したのは、月居ヤエル(fa2680)演じる『演技と変装が得意なダークハンター』だった。
「ふふふ。これで完璧ね‥‥」
 対象が対象なので、この場合は、『美少年に変装して色仕掛け』となる。半獣化して、ロップイヤー耳をぴこぽこさせながら、髪を結い上げ、男の子に偽装していた。
「皆居ない‥‥いったいどこに行ったんだろう‥‥」
 んで、その男の子にしか見えない外見を活かし、店の裏まで怯えた表情で潜り込む。
「おや。そこな少年。何か困り事かな」
 そのうるうるとした芝居に、あっさりと引っかかったらしい河童、そう声をかけてきた。
「ひっかかったね‥‥。こっちまでおいで‥‥っと」
 ヤエルちゃん、視聴者に分かりやすいようにそう呟くと、気付かないフリをして、くるりと踵を返す。目指すは、あまり人通りのない方向だ。
「追いかけっこかい? 良いだろう。付き合って上げるよ」
 くくくっと笑う河童の横顔が、カメラにアップで映る。頭に皿こそあるが、美形なので、画面映りは、非常に良い。
「あ‥‥」
 程なくして、あらかじめロープの張られた果樹園の入り口で、河童にとっつかまるヤエルちゃん。そのまま、ロップイヤー兎の美少年を抱き寄せる河童。見てる分には、果樹園の入り口で逢瀬を重ねる禁断の恋人‥‥に見えなくもない。
「おらそこで押し倒したらんかいっ! 視聴者サービス考えたれっ!」
 記録係の腐れ女子な綾ちゃん。見ている御仁を代弁して、そう突っ込む。彼女の存在に気付いているのかいないのか、河童さんは、抱き寄せた彼女を、木の幹へ軽く持たれかけさせる。
「ふ。ひっかかったな‥‥」
 ぼそりとヤエルちゃん演じる少年がそう言った。そして、不敵に笑いつつ、やおら結んでいた髪の毛を解き、襟元を軽く広げる。中身女の子なので、ちょっとだけ谷間が見えた。女性だと気付いたなーと確信したヤエル、びしぃっと、こう宣言。
「ふっ、私を女だと見破れなかった貴方が、美少年ハンターを名乗るなど笑止!」
 そして、腰に挿していた中華風イミテーションソードを抜き、河童の皿をめがけて振り下ろす。
「おっと」
 しかし、その一撃は、河童の手によって受け止められてしまった。逆に脚払いをかけられ、ヤエルちゃんは地面に尻餅をついてしまう。その隙に、河童さんは彼女が事前に設置していたロープを使って、器用に結び上げてしまった。
「別に女の子でも構わないさ。良い尻に性別はないからね」
 どうやら、河童、番組の都合で、両刀だった模様。
「そんなのないよー!!!」
「すいませーん。少し我慢しててくださいねー」
 何もしませんからーと言い訳しつつ、河童とヤエルが画面から消える。果樹園に彼女の悲鳴が木霊したとか何とか。

 4人中3人が倒されたり行方不明になる中、最後の1人‥‥いや、1匹を求めて、燐ちゃんは彷徨っていた。
「ふははははは! 我こそは偉大なる泰山府君なるぞ!」
 杖を片手に、建物の上でふんぞり返っている蛇原の旦那。着物にスリーレルム222に黄金の魔よけ、神秘のアンクを手に高笑い中。
「あのー、すみません」
 と、そこへ迷いまくってへろへろになった燐ちゃんが、傘を杖代わりにしながら、そう聞いてきた。とりあえず律儀に答えたケイさんに、彼女は宿敵・関西弁猿の行方を尋ねる。
「あやつならそこの食堂にまだ陣取っておったはずよ」
「そうですか、ありがとーございます」
 彼らがこの騒動の引き金をひいた御仁達だったなんぞ、欠片もご存じない様子の燐ちゃん、深々とお礼を言って、教えられた通りの食堂へと向かう。
「いたな関西猿! 食堂に迷惑をかけるなんぞ、言語道断だ!」
 体力には自信がある燐ちゃんだったが、朝から晩まで歩きまわっていたせいで、すでに疲れ果てている。それでも、猿にびしぃっと指先を突きつけて、頑張って見栄を切っていた。
「そんなへろへろな格好でなにゆーてんねん。だいたい、それ武官の格好やなくて、文官の格好やんか」
「これは衣装さんがこっちの方が可愛いって言うから!」
 もっとも、芝居力はゼロなので、猿にそう突っつかれるだけで、力の限り動揺してしまう。全く動けない彼女に、綾ちゃんが『WIN! 猿!』とテロップを出している。
「くそぅ。おぼえてろー」
 平坦な口調でそう言うと、彼女は、画面外へとリングアウトしてしまうのだった。

 さて、偽西遊記御一行様に、勝ったり勝たなかったりした後、村の中心部では、さらなる新展開が発生していた。
「手下を倒した程度で、調子にのるでないわー!」
 若干人数が減ったダークハンター御一行様を、そう言って待ち受ける蛇原。ちなみに、倒された奴は、画面外で、綾ちゃんのお手伝いに降格されている。
「んでは、少しだけ本気を見せて差し上げよぉう」
 そんなダークハンター側の言い分なんぞ、耳を化さず、蛇原さんは、神秘のアンク片手に、何やらうんべらうんべらと呪文らしきものを唱える。と、半獣化した。
「おのれ、妖怪変化め! あたしが相手になるわ!」
 台詞某読みながら、唯一無傷なリネットさんが、そう言って飛び掛る。
「不意打ちは卑怯よ!」
 半獣化しているので、なんとか受け止めたが、さすがにプロの格闘家相手に、完全に勢いを殺す事は出来ず、2人して建物の後ろにある川へ落ちてしまう。
「ふはふは、蛟の本領は水の中で発揮されるのよ。どこまで耐えられますかな!」
 もっとも、自在水動の使える蛇原さん、そのままリネット嬢のチャイナ服に手をかける。
「きゃー! どこ触ってんの!!」
「視聴者サービスでございま‥‥げふごふがふ‥‥」
 ここぞとばかりに、エロ行為に出たおっさんだったが、本気の彼女に敵うわけもなく、逆襲されてしまう。
「まったく。油断も隙もあったもんじゃないわ。って、そこのカメラも、いきなり胸を抜くんじゃない!」
 上がってきた彼女のチャイナ服は、胸が大きく開いて、たけが短くなっていた。見れば、川を流れて行く蛇原さんは、満足そうにニヤつきながら、Vサインをしていたそうである。

 残るはどっかで見たような女幹部だけである。
「をーほほほほほ!」
 彼女は、蛇原の旦那よりも、さらに高い位置で、高笑い中。と、そこへゼフィリア(fa2648) が投げた五光石が炸裂した。
 説明しよう! 五光石と言うのは、ゼフィリアこと蝉玉の操る特殊な拳銃の弾で、妖怪などの人ならざるものには絶大な効果をもたらす弾丸だ。中身は飛石礫弾だそうで、よく見れば、ゼフィも半獣化。
「暇そうやな。それならうちが相手するで」
 その驚異的な身軽さを生かし、2丁拳銃を向ける彼女。ちなみに、見かけはUSSRトカレフだが、弾丸は入っていない。
「それじゃあ、いくでぇ!!」
 気合を入れて、小石を打ち込むゼフィ。事前に指定された通り、鞭を取り出すおねーちゃん。本当なら、ここで華麗に五光石を叩き落とす‥‥筈だった。
「って、きゃぁぁぁん!」
 思いっきり当たってしまい、慌てて逃げ惑う狐さん。どうやら彼女、見かけだけで、戦闘力皆無な模様。設定書きには、『銃弾をかわせる動体視力と運動神経を持つ』と書いてあるが、役者の身体技能以上のものは出来ないようだ!
「ちょ、ちょっとカメラさん。なんとかして〜」
 狐お姉さん、ボロボロになりながら、綾ちゃんにへるぷみー。
「ゼフィちゃん、ちっと手加減したりーな」
 甲羅を出したままの彼女、カメラの範囲から、狐さんを外しつつ、そう言う綾ちゃん。そこへ、甲羅の防御力に物を言わせいた彼女のカメラに、流れ弾が当たってしまう。集水流弾を心得ていたが、軽業能力が低かったので、とっさに弾けなかった模様。
「こらぁっ! 芸能人ならカメラに気をつけて戦わんかいっ!」
「うわ、ごめんなさーい!」
 直後、ぶち切れた綾ちゃんに追い掛け回されるゼフィリア嬢だった。

 辛くも偽西遊記御一行様に勝利したダークハンター達だったが、もう少し修業が必要のようだ!
 そこで長官は、日本は八甲田山での修業を命じる。
 果たして彼らは、使用に耐えうる技を身につける事が出来るのか?
 次回! ダークハンター封神録。『山ごもり』。
 目撃せよ! 仙境の勇姿!!