BR出演者座談会アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 氷邑
芸能 3Lv以上
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 7.5万円
参加人数 7人
サポート 0人
期間 10/20〜10/24

●本文

 青は、南国の孤島を取り囲むように広がったネイビーブルー。
 赤は、その孤島に聳え立ったホテルの中で起こる惨劇を象徴する血。
 日本国の謀略によりランダムに集められた32名の一般市民が、たった一つの生存権を賭け、孤島のホテルで殺し合いを行う。
 帰る事も、逃げる事も出来ない人間の極限が見せた弱さ、醜さ、美しさ、裏切り、愛情、友情、絆。そして運命を捻じ曲げようとする比類無き強さ。

 千ページ以上にも及ぶ良い意味でも、悪い意味でも問題作と言われた長編小説『Blue in Red』の映画がクランクアップし、後は編集作業を残すのみとなった。
 
 数週間後、映画が完成した。
 115分という長さであったが、監督を初めとするスタッフ、出演者は最後まで真剣な眼差しで見ていた。
「皆の頑張りのおかげで、映画は無事完成した。試写会は一ヶ月後に行うことにした。その前に‥‥出演者の皆には、DVD特典の出演者座談会に参加してもらいたい」
 監督の提案に、緊張を隠せない出演者一同。

「あの‥‥何を話せば良いのでしょうか?」
 出演者の女性が、おずおずと手を上げ質問する。
「そうだな。役作りの際に苦労した点とか、NGシーンとかだな。まぁ、そのへんは気楽に考えてくれ」

 打ち上げの際、出演者達は、撮影の思い出話を始めた。
「おまえ、セリフよくトチってたよなぁ。舌が回らなくて」
「キミも、死体役が上手かったよ」
「アタシ、すっごく緊張しちゃいました〜!」
 思い出話は、尽きることは無かった。

 数日後、DVD特典の出演者座談会の収録が行われた。

<座談会での会話>
・楽しかったシーン、苦労したシーンの話。
・撮影現場でのエピソード。
・NGシーン
・最後に、ファンにメッセージを。

●今回の参加者

 fa0588 ディノ・ストラーダ(21歳・♂・狼)
 fa3652 紗原 馨(17歳・♀・狐)
 fa3890 joker(30歳・♂・蝙蝠)
 fa4040 蕪木薫(29歳・♀・熊)
 fa4235 真喜志 武緒(29歳・♂・狸)
 fa4591 楼瀬真緒(29歳・♀・猫)
 fa5257 レーヴァ(18歳・♀・獅子)

●リプレイ本文

 映画『Blue in Red』のDVD特典である出演者座談会収録に参加したのは、主演のディノ・ストラーダ(fa0588)を含む6名。

 まずは、出演者の自己紹介。
「赤城拓也と犯罪者的人格『赤い狼』を演じたディノ・ストラーダです」
 拓也は青嶋奈緒美に作られた人間兵器であることは、映画をご覧になった皆さんは知っていますよね? と付け加える。
「月凪鈴、カナ芳村を演じた紗原 馨(fa3652)です。この作品で、初めて一人二役に挑戦しました」
 撮影を終えた時の達成感は忘れられないです、とぎこちなく言う鈴役の衣装を着た紗原に同意する出演者がひとり。
「俺も馨さんと同じ気分だったよ。どうも! 内閣総理大臣、真山壱役のjoker(fa3890)でーす!」
 愛用のサングラスをはずし、ニコニコしながら自己紹介し終えたjokerを見たら、映画で冷酷非情な男を演じた芸能人なのだろうか? と違和感を感じてしまわずにはいられないだろう。
「ずっと真山役だったから、彼はライフスタイルのひとつになってしまったよ」
 そう言うjokerの背中を思いっきり叩き、おもろいわ! と突っ込むのは蕪木薫(fa4040)。
「数井療子役でお世話になりました蕪木です。今だから言えることですが、双子の妹を代役にしたことが一度だけあります。あまり似ていないので、わかる人にはわかると思いますが」
「蕪木さん、そんなことを言って大丈夫ですか?」
「大丈夫です♪」
 真喜志 武緒(fa4235)の不安は、蕪木の茶目っ気に吹き飛ばされた。
「花屋の店長の都築哲司、船医の志水剣一郎、元軍人のユーリー芳村を演じさせていただきました真喜志です」
 これで本当に終わりましたね、と呟く彼に、撮影は終わりましたが、DVDではまだまだ続きますよと言う楼瀬真緒(fa4591)。
「榊都を演じた楼瀬真緒です。自殺志願者の参加者役に決まるとは思いませんでした」
「あたしは、栗原亜依役を演じたモデルのレーヴァ(fa5257)だ。宜しく頼むよ」
 緊張しているのか、挨拶がぎこちない。

 その後、演技する際に楽しかったこと、苦労したこと、NG話に。
「亜依は、あたしと違って妖艶な女だから喋り方にすっごく苦労したねぇ。この映画が初芸能活動だから余計にさ。熱中すると、口調がつい地になっちまうんだよ。何度NGになったことか」
 頬を人差し指で掻き、必死照れを隠そうとするレーヴァを見たディノは、言いたいことがあるようだが‥‥。
「ディノ君、言いたいことがあるのかな?」
 jokerに考えを見透かされたか、と驚くディノの態度を見た出演者達は、ディノは何を言うのか興味津々。
「隣にレイさんがいるから言っちゃってのいいのかなぁ、って迷ったけど言うよ。他の皆が話し終わってからね。馨さんはどう?」
 いきなり話題をふられ、大焦りの紗原。
「ぼ、僕が演じた鈴ちゃんもカナちゃんも、初登場場所が部屋だったから、かくれんぼが好きなのかなぁっ、て。恐怖に脅えるシーンなんですけど、ふとそう思いました。僕もレーヴァさん同様、映画初挑戦で何もかも初めてづくしでしたから色々分からない事が多かったですね。苦労したのは、鈴ちゃんの最期。原作とはちょっと違ってたけど、演じるとなると辛くなりましたね」
 少し間を置き、真喜志が話し始めた。
「僕の役は、悩んでいたり恨んでいたりが多かったから楽しいシーンは、あまりないんですよ。切ないシーンなら盛りだくさんですけど。あ、恋愛関係は楽しいシーンですね? 船医の志水の恋をはじめ、男女愛とか、親子愛とか」
 娘がいる彼にとっては、親子愛が印象的だろう。
「演じる役が多かったので演じ分けに苦労しました。特に志水と都築は被りやすくて。志水はクールに徹するよう心がけつもりなんですけど、上手くいったかどうか未だに心配です。ユーリー役は、監督にアドバイスを貰ったりしましたね」
 お疲れ様でした、と真喜志を労った後、楼瀬が話し始める。
「私が楽しかった、というか思い出深いのは、生きる事を選択して、数井役の蕪木さんと「生きてこの島を出よう」と誓ったシーンです。死ぬ事しか考えていなかったのが、あの辺りから生きようと決意した都の転換期が強く出たシーンだと思います。苦労したのは、役をどう演じていいのか解らなくて、彷徨う事位しかできなかったことですね。他の方達ともうまく絡めなくてNG連発を‥‥。特に走るシーンで。良く転んだり、ぶつかったりしてました」
 すみません‥‥と皆に謝る楼瀬。
「私も演技経験があまり無いので、演技の全てが勉強でした。療子がうろたえるシーンがありますが、あれ、実は素だったんです。普段は関西弁なので、共通語の数井の台詞は何度も噛みました。それが一番苦労したわー」
 つい、関西弁に戻ってしまう蕪木。
「療子は重要なポジションじゃないですけど、女の子達と行動を共にすることが多かったですね。気は大人しいけど、男の代わりを務めようと思っていたところが大きいと思います。それがまぁ、楽しかったりしますが」
 蕪木は、楼瀬さん以外の皆もNGありましたよねと話題転換。
 それに対し「ゴメンなさい」と苦笑しながら謝る紗原。
「役名間違って呼んじゃったりとか、指差し間違えちゃったりとか‥‥数えたらキリ無いです。鈴の友人役の役者さんと真喜志さんにはご迷惑おかけしました」
「気にしなくてもいいですよ、馨さん。僕のNGはアクションシーンかな? 走っていて息が切れ、直後の台詞が出なかったりして御迷惑を‥‥。都築役の時には、恋人役の方をお姫様抱っこするシーンがありましたが、危うく落としそうになりましたね」
 次に話し始めたのはjoker。
「俺が苦労したのは、自分と真山の違いを表現するってことだったね。性格的に同じところって全然無いんだよ。あの行動力だけは見習いたいと思うけど。苦労したこと多かったけど、悪役は楽しませてもらったよ。真山って、一見自分勝手だけど、実は幼稚で、悲しく奴じゃないかな? どうにもならない思いを、サバイバルゲーム開催というカタチで他人にぶつけたいって気持ちだったのかなぁ。色々考えたけど、やっぱ、わかんないや」
「わかんないって、あんた‥‥。あたし達は、真山のせいで酷い目に遭ったんだよ」
「そう言うけど、真山だって酷い目に遭ったんだよ。殴られたシーン、リアリティ出す為にマジで殴られたんだから!」
 ヒリヒリしたよ、と頬に手を当てるjoker。
「残念だったのは、秘書役の女優さんとキリング・ドール役の子以外とはあんまりお話する機会が無かったことだね。一部の出演者さんを除くと、接触はモニター越しばっかりだったから。クライマックスでちょっと絡みがあったのは嬉しかったな?」
 辛い中にも楽しさがあったようで。
 一通り話し終えた後、レーヴァはディノに最後に話すといった話題を振った。
「俺が苦労したのは、妖艶な亜依さんとの遣り取りだったね。あの時は俺、滅茶苦茶緊張しちゃって‥‥。ラブシーンのせいじゃないですよ! 対決後の転げ落ちるシーンのせいでです!」
 赤面して、早口でまくしたてるディノ。
「亜依との対決シーンですが、結局、撮影はテイク20までかかりました」
 レイさん、スタッフの皆さん、監督、御免なさいとカメラに向かい、ディノは両手を合わせて謝った。
「赤城と亜依はあの後、燃えるような恋に落ちる予定だったらしいですけど、尺の問題でカットされました。楽しみにしていたんですけど。その分、ステッキの戦闘を楽しみましたが」
 カメラの前で劇中さながらのステッキ捌きをサービスするディノ。
 余談だが、拓也と亜依の恋愛シーンはオリジナルシーンである。

 楽しい座談会も、終わりに近づいた。
「ラストでは真山は生死不明な感じになったけど、どうなんだろう? 監督さん、次回作で平気な顔で戻ってきたりしません? 俺としては、是非そうあって欲しいです!」
 次回作があるとしたら、jokerは喜んで同じ役を引き受けるだろう。
「BRのファンの皆さんに、楽しんで貰えるように頑張りました。これからも頑張りますので、紗原馨共々、宜しくお願いします♪」
 笑顔で手を振る紗原。
「映画、楽しんで貰えたら嬉しいです。窮地に追い込まれた時にはまず冷静に対処することが大切だと私は思いますが、この映画を観て、人それぞれ一番大切なものに気づいたりするのではないかと」
 カッコ良く決めよう思たけど、慣れへんことはしたらあかんなと苦笑して締めた蕪木。
「僕が出演したこの映画は、とても印象深い作品となりました。応援して下さった皆様のおかげだと思います。監督さん、スタッフさん、共演者さんに感謝します。ありがとうございました」
 登場人物のマネはしないで下さいね? と注意する真喜志。
 それに続き、最後まで見て頂いてありがとうございましたと礼を述べる楼瀬。
「BRどうだったかな? 座談会での裏話を思い出して本編を再度見ると楽しさ倍増だよ!」
 ウィンクして、ニヤリと笑うレーヴァ。
「この映画、俺は大好きです。全力で楽しみながら演技してきましたが、皆さんにも伝わったでしょうか?」
 赤い狼を思わせる気障な笑みで言うディノ。

 撮影終了後、出演者を代表して紗原が監督に花束を手渡した。
「監督、お疲れさまでした。本当にありがとうございました!」
 出演者は声を揃え、感謝の気持ちを込め挨拶した。